いつもサラサラでふんわり、良い香りのする髪でいたい。
でも頭皮や髪はとてもデリケートだから、ニオイやベタつき、痒みや赤みなどの炎症といった悩みが尽きないもの。
そんな頭皮のトラブルは、菌ケア的な目線でケアすれば解決できるかもしれません。
気になる頭皮の皮脂のこと、ニオイやベタつき、炎症の原因まで、KINSの視点で探っていきましょう。
頭皮のニオイ原因は「皮脂」と「菌」にあった
頭皮のニオイが気になる。
頭皮の炎症や、フケに悩まされている。
頭皮に何かしらの悩みを抱えている方は、現代では多くいます。
そのような頭皮トラブルを引き起こす原因の大きなものが、「皮脂」。
皮脂の量や質がアンバランスになることで、頭皮トラブルが起こります。
そしてそのメカニズムには「菌」も関係しているのです。
例えばニオイのトラブル。
実は、皮脂そのものは悪臭の原因ではありません。
この皮脂をエサにする菌が、皮脂を分解して「低級脂肪酸」などの物質を作ります
この分解して作られた物質こそが、気になる臭いの原因なのです。
つまり
・皮脂の量が過剰に増える
・皮脂をエサにする菌が増える
・菌が臭いの原因となる物質をたくさん作ってしまう
・その結果頭皮のニオイにつながる
といったことが考えられるのですね。
ニオイを作っているのは菌ですが、その大元の原因は過剰な皮脂にあったのです。
そして頭皮の炎症も、皮脂量が増え皮脂をエサとする菌が暴発しているような状態です。
頭皮の菌バランスが崩れた結果、頭皮の環境が悪化するというケースもあるのです。
皮脂は本来、頭皮を守ってくれる必要不可欠な存在。
ただ皮脂の質や量が異常な状態になると、頭皮トラブルの原因となるということがあるのです。
では、皮脂の量をコントロールするためにはどうすれば良いのでしょうか。その方法について、いくつかのアプローチ方法を紹介していきます。
甘酒習慣が皮脂量を抑えてくれる
実は、ある論文では甘酒に皮脂量を抑えてくれる効果があると報告されています。
その論文では、40~60代の肌荒れが気になる女性を2つのグループに分けて実験。
2つのグループは下のように分けられました。
①米麹と酒粕を使用した甘酒を飲むグループ
②甘酒とカロリーなどが同じ飲料を飲むグループ
2つのグループは、1ヶ月間毎日、朝晩の1日2回のペースで指定されて飲料を摂取しました。
すると、②のグループよりも、甘酒を飲んでいた①のグループの皮脂量が有意に低下していたのです。
毎日朝晩の2回、甘酒を飲む。
たったこれだけの習慣が皮脂量を抑えてくれるのです。
酒粕、米麹のいずれか一方から作られているものが多い、甘酒。
論文では酒粕単体、米麹単体のどちらでも皮脂の抑制効果はあるとのことです。
また、酒粕と米麹の両方からできた甘酒は、さらに皮脂量を低下させる効果がある可能性も指摘されています。
ビタミン類も皮脂に関係する
皆さんに馴染みのある「ビタミンも、実は皮脂バランスと大きく関わっているんです。
日頃からビタミン類をしっかり摂るよう心がけることは、顔だけでなく頭皮のケアとしても理にかなっているんですね。
それぞれのビタミンがどんな役割を果たしているのかも、詳しくご説明しましょう。
糖質・脂質を代謝させるビタミンB2
ビタミンB2は皮脂の抑制効果もあり、糖質や脂質を代謝する効果があります。
皮脂の分泌を促す糖質や脂質を摂る際は、ビタミンB2も合わせて摂取し、糖質や脂質の代謝を促すようにしましょう。
ビタミンB2はレバーや牛乳、卵、納豆などに多く含まれています。
1日あたりに必要な目安は1.0mg~1.2mgほど。
コップ4杯分の牛乳で1日に必要なビタミンB2が摂取できる計算ですね。
皮脂分泌を抑えるビタミンB6
B2と同じくビタミンB群のビタミンB6も、皮脂の分泌量を抑えてくれる栄養素なのです。
よく含まれるのはカツオ、マグロ、サケなどの魚。
また、バナナなどにも多く含まれています。
1日あたりに必要な目安はビタミンB2と同じく1.0mg~1.2mg。
バナナ3~4本で1日分を補える計算です。
お肌の味方ビタミンC
お肌によいことでおなじみ・ビタミンCも皮脂を抑える栄養素の一つ。
ヒトの体からは作られない物質なので、食事からしっかり摂取する必要がありますね。
具体的には1日あたり100mgが必要と言われています。
代表的な食材の100g中に含まれるビタミンC量は以下の通りです。
ビタミンCは、主に野菜や果物、じゃがいも、サツマイモなどに多く含まれています。
100g中に含まれているビタミンC量は以下のとおり。
・赤ピーマン:170mg
・ブロッコリー:120mg
・イチゴ:約60mg
・キャベツ:約40mg
・ジャガイモ:35mg
・サツマイモ:約30mg
自分はビタミンC不足だと思った方は、ぜひ意識的に摂取してくださいね。
ビタミンをしっかり摂る調理法
これまで紹介してきた、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンCは水溶性のため、水に溶けてすぐに流れてしまいます。
そのため、これらの栄養を含む食材を水洗いする際は、あまり時間をかけずに軽く洗うことが重要。
また、水溶性ビタミンを余さず摂取するには、「生のまま食べる」か「蒸して食べる」ことがおすすめです。
▼蒸し料理については以下の記事で詳しく紹介しているので、興味のある方はぜひこちらも合わせてご覧ください。
【糖と脂】を抑えて頭皮のベタつきを解消?
