毛穴は誰の皮膚にも存在します。
でもなめらかで美しい肌には、まるで毛穴が存在していないかのように見えますよね。
憧れの”毛穴レス”に見える美しい肌ですが、ドライスキンの改善に伴って毛穴面積が小さくなり、保湿が毛穴ケアに対して有効だという研究結果がありました。(※1)
そして、美肌菌の割合が高いほど肌の水分量が高いという別の情報も。(※2)
つまり気になる毛穴悩みと美肌菌の働きは、関係しているのでしょうか。
今回は、美肌菌と毛穴の関係や、美肌菌を味方につける毛穴ケアをご紹介します。
美肌菌と毛穴の関係
どんなに美しい肌にも毛穴は存在しています。 なんと、顔の皮膚表面には20万個もの毛穴が存在しているのです。
そして、毛穴からは溝が伸び、周辺の毛穴に繋がっています。その溝と溝以外の部分でできた模様がキメといわれるもの。
毛穴の奥には皮脂腺があり、そこで皮脂が作られています。作られた皮脂は美肌菌のエサとなり、グリセリンや脂肪酸という保湿成分となります。 キメの整った肌は、水分と皮脂量のバランスがよく、ふっくらとしているのです。
そのため、毛穴が目立ちにくいというわけですね。 ふっくらとした毛穴の目立たないキメの整った肌には、美肌菌の存在は欠かせません。
気になる毛穴タイプ
毛穴のタイプは大きく分けて3タイプ。 ひと口に毛穴と言っても状態や原因が異なるため、ケアの方法を適切に切り替えていくことが大切です。(※3)
タイプ1:黒ずみ毛穴
毛穴が点状に目立ち、周囲の皮膚より黒っぽいもの
・角栓の詰まりが酸化し黒っぽく変色している
・毛穴周辺の皮膚が盛り上がり、影を作ることで黒く見える
タイプ2:開き毛穴
表皮が細かく陥没しているように見えるもの
・皮脂の量が多いと広がりやすくなる
・角栓が詰まっている(黒ずみの手前の状態)
タイプ3:たるみ毛穴
「開き」が進行し、楕円形に広がっているもの
・皮膚の弾力が落ちることにより、重力で広がる
・40歳を超えたあたりから、リスクが大きくなる
美肌菌が鍵?毛穴タイプに合わせたケア
「毛穴」と一言で言っても、タイプによって原因が異なることが分かりましたね。
また、上で説明した3タイプに加え「黒ずみ+たるみの混合タイプ」なども起きるようです。
ここからは、それぞれの毛穴タイプに合ったケアをご紹介していきます。
黒ずみ・開き毛穴ケア1:皮脂を抑える
ポイントとなるのは、中も外も油を控えることです。
1.インナーケアで皮脂コントロール
美肌菌は、適度な皮脂をエサとしています。また、皮脂は肌にとってたくさんの大切な役割を担っています。
しかし、分泌が過剰になってしまうとトラブルの原因になってしまうことも。そして、皮脂の分泌には食事内容が大きく関係しています。
インナーケアでは、皮脂の分泌につながる食材を抑えることが大切です。糖質、脂質、乳製品は皮脂の分泌につながりやすい一面が。(※4)
精製された炭水化物(白米、餅、うどん、食パン、フランスパンなど)、芋類、ジュースなど
脂質を多く含む食べ物:
揚げ物、肉の脂身、乳製品など
2.アウターケアで皮脂コントロール
毛穴の皮脂汚れも、毛穴が開いて見えてしまう1つの要因。
やりすぎは良くないですが、オイリーで毛穴汚れが溜まりやすい方は洗顔などできちんと落とすことも重要です。
テカリがちなオイリー肌であれば、スキンケアアイテムをオイルフリーで揃えてみるのもよいかもしれません。
成分をチェックして、テクスチャーがさらりとしたものを選びましょう。
ただ、乾燥も過剰な皮脂の原因となることも。
テカりが気になりつつも乾燥しているような場合は、シンプルな成分の化粧水などで保湿はしっかり行いましょう。
黒ずみ・開き毛穴ケア2:陥没を抑える
ポイントは、保湿と皮脂に注意すること。
論文を確認すると、陥没は乾燥や皮脂による炎症など様々な要因で起きることが示唆されていました。(※5)
肌の調子は日々変化するので、その時々に合わせたケアを。
1.保湿ケア
美肌菌は、乾燥に弱いという性質があります。 美肌菌が元気でいるためには、保湿も大切です。スキンケアを始め、生活のあらゆる場面で保湿と加湿を意識してみましょう。
過ごす部屋の湿度を気にしてみても良いかもしれませんね。
