肌のハリを取り戻す!20代から起きるハリ不足を予防する方法
年齢とともに失われがちなこの大切な肌の特性を保持し、改善する方法は、日々のスキンケアからライフスタイルの見直しまで、幅広いアプローチが存在します。
この記事では、「肌のハリ」を保つ秘訣、普段の生活から取り入れられる方法などご紹介します。
肌のハリがないってどんな状態?
お肌のハリがない状態とは、肌が弾力性やしなやかさを失い、たるんで見える状態を指します。
肌は、表皮、真皮、皮下組織の大きく分けて3つの主要な層から構成されています。
肌のハリは、主に真皮の層が深くかかわっています。
真皮は肌の中間に位置する層で、主にコラーゲンとエラスチンという2つの主要なタンパク質によって構成されています。これらのタンパク質は、肌の弾力性、強度、および構造の基盤を形成しています。
特にコラーゲンは真皮の約70-80%を占めるタンパク質で、肌のハリに深く関係しています。エラスチンは、伸縮性のある成分で、コラーゲンを支える役割を担っています。エラスチンが減ると、お肌の弾力が低下していき、ハリのないお肌になっていきます。
クマやたるみ毛穴の原因になることも
お肌のハリが低下すると、それに伴い多くの肌トラブルが発生する可能性があります。
シワ
肌のハリが低下し、コラーゲンとエラスチンが減少すると、肌の弾力性が失われ、表情筋の動きによって生じる皮膚の折りたたみ(しわ)が定着しやすくなります。
目の下のクマ
目の下のクマは、肌のハリが低下することによりさらに悪化することがあります。肌がたるむと、目の下の微細な血管が目立ちやすくなり、色素沈着や影の原因となります。また、肌の薄い目の周りでは、血流不良やリンパの滞りもクマの原因となり得ます。
タルミ毛穴
肌のハリが低下すると、肌の支持構造が弱まり、特に毛穴の周囲の皮膚がたるみやすくなります。これにより、毛穴が開いて目立ちやすくなるため、タルミ毛穴として認識されるようになります。
肌のハリ不足は20代から起きることも!
お肌のハリ不足は確かに加齢とともに進行する現象ですが、20代からその兆候が見られることもあります。
特に、食生活が乱れている方、ストレスが多い方、紫外線対策をしてこなかった方、間違ったスキンケアを続けている方など、真皮層へのダメージが蓄積されて、お肌のハリが低下してしまいます。
また、お肌の保湿を担っているセラミドは、20代から減少し始めます。セラミドが不足すると、お肌が乾燥しやすくなり、ハリやツヤが失われやすくなるため、20代からでもお肌のハリ不足は起きてしまうのです。
ただ、コラーゲンの減少は40代からと言われています。20代のハリ不足は、正しいケア方法をすれば回復も早いので、気になっている方は早めのケアがおすすめです。
肌のハリがなくなる原因
では、お肌のハリがなくなってしまう原因には、具体的にはどんなことがあるのでしょうか。
乾燥によるバリア機能の低下
肌の乾燥はバリア機能の低下を引き起こし、これがさらに肌のハリ不足につながる一因となります。
肌の表面は、死んだ細胞と皮脂で形成される保護層(角質層)によって覆われています。角質層は水分を保持する役割を担っていますが、乾燥によってこの層が損傷すると、肌の水分保持能力が低下します。乾燥は肌の脂質、特にセラミドの減少にもつながります。セラミドは肌の細胞間脂質の主成分で、肌のバリア機能を維持するのに重要な役割を果たしています。セラミドが不足すると、肌の保湿力が低下し、バリア機能が弱まります。
バリア機能が低下すると、肌内部の水分が蒸発しやすくなります。水分が不足すると、肌細胞は適切に膨らまず、結果的に肌のハリが失われます。
また、乾燥した肌は外部刺激に対して敏感になり、炎症反応を起こしやすくなります。炎症は肌のコラーゲンを分解する酵素の活性化を促すことがあり、これにより肌のハリがさらに失われることになります。
加齢による表情筋の衰え
表情筋は肌を支える構造の一部を形成しています。筋肉が衰えると、肌をしっかりと支える力が低下し、結果として肌がたるみやすくなります。特に、頬や目の周り、口元などの肌のハリが失われ、顔の輪郭がぼやけて見えることがあります。
