掲載日 | 2023.01.29
更新日 | 2023.01.29

美肌菌を増やす?乳酸菌が生み出す「乳酸桿菌/豆乳発酵液」の効果とは

掲載日 | 2023.01.29
更新日 | 2023.01.29
美肌菌を整えるスキンケア…などという言葉を聞いたことはありませんか?

ここ数年、スキンケアの新しいトレンドとして「発酵」に着目した成分が注目を浴びています。
そのひとつが「乳酸桿菌/豆乳発酵液」。

でも、一体「発酵」成分と美肌菌、そしてお肌の潤いにどんな関係があるのでしょうか?

この記事では、菌が生み出すエッセンス「乳酸桿菌/豆乳発酵液」と美肌菌、スキンケアの関係について解説します。

乳酸桿菌/豆乳発酵液ってどんな成分?

乳酸桿菌/豆乳発酵液」とは、豆乳を基質(培養のエサ)に乳酸桿菌により発酵した後、ろ過して得られる液体のこと

化粧品の成分としても注目が高まっています。

乳酸桿菌/豆乳発酵液」は、ラクトバチルスという種類の乳酸菌を用いて発酵させてできた化粧品成分なのです。
でも一体なぜ、菌が生み出す成分が、肌に良いと言われているのでしょう?

その理由は乳酸菌自体の働きとも関係しています。

そもそも乳酸菌とは?

乳酸菌は乳酸を生み出す菌の総称です。

広義には、ヨーグルトなどで知られる「ビフィズス菌」も乳酸菌の一種になります。
さらに乳酸菌は、「乳酸球菌」と「乳酸桿(かん)菌」に形態学的に分けることができるのです。

例えば、乳酸桿菌としてはLactobacillus(ラクトバチルス)が有名です。さまざまな発酵食品やサプリメントなどにも応用されています。

そして実は、乳酸桿菌は私たちの体にも存在している「皮膚常在菌」のメンバーでもあるのです。

私たちの肌には「皮膚常在菌」と呼ばれる、様々な菌たちが棲んでおり、肌の潤いやバリア機能などとも深く関わっています。乳酸桿菌も、そんな多様性あふれる皮膚常在菌のひとつなのです。

美肌菌や肌の常在菌について、詳しくはこちら

乳酸桿菌/豆乳発酵液はどうやって作られるの?

乳酸桿菌/豆乳発酵液」という名前だけ見ると、どんな成分なのか少し想像しづらいかもしれません。
まず、豆乳の中に乳酸菌(ビフィズス菌を含む)のタネを植えつけます。すると直ちに発酵が始まり、乳酸菌が豆乳を分解し、さまざまな有用成分を生み出すというしくみ。

その培養したドロっとした液体をろ過すると、サラサラの液体だけになります。この液体を凝集したものが「乳酸桿菌/豆乳発酵液」なのです。

乳酸桿菌/豆乳発酵液の効果は「生産物質」が鍵を握る

乳酸桿菌/豆乳発酵液」は、まさに菌が生み出すチカラが詰まった「エッセンス」そのもの。菌が生み出した成分(乳酸菌生産物質)がたくさん含まれています。

そして菌を増やすための培地として利用する豆乳には、オリゴ糖など菌のエサになる成分がたくさん入っています。それらを食べて乳酸菌やビフィズス菌が増えるとともに、その分解物として「乳酸菌生産物質」が大量に生成されるのです。

この「乳酸菌生産物質」は菌のはたらきを説明する上で、最大のポイントになる成分。 

「乳酸菌生産物質」こそ、菌のはたらきそのものです。

例えば、腸内にも乳酸菌やビフィズス菌がたくさん住んでいて、腸の色々な働きを助けてくれています。これも実は菌体そのものが作用するのではなく、菌が生み出す成分によるものが大きいのです。

つまり、ヒトが菌の恩恵を受けられるのは、菌が生み出す成分のおかげ。

乳酸桿菌/豆乳発酵液」つまり菌のエッセンスには、菌のパワーが凝縮されているということになります。

乳酸桿菌/豆乳発酵液美肌菌を増やしてくれる

乳酸桿菌/豆乳発酵液(PS-B1)」に豊富な栄養・成分が含まれるとお伝えしましたが、それが肌の「菌」に作用することはあまり知られていません。

これは昨今スキンケア業界で注目されている「美肌菌」のこと。
まず、お肌の表面には目には見えないけれど、たくさんの「常在菌」と呼ばれる菌たちが生きているのです。そしてその菌たちの中には、それ自体が肌の潤いやバリアに関わる成分を作り出す良い菌もいます。

その良い菌の代表・「表皮ブドウ球菌」のことが一般的に「美肌菌」と呼ばれています。美肌菌自体が肌の潤いに必要な成分を作るため、美肌菌が多い肌ほど潤った肌でいられると考えられるのですね。

そしてそんな美肌菌が、乳酸桿菌/豆乳発酵液の使用によっても増えるといったことがわかってきています。

美肌菌や肌の常在菌のキホンについてはこちら▼

乳酸桿菌/豆乳発酵液美肌菌を増やすしくみ

ある研究では、乳酸桿菌/豆乳発酵液を含む基礎化粧品を4週間続けて使用したところ、被験者に以下のような変化が見られたというデータがあります。(※1)

  • 美肌菌数が平均値レベルで臨床試験前の3.8倍に増加
  • 肌水分量も1.2倍に増加

このような変化が見られた被験者は、個人的な体感としても「保湿感が増した、ハリが増した」「シミが改善された」といった感想を述べていたそうです。(※1)

