生理前のふわふわめまい|
原因別におすすめの食べ物や、めまいに効くツボ
ホルモンバランスの変化によるPMS(生理前症候群)の一部としてめまいが現れることがあり、これを和らげるためには適切な食事やツボの刺激、生活習慣の見直しが大切です。
特に、女性ホルモンを整えるためには腸内環境を健全に保つことが重要であり、これが全身のバランスに影響を与えます。
この記事では、ホルモンバランスの安定に役立つ食事法やツボ、そしてPMS症状を悪化させないための生活習慣を詳しく紹介していきます。
生理前のめまいはPMS症状
生理前に起きるめまいは、多くの女性が経験するPMS症状の1つです。ここでは、PMSの概要とその原因、特にPMSとめまいの関係について詳しく見ていきます。
PMSとは
PMS(生理前症候群)は、月経周期の黄体期に発生し、生理が始まる数日前から数週間前にかけて女性が感じる身体的・精神的な不快症状の総称です。
症状は個人差があり、頭痛、乳房の張り、腹部の膨満感、感情の起伏、イライラ、めまい、集中力の低下、食欲増加など多岐にわたります。重症の場合、日常生活に支障をきたすほど症状がひどくなるPMDD(月経前不快気分障害)に至ることもあります。
PMSが起きる原因
PMSの原因は色々あり、完全に解明されていませんが、主な原因として以下のようなものが考えられます。
ホルモンバランスの乱れ
生理周期の中で、エストロゲンとプロゲステロンの2つの主要な女性ホルモンが急激に変動することで、脳内の神経伝達物質の分泌にも影響を及ぼします。特に、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌が減少すると、気分の落ち込みやイライラ、めまいなどが起きやすくなります。
栄養不足
PMS症状を悪化させる要因の1つに、ビタミンやミネラルの不足があります。例えば、ビタミンB6、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などが不足すると、ホルモンバランスの乱れが生じやすくなり、症状が出やすくなります。
ストレス
心理的・身体的ストレスは、ホルモン分泌に影響を与え、PMS症状を悪化させます。特に高ストレスの環境では、コルチゾールなどのストレスホルモンが過剰に分泌され、ホルモンバランスを崩す原因となることがあります。
睡眠不足
睡眠は体内のホルモン分泌に大きく影響します。睡眠が十分に取れないと、自律神経が乱れやすくなり、ホルモンの分泌や免疫系にも悪影響が及びます。これによりPMS症状が悪化することがあります。
PMSとめまい
PMSに関連するめまいは、ホルモンバランスの変動により起こる可能性が高いです。エストロゲンとプロゲステロンのレベル変化が、血糖値や血液循環、血圧に影響を与え、めまいを引き起こすとされています。
さらに、PMSによる精神的ストレス、不安、睡眠不足も症状を悪化させる一因となります。例えば、めまいによりふらつくことで、日常生活や仕事に支障をきたす場合もあります。
生理前のめまいを和らげる食べ物
PMSの症状、特に生理前のめまいは、適切な栄養を摂取することで和らげることができます。ここでは、PMS全般やめまいを和らげるための食品について紹介していきます。
イソフラボンを含む大豆製品
イソフラボンは、大豆や大豆製品に含まれる植物性エストロゲンで、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをします。
エストロゲンの不足によって起こるホルモンバランスの乱れを補い、生理前のめまいやPMSの他の症状を軽減する可能性があります。特に、納豆、豆腐、味噌、豆乳などの大豆製品は、手軽に摂取できるため日常の食事に取り入れやすい食品です。
イソフラボンは、女性ホルモンのように作用するため、ホルモンバランスの調整に役立ちます。特に生理前のエストロゲンレベルの低下に対して補助的な役割を果たすことから、イライラやめまい、乳房の張りなどのPMS症状の軽減に効果が期待できます。
貧血を和らげる鉄分を含む食べ物
生理前や生理中に起こるめまいの原因の1つとして、貧血が考えられます。鉄分不足は赤血球の数を減らし、結果として脳への酸素供給が不足してめまいを引き起こしやすくなります。したがって、鉄分を含む食べ物を積極的に摂取することが重要です。
鉄分を豊富に含む食品には、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。
