掲載日 | 2024.02.27
更新日 | 2024.02.27

重要なのは保湿じゃない!乾燥肌に本当に必要なスキンケア方法とは

掲載日 | 2024.02.27
更新日 | 2024.02.27
朝しっかりスキンケアをして保湿をしても、時間が経つとお肌が乾燥してしまう。そんな風にお悩みではないですか。
お肌が乾燥すると、痒みや赤みが出たり、皮むけが起きたり、メイクが崩れたりと、色々なトラブルを招いてしまいます。

気を付けているのに、なかなか乾燥肌が治らない。たくさん保湿しているのにまたすぐに乾燥してしまう。そんなお悩みを根本的に解決すべく、乾燥肌が起きるメカニズムや、保湿に頼らない乾燥肌の改善方法をご紹介していきます。

乾燥肌のよくあるお悩み

乾燥肌さんに多いよくある悩みとしては下記のようなものが挙げられます。

しっかりクリームを塗っているのに乾燥する

しっかりクリームを塗っているのに乾燥する

乾燥肌に悩む多くの人が経験する一つの大きな問題は、保湿クリームを丁寧に塗っても時間が経つと肌が再び乾燥してしまうことです。この現象は、肌の保湿機能が低下していることが原因になっている可能性があります。肌の保湿機能が正常に働かないと、外部からの保湿剤が一時的に肌の表面を潤すものの、肌内部の水分保持能力が低いため、時間が経つにつれて水分が蒸発しやすくなります。

朝スキンケアをした時はしっかり保湿されているのに、時間が経つと乾燥してしまう。特にメイクをしている時は上から保湿が難しかったり、外出中にどんどん乾燥するとなかなかメイク直しもできず、ストレスになってしまいます。

保湿したいけどベタベタするのは嫌

保湿したいけどベタベタするのは嫌

乾燥肌のケアで保湿は欠かせないステップですが、「ベタベタ感」による不快感は多くの人が抱える問題です。特に、ベタつきが原因で髪の毛が顔に張り付いたり、メイクのノリが悪くなったりすることは、日常生活において大きな悩みとなります。このベタベタ感は、保湿剤が肌に十分に吸収されず表面に残ることで起こり、外出時や急いでいる朝などでは特に困りものです。

しかし、保湿を軽くしてしまうと、時間が経つと乾燥してしまい、痒みや赤みが出たりメイクがヨレる原因になってしまいます。保湿したいけど、クリームやオイルのベタベタ感は嫌、というのは、乾燥肌さんに多い悩みになっています。

保湿重視するとメイクが乗りにくい

保湿重視するとメイクが乗りにくい

乾燥肌の方が日常的に直面する問題の一つに、保湿を重視したスキンケアを行うことでメイクのノリが悪くなるという点があります。

肌の乾燥を防ぐためには十分な保湿が必要不可欠ですが、肌に保湿クリームやセラムをたっぷりと塗ることで、肌表面が滑らかになり過ぎ、ファンデーションやパウダーが肌に定着しにくくなることがあります。
これは、保湿剤が肌に残ることで、メイク用品の粉末が肌表面にうまく密着せず、結果として均一でないメイク仕上がりや、時間が経つと崩れやすくなるという問題が生じます。

また、保湿剤に含まれる油分によって、お肌の表面がベタベタすると、その後の下地やファンデーションが浮いてしまい、メイクが乗りにくいということが起きてしまいます。

化粧水スプレーをこまめにかけても乾燥する

化粧水スプレーをこまめにかけても乾燥する

乾燥肌の方の中には、外出中のお肌の保湿のために、化粧水スプレーを持ち歩いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。メイクの上からの保湿は、クリームやオイルは難しいので、化粧水スプレーが使いやすいですよね。
しかし、化粧水スプレーを頻繁に使用してもまたすぐに乾燥してしまう、というのもよくあるお悩みです。

この問題の背後には、肌の深層部までの保湿が不十分であることがあります。表面に水分を与えることは一時的な潤いをもたらすかもしれませんが、それが肌の内部に留まり、長期的な保湿効果を提供するとは限りません。実際、スプレーの水分が蒸発する際に、肌の自然な水分も一緒に奪ってしまう可能性があり、結果的に乾燥をさらに悪化させることがあります。

乾燥肌が起きる原因

乾燥肌が起きる原因

乾燥肌は、そもそもどうやって起きているのでしょうか。

角質層が弱くなっている

角質層のバリア機能が弱まっている状態では、肌の水分保持能力が著しく低下します。角質層は肌の最も外側を構成する部分で、健康な肌では細胞間脂質(主にセラミド、コレステロール、脂肪酸から構成)角質細胞(死んだ皮膚細胞)が密接に重なり合い、肌を外部環境から保護する壁のような役割を果たしています。この「壁」は、肌の内部の水分が蒸発するのを防ぎ、外部からの有害物質や細菌の侵入を阻止することで、肌の健康を維持します。

