メイクをする人なら避けては通れない「クレンジング」。
毎日何気なくしているけれど、実は乾燥などの肌悩みにも関係するスキンケアステップのひとつです。
「マイルドなメイク落としで、きちんとメイクは落ちてるの?」
「しっかりメイクも落とせるクレンジングは、肌を乾燥させてしまう?」
など、日々疑問を抱えている方も多いでしょう。
そんな皆さんが抱える「私はどのクレンジングを使えばいいの?」という疑問に対して、KINSが導き出した結論は「最適なクレンジングの答えは1つではない」です。
これはつまり、ベースメイクとの組み合わせによって最適な製品が変わることがわかってきたということ。
検証で得た結果をもとに、あなたのメイクに合ったクレンジングの選び方を菌の観点から細かく解説します。
本当に落ちてる?市販の人気クレンジングを調査
大手化粧品メーカーが20~50代女性の500人を対象に行ったある調査では、スキンケアのなかで最も優先度が高い(32%)のがクレンジングであり、約80%の方がクレンジングのやり方に自信がないと答えていました。(※1)
やはりクレンジングを使用する上で最初の懸念点は、「本当に落ちているのか?」という不安ですよね。
そしてその次に問題なのは、「肌に負担がかかって乾燥やニキビなどトラブルが起きないか?」ということ。
つまり、どのクレンジング製品であれば「肌に余計な刺激を与えずに汚れを落とせる」のかを知る必要があるわけです。
今回は最適なクレンジングを探るために、実際の人気製品を使った検証を行いました。
まずは化粧下地として皆さんが頻繁に使っているであろう
ファンデーション/BBクリーム/日焼け止め
を皮膚(手)に塗り、クレンジング前後でどの程度落ちているかをマイクロスコープ(顕微鏡)を通して検証していきます。
検証で使用したアイテムの種類【下地編】
今回は皆さんがよく使うであろう下地を3種類想定し、それぞれタイプ別に人気の高いものを1つずつ選定しました。
- ・リキッドファンデーション(石けんで落ちないもの)
- ・BBクリーム(石けんで落ちる軽めのもの)
- ・日焼け止め(石けんで落ちる軽めのもの)
この3タイプの下地に対して、「どんなクレンジングであればきちんと落ちるのか」を検証することが今回の目的です。
カバー力高めのリキッドファンデーション
リキッドファンデーションで使用したのは有名なデパコス系ブランドの製品。
汗や湿度にも強く、マスクへの色移りもしにくい仕様。カバー力のしっかりしたファンデは、どのようなクレンジングであればキレイに落ちるのでしょうか。
ナチュラルなBBクリーム
BBクリームで使用したのはミネラル成分で、ナチュラルな薄づきのもの。適度に日焼け止め効果もある製品です。 ミネラルファンデは石けんで落ちるイメージが強いですが、実際にはどうなのか気になるところ。
ウォータープルーフの日焼け止めクリーム
日焼け止めクリームはオーガニックブランドの製品。
SPF40かつPAに対する防御効果もありで、ウォータープルーフなので汗や水に強い仕様です。 防御力の高い日焼け止めは、優しいクレンジングでもしっかり落ちるのでしょうか?
検証したクレンジングアイテム
クレンジングではテクスチャーを基準に4種類を選定しました。
- ・バームタイプ(クレンジング)
- ・オイルタイプ(クレンジング)
- ・パウダータイプ(洗顔でもクレンジングでもOK)
- ・泡タイプ(洗顔でもクレンジングでもOK)
4種類の異なるタイプのクレンジングを、3種類の下地を塗った肌それぞれに使用。つまり12通りの【クレンジング×ベースメイク】の相性を、実際のお肌で検証してみたのです。
使ったアイテムは以下。
クレンジングバーム
クレンジングバームは知名度も高く人気の製品。うるおいを守ってくれるまろやかなテクスチャーが人気の理由のよう。しっかりファンデも落ちる洗浄力との噂ですが、実際はどうでしょうか?
クレンジングオイル
オイルクレンジングの代表として挙げたのはこちら。 今回使用した製品は米ぬか油など天然由来のオイルがメイン成分として入っていて、その次にノニオン(非イオン)系界面活性剤が含まれます。
肌に潤いを与えながらメイク汚れを落としてくれるようですが、実際の落ち具合はどうでしょうか。
パウダークレンジング
パウダータイプで使用したのは自然派の方にも人気な、クレンジングとしても洗顔料としても使えるマイルド系製品。
今回使用した製品は、天然成分にこだわり、合成の界面活性剤を一切使用していないパウダータイプです。お水で軽く泡立てて使います。
クレンジングフォーム
クレンジングフォームで選んだのも、クレンジング・洗顔料どちらとしても使えるタイプ。 やわらかい泡で肌に負担をかけない処方にこだわり、刺激の少ない成分のよう。メイク落ちはどのくらいかも気になりますね。
何もしていない肌と各種カバーをつけた状態を比較
(左:何もつけていない肌、中央左:日焼け止めを塗った肌、中央右:BBクリームを塗った肌、右:ファンデーションを塗った肌)
画像は、左から「何もつけていない→日焼け止め→BBクリーム→ファンデーション」という順で、それぞれの肌状態をマイクロスコープで撮影
したものです。
メロンの皮のような細かい線が無数に走っていますが、これが「お肌のキメ」と表現される部分。
一目見てわかるように、右側にいくにつれて溝が濃く埋まっているように見えますね。
やはり日焼け止め→BBクリーム→ファンデーションの順で、カバー力が高く肌に密着しているのが伺えます。
Before/Afterを比較・人気クレンジングの効果を検証
マイクロスコープ画像で肌のキメに埋まっているように見えた各下地は、クレンジングでどのように落ちるのでしょうか?