ヘム鉄は、肉や魚、レバーなどの動物性食品に含まれ、体に吸収されやすいのが特徴です。一方、非ヘム鉄は植物性食品に含まれますが、吸収率が低いため、ビタミンCと一緒に摂取することで吸収を促進することができます。
以下は、鉄分を含む主な食品の例です。
レバー(特に鶏や豚のレバー)
高いヘム鉄含有量で効率よく鉄分を補えます。
赤身の肉(牛や豚)
鉄分以外にもビタミンB12などの栄養素が豊富です。
魚介類(カキ、アサリ、イワシなど)
鉄分やタウリンを多く含みます。
卵黄
鉄分の摂取源として手軽に取り入れられます。
豆類(レンズ豆、ひよこ豆など)
非ヘム鉄が豊富で、サラダやスープに入れると摂取しやすいです。
ほうれん草やケールなどの緑黄色野菜
ビタミンCも一緒に摂ると効果的です。
生理前に鉄分の豊富な食品を意識して摂取することで、鉄分不足を補い、めまいを和らげる効果が期待できます。
浮腫みを和らげるカリウムを含む食べ物
PMS症状の中でも特に浮腫み(むくみ)は、多くの女性が悩む問題の1つです。体内に余分な水分がたまることで、手足や顔が腫れたり、体重が増えたりします。浮腫みは代謝を低下させ、めまいの症状を悪化させる可能性もあります。この浮腫みを和らげるために役立つのがカリウムです。
カリウムは、ナトリウムとのバランスを取り、体内の水分調節を行うミネラルです。カリウムが不足すると、ナトリウムの摂取過多による水分保持が増え、浮腫みの原因となります。カリウムを多く含む食品を摂取することで、余分な水分を排出し、代謝を高めてめまいの軽減に役立てることができます。以下は、カリウムを含む主な食品の例です。
バナナ
手軽に摂取できるカリウムの豊富な果物で、朝食やおやつにも適しています。
アボカド
サラダやスムージーに加えることで、効率的にカリウムを摂取できます。
ほうれん草
生でも加熱しても良い、カリウム豊富な緑黄色野菜です。
サツマイモ
食物繊維も豊富で、腹持ちが良く、栄養価も高いです。
オレンジやキウイなどの柑橘類
カリウムだけでなく、ビタミンCも一緒に摂れるためお勧めです。
豆類(特に白インゲン豆、レンズ豆)
カリウムと食物繊維が豊富です。
これらのカリウム豊富な食材を積極的に取り入れることで、浮腫みを和らげるとともに、体内の水分代謝を高めてめまいの軽減に役立てることができます。
血行をよくする食べ物
PMSの症状の1つであるめまいを和らげるには、体の血行を良くすることが重要です。血行が悪くなると、脳への血液供給が不足し、めまいの症状を引き起こしやすくなります。血液循環を良くする食べ物を積極的に摂取することで、めまいの症状を和らげ、全身の健康をサポートできます。
血行をよくする代表的な食品を紹介します。
生姜
生姜には、血管を拡張して血流を改善する効果があります。冷えやすい体質の方にとって、生姜を使った料理や飲み物は、体を温め血行を良くするのに効果的です。
にんにく
にんにくは、血液をさらさらにする効果があり、循環を改善します。抗酸化作用も高く、全身の健康をサポートします。
魚介類(特に青魚)
サバやサンマなどの青魚には、血液をさらさらにするオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。血行を改善し、心血管系の健康にも効果があります。
唐辛子
カプサイシンという成分が含まれており、血行を改善し、体を温める作用があります。ただし、辛いものが苦手な場合は無理に摂取せず、他の食材で代替してもよいでしょう。
緑茶
カテキンが血行を改善し、血圧の調整にも役立ちます。また、温かいお茶を飲むことで、体を内側から温め、リラックス効果も得られます。
ほうれん草
鉄分やビタミンCが豊富で、血液の生成や循環に必要な栄養素を補給できます。
これらの食材を普段の食事に取り入れることで、血行を改善し、めまいの症状を軽減する助けとなります。バランスの良い食事や適度な運動も取り入れて、体全体の血流を良くし、めまいを予防しましょう。
生理前の症状を和らげる菌
生理前に起こるめまいやその他のPMSの症状を和らげるためには、腸内環境を整えることが非常に重要です。
腸内環境を整えることで、体全体のバランスが良くなり、PMSの症状も軽減される可能性があります。
KINS LABOでは特に、身体の菌のバランスを整えることに注目しています。
その中でも、PMSの改善に効果がある菌を紹介していきます。
1. 乳酸菌
