掲載日 | 2023.07.13
更新日 | 2023.07.13

なかなか治らない手荒れの対処法

掲載日 | 2023.07.13
更新日 | 2023.07.13

目立つ部分だけに気になる、手荒れ。

乾燥する季節はもちろん、人によっては一年中悩まされているという方もいるのではないでしょうか?

手荒れのタイプも様々で、乾燥だけならまだしも炎症や痛みを伴うケースも。

敏感な方は、ハンドクリームなどですら刺激に感じることもあるといいます。

ふとした時に手荒れが目につくと、それだけで気持ちも暗くなってしまいますよね。

今回は菌ケアの視点から、なかなか治らない手荒れについての対処法を考えてみましょう。

あなたの手荒れはどのタイプ?

ひとことに手荒れと言っても、人によって荒れ方は様々。

単純に皮膚が乾燥している・キメが荒いといったタイプはまだ軽いほうで、その程度の手荒れは保湿すれば改善を感じられます。

しかし荒れがもっとひどいと、ハンドクリームを塗ったくらいでは解決しないことも。

そんなひどい手荒れは「手湿疹」と呼ばれることもあり、ただの乾燥ではなく肌のバリア機能が乱れてしまっている状態なのです。

手湿疹は大きく分けて

・乾燥タイプ

・ジュクジュクタイプ

に分けられます。

乾燥タイプは手の皮膚全体が極度に乾いていて、ガサガサ・ゴワゴワの状態。

皮膚が固くなっていて皮が剥けたり、ひびわれ、あかぎれなどが見られることも。

ひどいと指紋が消えてしまったり、あかぎれから血がにじんだりして痛みを感じるケースもあります。

そして同じく乾燥もありますが、さらに発疹や水疱などができてしまうのがジュクジュクタイプ。

ポツポツとできた発疹などが、炎症を起こしていてヒリヒリ痛んだり、潰れてジュクジュクしてしまうことも。

手のひら・手の甲両面に発疹の症状が出てしまう方もいます。

こういった手湿疹は、単なる乾燥ではなく病気のような状態。

正常な肌のバリア機能が働いていないので、角質層がダメージを受けやすく炎症や発疹を引き起こしています。

皮膚の新陳代謝や皮脂分泌も正常でないため、新しく健康な皮膚も作られづらくなっているのですね。

この状態で皮膚科に行くと、ステロイド軟膏を処方されることもしばしば。

ただ、ステロイドはホルモンを薬に応用したものなので、場合によっては副作用もあります。

その他にも、ステロイドはお肌に必要な菌も殺してしまう恐れ菌も殺してしまう恐れがあるため、注意が必要。

ステロイド軟膏は止めると症状が戻ってしまうこともあり、手荒れの根本的な解決になるとは限りません。

手が荒れてしまう原因

では、どうしてステロイドが必要なまでに手荒れがひどくなってしまうのでしょうか。

これはもともと手肌には皮脂腺が少なく、肌のバリアとなる皮脂が少ないのも関係しています。 皮脂が常にたくさん分泌されるような部位ではないので、角質層がダメージを受けやすい傾向にあるのです。

