【夏から秋】季節の変わり目の肌トラブルを「菌」で対策
「秋になってから肌の乾燥やくすみが増えて来た…。」
「秋の肌荒れの原因を知って、根本対策をしたい」
そんな方に向け、秋の肌ダメージの原因や夏と秋の肌状態の違い、「菌」の観点での根本対策をご紹介します。
実は秋になるにつれ目立ってくる乾燥などのトラブルにも、肌の「菌」バランスは関係しています。
「美肌菌」をはじめとする肌の常在菌の働きを知って、トラブル知らずの肌にととのえましょう。
夏〜秋の肌はどう変わる?乾燥に関わる「美肌菌」とは
皮膚にはさまざまな常在菌がいるのですが、その中でも肌に良い働きをするもの、悪い働きをしてしまうものがあります。
例えば常在菌のひとつである「表皮ブドウ球菌」は、汗や皮脂を餌にしてグリセリンを作り出す働きが。グリセリンには肌のバリア機能を保つ役割があるため、このような菌の働きでも肌の潤いが守られていると考えられるのです。
そのため、表皮ブドウ球菌は「美肌菌」と呼ばれ、私たちの美しさに関わる重要な菌として知られています。
基本的な肌の常在菌
そんな肌の菌たちは「肌フローラ」と呼ばれ、様々な種類の菌が棲んでいます。
多くの菌がいますが特に、肌の状態に関わるとしてよく知られているのは以下のような菌たちです。
肌の潤いやバリア機能を助ける菌
- 表皮ブドウ球菌
- アクネ菌
肌トラブルを引き起こすことがある菌
- コリネバクテリウム
- マラセチア真菌
- 黄色ブドウ球菌
ニキビの原因菌として知られる「アクネ菌」も、基本的には肌に潤いを与える重要な菌。ただ増えすぎるとニキビを引き起こすことがあり、菌のバランスにも注意が必要です。
基本的に「表皮ブドウ球菌」のような「美肌菌」は悪玉菌を抑える働きもあるので、美肌菌を増やしていく、というのを意識するのがポイントとなります。
美肌菌についてもっと詳しくはこちら▼
夏~秋に気になる乾燥、「バリア機能」と関係が?
夏から秋にかけての季節の変わり目は、夏の疲れや気温の変化によって心も身体も不安定になりやすい季節です。
さらに、
- 湿度や気温の急な変化
- 夏から続く紫外線
- 夏の間からつけっぱなしのエアコン
こういった外的な要因で肌の「乾燥」を感じるようになる方も多いでしょう。
このような乾燥には、肌の「バリア機能」の低下も関係しています。
バリア機能は肌の潤いを保つために重要な役割をもち、私たちの肌を守ってくれています。例えば体内や肌の水分を守ってくれていたり、外からの最近などの侵入を防ぐことができているのもバリア機能のおかげです。
しかし上記のような様々な外的要因によってバリア機能が乱れると、うまく水分を保てず乾燥が気になったり、ということが起きてきます。
バリア機能を助ける「美肌菌」
肌のバリア機能、そして潤いに一役買っているのが、実は「美肌菌」。
「美肌菌」として知られる「表皮ブドウ球菌」は汗や皮脂をエサにして、グリセリンや脂肪酸を作り出します。
そしてグリセリンは「天然の保湿成分」とも言われ、肌に潤いを与えてバリア機能を保つ効果があるのです。
また脂肪酸は肌を弱酸性に保ち、抗菌ペプチドを作り出すことで、肌荒れやアトピーの原因になる「黄色ブドウ球菌」の増殖を防ぎます。
そのため、表皮ブドウ球菌は肌の潤いやバリア機能に関わっていることから、「美肌菌」と呼ばれているのです。
つまり、夏から秋の揺らぎやすい肌にも、「美肌菌」のバランスが大切ということが考えられます。
秋の肌トラブル対策・美肌菌を増やして乾燥を防ぐ具体的な方法
秋も乾燥知らずの肌でいるには、「表皮ブドウ球菌」や「アクネ菌」のような潤いに関わる菌が大切とわかりました。しかしその菌バランスを保つ方法は、意外と知られていません。
美肌菌を増やすため、具体的な習慣で何を気をつけたらいいのかを解説します。
洗いすぎ/使いすぎを控える
秋に限らずですが、過度な洗顔は美肌菌を減らしてまったり、そのエサとなる皮脂を奪いすぎてしまうことが考えられます。
美肌菌は肌にある皮脂や適度な汗をエサとして生きているので、減らさないためには適度な皮脂も必要なのです。
