掲載日 | 2023.09.12
更新日 | 2023.09.12

【アクネ菌とは】ニキビとの関係・実は乾燥肌の救世主?

掲載日 | 2023.09.12
更新日 | 2023.09.12
一般的に「ニキビの原因菌」と考えられ、敬遠されがちな「アクネ菌」。

なんとなく「肌に悪いもの」といったイメージをもっている方が多いのではないでしょうか。しかし実際にはその正体は、肌の潤いとも密接に関わるとても重要な存在なのです。

そんなアクネ菌のはたらきについてご紹介します。

乾燥肌の救世主「アクネ菌」

アクネ菌が増えるとニキビの原因になる。

それも確かに事実ですが、アクネ菌には実はそれだけではない他の働きもあるとご存じですか?

そして、そのアクネ菌の働きは「肌がカサカサでハリがない…」「一年中乾燥しがち…」といった乾燥悩みを抱える方の助けになってくれるかもしれないのです。

皮脂や汗などをエサにして活動する皮膚常在菌

私たちの身体に棲む菌たちは、基本的に何らかの成分をエサにします。そして他の物質を生み出しています。
例えば「おなかに良い」とされる乳酸菌は、食事から入ってきた成分などをエサにして増え、「乳酸菌生産物質」という身体に良い物質を作り出すのです。

それゆえに善玉菌と呼ばれているのですね。

そしてこれは、アクネ菌のような肌に棲む皮膚常在菌も同じです。

肌の潤いをつくるアクネ菌

世間ではニキビの原因にもなり厄介な存在として扱われるアクネ菌ですが、実はそれ自体が常に悪さをする菌ではありません。

アクネ菌は基本的には、代謝産物であるプロピオン酸、脂肪酸などを生み出し、肌のバリア機能を助けてくれているのです。

アクネ菌は皮脂詰まりにより過剰に増えることでニキビにつながりますが、普段は善玉菌の働きをしていて、肌に潤いを与えながら刺激や乾燥から守ってくれているのです。

またその割合もそう珍しいものではなく、そもそもアクネ菌は一般的に多くの方の肌に存在している菌です。極端に多いということでなければ、肌にいることはごく自然と考えられます。

アクネ菌=すべて悪、ではない

基本的には過剰な皮脂分泌などが重ならなければ、アクネ菌がニキビを引き起こすことはありません。むしろ30代くらいになるとほとんどの人がアクネ菌が不足してくるため、乾燥から守ってくれる貴重な菌とも言えます。

アクネ菌は若い肌のほうが多く存在し、年齢とともに減少していくとされているのです。10代の頃は誰の表皮にもたくさんいる菌ですが、年齢を重ねるごとにその数は減っていき、菌が少なくなりすぎると乾燥肌を起こします。

他にも表皮を弱酸性に保ち、有害な菌がお肌に住み着くことを防ぐ役割があります。

ニキビができやすい方にとって大敵だと思われていたアクネ菌。実は潤いを保ってくれ、肌のバリア機能のためにも必要な菌だとお分りいただけたでしょうか。

アクネ菌を増やしてくれる化粧品成分はあるの?

年齢とともに減少してしまうアクネ菌ですが、スキンケアによってケアしていくという考え方もあります。

スキンケアで使う化粧品成分の中でも、「グリセリン」と「高オレイン酸オイル」は、アクネ菌のエサになりやすいと考えられています。

それぞれどういった背景かご紹介しましょう。

グリセリン

グリセリンはすぐれた吸湿性を持ち、肌の潤いをアップしてくれる効果があります。

角質層の水分をキープをして保湿をしてくれる成分であるため、化粧水やクリームなどにも多く使用されている一般的な成分です。化粧水などの保湿アイテムでは、入っていない製品のほうが珍しいくらいかもしれません。

そんなグリセリンをアクネ菌が好み、エサにするということがわかってきています。

ある製薬会社の研究では、アクネ菌にグリセリンを与えたところ大幅に増殖が見られたのだそうです。(※1)

高オレイン酸オイル

オレイン酸はとても肌馴染みが良く、「皮脂」に近い成分です。

実際、私たちの皮脂の脂肪酸にもオレイン酸は含まれます。そのような脂肪酸を全体的にアクネ菌は好むため、皮脂の多い環境では増えやすいのです。

オレイン酸の含まれるオイルは保湿剤として使われることが多く、お肌の潤いを守り、エイジングケアや乾燥を防ぐ効果も期待できます。

そんなオレイン酸を多く含む「アルガンオイル」は、保湿効果も高く肌や髪のケアに使いやすいので、乾燥の気になる方にはおすすめです。

「オリーブオイルでニキビができる」は本当?

「オレイン酸の多いオイルはニキビ肌に良くない」

とされるのを聞いたことがあるでしょうか。

その実は、オイルそのものがニキビを招くというより、含まれる脂肪酸のひとつであるオレイン酸をアクネ菌が好む、というのが正しいでしょう。

実際に高オレイン酸オイルが直接ニキビを増やすのか、というところまでは定かではないですが、アクネ菌を増やす要素になりそうなところは避けましょうね、という意味で言われていると考えられます。

オレイン酸に限らず脂肪酸を好むアクネ菌なので、ニキビ肌の方がオイルを使う場合には、脂肪酸の少ないホホバオイルが無難ということは言えますね。

菌を味方につけて乾燥知らずの肌を目指そう

多くの人が悩まされている乾燥。その原因には肌バリアが関係し、アクネ菌たちの働きによるものだということが分かりました。

肌からアクネ菌を無くすのではなく、バランスを整えることで、乾燥から肌を守りより綺麗な肌を作ることが可能です。

乾燥知らずの肌を手に入れるためにも、菌たちへのケアを意識してみてはいかがでしょうか。

参考文献:

1.サティス製薬【研究調査】化粧品でアクネ菌が増える? ~保湿剤編~

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
X : @yutaka_shimo

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