掲載日 | 2024.04.11
更新日 | 2024.04.11

腸活で免疫力アップ!腸内細菌を整えて丈夫な身体になる方法

掲載日 | 2024.04.11
更新日 | 2024.04.11
近年、健康と美容に対する関心の高まりと共に、腸内環境の改善が私たちの日常生活における重要性が再認識されています。特に、免疫力の向上と腸活の関係は、科学的研究によっても支持されている話題であり、健康維持を目指す多くの方々が注目しています。

この記事では、「腸活」によって免疫力を高める方法について、最新の研究成果と共に、実践的なアドバイスをご紹介します。腸内環境を整えることが、どのように全体的な健康に寄与するのか、そして日々の生活で簡単に取り入れられる腸活のコツを学びましょう。

免疫力とは

免疫力とは

免疫力とは、私たちの体を病原体や異物から守るための体の能力を指します。この防御システムは、細菌、ウイルス、寄生虫、そしてがん細胞など、体外から侵入してくるあらゆる種類の脅威に対抗するために働きます。免疫システムは大きく分けて二つの部分から成り立っています。それは、先天性免疫と獲得性免疫です。

先天性免疫は、生まれながらにして備わっている防御メカニズムであり、特定の病原体を特定することなく、広範囲の侵入者に迅速に対応します。皮膚や粘膜、胃酸などがこの種の免疫の例です。

一方で、獲得性免疫は、特定の病原体に対して特化した反応を行うように体が学習する過程です。一度特定の病原体に感染したりワクチン接種を受けることで、体はその病原体に対して特化した抗体を生成し、再び同じ病原体が侵入した際にはより迅速かつ効果的に対処することができます。

免疫力の維持と強化は、健康な生活を送る上で不可欠です。適切な栄養摂取、十分な休息、適度な運動、ストレスの管理など、日常生活の中で実践できることが多くあります。特に、腸内環境の健康が免疫システムに大きな影響を与えることが明らかになってきており、「腸活」による腸内フローラのバランスの良い維持が、免疫力の向上につながると考えられています。

免疫力が低下するとどんな症状が出る?

免疫力が低下するとどんな症状が出る?

免疫力が低下すると、体は多くの健康上のリスクにさらされます。これには、感染症のリスク増加、皮膚の問題、アレルギー反応の悪化、歯周病、さらにはがんのリスク増加まで含まれます。以下では、免疫力の低下が引き起こす可能性のある具体的な症状について説明します。

ウイルスなどへの感染症

免疫力が低下していると、風邪やインフルエンザなどの一般的なウイルス感染症はもちろん、重症化しやすい感染症にかかりやすくなります。体が病原体に対抗する能力が弱まるため、感染症による症状が重く長引くことがあります。

肌荒れ

免疫システムは皮膚の健康維持にも関わっています。免疫力の低下は、皮膚のバリア機能の低下を引き起こし、乾燥肌、湿疹、またはアトピー性皮膚炎などの肌トラブルを引き起こしやすくなります。

花粉症

免疫力の低下は、アレルギー反応の過剰な活性化につながることがあります。これにより、花粉症などのアレルギー性疾患の症状が悪化する可能性があります。体が花粉などの無害な物質を誤って脅威と認識し、過剰な免疫反応を引き起こすことで、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状が現れます。

歯周病

口内環境も免疫システムによって保護されています。免疫力が低下すると、歯周病などの口内感染症のリスクが高まります。歯周病菌が増殖しやすくなり、歯肉の腫れ、出血、最終的には歯の損失につながる可能性があります。

がん

免疫システムは、がん細胞の成長を抑制し、排除する役割も担っています。免疫力が低下すると、がん細胞が体内で増殖しやすくなることがあり、がんのリスクが高まります。特に、体が炎症状態にあると、がん細胞の成長に適した環境が作られることがあります。

免疫力を左右するのは腸内環境

免疫力を左右するのは腸内環境

私たちの免疫システムの多くが、予想外の場所、つまり腸内に存在しています。健康な腸内環境は、強力な免疫システムの基盤を築く上で欠かせない要素です。腸内のバクテリア群、すなわち腸内フローラは、免疫応答の調整に重要な役割を果たしており、腸内環境の健康が全体的な免疫力に直結しているのです。

免疫細胞の7割は腸にいる

驚くべきことに、人間の免疫細胞の約70%は腸内、特に小腸と大腸の粘膜に位置しています。この事実は、腸が単に消化器官としての機能を超え、免疫システムの中心的役割を担っていることを示しています。腸内の免疫細胞は、腸内を通過する多様な物質を監視し、有害な病原体を識別して排除する一方で、有益な微生物との共生関係を維持します。

