掲載日 | 2023.02.02
更新日 | 2023.02.02

歯磨きだけでは口臭ケアは不十分?
口臭の“本当の原因”を全力でまとめてみた!

掲載日 | 2023.02.02
更新日 | 2023.02.02

「もしかして、私の口って臭い…?!」
自分の口から発せられた臭いに気づいた時の、あの絶望感。

いや、自分で気付けたのであれば、まだマシかもしれません…。

子供から「お母さんのお口、クサイ」なんて言われた日には、もうへこみまくりです。口の臭いが気になって人前でうまく話せなくなったり、それどころか、そもそも人と会うのが億劫になったり……。

そして口臭を改善したいけど、何から始めれば良いかわからない…。
コンビニでマウスケア商品を買ってごまかしてみる日々。

ただ、そういった悩みを抱えているのはあなただけではありません。

ある研究では、全世界の4人に1人が口臭に悩んでいるというデータが出ていました。本日はそんな口臭に悩む全ての人を救うために、全力で口臭・口腔内トラブルについてまとめていきます!

おっと!申し遅れました!
こんにちは!下川です。

実は私、KINSを始める前は、もともと歯科医師だったんです。
歯科医師時代は、口臭で悩む患者さんにたくさん出会ってきました。そのため、口臭で悩まれている方の気持ちは、本当に痛いくらいわかります。

そこで、今回は口臭を中心とし、歯周病や口内炎といった口腔内トラブルについて全力でまとめていきます!

口臭がなぜ起こるのか、どうすれば改善するのか全てこの記事にまとめますので、ぜひ、この記事を熟読して、健康な口腔内環境と爽やかな息を手に入れてください!!

毎度のことながら本記事も分量が少し多くなっています。
一度読んで全てをマスターするのも難しいと思いますので、ぜひハートマークを押して、何度でも読めるようにしてくださいね。

それでは本編に参りましょう!

口臭は「細菌」が原因の9割?!

口臭は「細菌」が原因の9割

口臭を克服し爽やかな息を手に入れるためには、まずは「敵」が何かを知るところから。

と言うことで、そもそも口臭とは何か、なぜ起こるのかについての基礎知識から解説していきます!

実は、一口に「口臭」と言っても大きく分けて2種類に分けられます。

それは以下の2種類。

①口腔内口臭
②口腔外口臭

簡単に言うと、口臭の原因が「口の中にあるのか」、「口以外にあるのか」によって分類されます。

ただ、原因が口の中?外?と言われてもなかなかピンとこないと思うので、それぞれ詳しく解説していきます。

①口腔内口臭
まず一つ目が口腔内口臭。その名の通り、口臭の原因が「口の中にある」ケースですね。

先ほど、口臭は大きく分けて2種類に分類されるとは言いましたが、口臭の約9割、つまりほとんどがこちらの「口腔内口臭」です。

口腔内口臭といっても、歯の磨き残しなど口の汚れや、ニオイが強い食べ物を食べた場合などもありますが、ここで注目するのは主に菌が原因の口臭。

そして、この口腔内口臭を引き起こしている原因に関わってきているのが『菌』の存在でした。口臭にも菌が関わっていたなんて意外に思う方も多いかもしれません。ただ、実はそんな不思議なことではないのです。

そもそも、私たちのカラダには1,000兆個もの細菌が日々暮らしています。
腸をはじめとし、皮膚や頭皮、膣。もちろん口の中にも。

そして口の中は常に湿っており、食事を通して定期的にエサとなる成分も届くため、菌にとっては過ごしやすい環境。500億から1000億の細菌が口腔内には住んでいると言われています。

この口の中に住む細菌のバランスが崩れると様々なトラブルのもとに…。
例えば、口臭と並びメジャーな口腔内トラブル、虫歯や歯周病にもすべて「細菌」の存在が関わっています。

そして、もちろん口臭にも。口臭は口腔内に住む細菌のバランスが崩れ、嫌気性細菌が作り出す揮発性硫黄化合物が増加した際に発生することがわかっています。

つまり口臭のない爽やかな息を手に入れるためのポイントは、いかに口腔内の菌バランスを保ち、悪臭を作り出す菌の数を抑えられるかという点にあるというわけです。

それでは、どうすれば口臭の原因を作る菌を減らすことができるのでしょうか。

もちろん、本記事内でこれでもかというほど詳しく、口臭の原因となる菌を減らし口臭を改善するための方法を解説をさせていただく予定なのですが、その前に一つ質問をさせてください。

皆さま、今まで口臭が気になった時どのような行動をとっていましたか?

