乾燥ニキビは保湿で悪化しない?正しいケア方法とは
ただ、乾燥しているからといってやみくもに保湿すると、今度は保湿成分の油分などでニキビが悪化してしまいそうでこわいですよね。
乾燥ニキビができている時は、ただ保湿するのではなく、根本的にきちんと乾燥肌を改善していくことが大切です。
この記事では、乾燥によるニキビの原因を探り、効果的な予防方法とケア方法を紹介していきます。ニキビがある時に使わないほうがいい成分もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
乾燥ニキビができる原因
乾燥ニキビができる原因は、主に2つあります。
原因1.乾燥によって毛穴が塞がれる
お肌は本来、古くなった角質は、自然と剥がれ落ちていき、それがターンオーバーの仕組みになっています。お肌がしっかり潤っていると角質1枚1枚がスムーズに剥がれていきますが、乾燥していると、角質がくっついてしまい、古くなった角質がうまく剥がれ落ちず、肌表面に残り続けることがあります。
この不要な角質は毛穴の出口を塞ぐ原因となり、毛穴に皮脂が溜まる原因になります。乾燥肌といえど、まったく皮脂が出ていないわけではないので、少ない皮脂でも詰まりやすくなってしまいます。
毛穴が詰まると、そこは細菌が繁殖しやすい環境になり、炎症を起こしやすくなります。この炎症がニキビの赤みや腫れとして現れるのです。つまり、乾燥が引き起こすターンオーバーの異常が、ニキビの直接的な原因になることがあるのです。
原因2.乾燥から皮脂過剰が起きやすい
肌が乾燥すると、潤いを保とうとする自己防衛メカニズムが働き、皮脂の過剰な分泌を引き起こすことがあります。
皮脂腺は肌を保護し、外部からの刺激を防ぐために皮脂を分泌しますが、乾燥した肌環境ではこのバランスが崩れ、必要以上の皮脂が生産されます。この過剰な皮脂が毛穴に溜まり、細菌がこの皮脂をエサにすることで繁殖しやすくなり、炎症を引き起こしてニキビが形成されます。
こうして、乾燥は皮脂の過剰分泌を促し、最終的にはニキビの一因となってしまうのです。
脂性肌だと思ったら乾燥が原因の可能性も!
自分では乾燥肌だと感じていても、実際にはその状態が乾燥による皮脂の過剰分泌によるものであることがあります。
肌が乾燥すると、その乾燥を補うために肌は自然と保護機構を働かせ、皮脂の分泌を増やします。表面的には肌が脂っぽく見え、一見すると脂性肌のように感じるかもしれませんが、実際には肌の内部は水分不足で乾燥している状態です。このような状態は、「インナードライ肌」とも呼ばれ、外側は脂っぽいのに内部では水分が不足している状態を指します。
誤解したまま、お肌から皮脂を奪うようなケアをしてしまうと、どんどん乾燥が進み、皮脂過剰もずっと治らないという悪循環が起きてしまいます。どんなケアをしても皮脂過剰が治らない、ニキビもずっとできる、という方は、一度インナードライ肌を疑ってみるのもおすすめです。
乾燥ニキビと普通のニキビは違う?