このようなデータからも、乳酸桿菌/豆乳発酵液の入ったスキンケアアイテムを使い続けることで美肌菌を増やし、結果的に肌の潤いやツヤをアップすることつながると考えられるのです。

乳酸桿菌/豆乳発酵液は美肌菌を増やす以外にもキレイ効果が

乳酸桿菌/豆乳発酵液は美肌菌を増やし肌の潤いに影響するというデータが見られましたが、それだけではありません。お肌の美しさを力強くサポートしてくれる様々なはたらきがあるのです。

そのメカニズムは主に次の3つです。

・アミノ酸による保湿効果

・弱酸性のケア

・お肌に必要な成分を補う

これらの効果は、菌が持つチカラのおかげです。それぞれを詳しくご紹介しましょう。

乳酸桿菌/豆乳発酵液に含まれる成分は数百種類

菌が生み出す成分には、非常にバリエーション豊かな成分が含まれています。

まず、乳酸菌やビフィズス菌が生み出す成分といえば、乳酸や短鎖脂肪酸。
短鎖脂肪酸といっても様々な種類があります。

そして「乳酸桿菌/豆乳発酵液」のように複数の菌を使って発酵させた場合には、もっとバリエーションが豊かに。例えば「乳酸桿菌/豆乳発酵液(PS-B1)」は、数100種類の中から厳選した21種類の乳酸菌に、国産有機大豆から作られた「オリジナル豆乳」をあたえて作られた素材です。

この「PS-B1」には、なんと400種類を超える栄養・成分が含まれています。 

その400種類とはどんな成分なのかというと、

・アミノ酸:20種類

・有機酸関連産物:8種類

・酸に関連する中間代謝産物:21種類

・ビタミン(ビタミンB群、ビタミンEなど:5種類

・ビタミン関連の中間代謝産物(ニコチン酸、カルニチンなど):6種類

・ポリフェノール(ケルセチン、ダイゼインなど):10種類

・脂肪酸関連の中間代謝産物(グリセロール、ラウリン酸など):8種類

・核酸:11種類

・ペプチド:181種類 

・脂肪酸(乳酸などの短鎖脂肪酸、パルミチン酸などの長鎖脂肪酸):6種類

このような豊富な成分の中で、特に注目したいのが以下にご紹介する「アミノ酸」です。

「お肌の材料」と「うるおいのモト」であるアミノ酸が豊富

乳酸桿菌/豆乳発酵液には、20種類ものアミノ酸が含まれています。

アミノ酸といえば、お肌の構成成分として欠かせない存在。

ヒトの細胞を作る原料にアミノ酸は必須です。例えばケラチン繊維などの皮膚細胞には欠かすことができません。

さらに、角層の水分を逃さないように保持する役目をもつ天然保湿因子(NMF)の約半分はアミノ酸でできています。

つまり、アミノ酸はお肌の原料であり、お肌のうるおいを作りだすモト。

 菌が生み出すエッセンスにはお肌が喜ぶアミノ酸が豊富に含まれています。

弱酸性のスキンケア

本来、健康なお肌の表面は弱酸性です。そして、乳酸桿菌/豆乳発酵液も弱酸性。

これは美肌菌やアクネ菌などの常在菌が活躍してくれているから。美肌菌やアクネ菌が酸を生み出すことでお肌は弱酸性を保ち、悪い菌の繁殖を防いでくれています。

例えば、アルカリ性の石鹸で洗顔や身体を洗った後も、健康なお肌であれば速やかに回復する力があります。これも美肌菌やアクネ菌の働きのおかげです。

しかし、洗い過ぎなどで菌のバランスが乱れた肌では、pHの回復力も落ちてしまいます。お肌がアルカリ性に傾くと、黄色ブドウ球菌などの悪い菌が増えやすい環境に。その結果、皮膚トラブルの原因にもなりえます。

健康な肌を保つには、美肌菌やアクネ菌の存在が欠かせません。
そのためには、彼らがよろこぶ潤いのある、整ったお肌を保つことが大切。

弱酸性のアイテムを取り入れたスキンケアを取り入れ、美肌菌にとって優しい環境を意識してあげましょう。

お肌に必要な成分を補う

乳酸桿菌/豆乳発酵液にはアミノ酸以外にもビタミンやペプチドなど、お肌にとってもともと必要な栄養が含まれていて、お肌をすこやかに整えてくれます。

乾燥によるダメージに負けないよう、みずみずしく整ったお肌へと導いてくれるのです。

ヒト臨床試験により効果は実証ずみ 

菌が生み出すエッセンス「乳酸桿菌/豆乳発酵液」の効果については、ヒトでの臨床試験でお肌に対する効果が確認されています。

生産物質「PS-B1」を配合した化粧品を使った臨床試験にて、皮膚への塗布によって潤いを補う効果があることがわかりました。

このように、菌が生み出すエッセンスである乳酸桿菌/豆乳発酵液が、お肌を整えて、うるおいを補う効果があることは、科学的にも実証されているのです。

乳酸桿菌/豆乳発酵液で美肌菌ケアを取り入れ潤い肌に

数百種類以上もの成分が豊富に含まれ、美肌菌を増やす研究結果もわかってきている乳酸桿菌/豆乳発酵液。さらに世界中で研究が進むことで、お肌に対する優れた効果が今後も明らかになってくることでしょう。

揺らがない真の美しさを手に入れるには、まずはお肌にとって良い菌が、棲みやすい環境を整えることがスタート地点です。 

私たち誰もが持っている「菌のチカラ」。

もともと備わっているチカラを最大限に引き出すことができれば、もっとあなたのお肌も美しく、健やかになれるはず。

菌にやさしいスキンケアをあなたもぜひ始めてみてくださいね。

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
X : @yutaka_shimo

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