もしかすると、歯磨きを一生懸命頑張る!という方が多いのかもしれません。

もちろん、歯磨きをすることは健康な口腔内環境を保つために超超超大切です。ただ残念ながら、口臭の改善という目線で見たとき、実は歯磨きだけでは50点です…!

その理由は、口腔内で“もっとも菌が住んでいる部位のケア”が疎かになっているから。

そして、そのもっとも菌が住んでいる部位というのが「舌」です。
そのため、口臭ケアにおいては、舌のケアが非常に大切になります。

舌の詳しいケア方法につきましては、本記事の後半にて解説いたします。

この口腔内に住む細菌のバランスは、本当に様々な要因によって変化をします。

例えば、喫煙。
喫煙者と非喫煙者では、口の中の細菌の構成がガラッと変わります。

具体的には、喫煙者は非喫煙者と比べて、口腔内にカンジダ菌が多くなり、口臭がキツくなることが論文によって示されていました。

他にも、普段の食事によっても口腔内の菌バランスは、良い方向にも悪い方向にも転がります。

そのため、口と関わる全ての行為が口臭につながる可能性があるということをまずは念頭においてください。

②口腔外口臭
そして、2種類目の口臭が「口腔外口臭」。口臭の原因が口の外にある場合ですね!

「口臭が口以外が原因で起こるってどういうこと?」
という疑問についてからまずお答えすると、口腔外口臭とは、口以外の全身的な疾患、内臓の病気が原因で起こる口臭です。

そのため、口腔外口臭は割合にすると1割にしか満たないものですが、無視のできない存在

全身疾患や内臓の病気が口臭につながってしまう機序はそれぞれ異なりますが、一つに代謝物の変化が挙げられます。私たちの体は、日々食事を通して取り入れた栄養を、様々な成分に作りかえています。

ただ、内臓や内分泌系にが不調をきたすと、この代謝物に変化が生じます。すると、その代謝物が悪臭が発し、最終的に口臭として現れるというわけです。

口腔外口臭は具体的には、以下のような疾患によって起こります。

・糖尿病
・扁桃炎
・胃癌
・肝臓癌
・呼吸器系疾患
などなど…

中には、命に関わる疾患もあるため、口腔外口臭は非常に注意が必要。

それでは、口腔内口臭とどのように見分けれ良いのかという点についてですが、これは臭いの種類が異なります。

一般的な口腔内口臭が生臭いにおいであったり、ドブのようなにおいがするのに対し、病気による口臭はアンモニア臭や甘いにおいがするのが特徴です。

そこで、何だか普通の口臭じゃない臭いがする…という時は、もしかするとお口以外のの疾患が関わっているのかもしれません。そういった場合は、一度医療機関を受診してみてください。

口の中の救世主!唾液について

栗

先ほども説明しましたが、口臭の9割は口の中に原因があります。そして、悪臭を発生させていたのが「菌」の存在。

そこで口臭の解消には、菌をコントロールすることが非常に重要なことをご理解いただけたかと思います。

ここまで説明すると
「それじゃあ、結局どうすれば口の中の菌をコントロールできるの?」
という皆さまの声が聞こえてくる気がします。

そこで、今度はその疑問を解消していこうと思うのですが、実は口腔内に住む菌をコントロールする方法はとても簡単。
本来であれば、特別なことはしなくても口腔内に住む菌を適切なバランスに保つ術を私たちは生まれながらに持っています。

それが「唾液」です!

唾液は口の粘膜を覆い、潤してくれている存在ということは言わずもがなですが。ただ、皆さま。唾液を単なる液体という風に考えていませんでしたか?