糖質・脂質はダイエットや肌荒れケアに深く関わっているイメージがありますね。
ただそのロジックについて、きちんと理解できている方は意外と少ないのかも。
KINSコンシェルジュに寄せられるお悩みでも、
「甘いもの、脂っぽいものがなかなかやめられない」
「でもニキビが気になる」
こんなお声はとても多いです。
ニキビやベタつきの原因になる皮脂と、糖質・脂質はどう絡み合っているのでしょうか?
糖質が皮脂分泌につながってしまう
糖質が皮脂分泌につながる仕組みは、摂取することによって上がる血糖値。
血糖値が急に上がると、血糖値を下げるためのインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンは男性ホルモンを活発にして皮脂の分泌を促してしまう働きもあり、
そのため急激に血糖値を上昇させる食材は、皮脂の分泌をうながしてしまうのです。
特に注意したいのが白い炭水化物。
白米や白いパンはその代表例です。
過剰な摂取は皮脂の過剰分泌にもつながるため、適切な量を摂取することが重要。
では適切な量とはどの程度でしょうか。
1日あたりの望ましい糖質の摂取量は、1日に必要な総エネルギー量の50~60%が目安とされています。
とは言っても性別や年齢、日々の運動状況によっても異なるので、どれくらい摂取すれば良いのか分からないですよね。
以下のリンクでは2つの質問に答えるだけで、1日あたりに必要な糖質の適量を教えてくれるので、ぜひ参考にして見てください。
脂質の摂り過ぎで万年オイリー肌になっていない?
油っぽいものを食べると、肌も油っぽくなるというのは直感的に理解している方も多いと思います。
その通り、脂質も余分に摂取すると過剰な皮脂分泌の原因に。
1日あたりの望ましい脂質の摂取量は、1日に必要な総エネルギー量の20~30%と言われています。
女性であれば50~60gあたりを目安にしてみると良いでしょう。
※年齢や性別、運動量などによっても異なります。
「自分は脂質を摂りすぎているのか、簡単にチェックしたい」という方は下記のリンクで、簡単な質問にいくつか答えて確認してみましょう。
森林浴のストレスケア効果も取り入れて
ストレスも皮脂を増やす要因の一つ。
日頃からきちんとストレスケアをしていくことで、忙しい日々でも肌荒れをできる限り防げると考えられます。
しかし、ストレスを全く感じない生活をするのは難しいですね。
そこでストレスに強い体を作る具体的な方法としておすすめなのが、森林浴。
なぜ、森林浴が良いのか。
それは腸とストレスの関係から考えることができるんです。
森林浴でストレス知らずに
腸で作られる「セロトニン」や「GABA」といった神経伝達物質。
これらは実はストレス耐性を強くしてくれる仲間なのです。
「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンは、その大半が腸でつくられるということもわかっています。
そのため、腸内環境を整えることはストレス耐性を強めることにつながっています。
そして、「森林浴」にはその腸内環境を整える効果があるのです。
森林浴は副交感神経の活動を高めて、リラックス状態を促してくれます。
腸の蠕動(ぜんどう)運動は副交感神経が支配していると言われているため、副交感神経が優位であれば、腸が適切にはたらき腸内環境を整えることにも繋がります。
ある実験では、
①森林で歩く人
②都市で歩く人
上記を比べた結果、森林で歩いた人は都市で歩いた人に比べ、副交感神経活動が有意に高まることが分かっています。
これは森林から発せられる「フィトンチッド」や「マイナスイオン」の影響が関係しています。
「フィトンチッド」は本来、樹木が自分自身を守るために発している物質ですが、リフレッシュ効果など、人間にとって有益な効果をもたらしてくれることが分かっています。
「マイナスイオン」も副交感神経の活動を増やし、リラックス状態を促す効果があります。
森林浴は心地よいリラックスを感じながら、腸を適切にはたらかせるためにも良いのです。
ストレスによる皮脂の過剰分泌を抑えるためにも、休日の森林浴でストレスフリーな生活を目指してみませんか。
参考文献: