掲載日 | 2024.04.19
更新日 | 2024.04.19

腸内環境を整えてストレス耐性アップ!腸ストレスを減らす方法

掲載日 | 2024.04.19
更新日 | 2024.04.19
現代社会では、多くの人々が日常的にストレスを感じています。しかし、そのストレスがどのように私たちの身体に影響を与えるかをご存知でしょうか?

特に注目されるのは、腸と脳の間の密接な関係です。

この関係を理解することで、ストレスに打ち勝つ新たな方法が見えてくるかもしれません。私たちの腸内環境は、脳の健康と直接的に結びついており、腸の状態がストレス耐性に影響を及ぼすのです。
逆に、ストレスが腸に悪影響を与えることもあります。

このページでは、「腸活」を通じて、ストレスに強い身体を作るための方法を探求します。

ストレスで便秘に?ストレスと腸の関係

ストレスで便秘に?ストレスと腸の関係

私たちの身体は、ストレスを感じると多くの反応を示します。その中でも特に、腸の健康に与える影響は見過ごされがちです。ストレスが腸に与える影響を理解することで、日常生活における不快な症状を改善するヒントが見つかるかもしれません。

自律神経と腸の関係

自律神経は私たちの身体の多くの無意識的な機能を制御していますが、特に消化系に対する影響は大きいです。自律神経系は主に交感神経と副交感神経の二つの部分から成り立っており、これらのバランスが腸の機能に直接影響を与えます。

交感神経が優位の時

交感神経は「戦うか逃げるか」の反応を担当し、身体を緊張状態にします。この状態では、血流が筋肉や心臓へと優先的に分配され、消化活動は後回しにされます。結果として、腸の蠕動運動は抑えられ、食べ物の通過速度が遅くなり、便秘を引き起こす原因となります。

副交感神経が優位の時

副交感神経は「休むと回復する」の機能を支配し、リラックスした状態を促します。このとき血流は内臓へと向かい、腸の活動が活発になります。腸の蠕動運動が促進され、消化がスムーズに行われるため、便通が良くなることが一般的です。

ストレスが長期間続くと、交感神経の活動が持続的に高まり、腸の正常な機能が妨げられることがあります。逆にリラクゼーションや適切な休息、心地よい環境は副交感神経を刺激し、腸の健康を促進します。

ストレスが自律神経に与える影響

トレスを感じると、体は即座に交感神経を活性化させ、「戦うか逃げるか」の反応を準備します。これは短期的には生存本能に基づく健全な反応ですが、長期にわたる場合は体に負担をかけます。

具体的には、心拍数の増加、血圧の上昇、筋肉の緊張といった症状が表れ、これらが持続することで慢性的な健康問題に繋がります。また、消化系への血流が減少することで、消化不良や便秘といった問題が生じやすくなります

「腸ストレス」になる!見直したい生活習慣

「腸ストレス」になる!見直したい生活習慣

自分ではっきりと「ストレス」を感じられるもの以外にも、腸にとってはストレスになることもあります。そのような「腸ストレス」も、腸内環境を乱す原因になってしまいます。

過度なダイエット

健康や美容のためにダイエットを行うことは一見良い選択のように思えますが、過度なダイエットは腸の健康を害する可能性があります。特に、栄養摂取が不十分になるような厳しい食事制限は、腸内フローラのバランスを乱し、消化器系全体の機能に影響を及ぼします。

腸内には多種多様な細菌が存在し、これらの健康なバランスが免疫機能や消化吸収に重要な役割を果たしています。過度なダイエットによってこのバランスが崩れると、有害な細菌が増加する可能性があり、腸内環境の悪化を招きます。

また、 体に必要な栄養素が十分に供給されないと、腸の粘膜が弱まり、消化機能が低下します。特に、食物繊維や健康な脂肪、十分なタンパク質が不足すると、腸内細菌のバランスが悪化し、便秘や下痢などの消化不良を引き起こす原因となります。

偏った食生活

偏った食生活

健康を意識するあまり、特定の食品群に偏った食事をすることは意外にも腸にストレスを与える原因となります。例えば、野菜のみを重視した食生活や、脂質の摂取を極端に避けるような食事は、腸の健康に逆効果となることがあります。

また、忙しいからとファストフードで食事を済ませたり、菓子パンなどの手軽なものばかりに偏っていると、腸にとって必要な栄養素が不足して、腸内環境を悪化させてしまいます。

