掲載日 | 2023.09.17
更新日 | 2023.09.17

【脳腸相関】腸活にヨガと瞑想がいい理由とおすすめのポーズ

掲載日 | 2023.09.17
更新日 | 2023.09.17
健康に気を遣う人なら、一度は聞いたことのあるキーワードでヨガや瞑想があるのではないでしょうか。

「ストレスには瞑想やヨガがいいよ」「瞑想は不眠に悩むなら試してみるといい」、そんな会話を職場や友人の間で交わすこともあるかもしれません。

しかし、実際のところ効果を感じない、そもそもなぜ瞑想が心身に良い影響を及ぼすのだろうと疑問を感じませんか?実は瞑想が心と体に良い影響をもたらすということは「ホルモン」と「自律神経」から紐解くことができます。

具体的なヨガポーズや瞑想の5分間ワークもご紹介するので、脳と腸の不思議な関係を知ることからお付き合いください。

【脳腸相関とは】リラックス、ストレス解消の鍵になる相関関係

【脳腸相関とは】リラックス、ストレス解消の鍵になる相関関係

腸と脳には影響を及ぼし合う「腸脳相関」が働いています。

腸という器官は脳からの指令がなくても、自身で判断をして活動しています。そして脳と腸は、私たちの知らない間にお互いに影響し合っています。ストレスや不安は腸にダメージを与えますし、その逆もしかりで、腸内環境の状態も脳や精神に大きな影響を及ぼしているのです。

遠く離れた腸と脳のやりとりには「ホルモン」や「自律神経」が関わっています。腸と脳は体中に張り巡らされた内分泌系や、自律神経系というネットワークを介して影響し合っているのです。

ストレスが腸内細菌バランスにまで影響する

たとえば、精神的なストレスは、悪玉菌を増やして善玉菌を減らす環境を作ってしまい、腸内細菌のバランスを崩すことがあります。(※1)

さらに自律神経が乱れ交感神経が優位になると、腸の動きが低下し、便秘などのトラブルも。それにより腸の悪玉菌が増えて、肌荒れや免疫力低下を招き、さらに神経伝達のバランスが乱れて気持ちが落ち込む、という負のスパイラルから抜けられなくなってしまうのです。

このような脳と腸の相関関係は「脳腸相関」と呼ばれ、ストレスケアと腸内環境が深くつながっているとされる理由です。

腸活でメンタルが安定する理由

腸活でメンタルが安定する理由

私たちがリラックスしている時には、気分を安定させるような神経伝達物質 「GABA」 や「セロトニン」が分泌されています。この「幸せホルモン」と呼ばれる GABA とセロトニンを効率よく作り出すことができれば、イライラをコントロールし、平和で安定したマインドになると考えられますね。

さらに、セロトニンは蠕動運動を誘発し、腸内環境を活性化してくれます。

そんなこれらの物質を増やす方法も研究が進んでいます。
ここ数年の研究では、乳酸菌を摂ることで脳内での「GABA」の生産を促すことがわかってきています。(※2)

また、「セロトニン」全体の約 90%は腸で作られていますが、腸で「セロトニン」を合成する時に必要不可欠なビタミンB群を作っているのは腸内に棲むビフィズス菌なのです。

▼腸活とメンタルの関係性についてはこちら

ヨガで増えるセロトニン

食事以外でも、ヨガでセロトニンが増えることが論文で証明されています。
3か月間毎日 1 時間ヨガをしたことで、練習後には 1.5 ~ 2.0 倍程度セロトニンが増えたという研究結果も。

そして直接的にセロトニンに関係する話ではありませんが、腸とメンタルという観点では、瞑想をすると、ストレス反応が抑えられるという論文もあります。それによって腸内も含めて慢性的な炎症が抑えられ、健康的な腸内環境になっていきます。

一度負のスパイラルにハマってしまうとなかなか脱出が難しいものです。ストレスが溜まってきてしまったら、瞑想やヨガで腸にもメンタルにも良いセルフケアをしてみましょう。

日常に取り入れる瞑想 5分間エクササイズ

日常に取り入れる瞑想 5分間エクササイズ

簡単な4つのポイントで、瞑想を手軽に取り入れるメソッドをご紹介。
深い呼吸法、緊張を緩めるロールダウン、寝たままエクササイズ、深い呼吸のための仰向け瞑想を試してみましょう。

1.深い呼吸をしましょう

思いきり息を吸って吐く。これは眠気を吹き飛ばして気力を高める、 とても大事な練習です。

これをやると、気持ちが落ち着き、自信を持って 1 日が過ごせるでしょう。椅子や床に座ったままでもできます。

まずは山のポーズをします。 両脚を腰幅に開いて、背筋を伸ばしましょう。 腕は体側につけ、親指が外側になるように手のひらを前に向けます。

息を吸いながらゆっくりと腕を上げていき、頭上で両手を合わせます。

そして、今度はゆっくり息を吐きながら、腕を元の位置まで下ろしていきます。 深く長い呼吸を心がけましょう。
腕を下ろした後は必ず一呼吸置きます。

* 以上の動作を 5~8 回繰り返しましょう。

2.緊張がほぐれるロールダウン

ロールダウンと呼ばれる動作で筋肉を伸ばし、緊張をほぐします。 背骨がしなやかになり、背中の筋肉と膝が伸び、お腹をへこませる効果もあります。気持ちが穏やかになるのを感じましょう。