乾燥ニキビと普通のニキビの基本的な違いは、その発生環境にあります。普通のニキビは、皮脂の過剰分泌や毛穴内の細菌の増加、角質の詰まりなどによって発生します。これらは、ホルモンバランスの変化、不適切なスキンケア、不健康な生活習慣などさまざまな要因によって引き起こされることが多いです。
一方で、乾燥ニキビは肌の乾燥が深く関係しています。肌が乾燥すると、皮脂の過剰分泌を促し、外部からの刺激に対するバリア機能が低下します。同時に、乾燥は肌のターンオーバーを遅らせる効果もあります。肌のターンオーバーが正常に行われないと、古い角質が剥がれ落ちずに肌表面に残り、これが毛穴を塞ぐ原因となります。その結果、ちょっとしたことで毛穴が詰まり、ニキビができやすい状態になるのです。
大人ニキビは乾燥が原因になりやすい
大人になると、思春期の頃に比べて皮脂腺の活動が落ち着き、皮脂の分泌量が減少する傾向にあります。そのため、年齢を重ねると乾燥を引き起こしやすくなります。また、間違ったクレンジングや洗顔方法がこの状況を悪化させることがあります。例えば、肌に合わない製品の使用や洗顔時の過度な摩擦は、肌の必要な油分を奪い、その結果として乾燥を促進します。
この乾燥が大人ニキビの一因となり得るのです。
一見、Tゾーンはテカテカしているのに、フェイスラインは乾燥している、という時は特に、乾燥ニキビを疑ってみてください。
乾燥ニキビを作らせない!根本的に治す方法
乾燥ニキビは、単純に保湿をすればいい、という問題ではありません。保湿をしっかりしているのに乾燥ニキビが治らない、という方は、根本的に原因を見つめ直して、乾燥ニキビを治していきましょう。
美肌菌を味方につける!美肌菌の役割とは
美肌菌は皮膚常在菌のバランスを保ち、健康な肌を維持するのに役立ちます。美肌菌を味方につけることで、悪玉菌の増殖を防ぎ、外界の刺激から肌を守ります。これにより、ニキビや他の肌トラブルの予防に繋がります。
お肌の潤い成分を生成して、乾燥に負けないお肌を作る
美肌菌はお肌の表面に存在し、汗や皮脂を栄養源として活用します。これらの微生物は、グリセリンや脂肪酸などの保湿成分を生成することにより、肌の自然な保湿機能をサポートします。
美肌菌の活動により、肌の水分バランスが保たれ、乾燥が防がれるのです。美肌菌が健康的に機能することで、肌は本来の潤いを維持し、柔軟でハリのある状態を保つことができます。
美肌菌を洗い流さない
乾燥肌を根本的に改善するためには、まずは美肌菌を守ることが大切です。
洗浄力の強いクレンジングや洗顔を使用すると、美肌菌を洗い流してしまい、結果的にお肌の乾燥を引き起こす可能性があります。
どんなに後から保湿をしても、お肌の常在菌のバランスが崩れることで、ニキビ以外にも様々なトラブルを引き起こしてしまいます。まずは、美肌菌を洗い流さずに守ることが大切なスタートにあんります。
美肌菌のエサを洗い流さない
美肌菌が働くためには、エサとなる汗や皮脂が重要な役割を果たします。これらは美肌菌の主なエサとなり、彼らが健康に活動することで肌は自然な潤い成分を得ることができます。
しかし、洗浄力が強すぎるクレンジングや洗顔料を使用すると、この貴重なエサを奪ってしまい、美肌菌の生態系を乱すことになります。
その結果、美肌菌は十分に機能せず、肌の潤い成分の生成が滞ります。これは乾燥肌の直接的な原因となるため、美肌菌のエサを守ることは、健康な肌を維持し乾燥肌を根本から改善するために不可欠です。
したがって、肌の自然なバリアを尊重し、美肌菌が繁栄できるような優しいクレンジングや洗顔を選ぶことが重要です。
見直すべきはクレンジングと洗顔!
美肌菌やそのエサである汗や皮脂を過度に洗い流さないためには、クレンジングと洗顔の方法を見直すことが重要です。特に、合成界面活性剤や洗浄力の強い製品は、肌から必要な潤いや保護成分を奪い、美肌菌のバランスを崩すことがあります。
例えば、ミネラルオイルをベースにしたクレンジングは、洗浄力が強く、美肌菌や皮脂を洗い流してしまいます。クレンジングを選ぶときは、植物性のオイルをベースにしたものがおすすめです。
また、合成界面活性剤については色々と種類があり、濃いメイクをしっかり落とすためには、洗浄力の強いものが使われていることが多いです。
合成界面活性剤についてはこちらで説明していますが、非イオン(ノニオン)界面活性剤が刺激が弱くておすすめです。
要注意?ニキビがある時に控えたい成分
乾燥ニキビを予防するために、刺激の強い合成界面活性剤や洗浄力の強いミネラルオイルを避けて美肌菌を守ることが大切ですが、それ以外にも避けた方がいい成分があります。
殺菌成分
ニキビ治療のために殺菌成分を使用すると、有害な細菌だけでなく、肌に必要な美肌菌も減少するリスクがあります。美肌菌は健康な肌環境を維持する上で重要な役割を果たしています。そのバランスが崩れると、肌の自然な防御機能が弱まり、結果として長期的に見て肌荒れの原因となることがあります。
どうしてもの時や、一時的にお薬などで治療することはあっても、殺菌効果のあるスキンケア製品を長期間使用するのはおすすめできません。
ニキビに悩まされている時は、ニキビを治すことだけに注力せず、お肌を整えてニキビができない状況を作っていくことが大切です。
鉱物油(ミネラルオイル)
ミネラルオイルはクレンジング以外にも、多くのスキンケア製品に含まれていますが、その特性がニキビを悪化させる原因となることがあります。
ミネラルオイルは肌に膜を作ることで水分を閉じ込めるため、保湿効果が高いように見えますが、この膜が肌の毛穴を塞ぐことで皮脂の過剰な蓄積を引き起こし、ニキビの原因となり得ます。ニキビを予防し管理するためには、肌の通気性を保ち、毛穴を塞がない成分を含む製品の選択が重要です。
アルコール
アルコールを含むスキンケア製品は、一時的には肌を清潔にし、油分を除去する効果がありますが、その強い乾燥作用によって肌の自然な保護バリアを損なうことがあります。
この過乾燥は肌を刺激し、結果的に炎症を引き起こしやすくするため、ニキビの悪化につながることがあります。
また、肌が乾燥すると、肌は保護を目的として皮脂の過剰な分泌を促すことがあり、これが毛穴の詰まりやニキビの発生に寄与する可能性があります。
ニキビ薬も確認!乾燥させるお薬かも
ニキビ治療薬は一時的に効果が見られることもありますが、その中に含まれる乾燥させる成分や強い抗菌作用が肌の常在菌のバランスを崩し、長期的に見るとニキビを繰り返しやすくする可能性があります。
これらの成分が肌の自然な保護機能を弱めることで、肌はより敏感になり、新たな肌トラブルの原因となることがあるため、治療法を選ぶ際には慎重に検討することが重要です。
特に大人ニキビは乾燥が原因になっていることが多いため、ベピオやディフェリン、硫黄などの脱脂作用の強いお薬を使う際は、慎重に検討しましょう。
お肌本来の潤いを取り戻す!おすすめの成分
美肌菌の邪魔をせず、お肌の潤いを補うのにおすすめの成分をご紹介します。
セラミド
セラミドは肌に元々存在する重要な成分で、肌のバリア機能を支え、水分を保持する役割を果たしています。乾燥肌の改善には、セラミド含有のスキンケア製品が効果的です。
外部からセラミドを補給することで、肌の水分保持能力が向上し、乾燥によるダメージから肌を守ることができます。これにより、肌の柔軟性が高まり、乾燥や肌荒れを防ぐことに役立ちます。
ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は、肌に元々存在する保湿成分の一つで、大量の水分を保持する能力があります。スキンケア製品に含まれるヒアルロン酸は、肌の水分を補給し、保持することで乾燥肌の改善に役立ちます。
肌にヒアルロン酸を補うことで、肌はより潤いを保ちやすくなり、乾燥による細かい線や肌荒れを防ぐ助けになります。これにより、肌の健康と若々しさを維持することができます。
美肌菌を育てる成分
豆乳発酵成分は美肌菌を育て、乾燥肌の改善に役立つことが知られています。豆乳発酵物に含まれる成分が肌の常在菌のバランスを整え、保湿効果を高めるため、これらの成分を含むスキンケア製品の使用は、肌の潤いを保ちながら、健康的な肌環境をサポートします。
肌の保水力が向上すると、乾燥による小じわや荒れが減少し、肌の柔軟性や弾力性が改善される可能性があります。
乾燥肌を治してニキビを予防しよう!
いかがでしたか。
乾燥ニキビを根本的に治すには、保湿をすることではなく、乾燥させないようなクレンジングや洗顔、スキンケアが大切ということが分かりますよね。
どうしてもしつこい乾燥が治らない、乾燥によるニキビに悩まされている、という方は、一度使用しているクレンジングや洗顔、スキンケア製品を見直してみてはいかがでしょうか。
記事の監修
岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。
INSTAGRAM : @yutaka411985 , @yourkins_official
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