また、表情筋の活動は、肌の表面に一時的な折り目やしわを作りますが、これは通常、筋肉のリラックスと共に消失します。しかし、表情筋の衰えとともに肌の回復力も低下するため、表情による折り目が定着しやすくなり、しわとして現れるようになります。
さらに、表情筋の運動は顔の血行促進にも寄与しています。筋肉の活動が減少すると、顔の血流も悪くなりがちで、肌の酸素供給や栄養素の供給が低下します。これにより、肌の新陳代謝が悪くなり、ハリや弾力の低下を招きます。
紫外線による活性酸素
紫外線(特にUVBとUVA)は肌に深く浸透し、細胞や細胞内のDNA、タンパク質、脂質などにダメージを与えます。このダメージの一部は、細胞内での活性酸素(フリーラジカル)の過剰な生成によるものです。
活性酸素は非常に反応性が高く、肌の細胞や構造タンパク質と反応して傷つけます。特に、コラーゲンやエラスチンなど、肌の弾力性とハリを保つために重要なタンパク質がこのダメージの主な対象となります。
また、長期間にわたる紫外線への露出と活性酸素の影響は、肌細胞の修復機能にも影響を及ぼします。細胞の修復メカニズムがダメージを受けると、肌の回復力が低下し、ハリ不足や老化が加速されます。
ターンオーバーの乱れ
ターンオーバーの乱れは、肌の深部にある真皮層でコラーゲンやエラスチンが生成されるプロセスにも悪影響を与えることがあります。肌の再生プロセスが正常に機能しないと、これらの構造タンパク質の生産が低下し、肌の弾力性とハリが失われます。
また、ターンオーバーは、肌の損傷を修復するためにも重要です。ターンオーバーの乱れは、肌の修復メカニズムにも影響を及ぼし、紫外線や外的ストレスからの回復が遅れ、結果として肌の老化が加速します。
甘いものや炭水化物の摂りすぎによる糖化
甘いものや炭水化物を過剰に摂取すると、体内で糖化が進行し、それが肌のハリ低下の一因となる現象です。
糖化とは、糖分とタンパク質が結びつく化学反応のことで、この過程で生成される最終糖化産物(AGEs: Advanced Glycation End-products)が肌に悪影響を及ぼします。
糖化の結果として生成されるAGEsは、コラーゲンやエラスチンの正常な機能を妨げ、これらのタンパク質が硬くなり、弾力性を失います。その結果、肌のハリが低下し、しわやたるみが発生しやすくなります。
また、糖化は、コラーゲンを生成する線維芽細胞の機能にも悪影響を及ぼし、新しいコラーゲンの生成が抑制されます。
お肌のハリを取り戻す!対策方法とは
ではお肌のハリを取り戻すには、どのような対策をとっていくのがいいのでしょうか。
正しいスキンケアで乾燥を防ぐ
正しいスキンケア、特にクレンジングや洗顔の見直しは、肌の乾燥を防ぎ、結果として肌のハリを取り戻す上で非常に重要です。肌の乾燥は、バリア機能の低下、水分保持能の低下、そして肌のハリや弾力性の喪失に直接つながります。したがって、この乾燥を効果的に防ぐことが、健康で若々しい肌を維持する鍵となります。
クレンジングや洗顔の種類に要注意
合成界面活性剤やミネラルオイルが含まれているクレンジングや洗顔製品を使用することで、これらが持つ強い洗浄力により、実際には肌に必要な潤いや皮脂まで奪い取ってしまう場合があります。これは、肌の自然なバリア機能を低下させ、結果として乾燥や肌トラブルを引き起こし、肌のハリを損なう原因にもなり得ます。
合成界面活性剤は、その効果的な洗浄能力により、皮脂や汚れを水に溶けやすくして洗い流しますが、同時に肌の表面の保護膜まで除去してしまうリスクがあります。これが繰り返されると、肌はその保護機能を果たせなくなり、外部からの刺激に対して脆弱になります。特に敏感肌の人は、これらの成分が含まれる製品を使用することで刺激を感じやすく、乾燥や赤み、かゆみなどの症状を引き起こす可能性が高まります。
一方で、ミネラルオイルは、一時的に肌を柔らかく見せる効果があります。しかし、脱脂力が強いという特徴もあるため、長期的に使用することで、お肌がダメージを受けて、ハリを低下させる原因になってしまいます。
