【医師監修】美肌菌とは?肌への働きと増やす習慣
掲載日 | 2023.10.5
更新日 | 2023.10.5

【医師監修】美肌菌とは?肌への働きと増やす習慣

掲載日 | 2023.10.5
更新日 | 2023.10.5
うるおいに満ちてハリのある、輝くような肌。誰もが憧れますよね。

実は私たちの肌の表面には、このような美しい肌を作るうえで欠かせない「美肌菌」と呼ばれる菌がいることをご存知でしょうか?

健やかで美しい肌を保つには、この美肌菌がしっかり働き、他の常在菌が肌への悪影響を与えない環境を保つことが重要です。今回は、美肌菌の働きと、美肌菌を減らしてしまうNG習慣について、皮膚科医の先生監修にてご紹介します。

肌を美しく健康に保つ「美肌菌」とは?肌に良い理由3つ

「美肌菌」。素敵な響きですよね。
顔の肌を美しくしてくれる菌なんて、本当に存在するのでしょうか。


上記の記事「人間の体は菌だらけ?体の味方、常在菌とは」でご紹介したように、人間の体には常に多くの菌が棲んでおり、私たちは菌と共生しています。

そうした菌は皮膚にもいて、この菌たちは皮膚常在菌と呼ばれているのです。もちろん非常に小さくて目には見えません。

皮膚常在菌の中でも、人の顔の皮膚にいる菌は約20種類といわれており、そのうちのひとつ、表皮ブドウ球菌は「美肌菌」の代表的な存在です。

ではなぜ、表皮ブドウ球菌が「美肌菌」と呼ばれるのでしょうか?

1.肌の潤いを保ってくれるから

美肌菌は顔の皮脂や汗を分解し、グリセリンといった保湿成分を分泌します。

スキンケアを頑張りすぎなくても美肌菌がしっかり働いてさえいれば、この美肌菌の効果で自然に肌は潤うのです。

表皮の水分量が足りていると、ふっくらしてキメが整った肌に。毛穴も目立たず、光が乱反射して透明感のある肌に見えます。

2.肌を弱酸性に保つ

美肌菌のもう一つの大きな役割が、肌を弱酸性に保つこと。これにより、病原菌などから守るバリアの機能を担っています。

顔の肌表面のpH(酸性・中性・アルカリ性のどこに分類されるかを測る尺度)は年齢や性別、季節や時間帯でも微妙に変動しています。病原菌は中性やアルカリ性を好むものが多く、逆に酸性の環境では大きく増えることができません。

美肌菌は皮脂や汗を分解して脂肪酸を分泌、顔の肌を弱酸性に保ってくれているのです。

3.悪玉菌の増殖を抑える

他にも美肌菌は、殺菌作用を持つタンパク質のひとつ「抗菌ペプチド」を作り、悪玉菌である黄色ブドウ球菌などの増殖を防いでくれています。

お顔を病原菌から守るうえ、保湿して肌をキレイに見せてくれる。まさに美肌菌は、私たちにとって良い働きをしてくれるありがたい菌なのです。

肌の常在菌と皮膚疾患の関係

乾燥や肌荒れ、ニキビといった肌のトラブル。実はこうした皮膚疾患にも皮膚常在菌が大きく関係しています。

肌の常在菌の中でも特に大きな影響力を持っているのが、善玉菌の「表皮ブドウ球菌(美肌菌)」、増えすぎると肌トラブルの原因になる悪玉菌の「黄色ブドウ球菌」、そして状況によって良い働きも悪い働きもする「アクネ菌」の3つです。

ニキビとアクネ菌の関係

顔にできるニキビはアクネ菌が関係しています。

アクネ菌は、普段は肌を弱酸性に保つといった良い働きをしてくれます。美肌菌である表皮ブドウ球菌と同じような働きです。

しかし、皮脂や汚れで毛穴が詰まり酸素のない状況になった時、アクネ菌が過剰に繁殖して「CAMP因子」というタンパク質をつくり、炎症を起こしてニキビの発症につながります。

痒みや炎症に関わる黄色ブドウ球菌

悪玉菌の黄色ブドウ球菌も実は、一般的な常在菌の一つです。ただ、傷口などで繁殖すると病原毒素を作り出す働きが。

例えば角質層をつなぐデスモソームという糖タンパクを溶かし、角質細胞をバラバラにする毒素があります。そのため肌のキメやバリア機能を破壊し、痒みや炎症を引き起こす場合があるのです。