腸内フローラのバランスが崩れると、有害な微生物が増加し、これが免疫システムの過剰反応を引き起こしたり、炎症を促進したりすることがあります。一方で、健康的な腸内環境は、適切な免疫応答の維持と炎症の抑制に役立ち、自己免疫疾患やアレルギー性疾患のリスクを減らすことができます。

腸内環境を健康に保つには、プロバイオティクスやプレバイオティクスを豊富に含む食品の摂取、食物繊維の豊富な食事、そして加工食品や砂糖の過剰な摂取を避けることが重要です。これらの習慣は、腸内フローラの多様性を高め、免疫細胞の健康を支えることにつながります。

多種多様な菌がバランスよく存在していることが大切

多種多様な菌がバランスよく存在していることが大切

腸内フローラの健康を維持する上で最も重要な要素の一つは、多種多様な微生物がバランスよく存在している状態を保つことです。腸内には数百種類、場合によっては数千種類の異なる微生物が共生しており、この微生物の多様性が私たちの健康、特に免疫システムの機能に深く関わっています。

腸内フローラの多様性の重要性

腸内フローラの多様性が高いことは、免疫システムのバランスを維持し、病原体に対する防御能力を強化するために不可欠です。多様な菌群が存在することで、特定の病原体が支配的になるのを防ぎ、有害な菌の増殖を制限する自然な競争環境を作り出します。このバランスが崩れると、病原体が増殖しやすくなり、感染症や慢性炎症、さらには自己免疫疾患のリスクが高まる可能性があります。

年齢とともに低下する免疫力

年齢とともに低下する免疫力

加齢に伴う免疫力の低下は、腸内環境の変化と密接に関連しています。特に、年齢を重ねるにつれて、ビフィズス菌のような有益な菌の数が減少し、ウェルシュ菌や大腸菌などの悪玉菌が増加する傾向にあります。このバランスの変化は、免疫機能に悪影響を及ぼし、健康状態の全般的な低下を招く可能性があります。

加齢による腸内フローラの変化の影響

ビフィズス菌は、腸内で有益な役割を果たす代表的な善玉菌の一つです。これらの菌は、消化を助けるだけでなく、腸内のpHを酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑える役割を果たします。しかし、年齢を重ねるとビフィズス菌の数が自然と減少し、腸内環境が悪玉菌にとって有利な状態に変化してしまいます。

ウェルシュ菌や大腸菌のような悪玉菌が増加すると、腸内での有害物質の生成が増え、それが全身の炎症を引き起こしたり、免疫システムに負担をかけたりすることがあります。これは、感染症への感受性の増加、消化器系の不調、さらには慢性疾患のリスク増加につながります。

腸活で免疫力をアップしよう

腸活で免疫力をアップしよう

健康な腸内環境の維持は、全身の免疫力を高める鍵となります。腸活とは、このような健康な腸内環境を目指して、日々の生活習慣や食事を見直すことです。腸活を行うことで、免疫システムを強化し、病気に対する抵抗力を高めることができます。

では、腸活は具体的にどのように行うのがいいのでしょうか。

KINS LABO的おすすめの腸活方法

KINS LABO的おすすめの腸活方法をご紹介します。

腸活のやり方の基本は3つ。

1.菌を取り入れる (善玉菌を含むものを食べる)
2.菌を育てる (善玉菌のエサとなる食べ物を食べる)
3.菌の邪魔をしない (悪玉菌を増やすような食べ物や習慣を避ける)

このやり方を日々の生活に取り入れることで、腸内環境を整えていくことができます。

いい菌を取り入れる

いい菌を取り入れる

腸内フローラのバランスを良好に保つためには、「いい菌」とされる善玉菌を積極的に取り入れることが大切です。これらの善玉菌は、腸内環境を整え、有害な菌の増殖を抑制し、免疫力を支える重要な役割を担っています。善玉菌を豊富に含む食品を日常的に摂取することで、健康な腸内環境を維持し、免疫力の向上を図ることができます。

身近な発酵食品

ビフィズス ヨーグルト、乳酸菌飲料
乳酸菌 ぬか漬け、味噌、醤油、ヨーグルト、キムチ、ピクルス
酪酸菌 ぬか漬け、乳製品
納豆菌 納豆
麹菌 味噌、醤油、甘酒
酢酸菌 お酢、コンブチャ、ナタデココ

