掲載日 | 2024.03.23
更新日 | 2024.03.23

春の肌荒れは花粉が原因?アレルギー反応を落ち着かせる方法

掲載日 | 2024.03.23
更新日 | 2024.03.23
春の訪れと共に、花粉症の季節も到来します。しかし、花粉が引き起こすのはくしゃみや鼻水だけではありません。意外と多くの人が悩まされるのが、花粉による肌荒れです。

空気中を舞う微細な花粉粒子は、私たちの肌に直接触れることで、肌の敏感化や様々な肌トラブルを引き起こす可能性があります。この記事では、花粉による肌荒れのメカニズムと、それに対処するための効果的な対策を詳しく解説していきます。

春の肌荒れは花粉が原因かも

春の肌荒れは花粉が原因かも

春に起きる肌荒れが花粉が原因である可能性があります。春は多くの植物が開花し、空気中には大量の花粉が放出されます。これらの微細な花粉粒子は、目に見えないほど小さく、私たちの生活空間に容易に侵入し、肌に直接触れることがあります。肌は外界から体を守るバリアの役割を果たしていますが、花粉粒子が肌に付着することで、そのバリア機能が損なわれ、肌の敏感性が高まることがあります。

特に、花粉症を持つ人々は、花粉が目や鼻だけでなく、肌にも影響を与えることに注意する必要があります。花粉が肌に触れると、肌はそれを外部からの侵入物と認識し、炎症反応を起こすことがあります。これが赤み、かゆみ、乾燥などの肌荒れの症状として現れるのです。さらに、肌のバリア機能が低下すると、本来なら肌に影響を与えない他の外部要因に対しても敏感になりやすく、肌荒れが悪化する可能性があります。

花粉による肌荒れの症状

花粉による肌荒れの症状

花粉による肌荒れは、いくつかの典型的な症状を引き起こすことがあります。これらの症状は個人によって異なる強さで現れるため、自分の肌の変化に注意を払うことが重要です。主な症状には以下のようなものがあります。

赤み:肌が赤くなるのは、花粉が肌に触れた部分に炎症反応が起こっているサインです。敏感な人では、特に顔や首周りに顕著な赤みが現れることがあります。
かゆみ:肌が刺激を受けると、かゆみを感じることがあります。これは肌が花粉などの外部物質に反応している証拠です。かゆみは、掻くことで肌をさらに傷つけ、症状を悪化させることがあるため、注意が必要です。
乾燥と皮むけ:花粉の影響で肌のバリア機能が低下すると、肌の水分が保持されにくくなり、乾燥が進みます。これにより、肌が粗くなったり、細かい皮むけが起こったりすることがあります。
ブツブツとした発疹:花粉が引き起こすアレルギー反応によって、小さな発疹やぶつぶつが肌に現れることがあります。これは通常、炎症を伴い、触ると少し痛みを感じることがあります。
敏感肌:花粉の影響を受けやすい肌は、通常よりも外部刺激に敏感になります。そのため、普段使用している化粧品やスキンケア製品が急に肌に合わなくなることがあります。

これらの症状は、花粉が多く飛散する季節に特に顕著になることが多いです。

花粉が肌荒れを引き起こすメカニズム

花粉が肌荒れを引き起こすメカニズム

花粉が肌荒れを引き起こすメカニズムは、主にアレルギー反応と肌のバリア機能の低下に関連していて、下記のようなステップを踏んでいます。

肌への花粉の付着

春になると多くの植物が花粉を放出し、これらの微細な粒子は空気中を漂い、私たちの肌に付着します。特に外出時や窓を開けている時に、肌に直接花粉が触れる機会が増えます。

肌のバリア機能との相互作用

健康な肌は、その表面に保護層を持ち、外部からの刺激物質が体内に侵入するのを防ぐバリアの役割を果たしています。しかし、花粉粒子が肌に付着すると、この保護層が刺激され、微細な隙間から花粉のタンパク質が肌内部へ侵入する可能性があります。

免疫系の反応

肌内部に侵入した花粉のタンパク質は、体によって異物と認識されます。これに対して免疫系は、異物を排除しようとする防御反応を開始します。特に、花粉アレルギーのある人では、この免疫反応が過剰に働くことがあります。

炎症反応の誘発

免疫系の活性化により、肌に炎症反応が起こります。これによって肌は赤く腫れ上がり、かゆみや痛みを伴うことがあります。また、炎症は肌の乾燥や敏感性の増加を招き、さらに肌荒れを悪化させる可能性があります。

