表皮ブドウ球菌とは?肌荒れの悩みを解決する美肌菌のヒミツ
でも「美肌菌」って一体何…?本当に菌が顔の上に棲んでいるの?それってどんな菌…?
と、疑問に感じている方も多いかもしれません。
美容に関心の高い方でも、「表皮ブドウ球菌」という単語にはあまり聞き馴染みがないでしょう。
しかし今回ご紹介する「表皮ブドウ球菌」は、お肌に棲んでいる菌。それもニキビや乾燥などの肌荒れと深い関係がある「美肌菌」なのです。
肌の常在菌であるこの「表皮ブドウ球菌」も、KINS LABの考える「菌ケア」では重要な菌のひとつ。この記事では、表皮ブドウ球菌の知られざる効果と増やす方法を中心にお伝えしていきます。
表皮ブドウ球菌とは【美肌菌】肌の潤いとバリア機能を強化
「美肌菌を整えるスキンケア」といった文言を聞いたことはありますか?
最近よく話題に上る「美肌菌」。
その正体こそが今回のテーマである「表皮ブドウ球菌」です。
表皮ブドウ球菌は肌に住む「皮膚常在菌」の一種で、他には「アクネ菌」や「マラセチア真菌」などが挙げられます。
この常在菌は私たちの顔に【10億個】も存在していて、腸内細菌を「腸内フローラ」と言うのと同様に、皮膚常在菌も「肌フローラ」と呼ばれているのです。
そんな表皮ブドウ球菌は汗や皮脂をエサにして、グリセリンや脂肪酸を作り出すはたらきが。
そして、実はこの表皮ブドウ球菌の生み出す成分たちが超重要。
グリセリンは「天然の保湿成分」とも言われ、肌に潤いを与えてバリア機能を保つ効果があるんです。また脂肪酸は肌を弱酸性に保ち、抗菌ペプチドを作り出すことで、肌荒れやアトピーの原因になる「黄色ブドウ球菌」の増殖を防ぎます。
そのため、表皮ブドウ球菌は肌の潤いやバリア機能に関わっていることから、「美肌菌」と呼ばれているのです。
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肌荒れを引き起こす肌フローラの状態
先ほども説明した通り、肌フローラとは「皮膚常在菌」の集まり。
肌荒れが起きている肌フローラの状態を理解しておくことが、美肌への近道と言えます。
そして肌フローラのなかでも特に目を向けるべきなのが以下の4つ。
- 表皮ブドウ球菌
- アクネ菌
- コリネバクテリウム
- マラセチア真菌
先に結論を話すと、美肌を目指すには表皮ブドウ球菌(美肌菌)の数を増やし、肌荒れの原因菌を抑えることが重要です。
表皮ブドウ球菌が「潤い」や「バリア」の美肌効果と関わっているとお伝えしましたが、他の菌がどんな働きをするのかも見ていきましょう。
「アクネ菌」も美肌菌のひとつだった
「アクネ菌」と聞くと、どういうイメージが浮かびますか?
“ニキビの原因”や”お肌の敵”など、悪い印象の方が強いのではないでしょうか。
実際に「アクネ(acne)」を日本語訳すると「ニキビ」となるくらい、ニキビの原因として認知されています。
しかしみなさんに覚えていてほしいのは、アクネ菌は決して敵ではないということ。
実は表皮ブドウ球菌と同様に、アクネ菌も肌に潤いを与える役割を担っているんです。
注意すべきなのは、皮脂や毛穴の詰まりでアクネ菌が過剰に増えることです。ここさえ気をつけて上手に付き合っていけば、肌の味方になってくれます。
炎症やかゆみのもとになる「コリネバクテリウム」
頭皮や体、足の臭いの原因にもなるコリネバクテリウム。
皮脂をエサにして増殖し、肌に炎症やかゆみをもたらす成分を作り出してしまいます。
そのため、皮脂分泌を増やす食事(高糖質/高脂質など)を控え、脂質代謝を促すビタミンBを摂取するのは大切です。
また多湿な環境を好むため、お肌のムレにも注意が必要ですね。
背中ニキビの原因にもなる「マラセチア真菌」
マラセチアは、背中ニキビや頭皮の赤み・白髪などにも関わっていると考えられていて、肌にとってはトラブルにつながりやすい困った存在。
マラセチアは正確には菌ではなく「真菌」と呼ばれ、カビの仲間なんです。やはりマラセチア真菌も皮脂を食べて増殖し、過剰に増えることで炎症性物質を分泌します。
そのためコリネバクテリウムの場合と同様に、皮脂を抑える食生活を意識することが大切ですね。
2つの成分が表皮ブドウ球菌におすすめ
美肌を目指すためには、「表皮ブドウ球菌」通称「美肌菌」をいかに育てるかが重要になってきます。
関連する研究を調べたところ、どうやら化粧品にも含まれている2つの成分は表皮ブドウ球菌とも相性が良さそうだとわかってきました。
それがこちらの成分たち。
- ・乳酸桿菌/豆乳発酵液
- ・キシリトール
それぞれの成分について詳しく解説します。
乳酸桿菌/豆乳発酵液
乳酸桿菌/豆乳発酵液とは、豆乳を基質(培養のエサ)に乳酸菌により発酵させ、その後ろ過して得られる液体成分のことを指します。
すごく簡単に言うと、乳酸菌の発酵のチカラが濃密に詰まった「エッセンス」です。
なんと含まれている成分は【400種類】以上。
菌の持つパワーが凝縮されて、
・アミノ酸による保湿効果
・お肌に必要な成分を補う
という特徴があるのがポイント。
自然な菌バランスを意識したケアにぴったりで、お肌に必要な潤いも与えてくれます。
まさに乳酸菌の良いところを凝縮したエッセンスですね。
そんな乳酸桿菌/豆乳発酵液は表皮ブドウ球菌のバランスとも関係があると、研究でわかってきているようです。(※1)
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キシリトール
歯医者や歯磨きの場面で一度は聞いたことがあろう「キシリトール」。
ある研究では、アクネ菌をはじめとした肌荒れの原因になるかもしれない菌の増殖を抑えつつ、逆に表皮ブドウ球菌のみを増殖させることが示されています。(※2)
実は口腔内だけでなく、皮膚上でも活躍してくれる万能な存在だったんですね。
ただし注意点が1つ。
このキシリトール成分を使用するときには濃度を1%にするということ。濃度が5%の場合は、表皮ブドウ球菌の増殖はみられなかったそうなんです。
化粧品や乳液をご購入の際は、ぜひこんな成分も参考にしてみてくださいね。
表皮ブドウ球菌を増やす具体的な方法とは?