これらの菌を日々の食生活に取り入れるのがおすすめです。特に、昔からある日本食は、自然と善玉菌を取り入れることができます。
お味噌汁や納豆、ぬか漬けは毎日の食生活に楽に取り入れられるので、おすすめです。

菌を育てる

菌を育てる

腸内の善玉菌を増やし、健康的な腸内フローラを維持するためには、これらの菌を育てるための環境を整えることが重要です。善玉菌のエサとなる栄養素を意識的に摂取することで、腸内の善玉菌を活性化し、免疫力を高めることができます。

水溶性食物繊維をしっかり摂る

水溶性食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとなり、これらの菌の増殖を助ける重要な役割を果たします。水溶性食物繊維は水に溶けやすく、腸内でゲル状になり、善玉菌の成長を促します。また、便の量を増やし、腸の動きを促進することで、整腸作用にも寄与します。水溶性食物繊維を多く含む食品には以下のようなものがあります。

リンゴ、バナナ、玉ねぎ、キノコ類、オクラ、海藻類、納豆、大根

オリゴ糖もおすすめ

オリゴ糖は、腸内の善玉菌を育てるプレバイオティクスの一種で、特にビフィズス菌の増殖を助ける効果があります。オリゴ糖は腸まで届き、直接善玉菌のエサとなるため、腸内環境の改善に有効です。オリゴ糖を含む食品には以下のようなものがあります。

玉ねぎ、バナナ、納豆、豆腐、サツマイモ、トウモロコシ

菌を邪魔しない

菌を邪魔しない

腸内フローラの健康を維持し、免疫力を高めるためには、善玉菌の活動を妨げる可能性のある食品や成分を避けることが重要です。特定の添加物、人工甘味料、特定のタイプの食品が腸内環境に悪影響を及ぼし、善玉菌の成長を抑制することがあります。

添加物や人工甘味料を控える

食品添加物や人工甘味料は、加工食品に広く使用されていますが、これらの化学物質が腸内の善玉菌に悪影響を及ぼすことが研究により示されています。これらの成分は、善玉菌の成長を抑制したり、腸内環境のバランスを乱したりすることがあるため、可能な限り避けることが推奨されます。

ソーセージやウインナーなどの加工食品や冷凍食品、コンビニのお弁当、人工甘味料を多く使ったジュースやお菓子をよく食べる方は、腸内環境が乱れやすくなります。

甘みがほしい時や、果物の甘みや、ハチミツ、甜菜糖などの自然な甘みを取り入れるのがおすすめです。
また、加工してある商品よりも、野菜やお肉、魚など、できるだけ自然の食材を自分で調理した食事をメインにしていきましょう。

小麦製品を控える

小麦製品、特に精製された小麦粉から作られた食品は、腸内フローラに悪影響を及ぼす可能性があります。これらの食品は腸内での発酵を促し、ガスや不快感を引き起こすことがあります。
特に、小麦粉に含まれるグルテンという成分が、腸内に炎症を引き起こしたり、腸内での栄養の吸収を阻害したりします。

パンやパスタなどの麺類が多い方は、お米や、お米で作られたフォーやビーフンなどの麺に変えることで、腸内環境を整えることにつながります。

動物性脂肪やトランス脂肪酸を控える

動物性脂肪やトランス脂肪酸は、腸内環境に悪影響を及ぼすことがあります。
お肉に偏った食事や、ファストフードが多い方、菓子パンなどをよく食べる方は、要注意です。
これらの脂肪酸は、腸内環境を炎症性にし、善玉菌の成長を抑制する可能性があります。オメガ3脂肪酸(青魚などに含まれる)や植物由来の脂肪(オリーブオイル、アボカドなど)を選ぶようにしましょう。

腸活で免疫力上げて、強い身体になろう!

腸活で免疫力上げて、強い身体になろう!

腸活は、健康な腸内環境を維持し、免疫力を高めるための重要な取り組みです。腸内フローラのバランスを整えることで、体全体の健康が支えられます。この記事では、腸活のための具体的なアプローチをいくつか紹介しました。

腸活を行うことで、免疫システムを強化し、病気に対する抵抗力を高めることができます。日々の食事選びやライフスタイルの見直しを通じて、腸内フローラの健康を維持し、免疫力を高めることが大切です。バランスの取れた食事と健康的な生活習慣を心がけることが、最終的には自身の健康を支えることにつながります。腸活を始めて、より健康的な毎日を目指しましょう。

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
X : @yutaka_shimo

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