実際に各タイプのクレンジングを使い、確認していきました。
大まかな傾向としてわかったことは4つ。
それぞれの詳細についても以下で解説していきます。
メイク落ちNO.1はクレンジングバーム
最もメイク落ち力が高かったのが、クレンジングバーム。日焼け止めからカバー力の高いリキッドファンデーションまで、全ての下地がしっかり取り除かれているのが確認できました。このバームタイプは成分的に言うと、「エステル系オイル」を使ったクレンジング剤にあたります。
エステル系オイルというのは油性のメイクアップ成分との相性が良く、一般的にクレンジング力が高めの傾向にあるのです。
ただKINSユーザーさんのアンケートでは、このタイプのクレンジングで乾燥が気になるという方も。カバー力高めのファンデーションを塗る方にはこのバームがおすすめと考えらえますが、逆に普段は日焼け止めだけ、という方は別のクレンジングでも良さそうです。
クレンジングオイル(油脂タイプ)はBBまでならキレイに落ちる
続いてはクレンジングオイル。
実はクレンジングオイルと一言にいっても、実際の成分には各社違いがあります。
今回使用したのはオイルの中でも「油脂系」と呼ばれる、コメヌカ油などが主成分になったもの。メイク落ち力は適度にありながら、潤いを奪いすぎない傾向があります。
対して「炭化水素油系」と呼ばれる「ミネラルオイル」や「スクワラン」などがメインになったクレンジングオイルは、メイク落ちも脱脂力も比較的高いとされ、人によっては乾燥しやすいと考えられるのです。
今回使ったクレンジングオイル×リキッドファンデーションの結果では、ややファンデーションが残っているのがわかると思います。
しかし、こちらの油脂系クレンジングオイルでも、右側の画像にあるように石けんで落ちるBBクリーム、並びにウォータープルーフの日焼け止めも綺麗に落とすことができる、という結果になりました。
パウダータイプのクレンジングもBBまではOK
クレンジングでも洗顔でも使用可能な、パウダータイプの酵素洗顔クレンジングもなかなか優秀。
かなりマイルドな印象の製品ですが、油脂系クレンジングと同様にBBはしっかり落とせるという結果でした。
もちろん日焼け止めは問題なく落とせています。
合成界面活性剤を使っていない製品ですが、薄づきメイクの方なら問題なく使えそうですね。
泡タイプのクレンジングは日焼け止めのみ十分に落ちた
かなりマイルドな洗浄成分のみを使用しているこちらの泡クレンジングは、左側のファンデーションは明らかに残り、画像でわかりづらいですが中央のBBクリームも部分的に残りが。右側の日焼け止めのみ十分に落ちていました。
もともと朝の洗顔料としても使えるくらい洗浄力が優しめのアイテムなので、バームやオイルタイプと使い分けてもいいかもしれません。
今回の製品が特にマイルドということもあり、同じ泡タイプクレンジングでも製品によって結果が変わる可能性はありますね。
番外編・W洗顔の効果
最後は、油脂系のクレンジングオイル→洗顔料の順でW洗顔した場合です。
油脂系クレンジングオイル単体の結果では、ファンデーションは落としきることができませんでしたね。
その落ちなかった肌に泡タイプでW洗顔をしたら、ファンデーションは落ちるのか?ということも試してみました。
しかし意外にも、W洗顔でもファンデーションが洗い流せませんでした。
これは油性のメイク汚れに対して洗浄力の低い洗顔料の場合、W洗顔をしてもメイクは落ちない、ということが考えられますね。
あくまで今回はアミノ酸系の洗浄力が弱い泡タイプ洗顔料を使用したケースなので、洗浄力が強めの洗顔料でW洗顔した場合は落ち具合が変わるかもしれません。
※今回の検証は一部製品についての結果であるため、使用されるファンデーションやクレンジング製品および組み合わせによって結果が変わる可能性があります。
クレンジングと洗顔・美肌菌・肌トラブルの関係
KINSでは基本的に、W洗顔や朝昼2回の洗顔をあまりおすすめしていません。それは「肌のうるおい」そして「菌ケア」の観点から。
一般的に洗浄力の強いクレンジングや洗顔料は、肌のうるおいを奪いすぎてしまうことがあります。
さらに界面活性剤(洗浄成分)の影響やクレンジング時の摩擦によっても、肌はダメージを受けやすい状態に。
そしてさらに「洗いすぎ」によって、皮膚の表面や毛穴に住む「菌」のバランスが崩れる可能性があります。
特に「美肌菌」と称される、肌に潤いを与えるような菌は「皮脂」をエサにして角質を住処にしているのです。
強い洗浄力を持つ洗顔料やクレンジングを使ったり、W洗顔で併用もしくは日に複数回使用することは、美肌菌のために必要な皮脂まで奪ってしまうかもしれません。
また、
