リーキーガットで食べてはいけないのは【小麦】?グルテンとの関係
最近、至るところでこの言葉を耳にすることが多くなりました。
実はグルテンは近年、「腸漏れ」とも呼ばれる不調「リーキーガット症候群」との関係も示唆されています。
本記事では、グルテンとはそもそも何なのかというところから、リーキーガット症候群との以外な関係、グルテンフリーを始めるにあたってのコツ、注意点まで幅広くお伝えいたします。
リーキーガットを防ぐために食べてはいけない?グルテンとは
小麦はパンやうどん、ラーメンなど私たちが普段食べているあらゆるものに入っており、人類が古くから慣れ親しんできた作物のひとつです。
ただ、その小麦に含まれている「グルテン」が、消化の過程で腸壁を傷つけてしまう可能性から、様々な不調を引き起こすことが、数々の論文によって徐々に示唆されてきました。
それでは、グルテンが腸内にて悪さをしてしまう仕組みはどんなものと考えられているのでしょうか。
グルテンが腸壁を傷付け「腸漏れ」に?
まず、グルテンは腸内に吸収されることで、グリアジンとグルテニンという2種類のタンパク質に分解されます。
そのうちの一つグリアジンが腸壁に張りつくことで、今度はゾヌリンというたんぱく質が分泌されます。
そして、このゾヌリンが腸の上皮細胞に結合することで、細胞同士のつながりがゆるくなり、腸壁に穴が開くような状態になると考えられています。
これが原因となり、腸内の老廃物や有害物質が漏れ出し、肌荒れや炎症など様々な不調につながる可能性があるのです。
腸漏れ(リーキーガット症候群)で起きる全身のトラブル
腸漏れ(リーキーガット症候群)が原因で引き起こされると考えられているお悩みは、便秘や下痢、偏頭痛、乾燥肌、ニキビや吹き出物、生理が重い…など様々。
病気とまではいかなくても、「なんとなく体調がすぐれない」といった状態につながる可能性があるのです。
参考までに、皆さんは以下に当てはまるものがあるでしょうか?
□下痢や便秘など便通に異常がある
□食後にいつもお腹が張る
□花粉症やアトピーなどアレルギー症状がある
□偏頭痛がある
□生理痛が重い
実は、これらはリーキーガット症候群が原因となって現れる可能性のある不調たち。
3つ以上当てはまった場合、もしかするとあなたの腸は「腸漏れ(リーキーガット)」状態にあるのかもしれません。
さらに腸内環境の悪化は、メンタル面にも影響を及ぼすこともありえます。
脳(メンタル)と腸のつながり「脳腸相関」について詳しくはこちら▼
小麦を全て断つ「グルテンフリー生活」のはじめ方
リーキーガットの原因のひとつになる可能性のある、グルテン。
そこで考案された、健康のためにそのグルテンが含まれている食品を一切摂らない食事法、それがグルテンフリーです。
グルテンフリーはもともと、「セリアック病」や「グルテン不耐性」といった免疫疾患で、全くグルテンを摂れない人たちのために考えられた食事法。
こういった疾患ではグルテンを摂ると深刻な不調につながってしまうため、間違えてグルテンの含んだ食品を食べないため、食事療法のひとつとして発案されました。
それが一部の海外セレブやアスリートの間で流行し、日本でも健康法として徐々に話題になりはじめてきたのです。
身近にあふれるグルテン食品
グルテンが含まれる食材は主にパン、パスタ、ラーメン、うどん、ピザ、お好み焼、ケーキ、ビスケットなどの小麦製品。
そしてこの他にも、カレールー、アイスクリーム、醤油、ビール…などパッと見では気づかないようなものにも、小麦が入っていることがあります。
グルテンフリー生活ではこれらの小麦を含む食品を避け、肉や魚、野菜、お米などが中心の食生活を行うのが基本。
つまり、グルテンフリーを始めるということは食習慣をガラッと変えるということ。それゆえに、始めようと思ってもなかなかハードルが高いと感じる人も多いようです。
そこで、簡単なグルテンフリーの始め方のコツをいくつか伝授いたします。
グルテンフリー初心者のための簡単ステップ
まずは以下のような簡単なステップから始めましょう。
その1:まずは2週間「グルテンフリー期間」を試してみる
先ほど挙げた食品例を見ていただければ分かるように、小麦は本当にいろいろな食品に含まれています。
正直、グルテンフリーをしっかりと続けることのできる自信がある方はほとんどいらっしゃらないかも?
