【菌ケアtrip】イギリスで見つけた心と体を潤すハチミツ美容
今回はそんなハチミツにまつわる、旅のお話です。
植物採集家でもあるKINS LAB編集部員がイギリスで見つけた、植物や自然からのウェルビーイングのヒントたち。各地に伝わる少し懐かしい風習から、最新トレンド情報まで…。
イギリスの植物美容とハチミツのお話で、旅の空気とともに菌ケア食材を身近に感じてみてください。
都市を離れたい人々が急増・自然を感じる生活へ
イギリスといえば大都市ロンドンの華やかな街を思い浮かべる方も多いですが、近年では特にカントリーサイドへの移住が注目されています。新型コロナウイルスによるロックダウンなどの影響もあり、多くの人が自然に触れ合う生活を強く求めているよう。
古くから自然や自然のものを取り入れ、美容と健康のヒントを生かしてきたイギリスの人々。英国式のナチュラル美容といえば、アロマセラピーです。
古くから身近にあるアロマやナチュラル美容法
日本でも人気のアロマセラピーは、イギリスから届いたものと言われています。植物の花、実、葉などから採集された香り高い精油はスキンケアやリラクゼーションなどに手軽に取り入れられ、ナチュラル美容に不可欠。都市部でも、田舎町のドラッグストアでも、誰もが気軽にアロマオイルを購入できます。
イギリスでは、女性を悩ます不調について、アロマセラピーやハーブティ、サプリメントが愛用されています。植物を使った自然派・ナチュラル美容の魅力は、自分のことを見つめ直す時間ができること。
トラブルが起こった心身に対しその場をしのぐための対処療法ではなく、中長期的な美容と健康を目指せる意識、「ホリスティックビューティー」を考えることが大切なのですね。
ナチュラル美容と植物 ハチミツの関係
イギリスといえば紅茶が有名ですが、ホテルやレストランでは紅茶、コーヒーそしてハーブティが選択できます。ハーブの存在はアロマセラピーとあわせ、ナチュラルコスメをつくるためにも欠かせない存在。
そのハーブを生産するために重要なのが、実は「ハチミツ」なのです。国連食糧農業機関によると、世界の種子植物の約90%は蜜蜂や昆虫類、動物により受粉が行われ実をつけ、命をつなぐことができるのだそう。(※1)
食にも美容にも、からだと環境に優しい選択を
化学合成農薬や化学肥料に頼らずに有機栽培された原材料を主原料としたオーガニック食品とともに、オーガニックコスメも注目度も上昇傾向。
自分たちが直接口に入れる、肌につける存在により自然なものを求める傾向ですが、これは当然地球環境にも好ましいのです。一部の農薬では、実際に蜜蜂の生態系に影響を与えるとされ調査が進んでいます。
急激な環境変化を起こさず、できる限り自然な方法が良いのは人の体とも同じ。蜜蜂のためにも、ハーブや野菜などの有用植物にも、最終的に私たち人間、そして菌や微生物にとっても「共生」というキーワードが重要です。
日々の暮らしのそばにある植物 子供の自然教育
今回旅の中で訪れたのは、イギリス王立の植物園。
薬草園の歴史が長く、美しい緑地は市民に日常的に親しまれています。季節の美しい花が咲き、春から初秋には、特に多くの人がピクニックに訪れるそう。
自然とのふれあいは花や木だけではなく、蝶々やミツバチなどの虫も「自然」の中に含まれています。日々当然のように植物や虫と共生することはもちろん、生態系についての子供向けの勉強会も開かれている場も目にすることができました。
虫さんたちの宿泊所「インセクトホテル」
インセクトホテル(別名:バグズホテルなど)という名前は聞いたことがないかもしれません。
これはその名の通り虫が滞在するための小さなホテルです。イギリスでは国立公園はもちろん、街の小さなアンティークショップの庭先や個人宅にも密かに備えられ、蜜蜂などの虫と共に生きる暮らしが実践されています。
主に、多様な生態系を保って植物と昆虫、菌類を共生させる目的で設置されます。蜜蜂や蝶々などが主として喜ばれますね。
そういった虫が心地よく冬を越せる環境を用意して、住み着いてもらうことで美しい庭を守るのです。
ミツバチは身近で貴重な存在
世界最大級の花の祭典、チェルシーフラワーショーへ。
会場内では蜂を守るためのプロジェクト、蜂の巣をモチーフにしたデザインの展示を多く見かけました。多くのガーデナーにとって蜜蜂は重要な存在と位置付けられているのです。
ミツバチモチーフから感じられるポジティブなイメージ
ロンドンはじめカントリーサイドでも「蜜蜂」をモチーフにした商品や、企業のロゴを見ることができます。老舗の陶器ブランド、メーガン元妃も愛用したバーレイ社でも、ロゴマークに蜂の巣。モチーフが。
銀行のポスターにも蜂の写真が使われるなど非常にイメージが良く、大切に保護されていることを実感できますね。
自然との共生 植物に触れる人は美肌菌が多い?