バリア機能のさらなる低下

炎症反応によって肌のバリア機能はさらに損なわれ、肌が外部刺激に対してより敏感になります。この状態では、花粉だけでなく、ほこりや化学物質など他の外部刺激も肌荒れの原因となりやすくなります。

お肌のバリア機能とは

お肌のバリア機能とは

お肌のバリア機能は、肌の最外層である角質層によって構成される防御システムです。この機能は、外部からの有害な刺激や異物(バクテリア、ウイルス、アレルゲン、汚染物質など)の侵入を防ぎ、体内の水分が蒸発して乾燥するのを防ぐ役割を果たしています。

お肌のバリア機能は、主に角質層、皮脂膜、天然保湿因子などによって支えられています。適度な量の角質を、天然保湿因子が満たしていて、その上に皮脂膜を張ることで、外からの刺激物が侵入しないように防御するとともに、お肌内部の潤いが外に出ないように防いでくれます。

美肌菌が鍵を握る

お肌のバリア機能を正常に保つためには、肌に生息する微生物のバランス、特に美肌菌と呼ばれる有益な細菌の健康的な働きが非常に重要です。この微生物のコミュニティは「皮膚マイクロバイオーム」と呼ばれ、肌の健康と美しさを維持するための重要な役割を担っています。

例えば、肌表面に保護層を形成したり、肌の表面を微酸性に保ったりし、悪玉菌が繁殖しないいようにしたり、外部からの刺激物や微生物の侵入を防いでくれます。
また、美肌菌は皮膚の免疫系とも相互作用し、適切な免疫応答を促進することで肌を健康に保ちます。このバランスの取れた相互作用は、過剰な炎症反応を防ぎ、アレルギー反応や自己免疫反応による肌トラブルを抑制するのに役立ちます。

花粉による肌荒れを防ぐ方法

花粉による肌荒れを防ぐ方法

では、花粉による肌荒れを防ぐにはどうしたらいいでしょうか。

花粉がつかないようにする

花粉による肌荒れを防ぐための最も効果的な方法の一つは、そもそも肌に花粉が付着することを防ぐことです。花粉が肌に付着してしまうと、前述したように様々な肌トラブルの原因となります。したがって、花粉を肌から遠ざけることは、肌荒れを防ぐために非常に重要です。以下に、肌への花粉の付着を防ぐための具体的な方法をいくつか紹介します。

メイクでガードする

メイクでガードする

花粉による肌荒れを防ぐためにメイクを利用して肌を保護する方法は、肌に直接花粉が触れるのを防ぎ、同時に肌のバリア機能をサポートする効果的な手段の一つです。適切なメイク方法を採用することで、花粉の季節でも肌を健やかに保つことができます。

お肌が荒れている時は、お湯で落ちるタイプのコスメがおすすめです。

乾燥しているとさらに肌荒れしやすくなってしまうので、スキンケアで保湿をし、下地や日焼け止めも保湿タイプがおすすめです。
ファンデーションは、お湯で落ちるミネラルファンデなどであれば、刺激も少なく、落とす時もお肌に負担がかかりません。クリームタイプやリキッドタイプは満遍なくお肌に保護膜を作ることができるので、花粉の侵入を防ぎやすくなります。

マスクでガードする

メイクでガードする

花粉による肌荒れを防ぐためにマスクを使用して肌を保護する方法は、花粉の季節に特に有効な対策の一つです。マスクは顔の大部分を覆うことができるため、直接的に花粉が肌に触れるのを防ぎ、花粉による刺激から肌を守ることができます。

マスクは、花粉を効果的にブロックできる、フィルター性能の高いマスクを選びます。不織布製のマスクは、花粉や他の微粒子を捕捉するのに効果的です。肌に直接触れる内側の素材は、柔らかく肌触りの良いものを選ぶことが重要です。肌への刺激を最小限に抑えるため、肌に優しい素材のマスクを選びましょう。

マスクの着用方法としては、マスクを顔に密着させることで、花粉が肌に触れる隙間を作らないようにします。鼻やあごまでしっかり覆い、顔の輪郭に合わせてマスクを調整します。

また、使用したマスクはその日のうちに交換し、常に清潔なマスクを使用します。布製マスクの場合は、毎日洗って清潔を保ちましょう。

窓を開けないようにする

花粉による肌荒れが起きている時に窓をあまり開けず、外から花粉が室内に入るのを防ぎ、空気清浄機を使用することは非常に効果的な対策です。花粉の季節には空気中に微細な花粉粒子が大量に存在し、これらが室内に侵入することで肌荒れを引き起こしたり、既存の肌荒れを悪化させたりすることがあります。