実は、唾液は口の中を健康に保つために不可欠な存在!
菌をコントロールし、口腔内環境を適切に保つための“ありとあらゆる成分”が含まれています。

例えば、唾液が口腔内の菌の状態をコントロールする働きを発揮できるのは、ラクトフェリンという成分のおかげ。母乳に入っていることで有名な抗菌作用をもつタンパク質ですね。

ラクトフェリンは鉄と結合しやすいという特徴を持ちます。そして、この鉄と結合するというのがポイント。

悪玉菌やバクテリア、酵母、寄生虫などの微生物の成長に不可欠な「鉄」を奪うことで、彼らの増殖を防いでくれるのです。

そうすることで、唾液は口腔内の治安を保ち、口臭が発生しにくい環境を作ってくれています。

そのため唾液の分泌量が少なくなると菌を抑えることができなくなり、口臭の原因に。実際に、口臭の原因となる成分を作り出す嫌気性細菌は、唾液が少なくなると活発になることがわかっています。

皆さま、ストレスを感じると口臭がキツくなったという経験はありませんか?
あの原因は、ストレス・緊張によって自律神経が乱れ、唾液の分泌量が減していたことだったのです。

そして、唾液の働きは口臭を抑えるだけにとどまりません。

唾液には、口腔内を保湿するという効果も備わっています。これはムチンという成分が含まれていることによって発揮される効果です。

ムチンは腸のバリア機能の形成にも使われている成分。
口の中でも同様に、粘膜の保護をしてバリア機能を高めてくれています。

さらにさらに!口の中のpHを調整するのも唾液の役割。
pHとは、酸性やアルカリ性を表す数値。小学校や中学校の頃に理科で習いましたよね。

pHは、菌ケアにおいてとても重要な指標!
メディアの読者の皆さまなら、何度か目にしたことがあるかもしれませんね。

ただ、今回はいつもと状況が少し異なります。と言うのも、私はこれまでお肌や腸内環境は弱酸性が大切!ということを散々語ってきました。その理由は、弱酸性に保つことで悪玉菌が増殖しにくい環境になるからでした。

しかし、口腔内だけは例外。『中性』であることが非常に重要となります。
もし口の中が酸性に傾いてしまうと、虫歯菌にとって都合の良い環境となり、菌が増殖して虫歯が進行してしまう原因に。

そこでそれを阻止し、口腔内を中性に保ってくれているのが唾液というわけです。食後など、一時的に口の中が酸性に傾いてしまったとしても、唾液がしっかりと分泌されていれば、自然と中性に戻る力を持っています。

もし、唾液がなければ口の中は菌の無法地帯となり、地獄のような口臭につながるでしょう…!

以上のことから、菌をコントロールし、口臭のない健康な口腔内環境を作り上げるためには、しっかりと唾液を出すことがポイントになります。

口腔内最近と腸内細菌の関係

口腔内最近と腸内細菌の関係

そして唾液の分泌にも関わってきているのが、腸内環境。
やはり口臭にも、「腸の状態」がカギを握っていました。

と言うことで、お次は口から少し範囲を広めて、腸との関係についてみていきましょう。口腔内細菌と腸内細菌との関係についてのお話です。

口と腸は、消化管を通してつながっています。

そのため、口に住む細菌は唾液とともに飲み込まれると、腸へと向かう旅に出ます。それ故に、口腔内細菌と腸内細菌は影響しあう関係にあります。

実際に、ある論文では腸に住む細菌と口に住む細菌は約4割が同じ構成になるということが示されていました。

ただ、この口と腸の細菌の構成は出来るだけ異なった方が望ましく、似すぎると、様々なトラブルのもととなってしまうようです。

実は腸内細菌においては主人公の1人、善玉菌である「ビフィズス菌」も口腔内では好ましくない存在。

先ほど、口腔内は中性に保たれてなくてはいけないという話をしましたよね。ただ、ビフィズス菌は糖を使い酢酸と乳酸を作り出し、酸性の環境を作り出してしまう菌です。

そのため、口腔内にビフィズス菌が多いと虫歯の進行に手を貸してしまうのです…。菌も適材適所というわけですね。

それでは、口腔内の細菌と腸の細菌が似た構成になってしまう原因は何なのでしょうか?

その原因はいろいろありますが、例えば「胃薬」にあったりします。

胃の痛みや胸やけが生じたときに飲む胃薬ですが、この薬が胃の症状を緩和してくれる仕組みは、胃酸の分泌を抑えているから。胃酸が少なくなることで胃壁に対する刺激が弱くなり、胃の痛みを一時的に抑えているわけです。

ただ、胃酸の分泌量が減れば、不都合なことももちろん起こります。
胃酸には食物と一緒に胃に入ってきた細菌を殺すという役割があります。胃酸がしっかり分泌されていれば、ほとんどの菌は生きて通過することはできません。