そこで、2週間など期間を決めて「とりあえずお試し」で短期間のグルテンフリー生活を取り入れてみて、キツければいつでもやめる。
それくらいの軽い気持ちでまずは試してみるのがオススメです。結果、その方が長く続いたりするかもしれませんね。
短期間の「グルテンフリー期間」を試して、カラダがどう変化するか。
体感を観察して、調子がいいと感じるようなら頻繁に取り入れたり、少しづつ期間を延ばしてみましょう。
グルテンフリーが体に合っている人なら、定期的に「グルテンフリー期間」を設けることで、グルテンを摂っている時とそうでない時の違いもわかってくるはず。
結果的に少しでも体調が良くなれば、もっと続けたい!というモチベーションにもなるでしょう。
その2:日本食中心の生活を心がける
グルテンフリー生活をはじめたとき、多くの人がまず初めに出会う壁が、何を食べればいいかわからないという問題です。
いつも食べていたパスタやパンはやめて、お米に切り替えてみたけど、そのほかは何が食べられるの…?となった時、まずは日本食を意識してみてください。
焼き魚や煮物、お浸しなど日本食は小麦粉が使用されていないメニューが豊富。
さらに日本食に多く使われる野菜や海藻には腸内細菌のエサになる成分が豊富に含まれているので、腸内環境を整えることにも繋がり一石二鳥です。
さらに、お米は白米でなく玄米を選ぶのがおすすめ。低GIのため血糖値の急上昇も抑えられるうえに、栄養価も豊富で菌ケアには理想的なんです。
また、日本食以外にもタイ料理やベトナム料理、韓国料理も基本小麦が含まれていないものが多い印象。お米が主食だったり、米麺を使用していることが多いですよね。
日本食だけでは飽きてしまうという場合は、東南アジアや韓国料理にもチャレンジしてみてくださいね。
その3:家族や友達と一緒に始める
何かに新しくチャレンジをするとき、誰かが隣にいてくれれば心強いもの。
そこで、グルテンフリー生活も周りを巻きこんで始めてみてはいかがでしょうか?一人ではすぐに挫けそうなことも、家族や友達と一緒であれば頑張れるということもあるかと思います。
また、最近はグルテンフリーに対応した嬉しい製品も多く登場しています。例えば米粉パンやグルテンフリー麺など、本来グルテンが含まれているはずのものがグルテンフリーでも楽しめるようになりました。
忙しい方でも、既製品なら家族と一緒に楽しみやすいですね。
グルテンフリー中に食べても良い食品一覧
食べてはいけないものにばかり目がいきがちなグルテンフリーですが、もちろん食べられる美味しいものも数多く存在します。
【グルテンフリー中に食べても良い食材例】
- お米
- 十割蕎麦
- フォー
- 魚介類
- 肉類
- 野菜
- 豆類
- フルーツ
- 乳製品
- 卵 など…
見ていただければ分かるとおり、小麦なしでも主食からおかずまで基本的な食事は揃えることができます。栄養が偏る心配もなさそうですね。
さらに、最近は本来グルテンが含まれているはずの食品でも、小麦を使用せずグルテンフリーで作られているものが多く存在します。
小麦が入っていて当たり前なイメージのケーキやパンも、最近ではグルテンフリー仕様のものがたくさん。
最近は身近なお店でもグルテンフリー食材が手に入れやすくなっています。例えばイオンのような大手スーパーチェーンやビオセボンのようなオーガニック系スーパーでも、グルテンフリーの食材を多数取り揃えてくれています。
ビオセボンのグルテンフリー食品おすすめはこちら▼
市販品もうまく取り入れて、無理のないグルテンフリー生活を楽しみましょう。
グルテンフリーの注意点は【不溶性食物繊維不足】
グルテンフリー生活を実際に行うことで肌荒れが良くなった、集中力が上がったなどの声を見かけることがあります。
ただその一方、グルテンフリーにすることで、かえって体調が悪化したという方も一部いらっしゃるようなのです。
そういった方の食事を詳しくヒアリングしたところ、ある一つの共通点が見えてきました。
それは、小麦を抜いたことにより、「食物繊維」不足に陥っている可能性がありそうだったということです。
小麦粉には食物繊維をはじめとした栄養成分が豊富に含まれています。その小麦を避けた結果、【食物繊維不足など栄養の偏りが起き、逆に便秘になってしまう】というケースが見受けられるよう。
食物繊維は便通の安定に役立つだけでなく、腸内細菌にとっても大事な栄養源。
そこで、グルテンフリー生活をする場合は必ず意識して食物繊維を摂るようにしてみてください。
主に野菜やフルーツなどには、食物繊維が多く含まれています。
特に小麦に多く含まれているのは、【不溶性食物繊維】。
不溶性食物繊維は玄米のような穀物にも多く含まれます。
普段食べているお米を玄米に切り替えるのも、手軽に不溶性食物繊維を摂取する方法としてオススメです。
ただでさえ、現在人は食物繊維が不足しがちと言われています。
そこで、グルテンフリー生活では普段以上にバランスを意識した食事を心がけてみてください。
食物繊維たっぷりの腸活レシピはこちら▼
グルテン以外にもリーキーガットを引き起こす?
