掲載日 | 2023.09.14
更新日 | 2024.01.30

腸活に欠かせない食物繊維|水溶性と不溶性の働き

掲載日 | 2023.09.14
更新日 | 2024.01.30

更新情報

・2023/01/30
「食物繊維の摂りすぎで便秘に?」の情報を更新しました。

食物繊維の摂りすぎで便秘になる理由を見る

あなたの腸内には数100100兆個を超える数の細菌が日々暮らしています。その細菌たちは、顕微鏡で観察した際にそれぞれが群生している様がお花畑に見えたことから「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。
その中には、私たちにとってプラスのはたらきをしてくれる善玉菌がいれば、マイナスのはたらきをしてしまう悪玉菌もいます。腸内の悪玉菌が多くなると便秘や肌荒れを引き起こす原因となってしまいます。
つまり、悪玉菌の数を減らし、善玉菌を増やすことが美しく健康にすごすための第一歩なのです。

それでは、腸内の善玉菌を増やすにはどうすればいいのでしょうか?

普段の食事から菌をパワーアップ

普段の食事から菌をパワーアップ

日々の食事の中に、そのカギを握っている成分がありました。
「水溶性食物繊維」です。水溶性食物繊維は腸内細菌のエサとなることで、善玉菌の数を増やしてくれるんです。

今回は、そんな腸内フローラを整えるはたらきをしてくれる水溶性食物繊維についてのお話。水溶性食物繊維がどんな食べ物に含まれているのか、オススメの摂取の仕方までお伝えいたします。

不溶性と水溶性、2つの食物繊維について

不溶性と水溶性、2つの食物繊維について

食物繊維にはそもそも2種類あることをご存知でしょうか?
水に溶けない「不溶性食物繊維」と、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」です。

不溶性食物繊維の特徴

不溶性食物繊維は、ボソボソとした食感を持つのが特徴。豆類や穀類、キノコ、甲殻類に多く含まれています。この食物繊維は水分を含むと膨張するため、便の量を増加させてくれます。それに加えて、腸の働きを活発にして排便を促す効果も持っているので、便秘の解消にも重要な役割を持っています。

水溶性食物繊維の特徴

一方、水溶性食物繊維は、ドロドロとしていて粘り気があるのが特徴。海藻やフルーツ、粘り気を持つ野菜に多く含まれています。
こちらが今回の主役となる食物繊維です。

この食物繊維は水に溶けるとゼリー状になり、ゆっくりと腸を通過します。そのため腹持ちが良く、ダイエットにも嬉しい効果を持っています。そして何より、水溶性食物繊維は腸内の善玉菌のエサとなることで、腸内フローラの改善に大きく貢献/してくれます。このことについては、このあと詳しく説明しますね。

両方バランスよく摂ることが大切

不溶性と水溶性の2種類の食物繊維、どちらか一方のみではなく両方摂取することが重要となります。食生活において重要になってくるのは「バランス」。

ですので、腸内環境を整えてくれる効果があるからといって、食物繊維ばかり食べるのはNG。腸内フローラ以前に私たちのカラダに必要な栄養素が不足してしまいます。とは言え、食生活の変化によって多くの日本人は食物繊維が不足傾向にあります。ですので、意識的に食物繊維の摂取を心がけてみるといいかもしれませんね。

水溶性食物繊維がビフィズス菌のエサとなる

水溶性食物繊維がビフィズス菌のエサとなる

2種類の食物繊維のうち、特に水溶性食物繊維はビフィズス菌をはじめとした善玉菌のエサになります。エサとなることで腸内の善玉菌の数を増やし、腸内フローラのバランスを良くすることにつながると考えられます。
つまり、水溶性食物繊維は善玉菌の「栄養源」なのです。

水溶性食物繊維はヒトの持つ消化酵素では分解できません。消化されずにそのままの形で腸まで届くことによってエサとなり、腸内フローラの改善に貢献してくれます。

私たちの健康に大きな影響を与える腸内フローラ。もし悪玉菌が増えてしまうと、便秘を引き起こしてしまったり、肌に吹き出物ができてしまったり、イライラしやすくなったりとカラダの色々な不調をにつながる可能性が。

逆に善玉菌の数が増え、腸内フローラが整うことによって、肌がキレイになったり、いつもよりぐっすり眠れるようになったりと、日々のQOLが上昇します。
つまり、水溶性食物繊維を食べることは、健やかな腸内環境を通して毎日をより快適におくることにつながるのです。

分解されずに腸内まで届くという特徴は、不溶性食物繊維も同様に持っています。しかし、不溶性食物繊維は善玉菌も分解するのがあまり得意ではありません。そのため腸内フローラの改善という面で見ると、水溶性食物繊維は優秀なのです。

乳酸菌と一緒に食べて効果アップ!

乳酸菌と一緒に食べて効果アップ!

水溶性食物繊維の持つ善玉菌のエサになるという特長を、一緒に摂取することでより高めてくれるものが存在します。

それは「乳酸菌」です。
乳酸菌はビフィズス菌と並んで、善玉菌を代表する菌のひとつ。水溶性食物繊維と同様に腸内フローラを整えるうえで重要な存在です。

水水溶性食物繊維を摂取するときは、乳酸菌も同時に摂取すればさらに効率的に腸活ができますね。

乳酸菌が摂れるヨーグルトのお話はこちら。

水溶性食物繊維のオススメの摂り方

水溶性食物繊維のオススメの摂り方

それでは、水溶性食物繊維はどのように摂取すればいいのでしょうか?