しかし、胃薬によって分泌量が減れば、殺菌力が低下して、生きて通過することができる菌が多くなります。

すると、口腔内細菌が腸に届き、腸内細菌のバランスにも影響します。口腔内に悪い菌が増えれば腸内にも悪い菌が増えやすくなってしまうのです。

さらに、ここまで口腔内細菌が腸内細菌に影響を与える流れについて説明しましたが、逆の流れも存在します。

ただ、もちろん腸内細菌が物理的に口に移動(逆流)するわけではありません。では何かというと、内分泌系を介して、腸内細菌の状態は口腔内環境に影響を与えます。

例えば、女性ホルモンの一種「エストロゲン」
エストロゲンには、生理周期にも関わっているホルモンなのですが、このホルモンの分泌が減ると、唾液が変化し、口腔内細菌の乱れが引き起こされることがわかっています。

そして、エストロゲンの代謝(活性化)と調整に、関わっているのが腸内細菌。腸内細菌のバランスが乱れていると、エストロゲンの活性化ができなくなってしまうことに。すると結果として、口腔内の細菌にも影響が及んでしまうのです。

もし、あなたが生理前の口臭に悩んでいるとしたら、腸内環境の乱れとホルモンバランスが関係しているかもしれません。

逆に腸内細菌のバランスが整えば、口腔内にプラスの影響を与えることもできます。乳酸菌であるラクトバチルス・プランタルムは、腸内で脂肪酸の一つであるリノレン酸を代謝し、「エノン型オキソ脂肪酸」と「10-ヒドロキシ-シス-12-オクタデセン酸」という成分を作り出します。

この成分たちは、口腔内のバリア機能や抗炎症、抗菌作用など様々な効果を発揮してくれます。さらに、歯周病の進行を防いでくれることがわかっています。

このように腸内細菌を整えるということは、健康な口腔内環境を保つためにも大切なことなのです。

そのため意外かもしれませんが、口臭が起こりにくい環境を作るためのファーストステップは腸内細菌にあったのです。

口臭から癌まで?歯周病について

口臭から癌まで?歯周病について

この章では、口腔内口臭を引き起こす疾患の一つ「歯周病」にスポットを当てて深掘っていきます。

歯茎が赤くブヨブヨになり、出血。そして口臭が発生する歯周病。実は、この疾患は菌の繁殖が原因で起こる炎症性疾患。

そして、歯周病を引き起こすのが「ポルフィロモナス・ジンジバリス」という菌。このジンジバリス菌がとにかく恐ろしい菌なのですが、詳細について語る前に、なぜ歯周病になると口臭が出てしまうのかから説明いたします。

歯周病患者さんは、ジンジバリス菌の引き起こす炎症が原因で、歯茎や歯を支える骨が溶けてしまっています。歯周病が進むと、歯がぐらつくのもこのためですね。すると、歯と歯茎の間に「歯周ポケット」という隙間が生じます。

