掲載日 | 2023.04.21
更新日 | 2023.04.21

「洗浄力と特性まとめ」クレンジングの種類と使い分けについて全力でまとめてみた!

掲載日 | 2023.04.21
更新日 | 2023.04.21

こんにちは!
菌の変態こと下川です。

この度、クレンジングについて様々な研究を行いまして。その研究の過程で分かったことをこの記事ではまとめます。

様々な角度から研究と検証を行いましたが、ことクレンジングにおいてはやはり「自身のメイクとの相性が最重要」であると結論づけました。なぜなら、クレンジングはあくまでも「メイクを落とすもの」であり、「メイクは人によって濃さ(落ちづらさ)が異なる」ものであり、かつ洗浄力の強すぎるものを使うと「肌の乾燥を引き起こしてしまうから」です。

すると問題になってくるのが
・どのクレンジングはどれくらいの洗浄力なのか
・私のメイクはどれで落ちるのか
・メイクが落ちさえすればいいのか

というところ。そこで今回は、複数のクレンジングを比較し実際にメイクを落とすことで「各クレンジングがどれくらいメイクを落とせるのか」というところの検証を行いましたので、その結果をまとめてご案内します。

またクレンジングの成分に関係するところで、菌に対する論文記述や自社で進めた研究についてもまとめを載せております。クレンジングについてさらに詳しく一歩抜け出るため、こちらも合わせてお目通し頂けますと、幸いです!

理想のクレンジングって、どんなもの?

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さて、まずは理想的なクレンジングの話から。
先述の通りクレンジングの基本的な機能は「洗浄」です。洗顔フォームや石鹸では落ちない、主にメイクの汚れをしっかりと落としきるために使用します。メイクの洗い残しは毛穴につまり、黒ずみや角栓の原因になるため確実に落としたいところ。

しかし一方で、クレンジングは一部例外があるものの基本的には「油性の」メイクを落とすアイテムです。油分はメイクだけでなく肌にも存在しており、クレンジングはその特性上、どうしても同時に肌の油分を奪ってしまいます。油分の奪われた肌はバリア機能が低下し、乾燥しがちとなったり肌荒れを起こしがちとなるような様々なトラブルを起こすことに。

そのため、理想的なクレンジングに求めることは「汚れをしっかり落とすことができる」ものの「肌の油分を過剰に取り去ることない」という相反する要素となります。難しい…。

加えて、メイクの強さによって「落ちづらさ」は異なります。例えばミネラルファンデはそれこそ水でも落ちてしまう質感があるのに対し、マスカラはしっかりと摘むようにしなくては落ちないものも。一概に「この洗浄力のものを使おう」とは言いづらい点もあります。

結論、クレンジングは「自身のメイクに合わせて使う」のが大切となります。もっというと「乾燥や毛穴対策をしたければ、洗浄力の弱いクレンジングを使おう! そのためにメイクも優しいものにしよう!」ということになります。少し複雑ですね。

それでは、次の項からは具体的にどのメイクにどんなクレンジングを使えばいいのかを少しずつ見ていきましょう!

クレンジングと界面活性剤の種類

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ポイントとなる「洗浄力の強さ」を考えるためには、まずはクレンジングがメイク汚れを落とす仕組みを知らなくてはなりません。

クレンジングにはいくつかの種類があります。
・油脂タイプ
・ミルクタイプ
・バームタイプ
・水クレンジング
などなど。

それぞれテクスチャーだけでなく、成分の配合や使い方、メイクを落とす仕組みが異なります。

もっともメジャーなものは、成分の大部分を占める「油分」でメイクを浮かし、少量配合された「界面活性剤」により油分を乳化。そして水で洗い流す。という仕組み。

よく間違って覚えている方がいらっしゃるのですが、クレンジングは洗顔やシャンプーのように「界面活性剤」でメイクや汚れを落としているわけではありません。

メイクは「油に溶ける」ので、まずは配合されている油に汚れを溶かし込みます。しかしその状態の「油」は洗顔では落ちず、メイクや汚れを抱え込んだまま肌の上に止まることになります。そこで、少量かつ優しい強さの「界面活性剤」の出番。界面活性剤は水と油が混ざり合うように働く成分ですが、この力により「乳化」を行います。本来は水を弾くはずの油分に水の成分を混ぜ込むことで水を用いて落ちるようにする行為ですね。

クレンジングを肌に伸ばしてくるくるした後、少量の水をつけて再度撫でるように馴染ませますよね?
アレが乳化を起こすための作業です。この作業を行うことにより、本来油であるクレンジングが水による洗顔で落ちるようになります。