乳酸菌は、腸内環境を整えるのに非常に効果的な菌として知られています。
乳酸菌は腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑制する働きがあります。
この結果、腸内環境が改善され、全身の健康状態が向上します。
特に、乳酸菌は消化を助けるだけでなく、免疫力を高め、炎症を抑える効果もあるため、PMSの症状緩和を助けてくれます。
2. 酪酸産生菌
酪酸産生菌は、腸内で酪酸を産生する菌のことを指します。
酪酸は、抗炎症作用や抗酸化作用を持ち、腸内の健康を維持するために重要な物質です。
また、酪酸は脳にも影響を与えるとされ、気分の安定や抗うつ作用が期待されています。これにより、PMSの精神的な症状を軽減する助けになります。
3. GABA産生菌
GABA(γ-アミノ酪酸)は、脳内の神経伝達物質の一つであり、リラックスや不安の軽減に関与しています。
GABA産生菌は、このGABAを腸内で生成する能力を持っています。
GABAは、ストレスを軽減し、リラックスを促進する効果があるため、PMSによる精神的なストレスや不安感を和らげるのに有効です。
生理前のめまいに効くツボ
PMSの症状であるめまいに対して、ツボ押しは自然なケア方法の1つです。適切なツボを刺激することで、血行を改善し、体のバランスを整えて症状を和らげることが期待できます。以下では、生理前のめまいに効果的なツボを紹介します。
三陰交(さんいんこう)
三陰交は、足の内側のくるぶしから指4本分上に位置するツボです。東洋医学では、肝、脾、腎の3つの経絡が交わる場所として知られており、ホルモンバランスを整えたり、血液循環を改善するのに効果的です。
めまいだけでなく、冷えやむくみ、イライラなどのPMS症状全般に効果があります。
親指で強すぎない圧で5秒ずつ押し、ゆっくりと離す動作を繰り返すことで、じわじわと効果を感じられます。
関元(かんげん)
関元は、おへそから指4本分下に位置するツボです。腹部の冷えを和らげ、気血の流れを良くしてくれるため、めまいや生理痛、下腹部の痛みなどの症状に効果があります。
手のひらで優しく温めるように押したり、カイロや温湿布を使って温めることで、リラックス効果も得られます。
関元兪(かんげんゆ)
関元兪は、腰の後ろ側、仙骨の少し上の位置にあるツボです。背中や腰をさすりながら、ゆっくりと圧をかけるように押していくと、めまいや生理痛の軽減に役立ちます。こちらも温湿布や温めたタオルを使用することで、さらに効果が高まります。
PMSを悪化させないために
PMSの症状を悪化させないためには、日々の生活習慣を見直し、症状を和らげるための対策を行うことが重要です。
カフェイン・アルコールを控える
カフェインやアルコールは、PMSの症状を悪化させる可能性があります。特にカフェインには、中枢神経を刺激する作用があり、イライラや不安、緊張感を引き起こす可能性があります。
これにより、すでに情緒が不安定になりがちなPMS期に、さらにイライラや不安感が増してしまう恐れがあります。また、カフェインの利尿作用により、体内の水分バランスが崩れると、むくみやめまいの症状が悪化する場合もあります。
アルコールも同様に、神経を刺激する作用や脱水を引き起こす作用があり、これが情緒不安定や脱水症状によるめまい、頭痛などを助長する可能性があります。特に、生理前の期間に摂取すると、ホルモンバランスを乱すこともあり、PMS症状全般が悪化しやすくなります。
カフェインやアルコールの摂取を完全に断つ必要はありませんが、特にPMS期においては、以下のようなポイントに注意してみてください。
カフェイン
コーヒーやエナジードリンクの量を減らし、代わりにハーブティーやデカフェの飲み物に置き換える。緑茶や紅茶にもカフェインが含まれるため、摂取量を意識しましょう。
アルコール
飲み会や特別なイベントの際でも、1〜2杯程度に抑える。水やノンアルコール飲料も積極的に取り入れ、脱水症状を防ぐ。
これらの習慣を取り入れることで、PMSの症状を悪化させる要因を減らし、穏やかな心身の状態を保つのに役立ちます。
血糖値を急上昇させない
白砂糖やジャンクフードなどの高GI値の食品は、血糖値を急上昇させるため、PMS症状を悪化させる可能性があります。高GI値の食品を摂取すると、体内で急激に血糖値が上がり、それに続いて急激なインスリン分泌が起こり、血糖値が急降下することがあります。この血糖値の急激な変動は、イライラや不安、疲労感、めまいを引き起こし、PMSの症状を悪化させる一因となります。
低GI値の食品は、消化・吸収がゆっくりであるため、血糖値の変動を抑え、エネルギーを安定的に供給します。特にPMSの症状が強い生理前には、低GI値の食品を意識して摂ることが重要です。
玄米や全粒粉のパン、オートミールを主食として取り入れたり、食物繊維を一緒に摂ることで血糖値の上昇が緩やかになるので、野菜や海藻類、キノコ類などを食生活にしっかり取り入れていくのがおすすめです。
腸内環境を整える
腸内環境を整えることは、全身の健康に影響するだけでなく、ホルモンバランスを整え、PMSの症状を軽減するのにも役立ちます。
腸内細菌が適切なバランスで存在することで、女性ホルモンの代謝や吸収がスムーズに行われ、体調の改善に繋がります。不適切な食事やストレスは腸内細菌のバランスを崩し、ホルモンバランスの乱れを引き起こしやすくなります。
特に生理前の期間は、消化器系が敏感になりやすく、腸内環境を整えることが重要です。食物繊維や発酵食品を摂取して善玉菌を増やし、適度な運動やリラックスできる時間を取り入れて、腸内の健康をサポートしましょう。
エクオール産生菌で女性ホルモンを整える
エクオールは、大豆に含まれるイソフラボンから腸内細菌によって生成される成分で、女性ホルモンと似た作用を持つため、ホルモンバランスの調整に効果が期待できます。ただし、すべての人がエクオールを生成できるわけではなく、エクオール産生菌を持つ体質の人だけが体内でエクオールを作り出すことができます。
エクオールを生成できる体質の人は、腸内環境を整えることが特に重要です。発酵食品や食物繊維を摂取して腸内の善玉菌を増やし、エクオール産生菌が十分に活動できる環境を作りましょう。
一方、エクオールを生成できない体質の人も、サプリメントなどでエクオールを補給することができます。これにより、女性ホルモンのバランスを整え、PMS症状の緩和に役立てることが可能です。腸内環境を整え、必要な栄養素を補給することで、体調の改善やめまいの症状緩和に取り組みましょう。
湯船に浸かってリラックスする
生理前の期間に、湯船にしっかり浸かってリラックスすることで、PMSの症状が和らぎやすくなります。お風呂の温かいお湯に浸かることで、血行が促進されて全身の筋肉が緩み、心身共にリラックスできるからです。血流が良くなると、疲労物質が体外に排出されやすくなり、ホルモンバランスが整いやすくなります。
お風呂に入る際のポイント
温度
ぬるめ(38~40℃)のお湯にゆっくり浸かることで、副交感神経が活性化され、リラックス効果が高まります。
時間
長時間の入浴は逆効果になる場合もあるため、20分以内を目安にしましょう。
アロマや入浴剤
ラベンダーやカモミールのアロマオイルや入浴剤を使うことで、リラックス効果をさらに高められます。
体の温め
湯船から上がったら、すぐにバスタオルで体をしっかり拭き、バスローブなどで体の温かさを保ちましょう。冷えはPMS症状を悪化させるため、入浴後も体を温かく保つことが大切です。
お風呂の時間をゆったりと過ごすことで、日中のストレスを解消し、ホルモンバランスの乱れや血行不良からくるPMS症状を軽減することが期待できます。
PMSと上手に付き合おう
PMSの症状は、適切な食生活や生活習慣を取り入れることで和らげることができます。食事では、血糖値を安定させる低GI値の食品や、鉄分やカリウム、エクオールを含む食品を摂ることが重要です。また、カフェインやアルコールを控え、腸内環境を整えることで、ホルモンバランスが整い、症状の軽減が期待できます。
さらに、ツボ押しや温浴でリラックスすることも効果的です。三陰交や関元などのツボを優しく押すことで血行を良くし、湯船に浸かってリラックスすることで、全身の筋肉がほぐれて心身の緊張が緩和されます。
PMSと上手に付き合うために、これらの方法を日常のケアに取り入れ、めまいや他のPMS症状で悩んでいる方はぜひ試してみてください。生活習慣の改善で心と体のバランスを整え、快適な毎日を過ごしましょう。
記事の監修
岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。
INSTAGRAM : @yutaka411985 , @yourkins_official
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