腸が傷つくことで腸の粘膜に穴が空き、菌やウイルス、たんぱく質などの異物が血中に漏れだす状態にあることをリーキーガット症候群と言います。
リーキーガット症候群になると、本来は腸内にあるべき細菌や食物成分が身体の中に入ってしまうため、下痢や便秘、疲労感、肌荒れ、アレルギーなど身体のさまざまな不調の原因となります。
「腸漏れ」とも呼ばれるこの症状の原因として小麦に含まれるグルテンが挙げられますが、実はリーキーガット症候群の原因はグルテンだけではありません。
アルコールやカフェインの摂取、食物アレルギーによる腸内環境の乱れ、また精神的なストレスなども腸壁のバリア機能がダメージを受けやすくなり、リーキーガット症候群を引き起こす要因となり得るのです。
アルコールやカフェインに注意
アルコールやカフェインの過剰な摂取は腸にとっての刺激となり、腸内環境のバランスを崩して腸壁のバリア機能を弱らせる原因にも。
アルコールやカフェイン自体が悪いというわけではありませんが、摂り過ぎることによって消化器系の問題や免疫系の影響を引き起こす可能性も考えられるため、摂る際は適度な量を心がけることが大切です。
また、白砂糖や化学調味料、保存料などの食品添加物や薬品なども同様に腸内環境を乱してリーキーガットを引き起こすことがあるため、バランスのとれた健康的な食生活を送ることにも気をつけたいですね。
ストレスも腸壁を弱くする原因に
腸内環境を乱すことで体調不良を招くものは、食べ物や飲み物だけではありません。自律神経を乱す疲れやストレスも腸内環境のバランスを崩す原因になります。
自律神経には、交感神経と副交感神経があります。
交感神経は臓器や器官などの働きを向上させる働きを持ち、自動車でいうとアクセルのような役割です。反対に副交感神経は、おもにリラックスしているとき優位に働く自律神経です。
ストレスが掛かると身体をストレスから守ろうとして交感神経が過剰に働くため、副交感神経の働きは弱くなってしまいます。内臓は副交感神経の働きによって動いているため、副交感神経が上手く働かなくなると、消化器官の働きが弱くなり消化吸収力や免疫力も低下してしまいます。その結果、腸内にいる悪玉菌が増殖したり、腸壁の炎症などを引き起こすことがあるのです。
リラックスしている時に働く副交感神経は、 血圧や心拍数を下げるだけでなく腸のぜん動運動や排尿の促進にも関わる重要な神経。腸内環境のためにも、適度に休息をとりながら副交感神経を優位にすることを意識しましょう。
腸活で腸を丈夫に
リーキーガット症候群や腸内環境の悪化は、身体の内・外の不調のみならず、メンタルにも影響を及ぼす可能性がある重大な問題と言えます。
心身ともに健やかに過ごすためにも、まずは腸活で腸を丈夫に保つことを心がけると良いでしょう。
腸の健康状態はお肌の健康状態にも繋がっているため、腸活は美肌への近道でもあります。
善玉菌を増やして腸内環境を整える
腸内環境を整え、腸を健康に保つための腸活第一歩として、腸内の善玉菌を増やすことから始めてみませんか?
善玉菌とは、腸内に棲んでいる腸内細菌のうち、乳酸菌やビフィズス菌を代表とする私たちの体に有益な働きをする菌を指します。
善玉菌は、悪玉菌と戦いながら悪玉菌の増殖や定着を防いで感染等を予防したり、有害な物質を体外へ排出する手助けをしてくれる、いわばお腹の中の警備隊。
しかし、善玉菌はそれ単体で増えることができないため、善玉菌のエサとなる栄養素を毎日の食事で摂る必要があります。善玉菌のエサとなる栄養素が、食物繊維とオリゴ糖です。
善玉菌を増やして腸内環境を善玉菌優位に保てるよう、腸内環境を悪化させる可能性のある食品をなるべく控えることも大切です。
無理のないグルテンフリー生活を試してみよう
グルテンはリーキーガットの原因のひとつになり得ると考えられていますが、もちろんその影響は個人差もあるものです。
無理のない範囲でグルテンフリー生活をまずは2週間程度続けてみると、ご自身がグルテンに受けている影響もわかってくるかもしれません。
肌荒れなどなんとなく日々の不調が気になる…。そんな方は、グルテンフリーを試してみてはいかがでしょうか?
東京のグルテンフリー対応レストランを見る▼
記事の監修
岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。
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