しかし、角質層のバリア機能が何らかの原因(過度な洗顔、刺激的なスキンケア製品の使用、乾燥した気候や環境など)によって弱まると、この保護壁が損傷を受けます。損傷を受けた角質層は、水分を適切に保持する能力を失い、肌内部の水分が外部に蒸発しやすくなります。この水分蒸発は、トランスエピダーマルウォーターロス(TEWL)と呼ばれ、肌の乾燥を引き起こす主要な要因の一つです。

この状態で保湿剤を使用しても、角質層の損傷されたバリア機能は一時的にしか水分を閉じ込めることができません。表面に保湿剤を塗ることで肌が一時的に潤うかもしれませんが、根本的な問題であるバリア機能の損傷が修復されなければ、内部の水分は引き続き失われてしまいます。その結果、肌は再び乾燥状態に戻り、いくら保湿しても持続的な潤いを実感することは難しくなります。

美肌菌が弱くなっている

美肌菌は、セラミドや脂肪酸などの保湿成分の生成をサポートする重要な役割を持っています。セラミドは肌の角質層に存在する脂質の一種で、肌のバリア機能を保ち、水分の蒸発を防ぐことで肌を潤いで保つのに役立ちます。脂肪酸もまた、肌の柔軟性を保ち、外部からの刺激物質の侵入を防ぐことによって肌の健康をサポートします。

美肌菌の活動が低下すると、これら保湿成分の生成が十分に行われなくなり、肌のバリア機能が弱まります。バリア機能が低下すると、肌の水分保持能力が落ち、外部環境からの刺激に対する抵抗力も弱まります。結果として、肌は乾燥しやすくなり、乾燥による肌トラブルのリスクが高まります。

乾燥肌に必要なのは保湿じゃない!

乾燥肌に必要なのは保湿じゃない!

乾燥肌を根本的に改善したい時、実は大切なのは保湿をすることではありません。

角質層を整える

乾燥肌を根本的に改善するためには、角質層の健全な状態を保つことが非常に重要です。角質層は肌の最外層を構成する部分で、水分の蒸発を防ぎ、外部からの刺激物質や有害な微生物の侵入を阻止するバリア機能を担っています。このバリア機能が正常に機能するためには、角質層を構成する細胞が適切に成熟し、整然と並ぶことが必要です。

しかし、洗顔で必要以上に肌を刺激すると、このサイクルが早まり、細胞が十分に成熟する前に表面に押し出されることになります。その結果、未熟な細胞で構成された脆弱な角質層が形成され、本来のバリア機能を果たすことができなくなります。

未熟な角質層は、水分を保持する能力が低く、外部からの刺激にも弱いため、肌の乾燥や敏感さを引き起こしやすくなります。このような状態の肌では、保湿剤を使用しても、水分がすぐに蒸発してしまい、持続的な保湿効果を得ることが難しくなります。

乾燥肌を根本的に治すためには、肌のターンオーバーを正常に保ち、健全な角質層を維持することが大切です。角質層が整うことで、肌は自らを保護し、適切な水分量を保持する能力を取り戻すことができます。これにより、乾燥肌の問題を根本から解決し、健康的で潤いのある肌を維持することが可能になります。

たんぱく質を分解する洗浄剤は控える

クレンジングや洗顔製品に含まれる成分の中には、強力なたんぱく質分解作用を持つものがあります。これらの成分は、汚れやメイクアップの残りを効果的に除去するために使用されますが、その作用は時に必要な皮膚の成分にも影響を及ぼすことがあります。特に、肌の最外層である角質層に含まれるたんぱく質に対して、これらの強力な成分は過剰な分解作用を示すことがあります。

角質層は、肌を外部の刺激から保護し、水分の蒸発を防ぐ重要なバリア機能を持っています。肌の柔軟性や水分保持能力を維持するためには、この層のたんぱく質が適切なバランスで存在することが重要です。しかし、たんぱく質を分解する強い成分が含まれるクレンジングや洗顔製品を使用することで、このバランスが崩れ、必要な角質層まで分解され、洗い流されてしまうリスクがあります

脱脂力の強いクレンジングを控える

脱脂力の強いクレンジングや洗顔製品の使用は、肌の自然な保護層を損なうことに繋がり、美肌菌の活動にも影響を及ぼします。美肌菌は、皮脂をエサとし、肌の保湿やバリア機能の維持に必要なグリセリンや脂肪酸を生成することで、肌の健康をサポートしています。

しかし、脱脂力の強い製品を使用することで、この重要な皮脂が過剰に洗い流されてしまい、美肌菌が十分な栄養を得られなくなる可能性があります。皮脂が不足すると、美肌菌は肌を保湿し、健康に保つための成分を十分に生成できなくなります。

この不均衡は、肌の乾燥を引き起こしやすくなり、乾燥した肌は細かい線やしわの形成、かゆみや赤みなどの刺激感へとつながります。さらに、肌のバリア機能が弱まることで、外部からの刺激や有害物質が侵入しやすくなり、肌トラブルのリスクが高まります。