黄色ブドウ球菌が肌に定着することで、アトピー性皮膚炎の発症と重症化に関連しているという研究結果もあります。(※1)

では、薬などでアクネ菌や黄色ブドウ球菌の増殖を抑えてしまえば、こうした疾患は治るのでしょうか。

抗菌剤の使用などにより一時的に減ったとしても、皮膚環境が変わらなければ元に戻ってしまいます。また、抗菌剤によって良い働きをする菌まで減ってしまい、常在菌のバランスを崩して逆効果になることも。

美肌菌やアクネ菌がしっかり働き、肌を弱酸性に保っていれば、黄色ブドウ球菌のような悪玉菌や病原菌は繁殖しづらくなります。

肌を健やかに保つためには、美肌菌を減らさない生活習慣を送ることが大切です。

美肌菌を増やす方法とは”NG習慣”を避けること

私たちの肌にとって良いことづくめの「美肌菌」。そんな菌がせっかく肌にいるのであれば、その働きを最大限に活かしたいですよね。

一方で、大事にしたいはずの「美肌菌」が、普段行っている何気ない生活習慣で減ってしまうこともあります。

美肌菌を増やすことを目指すのであれば、まずはそういったNG習慣に注意していくことが大切です。

美肌菌を減らすNG習慣4つ

ごく日常的な習慣で、美肌菌のために特に意識したいのがこちらの4つです。

摩擦

美肌菌は洗顔だけでも簡単に洗い流されてしまいます。

それは菌が皮膚表面のたった0.02ミリの「角層(角質層)」に存在するためです。

メイク落としをして、さらにアルカリ性の洗顔料でごしごしダブル洗顔。こんなスキンケアを習慣にしていませんか?

い落とされた美肌菌が元の数に戻るのには半日程度かかります。洗顔の回数が多すぎると菌が回復する時間がなく、数自体が減ってしまうことも。

肌をゴシゴシ擦る洗顔は避け、ダブル洗顔などその回数にも気をつけましょう。

洗浄力の高い界面活性剤

特に気をつけたい成分が、洗浄力の高い界面活性剤や防腐剤。角質細胞の間にある細胞間脂質まで溶かしてしまう強力な界面活性剤を使用することで、角質の中にいた美肌菌も洗い流されてしまいます。(※2)

朝の洗顔は洗顔料を使わず、ぬるま湯だけでやさしく洗顔することもおすすめです。

長時間の入浴

熱いお湯での長風呂には気を付けたいところです。

長時間の入浴で肌がふやけてしまい、そこで肌をこすり洗いすれば、角質層の表面がめくれて肌のバリアが壊れてしまうことも。皮脂が失われやすくなり、角質層に棲む美肌菌が増えづらい環境になってしまうのです。

美肌菌を減らさないためには、入浴はぬるめの温度で15分位をおすすめします。

汗をかかない生活

汗をかかない生活習慣も美肌菌にとってマイナスです。それは美肌菌が汗と皮脂を栄養源に活動しているため。

慢性的な運動不足で汗腺の働きが鈍くなり、良い汗がかけなくなる人が増えています。エアコンの効いた室内ばかりで過ごさず、日常生活の中で軽く汗をかくことを心がけましょう。

眠る直前にストレッチやごく軽い筋トレを行い、少し肌表面に汗をかいた状態で眠ることも美肌菌の働きを促進します。

もし普段の生活習慣で上記に当てはまるものがあれば、それは、せっかくの美肌菌をいじめて減らすケアや生活をしているのかもしれません。

NG習慣を避け、美肌菌に優しい生活を心がけてみてくださいね。

美肌菌を意識した化粧品成分選びについて▼


「表皮ブドウ球菌」についてさらに詳しくはこちら▼

美肌菌を知り菌のチカラで美しくなる

私たちの肌に自然に棲みついている美肌菌。病原菌から守るだけでなく、潤ってキメの整った美しい肌に導いてくれます。

美肌菌のことをよく知り、その働きが弱まったり数が減ってしまったりする行動を避け、共生していきましょう。

次回の出来尾先生監修記事では、「美肌菌を育むスキンケア」について詳しくご紹介します。

【参考文献】

  1. 鈴木修一ほか. 乳児期の黄色ブドウ球菌の皮膚定着とアトピー性皮膚炎の発症. 日本アレルギー学会誌. 2009. 23巻 1号 p56-61
  2. 宮野直子. 界面活性剤の皮膚常在菌への影響. 大阪府立公衆衛生研究所報. 2009. 研究報告第47号

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
X : @yutaka_shimo

プロフィールを見る