水溶性食物繊維は主に海藻類やフルーツに多く含まれています。以下に代表的な水溶性食物繊維を多く含む食材をリストアップしてみました。水溶性食物繊維を摂る際の参考にしてみてください。

海藻類:わかめ、昆布、ひじき、もずく、めかぶ
野菜類:ごぼう、オクラ、ほうれん草、春菊、にんじん、ブロッコリー、大根、サツマイモ、里いも、大豆、インゲン豆
フルーツ類:りんご、みかん、マンゴー、プルーン、いちじく、キンカン

このように、水溶性食物繊維は幅広い食材に多く含まれています。例えば、海藻類がニガテだという方でもフルーツからなら水溶性食物繊維を摂取できるのではないでしょうか?

先ほどもお伝えした通り、乳酸菌と水溶性食物繊維の相性はバツグン。そこで、KINS LABOは発酵食品と水溶性食物繊維を同時に摂ることをオススメしています。
わかめの味噌汁、オクラ納豆、りんごヨーグルトなどは善玉菌と水溶性食物繊維が両方豊富に含まれています。水溶性食物繊維を何から摂ればいいか迷ったときはぜひ試してみてくだい。

また、意外と近くにも水溶性食物繊維と発酵食品を同時に摂取できる食事がありました。それは「日本食」
水溶性食物繊維はひじきの煮物や切り干し大根、きんぴらごぼうに、発酵食品は漬物や味噌汁、納豆にといった風に、私たちが昔から慣れ親しんで食べてきた日本食には、水溶性食物繊維や善玉菌が含まれる食品がたくさんあるのです。
発酵食品のヒミツを知りたい方はこちら。

日本人は食物繊維不足

厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、生活習慣病予防のため現在の日本人が目標とすべき食物繊維の摂取量として算出された一日あたりの「目標量」は、18~64歳で男性21g以上、女性18g以上となっています。(※1)

しかし、最近の報告によると、平均摂取量は一日あたり14g前後と推定され、目標量を大きく下回っています。特に若年層の不足が顕著であることが指摘されています。

現代人の食物繊維摂取量が減った理由としては、外食が増えたり食生活が欧米化し、食事を簡単に済ませることが増えたことで従来よりも肉や乳製品の摂取が増え、そのぶん大麦などの穀物や野菜、果物を食べなくなったことが挙げられています。

忙しい中で毎日自炊でバランスよく、というのはなかなか難しいですが、外食やコンビニ弁当を買う際に少し食物繊維のことを意識するだけでも、腸活にいいメニューを選ぶヒントになります。

食物繊維はどれくらいの量摂るのがいい?

先ほどもお伝えした通り、生活習慣病を予防するために目標とするべき食物繊維の摂取量は、18~64歳で男性21g以上、女性18g以上。
現状、1日あたりの平均摂取量が14g前後であることを考えると、かなりの食物繊維不足であることは明らかですね。
意識して積極的に食物繊維を摂る必要があります。

厚生労働省によると、体のサインから見た食物繊維の必要量は「一日に一回、規則的に排便がある」ことがひとつの目安になるそう。
具体的な排便量としては、一日に約150g(見た目ではMサイズの鶏卵で約3個分)であることがわかっています。

まずは一日あたりプラス3~4gの食物繊維摂取を目標に、卵3個分の便量を作り出すための食物繊維を積極的に食事から摂れるよう心がけましょう。

食物繊維の摂りすぎで便秘に?

食物繊維の摂りすぎで便秘に?

腸活に欠かせない食物繊維ですが、摂りすぎには注意が必要。体にいいからと大量に食べすぎると、かえって逆効果になる可能性があります。

もともと腸の働きが低下気味で便秘状態にある人が不溶性食物繊維を大量に摂ると、便が大きく固くなり、かさが増した便をうまく排出できずに便秘がひどくなってしまうことがあります
これは不溶性食物繊維が腸内の水を抱え込んでふくらむ性質があるためです。

反対に、水溶性食物繊維は水に溶けてゼリー状になる性質があるため、大量に摂りすぎると水分が多くなり、便が緩くなって下痢になることも。

不溶性と水溶性、食物繊維はどちらもバランスよく摂り、また他の食事もしっかり食べて偏りのない食事を心がけることが食物繊維を効率よく摂るコツと言えます。

食物繊維を摂って腸の中からキレイになろう

食物繊維を摂って腸の中からキレイになろう

腸の健康は、肌の美しさや精神状態にも大きく関わってきます。その腸の健康を支えることのできる水溶性食物繊維は、今後さらに注目されるようになるのではないでしょうか。

あなたも日々の食事の中で、今までよりもちょっとだけ意識して水溶性食物繊維を摂取してみませんか?
明日は今日よりももっとキレイなあなたに出会えるかもしれません。

参考文献:
※1 食物繊維の必要性と健康 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
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