この歯周ポケットが細菌にとって天国。嫌気性細菌がポケット内でわんさか増殖を繰り返します。そして、口臭へとつながってしまうのです。

さて、話を歯周病を引き起こす「ジンジバリス菌」に戻します。
このジンジバリス菌が本当に危険な菌。

歯周病を引き起こすだけではなく、全身で悪さをしてしまいます。

前章で口腔内細菌が腸まで生きて到達すると良くないという話をしましたよね。ジンジバリス菌も例に漏れず、腸内に到達すると、とんでもないことをしでかします。

腸内にたどり着いたジンジバリス菌は、まずは腸のバリア機能を破壊し始めます。そして「腸漏れ」を引き起こしてしまうのです。

腸が漏れると、全身で不調が起こる原因に。肌荒れが悪化したり、精神の状態にまで影響が及んだり。

「腸漏れ」に関しては、以前こちらの記事でまとめましたので、気になった場合はあわせてご覧ください。

そして、ジンジバリス菌の悪事はこれだけにとどまりません。さらに腸にたどり着いたこの菌は、癌細胞に入り込みます。そして、大腸癌を活性化させることもわかっています。

ここからはさらに怖い話をします…!
ジンジバリス菌が侵入して悪さをするのは、口を越え、腸を越え。なんと「脳」にまで影響を及ぼす可能性が示唆されています。

と言うのも、ある論文によるとアルツハイマーで亡くなった人の脳からジンジバリス菌が検出されたという研究結果が出ているのです。

そこから現在では、ジンジバリス菌がアルツハイマーの症状を進める一つの原因になっているのではないか? という仮説までもが生まれています。

歯周病を起こしていたはずの菌が、大腸癌の活性化につながったり、アルツハイマーの一因につながったりするなんて、誰が想像していたでしょうか。

菌は味方につけることができれば非常に心強い存在ですが、やはり恐ろしい面もあるということを改めて思い知った次第です。

さて、そんな恐ろしいジンジバリス菌、そして歯周病を防ぐための方法ですが、これは2つあります。

まず1つ目は歯科医への定期的な受診

三ヶ月に一回。可能であれば、一ヶ月に一回は歯科医に訪れ、歯石除去などの治療を行うよう習慣づけてみてください。

そして2つ目は、腸内細菌を整えるということ。
腸内細菌と口腔内細菌は密接につながっています。

先ほども説明しましたが、実際に乳酸菌(ラクトバチルス・プランタルム)の摂取が、歯周病の恒常性に影響を与えたという研究結果も出ています。

腸内細菌を整えるということは、トラブルが起こる根本に対処するということ。
そのため、菌のプロとしてはぜひ腸内細菌を整えるということも意識していただきたいです。

ピロリ菌が口臭と口内炎を引き起こす理由

ピロリ菌が口臭と口内炎を引き起こす理由

さて、口臭についての深掘り。まだまだ続きます!

お次の登場人物はヘリコバクター・ピロリ。「ピロリ菌」です。

ピロリ菌といえば胃で悪さをする悪玉菌で、胃潰瘍や胃がんを引き起こすというイメージをお持ちの方が多いかもしれません。

そのピロリ菌ですが、なんと口臭をも引き起こすということが近年、明らかになってきました。これは胃に住む細菌が原因となって起こるので、「口腔外口臭」に分類される口臭ですね。

ピロリ菌は胃内で、悪臭のもととなる揮発性硫黄化合物を作り出します。するとこの物質が血液を介して肺に運ばれ、呼気とともに排出されることで、口臭の原因となるのではないかと論文内では述べられていました。

ピロリ菌が存在する胃では炎症が起きており、胃粘膜が弱った状態となっています。そのため、簡単に胃の中で作られた物質が血液に溶け出す環境となっているようです。

さらに、胃に住むピロリ菌が口腔内に影響を及ぼすのは口臭だけではありませんでした。

痛くて痛くてしょうがない。食事の楽しみが半減する…。
あの「口内炎」にも関わっていることが数々の論文によって示されていたのです。

ある研究では、再発性口内炎に悩む患者34人に対し、ピロリ菌の除去が行われました。結果、ピロリ菌を除去することで、ピタッと再発性口内炎が治まり、改善するという結果が得られていました。

そのため、ピロリ菌をお持ちという方は、ピロリ菌を除去してみると思わぬところで体調の改善が見られるかもしれませんよ。

ただ、少し注意が必要なのが、このピロリ菌の除去方法です、ピロリ菌は胃酸のような低pH内でも生息ができる非常に強い菌です。そのため、除菌にはどうしても「抗生物質」を用いる必要が出てきます。

悪さをしてしまうピロリ菌のみ除菌ができれば話ははやいのですが、そういうわけにもいかず。抗生物質は爆弾のようなものです。

使用した後の菌叢は焼け野原のようになり、復活まで時間がかかってしまうケースも。特に腸内細菌は抗生物質の影響を大きく受け、バリア機能に大切な酪酸産生能力も低下することがわかっています。

そこで、抗生物質を用いた治療をする場合は、その最中・後は普段以上に菌ケアを意識した生活を送ることが大切。

この時の菌ケアにおいても力になってくれるのが乳酸菌の摂取です。

乳酸菌は抗生物質で乱れた腸内細菌を修復してくれるだけでなく、ピロリ菌の除去にも効果を発揮してくれることがわかっています。

実際に、乳酸菌によるピロリ菌の除去効果を示したランダム化比較試験(被験者を2グループに分け片方には乳酸菌サプリを、もう一歩にはプラセボを与える実験)は多数報告されており、1~2ヶ月の継続的な摂取が効果的なようです。

ピロリ菌を除去したいという場合はぜひこのことを思い出し、同時に乳酸菌も摂取するようにしてみてくださいね!