それでいて手は色々な作業で使う部分なので、皮膚に刺激はかかりがち。

手を使うことによる摩擦や、手洗いによって水分・油分を奪われやすいというのもあります。

特に手を何度も洗う機会の多い方や、水仕事の多い主婦の方などは手荒れのリスクが高め。

ハンドソープ・食器用洗剤・洗濯洗剤などは、肌表面の油分・水分のバリアを奪いやすく乾燥の大きな原因となります。

しかもこれらの洗剤類は、肌を乾燥させるうえに刺激も強いのが難点。

乾燥してバリア機能の弱った肌を、強い界面活性剤の入った洗剤でさらに洗い続けるというのは肌に大きな負担となってしまうのです。

さらに最近はアルコール消毒をする機会も多いですよね。

アルコール消毒も、敏感な肌はそれだけでしみるくらいの刺激。

消毒用に使われる高濃度アルコールは、肌の潤いを奪う力も強力。毎日の習慣や何気なく使っているアイテムが、手荒れの原因となっているのです。

洗剤が皮膚の菌に与える影響

ハンドソープ・洗剤などが手肌を乾燥させる原因になっているのは、皆さんにもイメージしやすいと思います。

しかし皮脂を奪って乾燥させるという以外にも、手荒れを招く理由が。

実は菌ケアの観点からも洗剤類は、手荒れの大きな原因と考えられるのです。

これは洗剤類に含まれる合成界面活性剤が、肌の常在菌を殺してしまうため。

もちろん殺菌力の強いハンドソープは、良くない菌もしっかり洗い流すのを助けてくれます。

しかしそれと同時に、肌に住む良い常在菌も奪ってしまうのですね。

合成界面活性剤は 

・ハンドソープ

・ボディソープ

・洗顔料

・シャンプー

・食器や洗濯洗剤 

などありとあらゆる洗浄剤に含まれています。

合成界面活性剤といっても色々な種類がありますが、食器用洗剤や洗濯洗剤に含まれる界面活性剤は特に皮膚刺激が強め。

洗顔などの化粧品類よりも、肌の潤いを奪う力も強いので注意が必要なのです。

そもそも洗濯洗剤などに使われる刺激の強い界面活性剤は、肌を洗う目的では配合されていません。

同じ界面活性剤でも、シャンプーに使われるものと食器洗剤に使われるものでは種類も配合量も違います。

洗剤は食器などの油汚れを落とす用ですから、刺激も洗浄力も強くて当然。

そういったものは極力皮膚に触れないように、注意したほうがいいでしょう。

例えば、手荒れが酷い場合はゴム手袋をして食器洗いを行うことも効果的です。

また、アルコール消毒剤も潤いだけでなく皮膚の常在菌を奪ってしまいます。

感染症の予防として仕方ない場面もありますが、こちらも過剰に使いすぎるのは避けたいもの。

もともと私達の肌には、数百億個以上の常在菌が住んでいます。

この菌叢は「スキンフローラ」とも呼ばれ、正常であれば肌を守るために適切なバランスを保っている状態。

良い働きをする菌が悪い菌をブロックしたり、肌に潤いを与える成分を分泌したりもしてくれるのです。しかし、界面活性剤が肌に触れることで、こういった良い菌までもが減ってしまいます。

その結果、常在菌のバランスが崩れ、肌のバリア機能や保湿力などが落ちて荒れやすくなってしまうのですね。

手荒れを防ぐために今日からできること

界面活性剤やアルコールが、手肌の潤いを奪い菌のバランスも崩してしまう。それはなんとなくわかっていても、日々の生活の中でどうしても避けられないことも多いでしょう。

特に職業柄、手を頻繁に洗わなければならない方もいますよね。

1日に何度も手を洗ったり、水仕事が続くような方にとって手荒れは大きな問題。

そんな方は特に注意して、手荒れを防ぐための対策を考えていきましょう。 単に保湿するだけではなく、菌ケアの観点から考えることも大切。

手肌の常在菌バランスを乱さないためにも、なるべく強い界面活性剤が使われた製品を避けるのをおすすめします。

また水仕事や摩擦の多い手作業では、ゴム手袋を欠かさないようにするなどして手を守る工夫を。手が界面活性剤に触れる機会を減らすだけでも、皮膚とその常在菌への影響は大きく変わります。

そして手を洗う際には、お湯の温度にも気を付けてみてください。

熱いお湯は皮脂を奪いやすく、汚れだけでなく必要な皮脂まで落としてしまうのです。

一般的に肌を洗うのに理想的な温度は、34〜35℃程度。

体温より微妙に低い程度のぬるま湯で洗うと、程良く汚れや要らない皮脂を落として、必要な潤いは守ることができます。

また、ハンドクリームを選ぶ際にも、低刺激で保護効果の高いものを意識してみて。良く手荒れにいいとされる成分で「尿素」入りのハンドクリームが売られていますが、あかぎれやひびのあるような肌にはしみることもあります。

そこで、手湿疹でも使えるような刺激の優しいものを選ぶようにしてみてください。

サラッとした乳液状のハンドクリームは、ベタつかないので使いやすいですが保護力は弱め。

逆にバームタイプなどの油分が多くこっくりしたハンドクリームは、そのぶんお肌を保護してくれるので荒れやすい手にはおすすめです。寝る前などベタつきが気にならないシーンであれば、たっぷりめに塗っておくと良いでしょう。

昼と夜でハンドクリームを使い分けてみても良いかもしれません。

手荒れの原因は様々ですが、菌ケアの観点でしておきたいのは常在菌のバランスを守ること。

手肌を守る菌たちを活かせるような「ハンドケア」も意識してみてください。

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
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