また、ダブル洗顔を控えたところ、肌の調子が整ったという声も。乾燥を感じる方は試してみましょう。
2.皮脂をコントロール
脂性肌を感じる場合は上記の「皮脂を抑えるケア」を参照してみて下さい。
インナーケア、アウターケアの両面からのケアが大切です。
開き・たるみ毛穴ケア:弾力を維持する
ポイントは、肌の弾力を維持すること。 そのためには、肌に負担をかけない生活を心がけることが大切です。
一度失われてしまった弾力を取り戻すのはとても大変なケアが必要となるため、早めの対策が重要。
1.紫外線をカット
紫外線によるダメージは全年齢で深刻です。季節や天気を問わず、必ず日焼け止めによるケアを行いましょう。
夏場以外でもPA++程度を常用するのがおすすめです。
2.酸化ストレスケア
肌の弾力は紫外線以外にも、色々な酸化ストレスによって失われていきます。 加齢だけでなく酸化ストレスが肌の弾力のみならず、毛穴を大きくするという結果も。
バランスのとれた食事、十分な睡眠、適度な運動などをして、酸化ストレスを減らす生活習慣を心がけましょう。
3.たるみケア
たるみに対しては、レチノイドの有効性が期待されています。 しかし、刺激が強い製品もあり、乾燥などのトラブルを起こす可能性もあるため注意も必要です。
毛穴が気になる方も知っておきたい・美肌菌を守る3つの習慣
毛穴タイプにより、原因や必要なケアが異なることがお分かりいただけたと思います。 また、毛穴の目立たない潤いのある肌のために「美肌菌」の存在は欠かせません。
ここからは、美肌菌を守るための習慣をご紹介します。
1.不要な汚れは落として、必要な潤いを守る
「美肌菌」を守るためには適度な潤いを守ることが大切です。
毛穴対策として要らない汚れを落とすことは必要ですが、とはいえ洗いすぎは美肌菌のエサとなる皮脂を落としすぎてしまうことにも繋がります。
朝の洗顔は、ぬるま湯洗顔に留める、もしくは毛穴の特に気になる部分だけ洗顔料を使うなど、必要以上に皮脂を奪いすぎない意識をしてみましょう。
洗顔についてはこちらの記事も参考に▼
2.適度な運動
美肌菌は、汗や皮脂をエサとしています。これらが美肌菌のエサになり、美肌菌が増殖するのです。
適度な運動で新鮮な汗をかくことが美肌菌を増やす近道とも考えられますね。ストレッチやウォーキング、ヨガなど、負担なく続けることができる運動を少しずつ取り入れましょう。
また、心地よく汗をかくためにも、こまめな水分摂取も忘れずに。
3.化粧品を使いすぎない
洗浄力の強い界面活性剤や防腐剤の使いすぎは、肌の常在菌バランスに影響することも考えられます。普段使用するスキンケアアイテム選びは、成分もチェックして慎重に。 色々な方向から美肌菌を守りましょう。
美肌菌を意識して潤った毛穴の目立たない肌へ
色々な理由でおこる「毛穴トラブル」。原因によってケアの方法が異なるということ、美肌菌が味方になってくれる可能性があることがわかりましたね。
美肌菌を守るコツは、どれも難しくて手が出せないようなことではありません。 今日から美肌菌と仲良く共存する生活を始めましょう。
(※1)樋口美雪 北原清ら,https://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj/50/4/50_321/_pdf/-char/ja,2016
(※2)出来尾格,化粧水やめたら美肌菌がふえた!,河出書房新社,2018
(※3)Sang Ju Lee,Facial Pores: Definition, Causes, and Treatment Options : Dermatologic Surgery,2016
(※4)松尾聿朗 犬飼則子,皮表脂質の生理的役割,1988
(※5)水越浩二,https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/srt.12078,2013
(※6)山下由貴 大林恵ら,https://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj/44/3/44_216/_pdf/-char/ja,2010