掲載日 | 2023.09.03
更新日 | 2023.09.03

生理痛を和らげる食べ物・飲み物は?緩和を助ける簡単おすすめレシピ

掲載日 | 2023.09.03
更新日 | 2023.09.03
月経(生理)期間中を「月に一度の憂鬱な数日間」と感じながら、むくみによる不快感や痛みを我慢して過ごしていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

生理痛は個人差もありますが腹痛だけにとどまらず、頭痛や腰痛、吐き気などの重い症状が出ることも少なくありません。

そんな生理痛の辛さを少しでも和らげるためにおすすめの食べ物・飲み物と、手軽に作れて生理痛の緩和を助ける簡単なレシピをご紹介します。

生理痛の原因とは

生理痛の原因とは

そもそもなぜ生理痛は起こるのでしょうか。

腹痛だけにとどまらず、身体のいたるところに痛みやむくみ、不快感を与える生理痛のしくみを解説します。

生理痛が起こるメカニズム

生理痛が起こるメカニズム

生理痛が起こるには、生理自体のしくみとホルモンが関係しています。

月経(生理)とは

月経(生理)は、女性が妊娠・出産をするために必要な身体の現象です。

月に一度、卵巣から卵子を排出し(排卵)、子宮内膜を厚くして受精に備えます。この厚くなった子宮内膜は赤ちゃん(胎児)を守るふかふかのベッドに例えられることが多いですね。

この時に卵子が受精をしなかった場合、不要になった子宮内膜が子宮の収縮によって剥がれ落ち、体外に排出されます。これが月経(生理)です。

生理痛のメカニズム

要らなくなった子宮内膜を体外に排出する際、子宮は収縮を繰り返します。この収縮によって引き起こされる腹部や腰部などの痛みが生理痛です。

こうした子宮の収縮を引き起こしているのはプロスタグランジンというホルモンの作用によるものですが、このプロスタグランジンは子宮だけでなく身体全身の様々な筋肉を収縮させるため、腹痛のみならず頭痛や全身の倦怠感、吐き気などの症状を感じることがあります。

生理痛を悪化させる「冷え」

身体の冷えは、生理痛の悪化・増強の原因とされています。

プロスタグランジンが子宮の収縮を起こして子宮内膜を体外に排出することで正常に起こる生理ですが、この時に身体が冷えていると血流が滞り、子宮の動きも悪くなることで子宮内膜の排出がスムーズに行われません。

すると、身体はプロスタグランジンを過剰に分泌することでさらに子宮を収縮させて子宮内膜を押し出そうとするため、結果として生理痛が増してしまうのです。

生理痛を和らげるおすすめの食べ物・飲み物

生理痛を和らげるおすすめの食べ物・飲み物

月に一度やってくる辛い症状。重い時には鎮痛薬などに頼ることも方法の一つですが、毎月のことなので、なるべく食生活で穏やかに緩和できるとよいですね。

生理痛対策・緩和におすすめの食べ物と飲み物をご紹介します。

【はちみつ】まるで天然の鎮痛薬!自然の恵みで痛みを緩和

【はちみつ】まるで天然の鎮痛薬!自然の恵みで痛みを緩和

身近な食材である『はちみつ』ですが、生理痛の緩和に影響しそうだということが論文などでも示唆され始めています。

はちみつで生理痛が和らぐ?

ある大学の研究で、生理痛が重い女子学生56人をランダムに二つのグループに分けて片方のグループにはハチミツを投与し、もう片方のグループにはメフェナム酸という鎮痛薬を投与する実験を行いました。

その結果、ハチミツを投与したグループは鎮痛薬を投与したグループと同じくらい生理痛の緩和が認められたことが論文で報告されています(※1)。

はちみつの鎮痛効果

子宮収縮による生理痛を引き起こすホルモン、プロスタグランジン。

研究論文によると、12人の健康な成人男女に12時間の絶食後、最大15日間天然のはちみつを摂取してもらい血液検査を行なった結果、血漿中のプロスタグランジン濃度が48〜63%減少したという報告があります(※2)。

殺菌効果や抗炎症効果で有名なはちみつですが、生理痛においても副作用の少ない自然由来の鎮痛薬のように役立ってくれる可能性があり、心強い食品であることがわかりますね。

1歳未満の赤ちゃんは、はちみつNG。授乳中のママは大丈夫?

