コンビニでも買える身近な食べ物でインフルエンザ予防!
今すぐできる感染対策
しっかりワクチン(予防接種)を受けていたのにも関わらず、インフルエンザに感染してしまったという経験はありませんか?
インフルエンザにかかりやすい人とかかりにくい人、そしてワクチンの効果が高い人とそうでない人の違い。
実は、そこには免疫が深く関係しています。
この記事では、インフルエンザの感染を防ぐために効果的な食べ物や予防法、ワクチン効果アップの秘訣について詳しく解説します。
インフルエンザ大流行の原因|2023年の異常値
毎年秋ごろから徐々に感染者数が増え始めるインフルエンザですが、厚生労働省の報告によると2023年は8月頃から感染者が増え始め、10月の時点では既に28万2千人超が新たに感染したことが分かっています。
インフルエンザ感染者数|2022年と2023年の比較
前年の2022年10月時点では、感染者の合計数は424人でした。(1週目:68人、2週目:97人、3週目:106人、4週目:153人の合計数)
インフルエンザ流行ピーク前の時期にも関わらず、前年と比べて665倍という異常値とも言える非常に多い感染者数を記録した、今季のインフルエンザ大流行。
例年、インフルエンザは1月から3月にピークを迎えます。これまで以上の感染者数が予想される今後に備えるべく、まずはこの大流行の原因となる背景から見ていきましょう。
インフルエンザ大流行の原因①コロナ期間中とのギャップ
これほど爆発的なインフルエンザ大流行を引き起こした原因のひとつとしては、コロナ期間中とのギャップが挙げられます。
日本で新型コロナウイルスが確認された2020年3月頃から、私たちを取り巻く環境や習慣は大きく変わりました。
不要不急の外出を控えるステイ・ホームが推奨され、外出時にはマスクをし、こまめな手洗い・うがいの徹底。
さらに、街中や店舗のいたるところに設置された消毒液で手指を消毒するなど、これまでにないほど感染対策が強化されました。
しかし、新型コロナウイルスが5類感染症に移行された2023年5月以降は、これまで強化されていた感染対策が緩和されることに。
このギャップこそ、コロナ禍の万全な感染対策中はつけ入る隙を与えられていなかったインフルエンザが一気に感染を拡大していった原因の一つであると考えられています。
インフルエンザ大流行の原因②集団免疫の低下
集団免疫とは、ある集団内で人口の一定割合以上の人が免疫を持っていることによって、感染患者が出ても他の人に感染しにくくなり、感染症の広がりが制御されて感染拡大が防がれる状態を指します。
例年では多くの人がインフルエンザに感染して免疫を持つ人が増え、一定の集団免疫が維持されています。
しかし、2021年、22年と2シーズンにわたってインフルエンザの流行がほとんど起きなかったことで、インフルエンザに対する免疫を持つ人が減り、結果的に集団免疫の低下によるインフルエンザの大流行が引き起こされたと考えられています。
インフルエンザ大流行の原因③インバウンドの増加
インバウンドとは、外国人が日本に訪れてくる旅行のこと。
コロナウイルスによる規制が緩和されたことで、この数年でインバウンドが大幅に増加しました。それに伴って、海外由来のインフルエンザ感染例も増えていることが指摘されています。
例年は感染者数が少ない夏から秋に感染者が増え始めたわけ
インフルエンザは1年中どの季節でも感染する可能性があるものの、一般的に流行するのは冬です。
日本が位置する北半球で流行するインフルエンザは、冬が始まる11月頃から感染者が増え始めて1月から2月にピークを迎え、3月以降徐々に減っていくという特徴があります。
これに対して南半球は、6月から9月が冬にあたるため、その期間にインフルエンザが流行するという特徴があります。
例年は感染者数が少ないはずの夏から秋にかけて日本で感染者が増え始めた理由の一つとして、インバウンドの増加によって南半球由来のインフルエンザが流入したことが考えられています。
インフルエンザ予防の鍵は免疫
環境や習慣の変化によって思わぬ隙が生まれたり、季節外れのインフルエンザが流行することもある昨今、感染から身を守るために強化したいのが、免疫です。
免疫とは、体がウイルスや細菌などの病気を引き起こす病原体に対抗するための仕組みのことです。これは、体を守るために働く防御システムで、異物や異常な細胞と戦う役割があります。つまり、免疫は体を守るための体の警備隊のようなもの。
ここからは、免疫の老化を防いで強化する方法を学んでいきましょう。
自然免疫と獲得免疫
免疫は、自然免疫と獲得免疫の2種類に分類されます。
自然免疫
自然免疫とは、体が生まれつき持っている基本的な防御システムで、病原体や異常な細胞に対して即座に反応する第一線の警備隊として機能します。先天的に備わっていることから、自然免疫は先天免疫とも呼ばれます。
学習と記憶の機能を持つ獲得免疫が初めてのウイルスに対しては反応が遅れるのに対し、初めてのウイルスに対してもスピーディーに反応・防御するのが自然免疫です。
獲得免疫
獲得免疫とは、体が特定の病原体に対して学習し、対抗するための防御システムです。
例えば、インフルエンザに感染したことがある人は、そのウイルスに対する免疫を獲得している可能性があります。また、ワクチンを受けることで体が病原体の一部を模倣して学習し、対抗する免疫を身につけることができるとされています。
このように、先天的に備わっているものではないものの、感染による経験やワクチン接種によって後天的に獲得できる免疫が獲得免疫です。
年齢によるワクチン効果の違い