美肌菌を育てる

美肌菌は、肌表面に生息する有益な微生物の総称であり、健康な肌環境の維持に不可欠な役割を果たしています。これらの微生物は、皮脂や汗といった自然な分泌物を栄養源とし、その過程でグリセリンや脂肪酸などの保湿成分を生成します。これらの成分は、肌の保湿に重要であり、肌の柔軟性を保ち、乾燥を防ぐために必要です。

根本的に乾燥肌を改善するためには、この美肌菌を育てることが大切です。保湿剤を外から塗るより、肌本来の保湿力を取り戻すことで、乾燥しにくい、水分量の高い肌を作り上げることができます。

美肌菌を洗い流さない

乾燥肌を改善し、美肌菌を守るためには、洗浄力が強すぎる成分を含むクレンジングや洗顔料の使用を控えることが大切です。洗浄力が強い成分には、例えば、硫酸ラウレス(SLS)や硫酸ラウリル(SLES)などの強力な界面活性剤があります。これらは泡立ちが良く、汚れを効果的に取り除くことができますが、肌の必要な油分や美肌菌まで洗い流してしまうことがあります。
界面活性剤についてはこちら

また、石油由来のオイルをベースにしたクレンジングは、脱脂力が強く、美肌菌のエサも洗い流してしまいます。美肌菌を活性化させるためにも、植物性オイルをベースにしたクレンジングで、お肌を優しく洗うのがおすすめです。

美肌菌を育てる成分を取り入れる

美肌菌をできるだけ洗い流さないようにしたら、次は美肌菌を育てて元気にすることも意識して見ましょう。美肌菌を育てる成分には、例えば乳酸桿菌や豆乳発酵液、コメ発酵液などがあります。

そういったお肌にいい成分を取り入れることで、お肌自体が元気になり、しっかりと保湿力をキープしてくれるので、乾燥肌を改善することができます。

また、スキンケア製品に入っている界面活性剤は、お肌への浸透力をよくしたりする効果がありますが、美肌菌にとっては負担になってしまうこともあります。一時的にお肌の調子がよくなったような気がしても、だんだんとまた乾燥がひどくなったり、肌荒れするようでしたら、一度界面活性剤が入っていないか確認してみるのもおすすめです。

界面活性剤やエタノール、合成香料などの成分が入っていないスキンケア製品を選ぶことで、美肌菌の邪魔をせず、長い目で見たらお肌の保水力がアップしていきます。

根本的な改善はメリットがたくさん!

根本的な改善はメリットがたくさん!

単純な保湿に頼ったスキンケアではなく、根本的に乾燥肌を改善していくことはメリットがたくさんあります。

ベタベタになるまで保湿しなくていい

1つ目は、ベタベタになるまで保湿をしなくていい、ということが挙げられます。

乾燥がひどいと、保湿しても時間が経てばまた乾燥してしまうため、スキンケアの時にたくさん保湿剤を塗ることになりやすいです。クリームやオイルなど、お肌がベタベタになるまで保湿することは、一見乾燥肌にとって必要な工程に見えますが、やはりお肌がベタベタするのを不快に感じる方も多いですよね。髪の毛やホコリがお肌についたりと、衛生面でもあまりいいとは言えません

乾燥肌を根本的に改善していけば、保湿は最低限で済むようになるので、お肌への負担も減らすことができます。

乾燥によるメイク崩れが起きにくい

乾燥肌の方の多くは、メイク直後はお肌も潤っていてメイクもキレイですが、時間が経つほど乾燥してメイク崩れが起きるということに悩んでいるのではないでしょうか。乾燥によるメイク崩れは、上から保湿剤を塗ったりしにくく、外出先に保湿剤やメイク直しを持ち歩いて行かなければならないのは、意外とストレスになりますよね。また、乾燥からお肌が赤くなったり皮がむけたりすると、見た目としてもあまりきれいな状態とは言えません。

乾燥肌が根本的に改善すれば、時間が経っても乾燥しにくくなるので、メイク崩れも起きにくくなります。長時間外出する時や、会社やバイト先でエアコンが強く乾燥する、という時でも、お肌の潤いがキープしやすくなるのでお肌の悩みがかなり減ります

シンプルなスキンケアでいいのでメイク乗りも◎

乾燥肌が悩みで保湿剤をたくさんつけなければならない時、その後のメイクのノリが悪くなってしまいますよね。ベタベタになるまで保湿していると、ファンデーションはヨレやすくなりますし、お肌の上に油分が多くあると、その後のメイク用品が密着しにくくなります。

しかし、乾燥肌が改善すれば、スキンケアはシンプルにできるので、メイクのノリもよくなります。ファンデーションやコンシーラーを薄付きで済ませることができれば、メイク崩れも起きにくくなるので、色々なストレスを軽減することができます。

乾燥肌の原因を知ってしっかり治そう

燥肌の原因を知ってしっかり治そう

乾燥肌を治すには、たくさん保湿するのではなく、お肌の潤い成分を作り出す美肌菌を育てることが大切です。何気なく使っているクレンジングや洗顔、スキンケア製品に、もしかしたら美肌菌を殺してしまう界面活性剤などが入っているかもしれません。気になった方は、一度使っている化粧品を確認してみましょう。

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
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