【完全保存版!】口臭を防ぐ方法5選

【完全保存版!】口臭を防ぐ方法5選

さあ、ここまでどれだけ口臭がなぜ起こるのか、口腔内細菌が乱れると怖いことになるのかについて語ってきました。そこで、ここからは口臭を防ぐために効果的な方法についてご紹介したいと思います!

しかも1つや2つだけでなく、なんと5つも!
もちろん、これをすべて実践しなければ口臭が改善しないという訳ではありません。この中から自分でもできそう!と言うものをいくつかピックアップしてぜひ行ってみてください。

その5つの方法というのがこちら!一つひとつ詳しく解説していきます。

①プロバイオティクス
②緑茶
③漢方
④オイルプリング
⑤良く噛んで食べる

①プロバイオティクス
まず一つ目は、プロバイオティクスです!

このメディアの読者の方であれば既にご存知の方も多いかもしれませんが、改めて解説しますと、プロバイオティクスとは有用な生きた菌を体内に取り込むことです。

これまで、メディアでも散々紹介してきましたが、プロバイオティクスの効果というのが本当にスゴい!

便秘や下痢といったお腹トラブルの解消から、ニキビや乾燥肌といった肌トラブルの改善、ダイエットにも効果を発揮してくれることが数々の論文によって示されています。

そして、今回ご紹介するのが口臭との関係について!

実は、プロバイオティクスが口腔内環境に好影響を及ぼすという論文は多数出ています。この記事でも、乳酸菌の摂取が歯周病やピロリ菌に対して良い影響を与えるという話を紹介しましたよね。

そして、口臭の予防効果を期待できる菌がラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、ワイセラ属。いずれも乳酸菌の種類ですね。

口臭の予防策として、まずは体内に有用な菌を取り入れるところから始めてみる!というのはありかもしれませんね。

②緑茶
次に、2つ目は緑茶です!

緑茶も免疫機能を整えてくれたり、お肌の皮脂バランスを整えてくれたり。乳酸菌と並ぶほど、様々な効果を発揮することが数々の論文にて示されている食品です。

緑茶が口臭の改善効果を発揮してくれるのは、抗菌作用を持っているから。

緑茶に含まれるEGCG(エピガロカテキンがレート)というポリフェノールが口臭を発生させる嫌気性細菌の活動を妨げ、臭い物質の産生を抑えてくれることがわかっています。

そして、緑茶について語るたびに何度も紹介していますが、今回も私一押しの緑茶を紹介させてください(笑)

この茶友さんのあさつゆは私が今まで飲んできた緑茶の中で、間違いなく一番美味しいです!

ぜひ、こちらも気になった際にはチェックしてみてください。

③漢方
古来より蓄えられてきた、中国の知識が詰まった漢方。
この漢方にも、口臭を抑えてくれる効果があることがわかっています。

具体的に口臭改善効果が示されている漢方は、トウオウレン、コガネバナ、スイカズラ、ショウガなど。

さらにある研究では、漢方にプラスして西洋医学(歯周初期治療、経口予防、歯磨き、デンタルフロス、舌の洗浄)も同時に行うことでより口臭改善効果が期待できるということが述べられていました。

そのため、歯磨きなど通常の口腔内ケアをした上のプラスアルファとして、漢方を選択してみると良いのかもしれませんね!

④オイルプリング
中国のお次はインドです。オイルプリングとは伝統的なインドの民間療法で、簡単にいうと「オイルによるうがい」ですね。

「オイルでうがいをするだけ?なにそれ??」と思う方も多いかもしれませんが、このケア方法、なかなかに馬鹿にできない存在です。

ある研究ではごま油を用いて、10日間のオイルプリングの効果が調査されました。

結果はなんと、オイルプリング療法によって、プラーク指数の低下、歯肉炎の改善、口腔内細菌の菌バランスの改善が見られたそうです!

さらに別の研究では、ごま油・米ぬか油で殺菌剤と同様の口臭軽減効果が期待できるという結果が得られていました。

オイルプリングがこれほどの効果を発揮する理由は、オイルのもつ抗菌作用が関連しているようです。

オイルでうがいをすることによって、口臭の原因となる菌を洗い流してくれる。そうすることによって、口臭の改善が期待できるようですね!