インフルエンザウイルスは常に早いペースで変異しているため、ワクチンの成分組成が流行中のウイルスと十分に一致していない場合は、ワクチンの効果が低下する可能性があります。
しかし、ウイルスと十分に一致しているワクチンを打っていても、人それぞれの免疫応答(免疫細胞が有害なものに対抗すること)には個人差があるため、十分なワクチンの効果が得られない場合があるのです。
実は、免疫も老化することが分かっており、特に高齢者や免疫機能が低下している人は、健康な若者と比較して充分なワクチンの効果が得られないことが研究によって示唆されています。
インフルエンザ予防
免疫力を高め、ワクチン効果をUP
そのためには、腸内環境へのアプローチが重要なポイントになってきます。
実は、腸には免疫機能の約60〜70%が集まっており、腸は最大の免疫器官。
腸に集まった免疫細胞は腸管免疫と呼ばれ、病原体やがん細胞などの有害物質を退治する役割を担っています。
腸内に棲む腸内細菌のバランスがよいと、免疫細胞が活性化されて病原体を退治する抗体が効率よく生み出されるようになり、免疫の機能も活発に働くようになります。
つまり、腸内環境と免疫力は密接に関係しているのです。
インフルエンザ予防|ワクチン効果をUPさせる菌
腸内環境のバランスを整えることで免疫力を上げ、ワクチンの効果を高める菌として期待されているのが、ビフィドバクテリウム・アニマリス・ラクティスBB-12株です。
ビフィドバクテリウム・アニマリス・ラクティスBB-12株は、ビフィズス菌の一種。
整腸・免疫老化に対処する効果の他、乳幼児のアトピー性皮膚炎の症状緩和作用なども報告されています。
コンビニやスーパーで買える!ワクチン効果UPが期待できる商品3選
ワクチンの効果UPが期待できるビフィズス菌(ビフィドバクテリウム・アニマリス・ラクティスBB-12株)が含まれている商品を3つご紹介します。
コンビニやスーパーなどで手軽に購入できるので、ぜひチェックしてみてくださいね。
①富士フィルムのサプリ
②セブンイレブンのヨーグルト
③カゴメの乳製品飲料
iHerbで買える!ワクチン効果UPが期待できる商品
③カゴメの乳製品飲料
iHerbで買える!ワクチン効果UPが期待できる商品
免疫力を上げてワクチンの効果を高めることが期待できる菌として、ラクトバチルス・パラカゼイ431株もおすすめです。
こちらは乳酸菌の一種で、デンマークのバイオテクノロジー企業であるクリスチャン・ハンセン社の菌株。
ラクトバチルス・パラカゼイ431株は、成人の免疫系はもちろん、小児消化器系・消化器系の健康にも役立つと考えられています。
このラクトバチルス・パラカゼイ431株と、前項でご紹介したビフィズス菌の一種であるビフィドバクテリウム・アニマリス・ラクティスBB-12株の両方が含まれるサプリメントはiHerbで購入することができます。
iHerbは、自然由来のオーガニック商品などを幅広く取り扱うECサイトで、サプリメントをはじめ美容グッズ・食品などが豊富に取り揃えられています。こちらもぜひチェックしてみてください。
Solgar Advanced Multi-Billion Dophilus
ワクチン効果をUPさせるために効果的な菌摂取のタイミング
ご紹介した商品で菌を摂り入れるタイミングによっても、ワクチンの効果をさらに高めることが期待できます。
おすすめは、ワクチンを接種する6週間前から継続すること。
インフルエンザウイルスに有効とされる抗体(免疫グロブリン)には「IgG」と「IgA」があり、これらはサイトカインという免疫細胞から分泌されるタンパク質と連携して免疫応答を調整し、感染症から体を守るバリア機能の役割を果たしています。
ご紹介した商品はインフルエンザウイルスに有効とされる抗体「IgG」と「IgA」を作り出し、サイトカインの分泌をサポートするのに効果的と言えますが、これらを摂取したからといってすぐに免疫力とワクチンの効果が高まるわけではありません。
腸内環境の改善は1日にしてならず。ワクチン接種の6週間前くらいから継続して摂り入れることによって、腸内細菌のバランスを整え、じっくり体質ごとバリア機能を高めておくことが大切なのです。
インフルエンザ予防|自然免疫を上げる
自然免疫は、生まれつき備わっている基本的な防御システムで、初めてのウイルスに対してもスピーディーに反応・防御する、いわば第一線の警備隊。
ここからは、最前線でウイルスを撃退してくれる自然免疫を強化するために効果的な栄養素や食べ物についてご紹介します。
ビタミンD3
コロナ以降、リモートワークが主流化して外出の機会が減ったり、美容の観点から紫外線を避けるため日に当たる機会が減った人が多い中、そうした人たちの深刻なビタミンD不足が指摘されています。
ビタミンDは、腸管からカルシウムやリンなどのミネラルが吸収されるのを助ける他、免疫細胞の活性化や免疫反応の調節にも影響を与えると考えられています。
アメリカの研究によると、ビタミンDの中でも特にビタミンD3(ビタミンD3 5000IU)は免疫力の向上をサポートすることでインフルエンザ予防に効果的であることが分かっており、積極的に摂るべき栄養素と言えるでしょう。
ビタミンDは日光浴によっても作られることが分かっていますが、日光に当たる機会の少ない人は、食事やサプリメントによって補うことをおすすめします。
ビタミンDが含まれる食べ物
野菜や果物に多く含まれているイメージがあるビタミンですが、実はビタミンDは野菜や穀物、豆、イモ類にはほとんど含まれていません。