洗顔に関しては、「ぬるま湯」で洗浄力の「優しい洗顔料」を、なるべく「夜のみ」使用することを心掛けましょう。
クレンジング時もW洗顔は避けたいので、一度のクレンジングで落ちるようにベースメイクも比較的落ちやすいものへ変えていく、という意識も大切です。
洗浄により皮脂を洗い流してしまうことに加え、化粧品や洗剤に含まれる、色々な界面活性剤や防腐剤といった成分も注意が必要です。
界面活性剤や防腐剤は洗顔料、クリームや乳液など、一般的に様々な化粧品に含まれるものです。ただものによっては皮脂を奪いすぎたりと、菌の観点からは控えたいという一面も。
アイテム数が多くなるほどそういった成分を使う回数が増えますので、まずは極力シンプルなスキンケアを意識していくとよいでしょう。
美肌菌を意識した化粧品成分についてはこちら▼
適度な運動をして汗をかく
表皮ブドウ球菌(=美肌菌)を育てるのに欠かせない存在なのが、嫌われがちな「汗」。
確かに雑菌が繁殖して匂うほどの汗は気になりますが、実はこの汗こそが表皮ブドウ球菌のエサとなります。
美肌菌は皮脂や汗をエサにして増殖するため、じんわりと汗をかく機会が日常的にあることは大切なのです。
軽く汗ばむくらいの運動をしてから眠ることが、美肌菌を育てることにつながるということもわかっています。(※1)
暑さも和らぐ秋ですから、美肌菌のため適度な運動習慣をつけるのにはぴったりでしょう。
美肌菌のことを考えた化粧品を選ぶ
美肌菌にダメージを与えず、増やしてくれる化粧品はあるのでしょうか。
界面活性剤や防腐剤に注意が必要とはお伝えしましたが、菌の視点で考えると、以下のような成分はできるだけ避けたほうがよいかもしれません。
【界面活性剤】
- スルホン酸ナトリウム
- 塩化アルキルトリメチルアンモニウム
- ベンザルコニウムクロリド
- スルホン酸、アンモニウム
- クロリド
【防腐剤】
- エチルパラベン
- メチルパラベン
- ブチルパラベン
これらはもちろん有害な成分というわけではなく、どれも認可の取れた一般的な界面活性剤や防腐剤です。洗浄剤や防腐目的の成分は化粧品にとって必要な要素ですから、使われている製品も多いでしょう。
ただ菌の観点からは洗浄力が強かったり、美肌菌に影響をもたらす可能性もあります。(※2,3)
とはいえ、一般的な成分ではあるので入っていない化粧品を選ぶといってもなかなか難しいと思います。まずは成分自体のシンプルなものや、アイテム数自体を減らして肌に触れる界面活性剤や防腐剤を減らしていく、という意識から始めてみましょう。
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美肌菌を味方につけて秋冬も潤い肌に
美肌菌と呼ばれる「表皮ブドウ球菌」。このような肌の常在菌を味方につけることで、秋冬の気になる乾燥肌を防ぐことにもつながります。
揺らぎやすい季節の変わり目だからこそ、菌も意識したスキンケアを。
もともといる菌たちが潤いを作ってくれるなら、たくさんの美容液やクリームも必要なくなるかもしれません。結果的にはシンプルなケアで、余計なお金をかけずに美肌を保つことにもなりそうですね。
美肌菌のチカラを活かせるような生活や化粧品選びで、揺らがない潤い肌を目指しましょう。
※1 書籍「化粧品やめたら美肌菌がふえた!」著・出来尾格
※2「Effect of cosmetic chemical preservatives on resident flora isolated from healthy facial skin」Qian Wang, Shumei Cui, Li Zhou, Keke He, Liya Song, Haiyan Liang, Congfen He
※3 「界面活性剤の皮膚常在菌への影響」宮野直子
記事の監修
岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。
INSTAGRAM : @yutaka411985 , @yourkins_official
X : @yutaka_shimo