掲載日 | 2023.07.23
更新日 | 2023.07.23

【菌ケアtrip】ドイツで見つけたワインとハーブのある暮らし

掲載日 | 2023.07.23
更新日 | 2023.07.23
「ハーブ」や「ワイン」を堪能しつつ、自然の中をゆっくり散策。マルシェでワイン片手に新鮮な野菜をゲット。都会でも郊外でも「菌ケア」におすすめなライフスタイルが送れるドイツ旅のお話です。

植物採集家でもあるKINS LAB編集部員がドイツで見つけた、植物や自然からのウェルビーイングのヒントたち。各地に伝わる少し懐かしい風習から、最新トレンド情報まで…。

自然の力を活用する植物療法、ライン川の白ワイン、伝説の修道女ヒルデガルドのワイン畑、動物の鳴き声で目覚めるワイルドホテルなど。心地よく、自然と共に菌ケアするアイディアが詰まっています。

心と体を整えるメディカルハーブの中心地

ドイツは、自由でクリエイティブ都市ベルリン、新鮮なハーブや野菜が溢れるマルシェ、美しいお城や教会などの建築、ワインで有名なライン川など…様々な顔をもつ表情豊かな国。ゆっくりと滞在してそれぞれの街の魅力を堪能するのがおすすめです。

ドイツでは「メディカルハーブ」という自然療法のハーブやアロマオイルが薬局で販売されています。先進的な現代医療とともに、医療としても植物の力、古くからの知恵を活用しています。

日本では伝統医療の漢方が病院でも処方され、医師の8割は漢方薬を処方していると言われています。(※1)

ドイツの場合はメディカルハーブが日本の漢方のように、医療の現場で活躍しているのです。「自然療法士」と言われるハイルプラクティカーはドイツの国家資格者。病院ではなく、状況に応じて彼らに相談し、心身を整える文化があります。

ちょっとした不調には、薬や病院を頼らない方法も

軽症である時、例えば風邪、不眠やアレルギーなど日常的な不調に対しては日常生活に自然療法を取り入れる人も多いです。市販で手に入るハーブティなど、自宅で不調を整えていきます。

ベルリンのハーブのお店では、男性の姿も。目的や好みをオーナーに相談し、自分にぴったりのハーブを選びます。年齢性別問わず、日常的にハーブティなどを楽しんでいました。スーパーマーケットでは個包装のパッケージのハーブティが棚に並びますが、環境に配慮した計り売りの「ゼロウエイスト」のお店も人気です。「ゼロウエイスト」のお店では簡易包装、または容器を持参することで環境負荷となるゴミの削減を行なっています。私たち人間が心地よく暮らすためには、自然との共生が不可欠という考えに基づいています。

自然環境、季節ごとのリズムなどと自分自身の心身のコンディションをゆっくり見つめる時間が重要視されているのです。

ギリシャ人オーナーによるハーブのお店。計り売りのハーブは世界中から集めたこだわりの品

お城の中で学ぶクスリの歴史 ドイツ薬事博物館 (ハイデルベルク)

ドイツはかつて日本が現代医療を学んだ国の一つですが、この医学の歴史は植物から始まります。

科学的に初めて成分が分析され商品化されたものがアスピリン。なんとなくこの名前を聞いたことがある方も多いのでは。
ドイツのバイエル社が最初に販売した「アスピリン」は成分名でもあり、商品名となっています。

現在でも愛用され、私たちが薬局で購入する湿布や頭痛などの鎮痛剤として使われています。

かつて販売されていたアスピリンのボトル

古来からの薬の話や医療の変換など幅広い情報を展示しているのが、ハイデルベルクにあるドイツ薬事博物館。

世界屈指のコレクション量ですが、何より楽しいのは1957年からオープンしたハイデルベルク城という雰囲気抜群のクラシカルな空間。身近な薬がどこからやってきたのか、ドイツの歴史についてを学べる最高の施設です。

ドイツには自分たちの身の回りにあるもの、取り入れている食事や薬に関して向き合う機会がたくさんあります。

ハイデルベルク城の中にあるドイツ薬事博物館は城下にライン川を眺めることのできる絶景にあります

菌ケアのヒント ワイン畑から広がるヒルデガルドの修道院

ドイツの医療、薬をたどっていくと、ルーツはなんと「修道院」でした。

中世の修道院では自給自足の生活。ぶどう畑、穀物、野菜やハーブを育て、ハチミツをとり、蜜蝋でろうそくを造ります。食事や病気に困っている人もケアする役割も担っていました。

ヒルデガルドの創設したアイビンゲン大修道院

多くの人々を救う中で、医学・薬草学に強く、ドイツ薬草学の祖とされる女性ヒルデガルドが現れます。彼女の残した薬草学の書には、「中庸」バランスという言葉がたびたび登場します。食べ過ぎを避け、けっして消化不良に陥ることがあってはいけないとされました。
食事は肉や魚も並びますが、野菜や果物とパンを中心としています。興味深いのはワインが当時の中世から体に良いと考えられていたこと。菌ケア目線ではアルコール自体は良くない部分もありますが、赤ワインはポリフェノールが豊富など体にいい要素も多いと考えられ、現代にも通じています。