またクレンジングが基本的に「乾燥している肌(濡らす前の肌)に行うもの」とされているのもこの仕組みが関係しています。まずはメイクや汚れを油の中に溶かさねばならないから、ですね。水分が混ざるとメイクがクレンジングに溶け込むことを阻害してしまいます。

ここで使用される界面活性剤は、多くが「非イオン界面活性剤」と呼ばれる界面活性剤の中でも穏やかな効果のもの。あくまでも油分と水分が混ざり合うようにすることが目的のため、ボディソープやシャンプーなどの洗浄剤のような汚れを落とす役割のものよりずっと優しいものが使われています。

ゆえに、基本的に界面活性剤による肌への影響はさほど考える必要はありません。

結論、油脂クレンジングがおすすめ

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複数のタイプがあるものの、結論クレンジングは先に説明したような「油で汚れを浮かし、乳化させた後に流す」ものを使用することがおすすめです。

洗顔不要の拭き取りタイプは
・肌に摩擦を与える
・クレンジング成分が肌に残る可能性がある
ことから、肌へのダメージが比較的大きくなることが考えられます。多少手間でも乳化を必要とするタイプを使いましょう。

次にこだわりたいのはメイン成分である「油」の種類。成分の1番最初に出てくるオイルがどんな性質を持つものかは要チェック。配合量が多いだけに、クレンジングの性質に大きく影響を与えます。

油と一言で言っても、いくつかの種類があります。
・ミネラルオイル(鉱物由来のオイル)
・エステル系オイル
・植物系油脂

それぞれ洗浄力の強さや美肌効果が異なります。成分の特性を理解して、自身の肌悩みとメイクのタイプに合わせて使い分けることが大切なポイントです。それでは一つひとつ解説します。

ミネラルオイル(鉱物油)

石油を原料とした油です。安価で生産でき、かつ安定性に優れた使いやすい成分である一方、脱脂力が強く扱いに注意が必要です。脱脂力が強い、のがどういうことかというと、平たく言ってしまえば「油汚れを落とす力が強い」ということです。

ここでいう油汚れはメイクや皮脂のことが該当します。優秀な洗浄力を持つと同時に、使い方を誤ると肌に必要な油分まで落としてしまう懸念があります。

マスカラなどの定着力の強いアイテムを落とす際には非常に有効な成分です。

エステル系オイル

・エチルヘキサン酸セチル
・パルミチン酸エチルヘキシル
・ミリスチン酸イソプロピル

などの記載が成分のはじめの方にあるものは、エステル系オイルがメインの洗浄成分であるクレンジングです。ミネラルオイルと同様に安定性に優れます。洗浄力は高いものの、ミネラルオイルよりはマイルドな印象。極端に厚い化粧でなければ、このエステル系油脂を使用したクレンジングの持つ洗浄力で、十分なケースが多いです。

植物系油脂

その名のとおり植物由来のオイルを使用したものです。
・オリーブ油
・マカダミアナッツ油
・ホホバ種子油
・コメヌカ油
など、様々な種類のものが販売されています。洗浄力は上の二つと比較してかなり穏やかで使えるシーンが限られるものの、肌の油分を過剰に取り去ることなく安心。シーンが限られるとはいえ、日常生活におけるメイク程度であれば問題なく落とせます。

特徴的なのは「美肌効果」です。それぞれに使用されるオイルは、いつものスキンケアにも普通に見られるもの。例えばホホバオイルは優れた保湿効果を持つほか、マカダミアナッツオイルは肌を柔らかくする効果があります。

一方で先に説明した二つと比較し、天然成分であるゆえに安定性に欠けるものも。酸化を起こしてしまうと皮膚に刺激を与えてしまうので注意。また、価格も比較的高くなりやすいこともデメリットです。

ということで、あくまでも「自身のメイクに合った洗浄力を選ぶ」という大前提があるものの、その上で推すなら「植物系油脂」をメイン成分に置いたアイテムが美容効果も高くおすすめです。その分お値段も張ってしまうのが厄介なところですが…クレンジングもその他のスキンケアと同じように毎日行うもの。そして毛穴トラブルと乾燥肌に対しとても密接に関わるところとなりますので、手間とお金をかける価値はあると考えます。

いろんな洗浄成分を持つ製品の洗浄力を顕微鏡でチェック!

とは言え「自身のメイクに合った洗浄力を選ぶ」と言われても、なかなかイメージはつかないですよね?

そこで、あくまでも一例ではありますが、様々なメイクアイテムと様々なテクスチャーのクレンジングを組み合わせ、どこまで汚れが落とせるかをチェックしてみました。

先述の通りクレンジングは「洗浄力が高い=偉い」ではありませんが、「洗浄力が弱すぎてメイクを落としきれない」のは肌に悪影響です。なるべく優しいもので、かつ自らのメイクの強さに合ったものをお選びください!

素肌

まずは肌に様々なメイクアイテムを乗せた状態を見てみましょう。

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素肌にメイクをのせた状態

この状態を覚えておいてください。肌は平たい面と縦横無尽に張り巡らされた溝が組み合わさって構成されています。肌に乗せる各メイクはこの溝に入り込むことで固定され、肌を色よく見せています。

同時に、汚れが残りやすいのも溝部分。ここに注目して見ていきましょう。

ジェルクレンジング

まずはジェルタイプ。洗浄力が優しいものが多いですね。これはテクスチャーが固体に近く厚みを持って塗ることができるため、オイルクレンジングと比較し摩擦を少なく肌に馴染ませられるのがポイント。摩擦は乾燥の原因となりますからね!

ジェルクレンジングの難しくて面白いところは体温で「温め」を行わなければならないところ。肌に馴染ませる中でジェルが温まることで、メイクを浮かす力が生まれます。逆にこの温めがうまくいかないとクレンジング本来の洗浄力が発揮されないことも。

と言うわけで、結果はこちら

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下地はきれいに落とすことができたものの、リキッドファンデはやや残りがあります。そこで、追加調査として粉のファンデーションとBBクリームも試してみました。結果はこちら

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BBクリームも粉ファンデも若干残りますが、この程度なら上手に使うことができればしっかり落ちると思われます。

よって、下地+BBクリーム。またはミネラルファンデを普段使ってる方にはおすすめですね! あとは使い方に若干の癖があるので、正しい使用方法を身に付けることが大切です。

クレンジングバーム

バームは豊富な油分を固めたもの。体温で溶かしつつ使うアイテムです。数あるクレンジングの中でも洗浄力が高い傾向にあり、ほとんどのメイク汚れをしっかり落としてくれるアイテムです。

また使い方も簡単なので、ジェルと異なり安定した洗浄力が期待できそうです。W洗顔要らずのアイテムも多く見かけました!

さて、そんなバームタイプのクレンジングですが、実験結果は以下です。

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はい、この画像一枚で十分でしょう!
リキッドファンデまできっちり落としてくれました。さすがです。リキッドファンデが落ちきれば、他の大体のメイクは落としきることができますね。

ちなみに本アイテムの油分は「エステル系オイル」です。洗浄力がやや強めの成分ですね。そのため、「もし使用後に肌の突っ張りを感じなければ」と言う条件付きではありますが、基本的にどんなメイクの方にも使える万能選手であると言えそうです。

オイルクレンジング

さて、最後はおすすめのオイルクレンジング。植物油脂のタイプです。植物油脂はエステル系オイルと比較しややマイルドな洗浄力を持ちます。また、オイルタイプはテクスチャーがさらりとしているため摩擦には十分注意が必要です。

しかし一方で、植物油脂に含まれる豊富な美容成分が素肌に栄養を与えますので、状況を見てぜひ使いこなして欲しいアイテムです。

そんなオイルクレンジングですが洗浄力は以下のようになりました!

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はい、このような感じ。リキッドファンデまでしっかり落としてくれました。ただ、洗浄力のマイルドな植物油脂のオイルクレンジングでここまでの洗浄力を出すためにはコツが必要です。

それが「乳化」と言われる工程。先の項で説明しましたね?
覚えてますでしょうか!

オイルクレンジングはこの乳化を丁寧にしっかり行えるか否かで、洗浄力が大きく代わります。ちなみに、乳化させずに洗い流した時はこのような感じ。

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乳化なしだとやや不安が残る

かなりメイクが残ってしまっていることが分かるかと思います。ちょっとだけ練習の必要なアイテムですが、肌に優しい成分でかつしっかりと洗い上げることができるので、是非とも使いこなせるようになっていただきたいところです!

油脂と菌と美肌効果

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さて、ここまで成分の話ばかりしてしまいましたが、これはあくまでも「菌の記事」です。もちろんクレンジングにも菌の目線を取り入れて行きますよ!