睡眠不足

睡眠は、私たちの身体だけでなく、腸内環境の健康にとっても非常に重要です。十分な睡眠を取ることができないと、腸内細菌のバランスが乱れ、特に有益な短鎖脂肪酸の生産が減少する可能性があります

睡眠不足は自律神経のバランスを乱し、それが直接腸内細菌の活動に影響を及ぼします。具体的には、短鎖脂肪酸を生成する細菌の活動が抑制されることがあり、これによって腸内環境が悪化する可能性があります。酢酸やプロピオン酸などの減少は、腸の粘膜の健康を損ね、炎症を引き起こしやすくするほか、全身の免疫力低下にもつながることがあります。

薬の服用

薬の服用

私たちが服用する多くの薬には、必要な治療効果がありますが、同時に腸内環境に悪影響を及ぼす副作用があることも少なくありません。特に、抗生物質や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などが腸の善玉菌に影響を与え、腸内フローラのバランスを乱す可能性があります。
痛み止めや風邪薬などをよく飲む方は、腸にストレスを与えている可能性があります。

抗生物質の影響

抗生物質は特定の感染症を治療するために非常に効果的ですが、これらは腸活目線では残念ながらおすすめではありません。
つまり、有害な細菌を殺すと同時に、腸内の善玉菌も減少させてしまいます。これにより腸内環境が大きく乱れ、腸内細菌の多様性が減少し、腸の免疫機能が弱まることがあります。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の影響

NSAIDsは痛みや炎症を抑えるために広く使われていますが、これらの薬剤が腸の粘膜にダメージを与えることが報告されています。腸の粘膜が損傷すると、腸内のバリア機能が低下し、腸内細菌が適切に制御されず、腸内環境がさらに悪化する可能性があります。

過度な疲労

過度な疲労

日々の生活や仕事での過度な疲労は、ただ体を疲れさせるだけでなく、腸の健康にも大きな影響を与えます。疲労が蓄積すると、体の自然な回復プロセスが妨げられ、これが腸にもストレスとして作用します。

過度の疲労は自律神経のバランスを乱し、特に交感神経が優位になることが多いです。これにより腸の運動が抑制され、消化不良や便秘といった症状を引き起こすことがあります。また、自律神経の乱れは腸の免疫機能にも影響を与え、感染症に対する抵抗力が低下する可能性があります。

さらに、疲労が積み重なるとストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加/します。コルチゾールは一時的にはエネルギーの供給を高める効果がありますが、長期間にわたる過剰な分泌は腸内の善玉菌に悪影響を与え、有害な細菌の増加を促すことがあります。これが腸内環境のバランスを大きく乱し、様々な消化器症状や腸の炎症を引き起こす原因となります。

冷え

体が冷えると、それはただ不快なだけでなく、腸の健康にも悪影響を及ぼします。体温が低下すると、血流が悪くなり、特に腸の運動や機能に必要な血流が減少することがあります。これにより、腸内環境が乱れ、消化不良や便秘といった問題が生じることがあります。

体が冷えると血管が収縮し、全身の血流が低下します。腸においても、必要な血液が十分に供給されないことで、その運動機能が低下し、消化不良や腸の動きが鈍くなることがあります。これは便秘の原因となり得ます。

また、冷えが腸の血流を悪化させることは、腸内フローラの活動にも影響を及ぼします。血流が悪化すると、腸内環境が酸素や栄養素を十分に受け取れず、善玉菌の活動が抑制される可能性があります。その結果、有害な細菌が増え、腸内バランスが乱れることにつながります。

腸内環境の乱れが自律神経を乱すことも

腸内環境の乱れが自律神経を乱すことも

私たちの腸内環境と脳は、「腸脳軸」と呼ばれる緊密な関係にあります。このため、腸内環境の状態が直接的に自律神経のバランスに影響を及ぼし、それがストレス耐性にも影響を与えることがあります。

腸内に存在する細菌は、神経伝達物質を生成することで私たちの感情やストレス反応に直接影響を及ぼします。例えば、善玉菌はセロトニンやガンマ・アミノ酪酸(GABA)などの神経伝達物質の生産を助けることが知られています。これらの物質は、自律神経のバランスを保ち、リラックス状態を促進する役割があります。

腸内環境が悪化すると、有害な細菌が増えることで炎症物質が生産され、これが血流を介して全身に影響を及ぼします。これにより、自律神経のバランスが崩れ、特に交感神経が過剰に活性化されることがあります。その結果、体は常にストレス状態にあり、ストレス耐性が低下します。

