東京慈恵会医科大学とにきびの病態解明を目指す共同研究を開始

東京慈恵会医科大学とにきびの病態解明を目指す共同研究を開始

総合的な菌ケアサービスを展開する株式会社 KINS(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:下川穣、以下 KINS)は、このたび学校法人慈恵大学と共同研究契約を締結しました。東京慈恵会医科大学の出来尾 格医師を研究統括とし、共同でにきび患者の患部皮膚表面のマイクロバイオーム、患部で得られる分泌物およびアクネ桿菌の代謝産物を解析し、病態解明を目指す研究を開始します。

共同研究の概要

研究目的

にきび患者の患部皮膚表面のマイクロバイオーム、および患部で得られる分泌物および アクネ桿菌の代謝物を解析することで、にきびの病態解明に関わる新たな知見を得ること

研究担当者

東京慈恵会医科大学 皮膚科学講座 講師 出来尾 格 KINS LAB 下川 穣、舩津 修、島津 玲子、石井 裕子

期待される研究成果とその後の展開について

ヒト皮膚には常在菌叢(マイクロバイオーム)が存在しており、このうち最も菌数の多いものがアクネ桿菌です。この皮膚常在菌は感染予防や皮膚表面の恒常性維持に役立っていますが、毛孔が閉塞するとアクネ桿菌は炎症誘発タンパクを分泌して炎症性にきびを生成します。 にきびの発症は急激に進みますが、患部においてマイクロバイオームの組成はあまり変化しないため、アクネ桿菌が増えるのではなく患部に分泌される物質またはアクネ桿菌の代謝に変化が生じることがにきび発症の正体であると推測されています。 本研究ではにきび患者の患部皮膚のマイクロバイオーム解析を行うとともに、患部サンプルから得られる内容物組成および アクネ桿菌の代謝産物の解析を行うことで、にきびの病態解明を目指します。

東京慈恵会医科大学について

東京慈恵会医科大学は「病気を診ずして病人を診よ」を建学の精神とする130年あまりの歴史を持つ医学教育機関で、医学部医学科、医学部看護学科、大学院医学研究科、附属病院などを有しています。患者中心の医療を重視し、幅広い医学 領域での知識と技術を学生に提供しています。国際的な視野を持ち、医療の進歩と社会貢献に寄与することを目指しています。

東京慈恵会医科大学附属病院 皮膚科およびにきび外来について

1999年に慶応義塾大学医学部卒業。
2006年に同大学医学研究科 博士課程 修了。
2013年にノッティンガム・トレント大学(英国)理工学研究科 修士課程(バイオインフォマティクス)修了。
島根大学と東京女子医科大学(東センター)で講師を務め、国外ではイングランド公衛局で研究員 として勤務。
現在は東京慈恵会医科大学講師。東京慈恵会医科大学附属病院ではにきび外来を担当。専門はアトピー性皮膚炎、にきび、皮膚細菌学。
同氏はにきびをはじめ皮膚疾患に関連する論文を多数報告されています。また「化粧水やめたら 美肌菌がふえた!(河出書房新社)」を出版するなどの執筆活動もされており、「美肌菌」の名付け親として知られています。

KINS LAB について

KINS LAB は KINS が神奈川県川崎市に有する研究拠点で、ユーザー参加型研究を通じて、ヒト、犬の常在菌について研究 しています。遺伝子分野を得意とするメンバーを中心に構成されており、菌自体の分析や疾患に繋がるメカニズムの解析を遺伝子レベルで実施可能で、関連するエビデンスの創出を目標としています。 ヒトの皮膚、頭皮、腸内マイクロバイオームのデータ解析や、菌自体の機能や有用性、代謝物についての基礎研究を行い、 その研究結果を活かして将来的に自社で運営するクリニックと共同して基礎研究から臨床試験までを自社内でシームレスに実施できる体制を構築し、マイクロバイオーム創薬の実現を目指しています。 また犬についても獣医師と連携して研究を行っており、研究結果は製品やサービスに活用されています。