もし、空気の換気をしたい時は、花粉の飛散が比較的少ない早朝や夜間に短時間窓を開けて換気することで、室内の空気を新鮮に保ちつつ、花粉の侵入を最小限に抑えることができます。

帰宅後には手洗いと洗顔を

帰宅後には手洗いと洗顔を

花粉による肌荒れが起きている時期には、外出後の帰宅時に手洗いと洗顔を行い、肌に付着した花粉を洗い流すことが非常に重要です。花粉は空気中に漂い、肌や髪、衣服に付着しやすいため、室内に花粉を持ち込むことなく、肌を清潔に保つための効果的な対策となります。

また、花粉は空気中に漂い、肌や髪、衣服に付着しやすいため、室内に花粉を持ち込むことになりやすいです。可能であれば、帰宅後すぐにシャワーを浴びてしまうほうが、花粉の影響を受けにくくなります
難しい場合は、外出時に花粉がお肌に直接触れないように、マスクや防止、長袖の服などを選ぶようにしましょう。

お肌のバリア機能を高める

花粉による肌荒れを防ぐためには、肌のバリア機能を高めて、外部刺激に対して強い肌を作ることが非常に重要です。肌のバリア機能がしっかりしていると、花粉をはじめとするアレルゲンや刺激物が肌深くに侵入するのを防ぎ、肌荒れが起きにくい状態を維持することができます。

美肌菌を洗い流さない

美肌菌を洗い流さない

美肌菌はお肌のバリアを強化するために、肌のpHを調節し、有害な細菌の成長を抑制し、肌の免疫機能をサポートします。

しかし、過度な洗浄や強い洗浄剤の使用は、この微妙なバランスを崩し、美肌菌を洗い流してしまうことがあります。美肌菌が減少すると、肌のバリア機能が弱まり、乾燥や敏感肌、さらには肌トラブルの原因となる有害な細菌の増殖につながる可能性があります。

そのため、洗浄力の強いクレンジングや洗顔は控えて、美肌菌をできるだけ洗い流さないようにすることが、肌荒れしにくいお肌を作る近道となります。

美肌菌を育てる

美肌菌は、お肌のバリア機能を担っている、天然の保湿成分を生成してくれます。

美肌菌を育てるには、美肌菌を洗い流さないことに加えて、美肌菌が元気になる成分を取り入れるのもおすすめです。

美肌菌が喜ぶ成分は、豆乳発酵成分です。発酵によって生まれる特有の成分とプロセスが肌の健康に直接寄与するからです。発酵とは、微生物が有機物を分解し、新たな化合物を生成する生化学的な変化を指します。豆乳を発酵させることで、その中のタンパク質がアミノ酸へと分解されます。これらのアミノ酸は美肌菌の重要な栄養源となり、彼らの成長を助けるのです。

また、発酵によって生まれる代謝産物には、抗菌や抗炎症の効果も期待できます。これらは肌の炎症を鎮め、刺激やトラブルを引き起こす可能性のある細菌の増殖を抑制します。さらに、発酵豆乳に含まれる保湿成分が肌を潤し、外部からの刺激に対する防御力を高めます。

皮脂を洗いすぎない

美肌菌はお肌にいる汗や皮脂をエサにして、グリセリンや脂肪酸などの保湿成分を生成します。そのため、エサとなる皮脂がない状態だと、活躍できません。

クレンジングや洗顔でスッキリしたい、と、皮脂を洗い流しすぎてしまうと、美肌菌はうまく働けず、バリア機能である保護膜も生成できません。

熱いお湯で顔を洗ったり、洗浄力の強いクレンジングや洗顔は控えて、お肌を乾燥させないようにすることが大切です。

花粉症を悪化させない!今日からできるインナーケア

花粉症を悪化させない!今日からできるインナーケア

花粉による肌荒れを悪化させないためには、スキンケアだけでなく、インナーケアもおすすめです。今日からでもできる、簡単なインナーケアをご紹介します。

身体を冷やさない

身体を冷やさない

身体が冷えると血行が悪くなります。血行が悪くなると、身体の末端まで十分な血液が行き渡らず、免疫力が低下することに繋がります。

次に、冷えによって自律神経のバランスが乱れ、特に交感神経が優位になると、身体の緊張状態が高まります。これにより、肌や粘膜が敏感になり、少量の花粉に対しても過剰に反応してしまうことがあります。