はちみつには食中毒を引き起こすとされるボツリヌス菌が含まれているため、まだ消化器官が未熟な1歳未満の赤ちゃんには与えないよう厚生労働省から注意喚起がされています。

授乳期間中にはちみつを摂取した場合、母乳を通して赤ちゃんへの影響が心配というママもいらっしゃるでしょう。

大人は消化器官が機能しており、ボツリヌス菌をしっかりと消化処理することができるため、血液や母乳に菌が混じることはないとされています。なので、安心してはちみつを摂取して問題ありません。

しかし、ママがはちみつを食べたり飲んだりした食器を使って赤ちゃんに食べ物を与えることのないよう、注意が必要です。

【玉ねぎ・生姜】身体を温める野菜で冷えから守る

【玉ねぎ・生姜】身体を温める野菜で冷えから守る

玉ねぎには血流を促進させて身体を温める作用があるので、身体の冷えによる生理痛の悪化・増強を防ぎ、痛みの緩和に繋げてくれる食材といえます。

また、玉ねぎには辛味成分である硫酸アリルという成分が含まれており、疲労回復に役立つとされるビタミンB1の吸収を助けます。生理期間中の身体の重さやだるさ対策としても摂っておきたいですね。

身体を温めるだけではない、生理痛を緩和する生姜の力

身体を温めるだけではない、生理痛を緩和する生姜の力

生姜においても、大学の研究で生理痛に対して鎮痛薬と同程度の緩和効果が報告されています。

生理痛の重い女子学生122人に対して、メフェナム酸という鎮痛薬と生姜をそれぞれ無作為に投与し、痛みの強さをビジュアルアナログスケールで測定した結果、生姜の鎮痛効果は鎮痛剤と同じくらい効果的であり、薬の代替治療法としても有効と報告されています(※3)

個人差はありえますが、生理痛に悩む方は取り入れてみる価値がありそうです。

【豆乳】エストロゲンと似た働きをする大豆イソフラボン

【豆乳】エストロゲンと似た働きをする大豆イソフラボン

生理痛の原因の一つとして、女性ホルモンであるエストロゲンの不足も挙げられます。

豆乳に含まれる大豆イソフラボンは、このエストロゲンの構造と非常によく似た構造をしているため、植物性エストロゲンとも呼ばれるもの(※4)。

生理中に豆乳を摂取することで、大豆イソフラボンが体内におけるエストロゲン不足を助けることができます。生理痛の緩和を意識する方は身体を冷やさないためにも、豆乳は冷たいままではなくホットで飲むと良いでしょう。

生理痛がある時におすすめの簡単レシピ

生理痛がある時におすすめの簡単レシピ

身体の重さやだるさに加えて、食欲がいつも以上に増すのも生理中の悩みの一つですね。

手の込んだ料理をする元気がない時でも、簡単に作れて身体に優しいレシピをご紹介します。

かぼちゃのはちみつ煮

かぼちゃのはちみつ煮

身体を冷やすものが多い夏野菜には珍しく、かぼちゃには身体を温める効果があります。

暑い夏の季節はつい冷たいものを食べたくなってしまいますが、かぼちゃを使った料理で胃腸を温め、生理中に滞りがちな消化吸収を促すことで不調を和らげます。白砂糖の代わりに、はちみつを使うのがポイントですね。

〈材料〉

かぼちゃ
1/2個
◇水
300cc
◇醤油
大さじ1と1/2
◇みりん
大さじ2
◇酒
大さじ2
◇はちみつ
大さじ2

〈作り方〉

  1. 1.かぼちゃはわたを取り、食べやすい大きさに切り分ける
  2. 2.◇の調味料を鍋に入れ、かぼちゃを皮を下にして並べる
  3. 3.落し蓋をし、弱火〜中火で柔らかくなるまで煮て完成です。

大根と生姜の味噌煮

大根と生姜の味噌煮

身体を温める効果のある根菜と、血流を促す作用のある生姜を使ったレシピです。さらに血流を良くして身体を温めるニンニクも使って、免疫力もアップ。

〈材料〉

大根
大1/2本
にんにく
一片
生姜
2片
500cc
白だし
大さじ1
きび砂糖
大さじ2
みりん
大さじ1
味噌
大さじ2〜3

〈作り方〉

  1. 大根はい厚めに切り、生姜はすりおろし、にんにくは薄くスライスします。
  2. 鍋に油少々、にんにくスライスを香りが出るまでサッと炒める
  3. 大根も入れて、水、白だしを、入れて大根が少し透き通るまで煮る。
  4. きび砂糖、味噌、生姜を入れて煮る。

