掲載日 | 2023.10.09
更新日 | 2023.10.09

歯周病が骨粗しょう症や糖尿病に?
口腔内の菌が全身に与える影響とは

掲載日 | 2023.10.09
更新日 | 2023.10.09
私たちの体内にはたくさんの菌が存在します。
腸内にも、皮膚にも、頭皮にも、そしてもちろん口腔内にも。

なんと、口の中だけで約500~1000種類もの菌が存在し、多い人だと1兆匹も棲んでいるといわれています。

そんな菌が多く存在する口腔内は、どのようなケアが必要なのでしょうか?

口腔内に住む細菌が与える影響から、口臭の原因について。
一緒に見ていきましょう。

舌に密集?お口の中の菌の分布について

舌に密集?お口の中の菌の分布について

お口の中のどこに菌が多く暮らしているのか考えたとき、「虫歯」などもあるように「歯に多く存在するのでは」とイメージする方が多いかもしれません。

しかし、実際に口腔内においてもっとも菌が存在しているのは「舌」です。
舌の表面は突起状になっていてボコボコとしているため、その隙間に菌が生息しているのです。そのため、普通の歯ブラシだと実は綺麗になりづらく、掃除しづらい箇所でもあります。

そして、この舌についた菌は口臭の原因にも。
口臭が気になる方は、歯磨きに加えて舌専用のクリーナーなどを使った舌のケアも行ってみると良いかもしれません。

クレブシエラ菌と腸内環境の関係性

クレブシエラ菌と腸内環境の関係性

口腔内細菌が与える影響はお口の中にとどまらず、腸内にまで及びます。

例えば「クレブシエラ菌」。

これは多くの人が当たり前のように持っている口腔内の菌ではありますが、この菌が腸内へ移動することで、炎症に繋がる場合もあるのです。

虫歯や歯周病など歯に関する症状のためだけではなく、腸内や体のためにも日々の口腔ケアが大切だとわかりますね。

しかし口腔ケアも、スキンケアと同じでやりすぎは良くありません。歯磨き自体は食後にこまめに磨く事で虫歯になる確率も下がるので悪いことではないですが、問題は歯磨き粉やマウスウォッシュです。

歯磨き粉の中でも、強い界面活性剤や抗菌剤、研磨剤が含まれるもの。これは菌の落としすぎに繋がってしまいます。

悪い菌だけでなく、口腔内のバランスを保つ良い菌も洗い流してしまうのです。

最近では研磨剤フリーの歯磨きなども見られるようになってきたので、気を付けてみると良いかもしれません。

こちらの製品は、研磨剤や界面活性剤不使用で全成分天然由来のアイテムです▼

歯周病が骨粗しょう症や糖尿病につながる理由

歯周病が骨粗しょう症や糖尿病につながる理由

歯周病が悪化した場合、糖尿病や骨粗しょう症に繋がってしまう…という話は聞いたことがある方もいるかもしれません。

実際には歯周病が原因というよりは、これらの病気は相互に影響し合っています。口腔内の状態が、身体全体の機能にまで影響を与えてしまうのです。

歯周病と骨粗しょう症のつながり

骨粗しょう症は普段は自覚のない方が多いが、気づかぬうちに骨が脆くなり骨折しやすくなっているという恐ろしい病気です。

その原因はホルモンバランスの変化により、エストロゲンという、いわゆる女性ホルモンのひとつが減少すること。そしてこのエストロゲンの減少は歯茎の炎症を起こしやすくもさせるため、「骨粗しょう症にかかる方の9割は歯周病にもかかり、しかも悪化しやすい」とされているのです。

骨粗しょう症が進むと歯を支える骨も弱くなっていきますから、歯周病が悪化し歯が抜けやすくなるということも。歯周病と骨粗しょう症には深い関係があるのですね。

歯周病と糖尿病が負のルーティーンを生む

糖尿病も骨粗しょう症と同様に、歯周病と切っても切れない関係にあります。

それはまず、歯周病が血糖値コントロールに影響を与えるため。

歯周病による炎症では、歯周で炎症物による化学物質が生産され、それが血流を巡って身体全体に届きます。その物質がインスリン抗生をもっているため、本来血糖値を下げるはずのインスリンの働きを弱めてしまうのです。

それによって糖尿病にも悪影響が及ぶと考えられています。

逆に糖尿病の方に見られる高血糖の状態は、歯を支える骨を弱めるという側面もあります。なので、糖尿病があることでも歯周病に悪影響を与えかねず、相互に負のループを生み出してしまうのです。

そんな糖尿病ですが、歯周病を治療することで血糖値が下がるということもわかってきています。

歯周病がアルツハイマー病の悪化と関係していた?

歯周病がアルツハイマー病の悪化と関係していた?

最近の研究では、歯周病がアルツハイマーの悪化にも関係することも示されてきました。

「リーキーガット」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?

腸壁が色々な要因で傷つき毒素が漏れてしまい、様々な不調を引き起こしてしまう状態のことを指します。


実は、このリーキーガットに似た症状が口腔内でもみられることがあります。歯周病など、口腔内の異常が「リーキーマウス」を引き起こすのです。

歯周病により炎症が発生し、毒素が血流に入ってしまう。それが脳にまで到達してしまい、アルツハイマーの原因になっているのではないか…といった示唆をする論文も出てきています。

全身の菌たちのつながりを大切に

全身の菌たちのつながりを大切に

腸内だけではなく、全身に棲んでいる菌たち。

口腔内、頭皮、皮膚表面、膣内、子宮内など…。

まだ未開な部分も多く今も様々な研究がされている、全身の常在菌は私たちの健康とも密接に関係しています。

今後さらに多くのことがわかってくるかもしれませんね。

今日もあなたの口の中、そして全身の様々なところで働いてくれている菌のこと。少しでも意識しながら生活してみましょう。

参考文献:

Angela R Kamer, Periodontol 2000, 2020 Jun, Periodontal disease as a possible cause for Alzheimer’s disease

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
X : @yutaka_shimo

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