掲載日 | 2023.07.02
更新日 | 2023.07.02

【腸内フローラとは】脳への影響や整え方

掲載日 | 2023.07.02
更新日 | 2023.07.02
私たちは生きるために、日々いろいろなものを食べています。
その食べ物の栄養を吸収する重要な役目を担っているのが、腸。もし腸がなければ、私たちは食べたものを、明日を生きるエネルギーへと変換できません。

しかしあまり知られていませんが、実は腸のはたらきは栄養を吸収することだけに収まりません。

腸は体中の様々な機能と密接に関わっています。そしてその要素のひとつであるのが、腸の中にいる腸内細菌
その腸内細菌の集まりが「腸内フローラ」と呼ばれています。

未知の多い腸内フローラの働き、私達の健康や美容に関わる仕組みを解説します。

「人体最大の免疫器官」や「第二の脳」と呼ばれる腸

「人体最大の免疫器官」や「第二の脳」と呼ばれる腸

人の持つ約7割の免疫細胞は腸が保持していたり、脳の指令なしで自立して活動できたりと他の臓器にはない様々な役割が腸には備わっています。

そんなことから、腸は「人体最大の免疫器官」や「第二の脳」といった別名を持っています。

そして腸の状態は身体全体の健康にも関わってくるとご存じでしょうか。
例えば、「肌は腸の鏡」という言葉があります。これは、腸内環境が巡り巡って、実は肌の状態にも影響を与えるため。
腸内環境を整えることは、美しい肌を取り戻すことにもつながるのです。

また、腸は人体でもっとも多くの菌を抱えている器官でもあります。そんな腸内に住む菌たちのバランスも、肌をはじめとする全身の状態に影響を与える要素のひとつです。

腸と腸内細菌の重要性

私たちの体内には、なんと1000兆個もの細菌が暮らしています。
肌や口腔内など様々なところに菌は住んでいますが、その中でも、もっとも多くの細菌を抱えているのが腸です。

腸内にはおよそ数100種、100兆個を超える細菌が生息しています。
顕微鏡で覗いた時に、その細菌たちがそれぞれ群生している様がお花畑(フローラ)に見えたことから「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。

そして、腸内フローラが私たちの健康に大きな影響を及ぼすことが、何万本という数の論文によって明らかになっています。

例えば、腸は体内でもっとも多くの免疫細胞を保有していることから「人体最大の免疫器官」と言われています。
この免疫細胞をつかさどっているのも腸内細菌なのです。

腸内フローラが乱れた状態にあると免疫機能が正常に働かず、花粉症やアトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患の原因となることがわかっています。

その他にも腸の健康を保つことは、美肌、メンタルケアや病気の予防など、様々なことに繋がっていくと考えられています。

腸は脳にも影響を与える?【脳腸相関】とは

脳と腸は自律神経やホルモンなどを介して、互いに密接に影響を及ぼしあっています。
これを「脳腸相関」といいます。
そして、腸は独自の神経系を持っているため、脳の指令なしに活動することができるのです。
第二の脳」という異名はここからきているのですね。

脳のストレス腸の相関関係

脳と腸が繋がっていると言われても、あまりピンとこないかもしれません。

そんな時は、あなたが大勢の前で話した時や、大事な会議の前など緊張した場面を思い出してみてください。
その時、なぜかお腹が痛くなったり、急に便意を催したりした経験がないでしょうか?
それは、脳の感じたストレスが腸に伝わったため起こったものです。

これは逆もまた然りで、腸内環境が荒れた状態だと脳にまで悪影響が及んでしまいます。
そのため、腸の健康はダイレクトに精神面にも影響を与えるのです。

つまり、腸を健康に保つということは、便通に好影響を及ぼすだけでなく、メンタルの安定も手に入れることにつながります。

古いことわざに「腸(はらわた)が煮えくり返る」というものがあります。
このことわざの他にも、脳が処理するはずの感情を「腸」という言葉を使って表している言葉は少なくありません。

昔の人たちは、直感的に腸が私たちの精神状態に大きな影響を与えていることに気づいていたのかもしれませんね。

「脳腸相関」について詳しく理解したい方はこちら


乱れた腸内環境が肌荒れを引き起こす

残念ながら、乱れた食習慣や生活リズムが原因となり、現代人の多くは理想的な腸内環境をしていません。

乱れた腸内フローラをそのまま放置しておけば「リーキーガット症候群」につながるとも言われています。
リーキーガットとは、「漏れる」という意味のリーキー(leaky)と「腸」という意味のガット(gut)の2つの語句が組み合わさった言葉であり、日本語では「腸もれ」と訳されることもあります。

腸内フローラのバランスが崩れたり、体内で分解されにくい食品(グルテンなど)を食べ過ぎたりすると腸管粘膜が傷ついてしまいます。それにより、腸のバリア機能が低下してしまうことでリーキーガットは発症してしまうのです。

腸から漏れ出した老廃物は血管を通って全身へと運ばれていきます。
そして、肌から老廃物を排出しようとすることで毛穴のつまりを引き起こし、ニキビや肌荒れという形で肌にも悪影響を与えてしまうのです。

意外かもしれませんが、美しい肌を手に入れるための第一歩は腸にあったのですね。

リーキーガット症候群について詳しくはこちら▼


腸内フローラの整え方

腸の健康は脳や肌などカラダのいたるところに影響を与えていることについて解説してきました。
ここまで読んでいただければ、腸内環境を整える重要性についてわかっていただけたかと思います。

それでは、最後に腸内環境はどうやって整えれば良いのかについて説明していきたいと思います。

腸内環境を整えるとは、すなわち腸内フローラを整えるということです。

腸内に住んでいる100兆個を超える細菌。
その細菌の中には私たちにとって良い影響をもたらしてくれる「善玉菌」と、悪い影響を与えてしまう「悪玉菌」がいます。

その中でも、乳酸菌やビフィズス菌に代表される善玉菌の数を増やし多様性を高めることで、豊かな腸内フローラを築くことが重要になってきます。

善玉菌を増やすには

腸内フローラを整えるには大きく分けて、

善玉菌を直接摂取する
・善玉菌を育てる食べ物を積極的に食べる

の2種類の方法があります。

どちらか片方だけではなくどちらもバランス良く行うことによって、より大きな菌ケア効果を得ることが期待できるのです。

1つ目の「生きた乳酸菌を直接摂取する」は、発酵食品はもちろんサプリメントなどを活用するのも便利な方法です。
日本では身近なスーパーにも発酵食品がたくさん。

ぬか漬け、キムチ、納豆、味噌、醤油、甘酒、など…。日常的に発酵食品を取り入れて、良い菌を身体に入れる習慣を。

2つ目の「善玉菌を育てる食べ物を積極的に食べる」は、菌のエサとなってくれる栄養素を摂ることです。

具体的には、水溶性食物繊維がその代表。野菜、果物、きのこ類、海藻などには含まれる食材が多いので、副菜の多いバランスの取れた食事が理想的ですね。

具体的な食べ物など菌ケアの方法について、もっと詳しく▼

昨今「腸活」という言葉に見られるように、腸の調子を整えることが注目され始めています。
健康、そして美しさの軸は腸にあります。
この流れが一過性のものにならないように。
KINS LABでは腸内フローラを整えることの重要性を発信していきます。

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
X : @yutaka_shimo

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