アレンジでネギやこんにゃくを、入れても美味しいですよ。

玉ねぎの豆乳みそスープ

玉ねぎの豆乳みそスープ

身体を温める効果のある玉ねぎと、植物性エストロゲンとされる大豆イソフラボン(豆乳)がたっぷり含まれたあったかレシピです。

〈材料〉2人分

玉ねぎ
1/2個(100g)
コーン缶
50g
200cc
鶏ガラスープ
小さじ1
無調整豆乳
200cc
みそ
大さじ1
少々
オリーブオイル
小さじ1

〈作り方〉

  1. 玉ねぎは薄切りにする。
  2. 鍋にオリーブオイルを入れて熱し、玉ねぎを入れて弱火で透明になるまで5分ほど炒め、水、鶏ガラスープの素を入れて煮立たせ、コーンを入れる。コーン缶は缶汁を切りましょう。
  3. ふたをしてやわらかくなるまで弱めの中火で7〜8分ほど煮る。
  4. 豆乳を加えて弱火であたため、みそを溶き入れる。塩をふって味をととのえる。

生理痛がある時には避けたい食べ物・飲み物

生理痛がある時には避けたい食べ物・飲み物

食欲が増しているからと空腹に任せてあれもこれも食べてしまうと、かえって生理痛を悪化させてしまうものがあるので、症状が重い方は注意してみてもよいでしょう。

生理痛が気になる時には食べないほうがいい食べ物・飲み物について解説します。

冷たいアイスや身体を冷やす飲み物

身体が冷えることで生理痛が悪化したり、痛みの症状が増強してしまうことがわかっています。そのため、身体を冷やすアイスクリームや冷たい果物、飲み物などは、なるべく生理期間中は避けて。温かいものでお腹を満たすことで中から温めるよう心がけると良いでしょう。

気温の高い夏場などホットの飲み物が難しい場合は、冷蔵庫から出してすぐの冷えた飲み物ではなく常温のものにすると飲みやすくなります。

ファーストフードなど脂肪分の多い食べ物

ファーストフードなど脂肪分の多い食べ物

脂肪分の多い食べ物は、摂取すると血液の循環が悪くなることがあります。また、ファーストフードに多く含まれるサラダ油やバターの脂肪酸の大半はオメガ6系と呼ばれるもので、摂り過ぎると痛みや炎症を引き起こしやすいと考えられています。

生理期間中は無性に脂っこいものを食べたくなるという方が多い傾向にありますが、腸内環境にもやさしいエゴマ油や亜麻仁油、魚油などのオメガ3系の油を使用した食べ物を選ぶことを意識したいですね。

スナック菓子など塩分・糖分の多い食品

スナック菓子など塩分・糖分の多い食品

スナック菓子に多く含まれる塩分は、摂取すると身体に水分を溜め込みやすくなり、むくみの原因となります。女性の身体は、生理前から黄体ホルモンが増えることで身体に水を溜め込み、むくみやすい状態にあるので塩分を控えめにした食事を心がけることが大切です。

また、チョコレートなどの甘いお菓子に含まれる糖分も、身体を冷やしてしまう原因になるので生理中は特に避けたい食べ物です。

甘味が恋しい時は白砂糖の代わりにはちみつを使用するなど、無理のない範囲でシフトできると良いでしょう。

生理痛を和らげる食べ物・飲み物で穏やかなひとときを

生理痛を和らげる食べ物・飲み物で穏やかなひとときを

生理痛のメカニズムと生理痛を和らげる食べ物・飲み物について、そして生理期間中におすすめの簡単レシピをご紹介しました。

月に一度の辛い症状に、心まで曇るような感覚を覚える方もいらっしゃることでしょう。生理痛を緩和する食べ物・飲み物で心も身体も温めて、ご自身と向き合いながら心穏やかにお過ごしください。

参考文献:

(※1)Ë Leila Amiri Farahani,“Comparison of the effect of honey and mefenamic acid on the severity of pain in women with primary dysmenorrhea”2017 Aug,PMID: 28623433

(※2)Noori S Al-Waili,“Natural honey lowers plasma prostaglandin concentrations in normal individuals”2003 Summer,PMID: 12935324

(※3)Marjan Ahmad Shirvani,“The effect of mefenamic acid and ginger on pain relief in primary dysmenorrhea: a randomized clinical trial”2015 Jun,PMID: 25399316

(※4)Ludmila Křížová,“Isoflavones”2019,PMID: 30893792

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
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