そのため、身体が冷えていると、花粉症の症状が出やすくなってしまいます。
春になり暖かくなってくると、冷たい飲み物を飲む機会が増えてきますが、花粉による肌荒れがある時は、温かい飲み物などを飲んで、身体を冷やさないようにしましょう。

アルコールやカフェインを摂りすぎない

アルコールやカフェインを摂りすぎない

アルコールやカフェインの過剰な摂取が花粉症の症状を悪化させる可能性があります。

アルコールは免疫系に影響を与え、その機能を低下させることがあります。免疫系が正常に機能しないと、体内のアレルゲンに対する反応が不適切になり、症状が悪化することがあります。

カフェインは自律神経系を刺激し、特に交感神経を活性化させます。これにより、体が緊張状態になり、アレルギー反応を悪化させる可能性があります。

お酒を飲む機会が多い方や、コーヒーを飲む習慣がある方は、少し控えめにしてみましょう。
また、冷たいお酒やコーヒーは身体を冷やすことにつながるので、ワインなどの常温のお酒や、ホットコーヒーを選ぶのもおすすめです。

腸内環境を整える

腸内環境を整える

腸内フローラは健康な免疫機能の維持に重要な役割を果たしており、そのバランスが崩れると免疫系の調節に影響を及ぼすことがあります。

腸内環境を整えるためには、プロバイオティクスやプレバイオティクスを含む食品の摂取が有効です。プロバイオティクスは、ヨーグルトやキムチなどの発酵食品に含まれる健康に良い細菌です。プレバイオティクスは、これらの善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を含む食品で、全粒穀物、果物、野菜などがこれに該当します。これらの食品をバランスよく摂取することで、腸内環境を改善し、免疫系の正常な機能を支えることができます。

以上のように、腸内環境を整えることは、免疫系の健康を促進し、花粉症を含むアレルギー反応の抑制に役立ちます。

肌荒れが悪化する!NG習慣

肌荒れが悪化する!NG習慣

花粉による肌荒れが悪化してしまう、NG習慣をご紹介します。花粉による肌荒れが起きている時は、できるだけ控えましょう。

かゆいところを擦る

花粉による肌荒れが起きている時に肌を掻くと、症状が悪化する可能性があります。お肌を掻いてしまうと、お肌の表面のバリア機能を壊してしまったり、お肌の表面には小さな傷をつけることになります。

バリア機能を壊してしまうと、花粉がよりお肌の内部に侵入しやすくなり、肌荒れの症状を悪化させてしまいます。

また、お肌の表面に小さな傷がつくと、肌の炎症が悪化し、赤み、腫れ、痛みなどの症状が強くなることがあります。また、爪には細菌が多くいるので、傷口から細菌が入ってしまい、感染症を引き起こすリスクも出てきます。

かゆい時は、冷やして落ち着かせるようにしましょう。どうしても痒みが我慢できない時は、皮膚科で相談するのもおすすめです。

攻めのスキンケアを続ける

花粉による肌荒れが起きている際にレチノールなどの刺激が強いスキンケア成分の使用を控えるべき理由は、これらの成分が肌に追加的な刺激を与え、既に敏感になっている肌状態をさらに悪化させる可能性があるためです。

レチノールはビタミンAの一種で、細胞の再生を促進し、コラーゲンの生成をサポートするなど、抗老化やニキビ治療に有効な成分として知られています。しかし、刺激が強い上に副作用で赤みや痒みが出ることがあります。

花粉による肌荒れが起きている時は、そういった攻めのスキンケアはお休みして、お肌の状態が整ってから再開するのがおすすめです。

花粉症対策をして肌荒れを抑えよう

花粉症対策をして肌荒れを抑えよう

花粉症の季節は多くの人にとって厳しい時期ですが、特に肌荒れに悩む方にはさらなる試練をもたらします。しかし、正しい知識と対策を身につけることで、この季節を少しでも快適に過ごすことが可能です。花粉による肌荒れを防ぎ、改善するためには、まず外出時の肌保護策を講じ、帰宅後は丁寧に肌を清潔に保つことが重要です。

また、刺激の強いスキンケア製品の使用を控え、保湿と肌のバリア機能をサポートする穏やかな製品を選ぶことが肝心です。さらに、腸内環境を整えることが全体的な免疫バランスを改善し、花粉症の症状を軽減する助けとなります。これらの対策を総合的に行うことで、花粉の季節も肌荒れを最小限に抑え、穏やかに過ごすことができるでしょう。

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
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