肌荒れを改善するためには「肌フローラ」のバランスを整えること、つまり表皮ブドウ球菌(美肌菌)を増やして、悪事を働く菌を抑えることが重要だとお伝えしました。
「理屈は分かったけど、具体的にどうすれば表皮ブドウ球菌は増えるの?」
そんな疑問を感じているのではないでしょうか。
しかし意外にも、鍵を握るのは何も特別なことではなく、毎日の習慣なのです。
洗いすぎ/使いすぎを控える
肌のスキンケアで陥りがちなのが「やり過ぎてしまう」こと。ついつい良かれと思って、W洗顔や朝晩の洗顔をしてしまっていませんか?
過度な洗顔や化粧品の使用は、表皮ブドウ球菌(=美肌菌)を殺してしまったり、そのエサとなる皮脂を奪いすぎてしまうことが考えられます。
それは市販の化粧品や洗剤に含まれる、色々な界面活性剤や防腐剤といった成分が原因です。洗顔に関しては、「ぬるま湯」で肌に「優しい洗顔料」を「夜のみ」使用することを心掛けましょう。
またスキンケアやメイクアップに用いる化粧品も、極力「シンプル」を意識してみてください。
適度な運動をして汗をかく
表皮ブドウ球菌(=美肌菌)を育てるのに欠かせない存在なのが、いつも嫌われがちな「汗」。
なんなら不潔なイメージすら持たれている方も多いはず。
しかし、この汗こそが表皮ブドウ球菌の大好物なんです。
美肌菌は皮脂や汗をエサにして増殖するため、定期的な運動はかなり重要。ストレッチやヨガ・ウォーキングなど毎日30分でも体を動かす習慣をつけることを強くおすすめします。
日光下で行うとセロトニンの分泌も促せて、一石二鳥です。
表皮ブドウ球菌のことを考えた化粧品を選ぶ
もうすでに、美肌菌のためにはスキンケアアイテムはなるべくシンプルなものを選んだほうがいいということはご理解いただけていると思います。
「ではシンプルな化粧品とは一体どのようなものなのか?」
ここでは、この問いに対する回答をご用意しました。
結論は「以下の成分が出来るだけ入っていないもの」です。
【界面活性剤】
- スルホン酸ナトリウム
- 塩化アルキルトリメチルアンモニウム
- ベンザルコニウムクロリド
- スルホン酸、アンモニウム
- クロリド
【防腐剤】
- ・エチルパラベン
- ・メチルパラベン
- ・ブチルパラベン
もちろん、これらの成分が「毒」というわけではなく、どれも認可の取れた一般的な化粧品成分です。
ただ菌の観点からは洗浄力が強かったり、美肌菌に影響をもたらす可能性もあります。(※3)(※4)
とはいえ、一般的な成分ではあるので入っていない化粧品を選ぶといってもなかなか難しいと思います。ならば、まずは今使っている化粧品を1品でも減らしてみることから始めてみましょう。
例えば、
- 導入美容液
- 化粧水
- 美容液
- 乳液
- クリーム
- アイクリーム
- 日焼け止め
- 化粧下地
こんな風に、スキンケアステップをとにかくたくさん、手間をかけたほうが良い…と思っている方も多いのでは?
しかしこういった化粧品にはほぼ全て界面活性剤や防腐剤が含まれますから、使えば使うほど菌バランスにとっては刺激になってしまうかも。
菌のことを考えたら、できるだけシンプルステップなスキンケアで済ませるのがおすすめです。
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美肌菌を意識したケアで揺らがない肌へ
表皮ブドウ球菌の「美肌菌」としてのはたらき、そして美肌菌を意識することでの肌への影響、美肌菌の増やし方までをお伝えしました。
お肌に棲む菌を意識することで、たくさんのスキンケアアイテムにお金をかけなくても美肌になれるかもしれません。表皮ブドウ球菌のような良い菌たちと仲良くなって、健やかなキレイを目指しましょう。
【参考文献】
C Holz, J Benning, M Schaudt, A Heilmann, J Schultchen, D Goelling, C Lang
Heli Anglenius and Kirsti Tiihonen
・(※3)「Effect of cosmetic chemical preservatives on resident flora isolated from healthy facial skin」
Qian Wang, Shumei Cui, Li Zhou, Keke He, Liya Song, Haiyan Liang, Congfen He
・(※4)「界面活性剤の皮膚常在菌への影響」
宮野直子
Mitsuyoshi Kano, Norie Masuoka, Chiaki Kaga, Saho Sugimoto, Ryoko Iizuka, Katsuyuki Manabe, Toshiro Sone, Kazutoshi Oeda, Chiaki Nonaka, Kouji Miyazaki, Fumiyasu Ishikawa
記事の監修
岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。
INSTAGRAM : @yutaka411985 , @yourkins_official
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