蜜蜂たちを大切にする精神は、フローリスト、ガーデニングセンター等でもうかがえました。街中のガーデニングセンターで見つけた、ユニークな品を見てみましょう。
“虫たちのために”お花の種を買う
ホームセンターや園芸店には多様な植物の種が並びます。流石、ガーデニング大国のイギリスですね。日本では見かけない「バタフライガーデン」や「リラックス マッサージ ガーデン」といったネーミングの花のタネが販売されています。ビーツやバタフライのための植物の種やマッサージに使うハーブの種がミックスされているのです。ガーデン作りにも、人と植物と虫との共生が意識されているのですね。
イギリスに根付くガーデン文化・自然との共生
イギリスのガーデン文化は美肌にも影響するかもしれない…という見解をここでひとつ。
日本のポーラ化成工業は、農場や森には肌に良い菌が多いことを突き止めました。そのデータによると肌の状態の良い女性は、特定の環境にいる菌を多く持っていたのだそう。
バリア機能、明るさ、弾力性などの複数の観点から状態の良い肌の人は屋外環境の、特に農場や植物の周りに存在する菌が多かったのです。(※2)
自宅に庭がなくとも、ベランダでの小さな家庭菜園やインテリアグリーンなどを楽しむこともできます。美肌菌を増やしリラックスする時間ができる、ガーデニングは最適な美肌向けの趣味と言えるのかもしれませんね。
イギリスでみつけたナチュラルなハチミツ美容
ハチミツの中に含まれる栄養成分は、糖(ブドウ糖、果糖、ショ糖)、有機酸(グルコン酸、リンゴ酸、など)タンパク質(アミノ酸、酵素)、花粉、ビタミンB群・C、ミネラル(鉄、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムその他)など非常に多岐にわたります。栄養たっぷりの蜂蜜は食べても飲んでも有用です。
そんなハチミツを手軽に、そして上手に美容に取り入れる方法をご紹介しましょう。
イギリスで学んだ自然療法 ハーブティと蜂蜜
乾燥が気になる秋には、ハチミツ入りハーブティがおすすめ。ティーバッグにされたものも手軽で便利ですが、乾燥ハーブを買ってきて、葉っぱや花の自然な色や形を楽しみながらティータイムを楽しむ時間もリラックスには効果的です。
ハチミツは殺菌作用、抗炎症作用、保湿作用などがありますが、殺菌作用は蜂蜜のpHが酸性であることと酵素の働きによるものです。酵素は熱に弱いため、殺菌作用を目的とする用途の場合は温度が高くなりすぎないように注意しましょう。
(保湿効果を目的とする場合は問題ありません。)
購入する際には、目的に応じて加熱、加工処理のものか自然のものかしっかり選ぶことが重要です。(※3)
材料
カップ1杯のホットハーブティーにとひとさじの蜂蜜
おすすめハーブ
フェンネル: 鎮咳、去痰、駆風
マシュマロウ:粘膜のケア、空咳や喉の痛み、気管支炎、口内炎
タイム:ハーブの中で最も抗菌力が強く、気管支炎、消化不良による口臭など
ユーカリ:去痰、抗菌、花粉症による喉痛にも効果的
乾燥の季節にぴったり 手作りハチミツリップバーム
唇の皮膚は非常に薄いため、夏の紫外線を受けた秋の感想で影響を受けやすいパーツです。食べることや話すことでも刺激を受けやすいので、こまめなケアが大切。
手作りのハチミツリップバームを作ってみてはいかがでしょう?
材料
・植物油 (グレープシード油やマカダミアナッツ油などお好みで)8~9ml
・シアバター 1g
・ミツロウ 2g
・ハチミツ 1~2適
必要な道具
・耐熱ガラスのコップなどの容器
・ガラス棒、なければお箸
※容器は全て煮沸消毒またはアルコールで拭き取るなど殺菌してください。
作り方
- 鍋やフライパンなどに水を入れ沸騰させます。水の量は耐熱ガラスの1/3程度までにしましょう。
- 植物油、シアバター、ミツロウ、ハチミツを耐熱ガラス容器に入れ、湯煎します。
- 全ての材料が完全に溶けたら広口容器にうつしながら、蜂蜜をガラス棒で取りながらよく混ぜ合わせます。
- 冷えれば完成、使用後は2週間を目安に使い切ってください。
※乳幼児はハチミツの使用をお控えください。
自然とのつながり、菌とのつながりを大切に
今回はイギリスの旅で訪れた植物園などを振り返りつつ、自然に近くに感じる暮らしについてお伝えしました。
ミツバチのような小さな生き物、そしてもっと小さな目に見えない微生物である、菌たち。
そんな自然の中に生きる小さな存在たちから、私たちは大きな恩恵を受けて暮らしています。腸内細菌を育てるのに役立ってくれるハチミツもまた、小さなミツバチたちが育ててくれるかけがえのない自然の恵みだったんですね。
自然界、そして自分の身体にも生きる菌のこと。私たちを取り巻くたくさんの命のことを意識して、菌ケアを続けていきましょう。
【参考論文】
(※1)Foodand Agriculture Organization,Wednesday 23 and Thursday 24 February 2022
(※2)ポーラ化成工業(株)フロンティアリサーチセンター 笠原 薫,大島 宏, 『特定環境の菌の力を利用した美肌アプローチ研究~肌に良い休日の過ごし方~ ,25 September 2018
(※3)手島佐枝子, ナチュラルスキンケア 東京堂出版
記事の監修
岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。
INSTAGRAM : @yutaka411985 , @yourkins_official
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