ビタミンDが多く含まれているのは、主に魚類やキノコ類です。
・きくらげ
・サケ
・サンマ
・カツオ
・いわし
・干しシイタケ(生より天日干ししたものが良い)
・卵(卵黄)
血中のビタミンDを増やす効果があるサプリメント
乳酸菌の一種であるラクトバチルス・ロイテリNCIMB30242株を摂取し、腸内環境にアプローチすることによって、血中のビタミンDが25%増加したというデータが論文で発表されています。
キノコや魚が苦手、という方は、ラクトバチルス・ロイテリNCIMB30242株をはじめとした乳酸菌が含まれたサプリメントを活用するのも良いでしょう。
緑茶
日本人にとって身近な飲み物である緑茶も、インフルエンザ予防に効果的な飲み物です。
緑茶に含まれる渋み成分であるカテキンは、強力な抗菌作用と抗酸化作用を持ち、免疫を高めるビタミンCも豊富。
最新の研究によって、緑茶に含まれるカテキンの一種であるエピガロカテキンガレート(EGCg)が型に関係なくインフルエンザウイルス感染予防に有効であることが確認されました。
飲んでもよし、うがいに使用してもよしの緑茶。日頃の食事や飲み物に取り入れると心強いですね。
インフルエンザ予防は内側からのケアを心がけて
インフルエンザの感染を防ぎ、ワクチンの効果を高めるためには免疫力を上げる内側からのケアが大切であることについてお伝えしました。
もちろん、うがい手洗いや栄養バランスを考えた食事、十分な睡眠、加湿器などを使って適切な湿度を保つなど、日常の習慣はとても大切です。
しかし、気をつけていたのに感染してしまった、を防ぐためには、それらに加えて免疫力を上げるためのインナーケアこそ重要です。
また、免疫力の強化は単なる感染予防だけでなく、老化防止など総合的な健康維持や美容にも繋がります。
ご紹介した内容をぜひ参考にして、習慣化してみてくださいね。
インフルエンザを予防しながら、美しく健やかな毎日を目指しましょう。
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【前編】【インフルエンザ】が異例の爆増?今すぐできる感染対策・予防法を解説します
【後編】 インフルエンザ予防に「ヨーグルトと緑茶」が効果的?!免疫の老化を防ぐ食べ物・予防法を解説します
【参考文献】
・【2023年10月時点で昨年比665倍】
厚生労働省 インフルエンザの発生状況 報道発表資料: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou.html
・【2019年10月を参考に1週間で約4000人】
厚生労働省 インフルエンザの発生状況 報道発表資料: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou.html
・【新型コロナウイルスは5類に移行】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る新型インフルエンザ等感染症から 5 類感染症への移行について (厚生労働省、令和5年4月27日):https://www.mhlw.go.jp/content/001091810.pdf
・【2006年 アメリカにおけるインフルエンザワクチン効果の研究 若い人70~98%、高齢者17~53%】
Goodwin K, Viboud C, Simonsen L. Antibody response to influenza vaccination in the elderly: a quantitative review. Vaccine. 2006 Feb 20;24(8):1159-69. doi: 10.1016/j.vaccine.2005.08.105. Epub 2005 Sep 19.
・【2022年 アメリカの研究 ビタミンD3はインフルエンザ予防に効果的】
Zhu Z, Zhu X, Gu L, Zhan Y, Chen L, Li X. Association Between Vitamin D and Influenza: Meta-Analysis and Systematic Review of Randomized Controlled Trials. Front Nutr. 2022 Jan 7;8:799709. doi: 10.3389/fnut.2021.799709.
・【腸内環境にアプローチすることで血中のビタミンDが25%増加。ラクトバチルス・ロイテリNCIMB30242株】
Jones ML, Martoni CJ, Prakash S. Oral supplementation with probiotic L. reuteri NCIMB 30242 increases mean circulating 25-hydroxyvitamin D: a post hoc analysis of a randomized controlled trial. J Clin Endocrinol Metab. 2013 Jul;98(7):2944-51. doi: 10.1210/jc.2012-4262. Epub 2013 Apr 22.
記事の監修
岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。
INSTAGRAM : @yutaka411985 , @yourkins_official
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