合成界面活性剤については、こちらでもご紹介しています。
紫外線対策を丁寧に
紫外線によるダメージは、コラーゲンやエラスチンを破壊してしまい、お肌のハリを低下させてしまいます。
紫外線をカットすることでダメージを防げるので、まずは日々の紫外線対策を丁寧に行うことが大切です。
紫外線は窓を通して室内にも入ってくるため、朝起きたら日焼け止めを塗るようにしましょう。日焼け止めは、強いタイプではなく、お肌に優しいもので十分です。
紫外線にはA波とB波がありますが、お肌の真皮層まで届くのはA波です。日焼け止めの効果としては、PAという表記でA波のブロック度合いを見ることができます。
「PA+」〜「PA++++」で表示されていて、+が多いほどA波をカットする効果が高くなります。
ただ、効果の強さというわけではなく、どのくらいの時間カットしてくれるか、という目安になります。そのため、外出時間が長い時は、「PA++++」などがおすすめですが、日常使いでは、「PA+」や「PA++」程度で十分です。
効果が強いほど、お肌への負担も大きくなってくるので、まずは「PA+」程度のものを、毎日丁寧にぬるようにしましょう。
体内からも活性酸素を除去
活性酸素のダメージを、体内から予防することも効果的です。特に抗酸化作用のあるビタミンや栄養素を積極的に摂取することが、紫外線ダメージの軽減には欠かせません。
ビタミンC(オレンジ、レモン、イチゴ、パプリカ、ブロッコリーなどの果物や野菜)
強力な抗酸化作用を持ち、自由ラジカルの除去に効果的です。ビタミンCはコラーゲンの合成を促進し、肌の修復を助けるため、紫外線によるダメージから肌を守り、ハリを維持するのに役立ちます。
ビタミンE(アーモンド、ひまわりの種、ほうれん草、アボカドなどのナッツや種子、野菜)
細胞膜を保護し、活性酸素によるダメージから細胞を守る効果があります。ビタミンEは、特に皮脂に多く含まれるため、肌のバリア機能を強化し、乾燥や紫外線ダメージに対する抵抗力を高めます。
ビタミンA(ニンジン、カボチャ、さつまいも、ほうれん草などのオレンジや緑色の野菜)
細胞の成長と分化を促進し、健康な肌を維持するのに必要なビタミンです。紫外線によるダメージの修復にも関与し、肌の再生をサポートします。
このように、食生活を整え、ビタミンC、E、Aなどの抗酸化ビタミンを含む食品を積極的に摂取することは、紫外線による肌へのダメージを軽減し、肌の健康とハリを維持するために非常に効果的です。
糖化対策を心がける
糖化によるダメージは肌の深層に影響を及ぼし、特にコラーゲンやエラスチンといった肌の弾力性とハリに寄与するタンパク質が損傷します。このため、糖化対策は健康な肌を維持する上で非常に重要です。
ジュースやお菓子、炭水化物の多い食事を控え、緑黄色野菜や玄米、良質なタンパク質、健康的な脂質をバランスよく摂取することが重要です。特に、砂糖が入ったものは、血糖値を急上昇させ、糖化を加速してしまうため、適量に抑えておくことが大切です。
加工食品や揚げ物も糖化の原因に
揚げ物を作る過程で使用される高温は、マイラード反応を促進します。これは食品が茶色くなり、風味が増す化学反応ですが、同時にAGEsの形成も進めます。したがって、揚げ物には自然にAGEsが多く含まれており、これらを摂取することで体内のAGEs濃度が高まり、糖化が促進される可能性があります。
また、加工食品はしばしば高温で加工されるため、揚げ物と同様にAGEsを多く含むことがあります。特に長期保存を目的とした食品や、糖分や脂肪が豊富な食品ではAGEsが豊富に含まれる傾向にあります。ウインナーやベーコンなど、日持ちするものは便利ですが、過剰に摂るとお肌のハリ不足へとつながってしまうため、量は控えるようにしましょう。
抗糖化食材を取り入れる
糖化対策において、抗糖化食材を積極的に取り入れることは、体内の糖化反応を抑制し、その結果生じる肌へのダメージを軽減するために有効です。抗糖化食材には、糖化の進行を遅らせたり、既に生じた糖化によるダメージを修復する助けとなる成分を含むものがあります。