⑤食物繊維たっぷりの食事
そして、最後は食物繊維がたっぷりの食事です。

食物繊維がたっぷり食事が口臭に改善に効果をもたらしてくれる理由は、食べるときに噛む回数が多くなるから。

口臭を抑えるためには、唾液が重要という話は本記事の前半でしましたよね。そして、咀嚼の回数が多くなれば、その分唾液の分泌が多くなります。

それによって、口臭の改善が期待できるのです。

しかも、食物繊維が豊富な食材は腸内細菌のエサとなるため、菌ケア的にみても最高の食材。大腸まで消化されずに届くことで、腸に住むビフィズス菌たちの重要な栄養源となってくれます。

口臭改善だけでなく腸内細菌を整えることもできて一石二鳥ですので、ぜひ意識的に野菜やフルーツを食べるようにしてみてください。

外側からのケアは「舌」掃除!

外側からのケアは「舌」掃除!

皆さま、私がこの記事の前半部で、口腔内では歯よりも「舌」に菌が住んでいる。そのため舌のケアをすることが重要になるよという話をしたのを覚えていますでしょうか?

そこで最後に、口の外側からのケア、舌ブラッシングの方法について解説してこの記事をしめたいとお思います。

ただ、具体的なケア方法の紹介に移る前に。
まずは、鏡で自分の舌の色を見てみてください。自分の舌の状況を知るところから始めましょう、

赤みがかったピンク色をしていたあなた。健康的な舌をお持ちです!
その健康な舌をキープするためにも、引き続き舌ケアを頑張っていきましょう。

続いて、白い部分に厚みがあったり、黄みがかっていたりするあなた

要注意!ぜひ舌ブラシをするようにしてください。
あなたの口臭の原因は舌にある可能性が高いです。

舌が白くなっている理由は「舌苔」と呼ばれるもの。

舌苔とは「バイオフィルム」と呼ばれる菌によって形成される膜のようなもので、いわば、菌の集合体です。

そして、この舌苔が原因で口臭が発生しているというケースが、非常に多いということがわかっています。

そのため、歯ブラシに加えて舌もブラッシングをして、舌苔を除去することが大切になるのです。

舌ブラシをするには、専用の器具を購入した方が良いのですが、普段使っている歯ブラシでも代用することができます。

とは言え、ガムシャラに舌を歯ブラシでゴシゴシとしてしまえば、かえって舌を傷つけかねないため、論文でも紹介されていた正しい方法で行うようにしてください。

その方法というのが「Xテクニック」という方法。

歯ブラシで下を綺麗にするXテクニック

方法はいたってシンプルで、舌をクロスにブラシで磨いた後、中心に沿って磨くというもの。上記の図を参考にしていただくとわかりやすいかもしれません。

そして、この動きを6回繰り返すことで口臭が大幅に改善できるということが論文では語られていました。

とは言え、本当にこだわる場合はやはり歯ブラシではなく、専用の舌ブラシをかった方が良いのは確か。そこで、私も使っているオススメの舌ブラシを一つ紹介いたします。

Amazonで比較的安価に入手も可能ですので、気になった際には是非チェックしてみてくださいね。

さらに、もし自分で気に入ったデザインの舌ブラシを選びたい!という方に向けて舌ブラシの選び方のコツをお伝えすると、ステンレスもしくはチタン製のものを選ぶようにしてください。

理由はステンレスもチタンも錆びにくく、金属アレルギーが発症しにくいという特徴があるから。そのため、どなたでも安心して使用することができます。

もし、金属アレルギーが気になるという場合は、特にチタン製のものがオススメです。

終わりに

いかがだったでしょうか?

今回は口臭・口腔内トラブルと菌の関係について全力でまとめてきました。

まとめますと、口臭にはそもそも
・口腔内口臭
・口腔外口臭

の2種類がありました。

その口臭の根本にあったのが「菌」の存在。菌の作り出す成分が原因となって、口臭は発生していましたね。

その菌を抑え、爽やかな吐息を手に入れるため方法が以下の5つ。

①プロバイオティクス
②緑茶
③漢方
④オイルプリング
⑤良く噛んで食べる

ぜひ自分でも実践できそうなものから、一つひとつ試してみてください!

今回も大分長い内容となってしまいました…。
一度読んで、全てをマスターすることも難しいと思いますので、口臭を改善するために何をすべきか迷った時、口腔内トラブルを抱えた時などにいつでも戻ってきてくださいね。

この記事がお力になり、あなたの日々の生活が少しでも過ごしやすいものになれば幸いです。

それでは次の記事でお会いしましょう!

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記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
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