皮脂の奪いすぎで乾燥する→肌を守ろうと余計に皮脂分泌が盛んになってしまい、過剰な皮脂をエサとしてアクネ菌が増える。その結果ニキビの原因に…
といった悪循環も考えられるのです。
とはいえ、極端にオイリー肌の方や仕事柄しっかりメイクが必要な方など、肌やメイクの状況は人それぞれ。
一概にW洗顔や朝昼の洗顔がNGというわけではありません。
菌の観点では洗いすぎを控えることが理想的ですが、今回の検証結果でもわかるようにメイク汚れが残ってしまうようでは逆効果。
ご自身のメイクや肌の状態に合わせて、クレンジングを使い分けることも大切と言えそうです。
相性がカギ・調査結果から導いたクレンジングの選び方
実際に検証した結果と菌ケア観点での指針をもとに、あなたに合ったクレンジングの選び方を解説しましょう。
まず重要なのは”相性”。
これは単に肌質の話だけでなく、「どのベースメイクとクレンジングを組み合わせればいいのか?」という視点です。
さらに、前章で触れた【美肌菌とクレンジング/洗顔の関係】を考慮すると、「皮脂や潤いをできるだけ奪わずにメイクを落とす」という観点が重要になります。
これら2点を踏まえてKINSが考える指針としては、
- ・まずメイクをなるべく落ちやすいものに変える
- ・メイクに合わせてクレンジングの洗浄力を下げる
ことが美肌づくりのポイントとなってきます。
ベースメイクのレベルを下げることも考えてみる
少し極端かもしれませんが「菌バランスを乱さない」という観点では、可能ならば「日焼け止め→クレンジングはせずマイルドな洗顔料のみ」の組み合わせがおすすめ。
ただカバー力も必要な場合、今回使用したものの中では「薄づきのBBクリームまでを使って、なるべくファンデーションは控える」というのが理想的です。
検証でもわかった通り、やはりキープ力の高いファンデーションは、それなりに強い界面活性剤の入ったクレンジングでないと落ちません。
KINSの考える菌ケアの観点では、界面活性剤や防腐剤はなるべく控えめにするのがよいとしています。
しっかりメイクの方はオイルクレンジングのタイプにも注目
もちろん、お仕事など環境によってはキープ力の高いファンデーションを使わなければいけない方もいるはず。
オイルやバームタイプのクレンジングは、比較的しっかりメイクも落とせる傾向ですね。
ただオイルやバームの中でも、実は種類があるのです。
一般的にオイルやバームのクレンジングは、主要成分によって以下のような分類ができます。
タイプ | 主要成分 | 特徴 |
---|---|---|
炭化水素油系 | ミネラルオイル、水添ポリイソブテン、スクワランなど | 安価な傾向だが洗浄力・脱脂力がかなり高いとされる |
エステル系 | パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、エチルヘキサン酸セチルなど | 炭化水素油系に次いで洗浄力があるが、脱脂力が少し低めとされる |
油脂系 | コメヌカ油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、アルガンオイルなど | 炭化水素油系、エステル系よりやや洗浄力が下がるが保湿力が高めとされる |
今回、キープ力高めのリキッドファンデまでがしっかり落ちたのは「エステル系」のバームクレンジングでした。
「炭化水素油系」はエステル系よりさらに強い洗浄力といわれ、クレンジング商品の中でも特に洗浄力・脱脂力の強めな分類にあたります。
クレンジング選びの際にはこのように成分表もチェックして、ご自身のメイクに合ったものを試してみるようにしましょう。
菌バランスを意識してスキンケアを見極めよう
今回は「どんなクレンジングを使えばいいかわからない…」というお悩みを解決するため、人気の市販クレンジングとマイクロスコープを使ってメイク落ち検証を行いました。
菌のスペシャリスト・KINS視点での【クレンジング/洗顔と菌の関係性】も踏まえ、わかってきたのはベースメイクとクレンジングは切っても切れない関係だということ。
お肌の菌バランスを意識するなら、クレンジングだけでなくベースメイクからの見直しも必要かもしれません。
できるだけ強いクレンジングを使わないで済むように、ベースメイクの種類も意識してみてくださいね。
KINSではこれからも、菌ケアの観点から注目すべきトピックや、おすすめできる製品を見つけたらご紹介していきます。
クレンジング選びも、お肌の「菌」にやさしいものを。
KINSと一緒に”自分の肌に最適なスキンケア”を見つけていきましょう。
参考文献:
・(※1)C’BON, 「クレンジング」に関する意識・実態を大調査(2014)