緑茶
緑茶に含まれるカテキンは強力な抗酸化作用を持ち、活性酸素の除去に効果的です。これにより、糖化によるダメージの一因である活性酸素による肌への損傷を抑制することができます。また、緑茶に含まれるエピガロカテキンガレート(EGCG)は、AGEsの生成を抑制する働きがあるとも言われています。
玄米
玄米にはビタミンB1が豊富に含まれています。ビタミンB1は、糖の代謝を助け、血糖値の急激な上昇を抑えることによって、糖化の原因となる糖の過剰な結合を防ぎます。
にんにく
にんにくに含まれるアリシンという成分には、炎症を抑える効果があります。これにより、糖化による炎症反応を緩和し、その結果生じる肌へのダメージを軽減することができます。
トマト
トマトに含まれるリコピンは、非常に強力な抗酸化作用を持つことで知られています。リコピンは、糖化により生成される活性酸素を除去し、糖化による肌の老化を防ぐ助けとなります。
これらの食材には、抗酸化作用、血糖値の上昇抑制、炎症反応の緩和など、糖化を抑制する効果が期待できる成分が含まれています。
食生活でコラーゲンを増やす
お肌のコラーゲンを増やすためには、外からのケアだけでなく、食生活の改善も非常に重要です。コラーゲンは肌の弾力性とハリを保つための主要なタンパク質であり、肌の若々しさを維持するために不可欠です。体内でのコラーゲンの生成と維持は、適切な栄養素の摂取に大きく依存しています。
たんぱく質+鉄分+ビタミンCが必須
体内でコラーゲンを生成するには、特定の栄養素が欠かせません。たんぱく質、鉄分、ビタミンCはこのプロセスにおいて中心的な役割を担っています。
コラーゲンはアミノ酸から構成されるタンパク質で、肌の弾力とハリを支える重要な成分です。たんぱく質が豊富な食事は、グリシンやプロリンのようなコラーゲンの構成に必要なアミノ酸を提供します。これらのアミノ酸は、特に肉、魚、豆腐などの食品に多く含まれています。
鉄分はコラーゲンの生成を助ける酵素の活性に必要で、これによってプロリンがヒドロキシプロリンに変換されます。この反応はコラーゲンの安定性と強度に寄与し、肌の基盤を強化します。鉄分はレバーや赤身肉、ほうれん草などの緑黄色野菜に豊富です。
ビタミンCもまた、コラーゲンの合成において不可欠です。ビタミンCはプロリンとリジンのヒドロキシ化を促し、コラーゲンの繊維を強化します。さらに、ビタミンCには抗酸化作用もあり、コラーゲンを自由ラジカルのダメージから保護します。ビタミンCは柑橘類やキウイ、イチゴ、トマト、ブロッコリーなど、多くの果物と野菜に含まれています。
これらの栄養素を含む食品をバランス良く摂取することで、体内のコラーゲン生成を支援し、肌の若々しさを保つことができます。
エラスチンを強化する役割も
エラスチンは肌の弾力を支える重要なタンパク質で、肌の伸縮性や柔軟性を保つ役割を担っています。実際には、エラスチンの自然な産生は成長期にほとんど完了し、成人後はその生成が大きく減少します。つまり、体内でエラスチンが新たに大量に生成されることはあまりありません。
しかし、コラーゲンの増加や強化によって、エラスチンが果たす役割と全体の肌の構造が支えられ、結果的に肌の弾力性が向上することがあります。
アウターケアとインナーケアでお肌のハリを取り戻そう
お肌のハリが失われる原因は多岐にわたっています。そのため1つの原因だけ取り除くのではなく、インナーケア、アウターケアともにバランスよく日々の生活に取り入れることが、お肌のハリを回復させるうえで重要になってきます。
お肌のハリが気になっている方は、紫外線対策、糖化対策、お肌の乾燥対策などを心がけ、ハリとツヤのあるお肌を取り戻しましょう。
記事の監修
岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。
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