山のポーズのあとに背筋を伸ばした状態で深く呼吸をしながらあごを引き、大きなボール を転がすように前かがみになります。

体のバランスをとりながら、手を腿に沿って上から下へと滑らせていきます。心地よい伸びを感じたら、そこで手を止めて、膝を曲げましょう。

お腹を心持ち引っ込めます。そのままの姿勢で何回か深呼吸をしてから、少しずつ体を起こし始めます。息を吐きながら左右の坐骨を引き寄せ、お腹を引っ込めたら、 ゆっくりと深く息を吸って吐きます。

頭を下げたまま手を脚に添えて、 上体を起こしながら背骨を徐々にまっすぐにしていきます。

最後に頭を起こし、肩を後ろに引いてから下ろします。背筋を伸ばしてしっかり立ちましょう。 

※椎間板に問題がある方は避けてください。

もっと体を動かしたい時のヨガポーズで肩こり解消

もっと体を動かしたい時のヨガポーズで肩こり解消

腸内環境を整えるためには「ホルモン」や「自律神経」が大きく関わっています。腸は自律神経によってもコントロールされていることから、自律神経を整える運動は菌ケアの観点でも重要です。

毎日の習慣で緊張状態にある心と体をケアしていくために。
ヨガはとても気軽で、もっともお金をかけずにリラックスできる方法の一つなのです。

運動といっても様々な種類がありますが、強すぎる体への負荷は逆効果のことも。呼吸をゆっくり整えるヨガを行うことは「ホルモン」や「自律神経」に好意的に働きかけます。

ここでは特にお悩みの方も多い【肩こり】、そしてメンタルも一緒にほぐしてくれるヨガのポーズをご紹介します。

上半身の不調に効かせるヨガ・肩こり解消ポーズ

肩こりは、心身が緊張状態にあると起こります。

ストレスがかかると、いちばん大切な首を守るため、肩がギュッと上がり、体を丸めるような防御姿勢になりがちです。その結果、肩がすくんで縮こまり、 周辺の筋肉の血流が滞って、こりを引き起こす原因に。

そのほか、 頭が前に突き出た姿勢や、あごのかみ締めなども影響します。

改善のためには、まず心身の緊張をほぐすこと。そして体を伸ばし、姿勢を正していくことが大切なポイントです。

背骨を伸ばして整える「三日月のポーズ」

背骨を伸ばして整える「三日月のポーズ」

体を反って胸を開き、背骨の延長上に首を心地よく引き伸ばします。

半分の聖者 マッツェーンドラのポーズ

半分の聖者 マッツェーンドラのポーズ

深いねじりで背骨を整えながら 自分の「まっすぐ」を感じましょう。

コブラのポーズ

コブラのポーズ

丸くなった背中の筋肉を鍛えて前に縮こまった姿勢を起こします。

ぶら下がった開脚前屈

ぶら下がった開脚前屈

重力による影響を逆転させることで肩を下げる筋肉を活性化しましょう。

魚のポーズ

魚のポーズ

体を反りながらも脱力するポーズでリラックスと同時に胸を開きます。

シャバ―サナ

シャバ―サナ

仰向けで両足を楽に広げ、両手のひらは天井に向けて、指先までゆるめる。手足を脱力しづらい場合は、

軽く揺らすと力が抜けやすい。

目を閉じて、体がマットに沈むような感覚で腹式呼吸を繰り返し、全身をリラックスさせる。

ヨガと瞑想を取り入れて腸もすこやかに

ヨガと瞑想を取り入れて腸もすこやかに

ストレスを受けると腸内環境は一気に悪化することも。脳と腸は密接につながっています。

ストレス、メンタルヘルスには適切な食事を心がけることとともに、適度なヨガや瞑想でストレスや腸内環境へアプローチすることもおすすめです。

ご自身の身体と心の変化に敏感に、腸も脳もすこやかでいられるために「菌ケア」を続けていきましょう。


【参考文献】

  1. Decrease of α-defensin impairs intestinal metabolite homeostasis via dysbiosis in mouse chronic social defeat stress modelKosuke Suzuki 1Kiminori Nakamura 1 2Yu Shimizu 2Yuki Yokoi 2Shuya Ohira 1Mizu Hagiwara 1Yi Wang 3Yuchi Song 3Tomoyasu Aizawa 3 4Tokiyoshi Ayabe 5 6 PMID: 33972646 PMCID: PMC811076 DOI: 10.1038/s41598-021-89308-
  2. 乳酸菌によるγ-アミノ酪酸の生産 早川潔、上野義栄、河村眞也、谷口良三、小田耕平(生物工学会誌 Vol.75P239-244(1997))

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
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