腸内環境を整えるとストレス耐性がアップ

腸内環境を整えるとストレス耐性がアップ

健康的な腸内環境を維持することは、ストレス耐性を高める重要な鍵となります。以下に、腸内環境を整えるための実用的な方法をいくつか紹介します。

腸内の善玉菌を増やす

腸内環境を整えるには、まずは腸内の善玉菌を増やすことが大切です。腸内の善玉菌を増やすためには、乳酸菌などの善玉菌を実際に摂取することと、腸内の善玉菌のエサになるものを摂ることが大切です。

乳酸菌や納豆菌などの善玉菌を摂る

善玉菌を直接摂取する最も一般的な方法は、発酵食品を食べることです。以下の食品が善玉菌の豊富な源となります。

ヨーグルト
生きた乳酸菌が含まれており、腸内フローラのバランスを整えるのに効果的です。
納豆
納豆菌が豊富で、日本の食文化では古くから健康食として利用されています。
キムチ
発酵したキャベツやその他の野菜には乳酸菌が多く含まれており、腸内環境の改善に役立ちます。
漬物
発酵により乳酸菌が生成され、腸内の健康をサポートします。

これらの食品を日常的に取り入れることで、腸内の善玉菌を増やし、健康を維持することができます。

善玉菌のエサをしっかり摂る

善玉菌を増やすためには、彼らが食べるエサも重要です。このエサとなるのがプレバイオティクス(食物繊維)で、以下の食品から摂取できます。

全粒穀物
オートミールや玄米など、未精製の穀物には豊富な食物繊維が含まれています。
豆類
黒豆やレンズ豆など、豆類には腸の健康をサポートする食物繊維がたっぷりです。
野菜と果物
バナナ、アスパラガス、ニンジン、リンゴなど、生のまままたは少し加工された状態で食べることで、食物繊維を最大限に保つことができます。

これらの食品をバランス良く摂ることで、腸内の善玉菌が活発に活動し、腸内環境が健康に保たれます。

善玉菌を邪魔するものを控える

腸内環境を整えるとストレス耐性がアップ

腸内環境を健康に保つためには、善玉菌の増殖を妨げる食品や習慣を避けることが重要です。特に注意すべきは、以下のような要因です。

添加物を控える

多くの加工食品に含まれる添加物は、腸内環境に悪影響を及ぼすことがあります。これらの物質は、腸内の善玉菌を減少させる可能性があるため、できるだけ天然成分のみを含む食品を選ぶようにしましょう。

長期間保存するために添加される防腐剤は、善玉菌の生存にも影響を与えることがあります。
また、一部の人工甘味料は、腸内細菌のバランスを乱す可能性が報告されています。カロリーを抑えたいからと、ゼロカロリー食品などを選んだりしていると、長期的に見ると腸内環境を悪化させてしまうことに繋がります。

高糖質や高脂質な食事を控える

高糖質や高脂質の食事は、腸内の悪玉菌の成長を促進し、善玉菌のバランスを乱すことがあります。過剰な糖分と脂肪は、腸内での発酵過程を変え、腸内ガスの過剰な生成や不快な膨満感を引き起こす可能性があります。

ケーキ、クッキー、白パン、白米など、高いGI値(グリセミック指数)を持つ食品、ファーストフードや加工されたスナック食品は、糖質も脂質も多いため、できるだけ控えるのがおすすめです。

腸内環境を整えてストレスに強い身体になろう

腸内環境を整えてストレスに強い身体になろう

現代社会においてストレスは避けられない要素ですが、その影響を最小限に抑える方法の一つが、腸内環境の健康を保つことです。腸は「第二の脳」とも称され、私たちの心理状態にも大きな影響を与えるため、腸内環境を整えることは、ストレス管理にも直結します。

腸内環境を整える方法は多岐にわたります。プロバイオティクスやプレバイオティクスを含む食品を摂取し、善玉菌を増やすことが基本です。

腸内環境が整うと、自律神経のバランスが改善され、ストレスに対する耐性が自然と高まります。腸から脳へのポジティブな信号が増えることで、心の安定と健康が支えられるのです。さらに、腸内環境が整うことで、免疫機能も強化され、病気に対する抵抗力が増します。

このように、腸内環境を整えることは、ストレスだけでなく、健康全体を向上させる効果があります。日々の食事を見直し、適切な生活習慣を続けることで、ストレスに強い身体を作り上げましょう。腸の健康が全体の健康を支えるため、腸内環境に優しい選択を日常から意識することが、より良い生活への第一歩です。

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
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