油脂クレンジングに使われる植物のオイルには様々なものがあります。例えばオレイン酸が豊富なオリーブオイル。万能に使えて安定性が高く、保湿に優れたホホバオイル。先に説明した、肌を柔らかくする効果のあるマカデミアナッツオイル。

これらの植物油脂はそれぞれ異なる「菌に対する良い影響」を持つケースが存在します。いくつか見てみましょう。

パルミトレイン酸 _ マカデミアナッツオイル

肌を柔らかくする効果のあるマカデミアナッツオイルですが、注目すべき成分はパルミトレイン酸。これは皮膚の中にも普通に含まれている油分です。皮膚の中では悪玉菌の増殖を抑える働きをしています。

パルミトレイン酸の素晴らしいところは、「選択的抗菌性」を持っているところ。どういうことかと言うと特定の菌のみの働きを阻害する効果があるというところ。

さらに素晴らしいことに、パルミトレイン酸の選択的抗菌性は肌の悪玉菌であり、アトピーなどの原因となる「黄色ブドウ球菌」に向けられているのです!
また、同時にアクネ菌の増殖を抑える効果もあるため、特に脂性肌やインナードライでお悩みの方の保湿にぴったり。

その上、美肌菌である表皮ブドウ球菌の増殖には大きく影響を与えないというから驚きです。まさに、スキンケアのためのオイルですね!

オレイン酸 _ オリーブオイル、アルガンオイル

オリーブオイルに特に多く含まれる成分です。皮脂にも豊富に含まれている保湿成分であり、肌にとっては非常に身近な成分と言えます。単体でも保湿効果のある成分ですが、加えて常在菌のエサとなる成分です。

乾燥肌の方には非常におすすめしている成分ですが、一方で脂性肌やニキビに悩む方にはあまりおすすめしていません。脂性肌の方はすでに皮脂が十分に分泌されており、菌が活躍できている可能性が高いからです。そこにオレイン酸を追加すると菌が増えすぎてしまい、逆に肌荒れなどのトラブルにつながることもあります。

肌の菌の「可能性」を探る、私たちの研究

ところで、先ほど紹介した「選択的抗菌性」には、私たちも非常に大きな可能性を感じています。どんな成分がどんな菌を増減させるのか、またその際の濃度はどれくらいかについての調査中です。

例えば私たちの大好きな「乳酸桿菌/豆乳発酵エキス」と言う成分があります。これは、20種類以上の乳酸菌ミックスに豆乳を分解させ、菌に様々な栄養素を作り出させる。と言う製法により作り出したお気に入りの素材なのですが……濃度を厳密にコントロールすることにより、特定の菌にアプローチできることがわかりました。

まずはアクネ菌。

素肌に潤いを作り出してくれる一方で、増えすぎた場合や脂性肌の人の場合においては肌荒れの原因になることも。そのため、理想的には肌の状態に合わせてコントロールできると良い菌です。

さて、このアクネ菌ですが栄養培地に菌を置いて、1週間放置することを何度かやってみたところ、大体2~8倍ほどまで数を増やすことがわかりました。

続いて、そこに薄めた「乳酸桿菌/豆乳発酵エキス」を加え、どれくらい菌の増殖を抑制(または促進)するかをチェックしてみました。

この実験、かなり繊細で…濃度を
・0.3%
・1.0%
・3.0%
と刻んでみたのですが、なんと濃度が1%変わるだけで菌の反応も大きく変わるんです!

具体的に言うと、アクネ菌は濃度0.3%の時と1.0%の時は0%の時と同じように増殖したものの、これが3.0%になった途端に「ほとんど増えない状態」になってしまい、かつそれ以上の濃度になると寧ろその数を減らす可能性があることがわかりました。

つまり、脂性肌や肌荒れに悩んでいる方については、この成分が3.0%以上の濃度で含まれているアイテムを使用すると、より美肌に近づける可能性が見えてきました。

しかし現実はそう甘くありません。実際に製品化するためには該当成分以外の他の成分とのバランスや相互作用も考慮しなくてはならないので、この数字がそのまま当てはまることはないのです!

この後は実際に他の成分と組み合わせた状態で同じ調査を行い、どんな配合ではどんな結果が出るのかを分析していきます。

こうした研究をもとに日々製品開発に取り組んでいます。ただ、ここに書いたものは私たちの研究のうち、ほんの一部だけ。それもずっと過去の研究であり、すでに得られた知見は開発に生かされています。

ユーザーの皆さまのご協力により、私たちのもとには良質なデータが大量に集まっています。これほどまで大量の菌と体調のデータを所持している企業は、日本どころか世界にもほぼありません。

菌に関しての世界最先端の企業。ただ製品を作るチームでなく、あくまでも世界を変えるチームとして。ここから先は誰も踏み込んだことのない領域へのチャレンジです。

少しずつではありますが、一つひとつ謎が解けるたびに皆さまへ共有してまいります。

このメディアが最先端で在り続けられるよう、これからも精進します!

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
X : @yutaka_shimo

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