菌ケア目線でのお酒の選び方についてはこちら▼

ワインに期待できる嬉しい効果

ライン川沿いのリューデスハイムはフランクフルトから1時間半ほどの小さなワインの町。ヒルデガルドの設立したアイビンゲン大修道院があるので、ゆったりと丘を登りながらワインを楽しみ、ハーブ園を散策するのがおすすめ。小道を散策すると、ぶどうの木が至る所に植えられており、豊かに実った様子も楽しめます。

これまでワインには、動脈硬化や血糖値の上昇を防ぐなど健康効果が期待されていましたが、ロンドン大学の調査で赤ワインを飲む習慣のある人は、他の酒類を飲む人に比べ「腸内に生息する細菌が多様である」とされています。(※2)

さらに赤ワイン・ノンアルコール赤ワインは歯周病原因菌に対して緩やかな抗菌作用も期待できるという研究結果が。(※3)

ワインのある暮らしは今から約8000年前にはじまり、1000年も前から健康的な生活習慣として推奨されていました。これが近年、続々と研究結果で明らかになっています。

リューデスハイムの小道 ワインが気軽に楽しめる人気のスポット

菌ケア的 ホテルセレクト動物の声で目覚める朝 

旅の楽しみに一つにホテル選びがありますね。

ドイツには泊まれるお城などゴージャスな気分を楽しめるホテルもありますが、動物の鳴き声とともに目覚めるワイルドなホテルも人気です。首都ベルリンに泊まるなら、25hours Hotel Bikini Berlinがおすすめ。薪オーブンのあるベーカリー、動物園を眺められるサウナもあるので都会にいながら、心も体も整いそうですね。最上階にはレストラン、バーが併設され窓の外には豊かな緑が。家族でも友達同士でも楽しめるホテルです。

菌ケア目線でのホテル選びは、腸内環境に良い食事、ゆっくりとした睡眠、リラックスできる空間という環境をポイントに選んでみてください。

25hours Hotel Bikini Berlinの情報
サイト:25hours Hotel Bikini Berlin
住所: Budapester Str. 40, 10787 Berlin

腸内環境を良好にするドイツの飲み物

中世ヨーロッパ の歴史から最新トレンドまで楽しみながら美しく健やかになれるドイツ旅。

現地に行った際は、ぜひマルシェ(ドイツではマルクトといいます)で新鮮なハーブで作るオリジナルハーブティやオーガニックワインを調達して試していただきたいのですが…

今回は、自宅でも楽しめる手軽なホットワインレシピをご紹介します。

身体をあたためるホットワイン(グリューワイン)

これからの時期にぴったりなのがホットワイン。ドイツでは冬の風物詩としてクリスマスマーケットなどでもよく見かけます。現地ではグリューワインと呼ばれ、昔から愛されている飲み物です。

日本でも市販のホットワインキットが販売されていますが、スパイスをちょい足しするだけでオリジナルホットワインができますよ。

お好みのスパイスを組み合わせて、楽しむことは寒い日におすすめ。生姜には体温を高め、消化をサポートする効果が。シナモンにも体の冷えを取り除き、血の巡りをよくする成分が入っています。ワインとの相乗効果で心も体も温まる自分だけの菌ケアドリンクに。
ホットワインは、開封してしまい少し日が経った残りのワインも美味しく有効活用することが可能です。

材料

・お好みの赤ワイン  250ml
・生姜スライス 2枚
・シナモン 1本
・蜂蜜(お好み)
・お好みのスパイス(カルダモン、クローブやスターアニスなど一人1カケラを目安に)
・オレンジまたはレモンのスライス(仕上げ用)

作り方

小さめの鍋にワインを入れ、その後スパイス、蜂蜜ゆっくり弱火で煮込みます。

沸騰する前に火をとめ、カップに移した後、お好みでオレンジやレモンのスライスを追加して仕上げます。

菌ケアを意識しながら旅をする

今回はKINS LAB編集部員のドイツの旅の様子をお伝えしました。

馴染みのない異国の地を訪れても、その土地それぞれで菌ケアに通じるエッセンスを見つけることができるものです。

日本では見られないセルフケア習慣、意外な発酵食品、身体の菌によさそうな食品など…皆さんの行く先々でも、新しい発見が待っているかも?

ぜひそんな目線でも、「菌とともに生きること」を楽しんでみてくださいね。

【参考論文】
※1 薬事日報 2009年02月05日

※2 Le Roy CI, Wells PM, Si J et al. : Red wine consumption associated with increased gut microbiota α-diversity in 3 independent cohorts. Gastroenterology;2019 Aug 23.

※3 María C Sánchez 1, Honorato Ribeiro-Vidal 1, Adelaida Esteban-Fernández 2, Begoña Bartolomé 2, Elena Figuero 1, María V Moreno-Arribas 2, Mariano Sanz 1, David Herrera, Antimicrobial activity of red wine and oenological extracts against periodontal pathogens in a validated oral biofilm model,2019 Jun 21

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
X : @yutaka_shimo

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