アロマでつらいPMS症状を緩和?おすすめの精油と使い方
身体の浮腫みや食欲を抑えられないことに苦しむ人も多いと聞きますが、こうした生理前の不調をPMS(月経前症候群)といいます。
PMSとは「Premenstrual Syndrome」の略で、個人差はありますが症状の多くは生理が起こる3〜10日前から始まり、生理開始とともに軽快・消失していくと言われています。
そんなPMSでの気分の悪さには、アロマの香りが役立つことも?おすすめの香りや精油の使い方を紹介します。
PMSの原因と症状
いまだPMSのはっきりとした原因は解明されていませんが、心と身体に大きく影響するホルモンバランスの変動にあると言われています。
具体的な内容と症状について、見ていきましょう。
PMSの原因とは
排卵前に多く分泌され、主に精神状態の安定や認知、睡眠、食欲などを調整する働きのホルモン「エストロゲン」と、排卵直後から多く分泌され、基礎体温を上げたり乳腺を発達させる働きのあるホルモン「プロゲステロン」。
この二つの女性ホルモンが黄体期をむかえて急激に変動することで、脳内の神経伝達物質の異常を引き起こしていることがPMSの原因の一つと考えられています。
PMSの症状とは
PMSの症状は生理周期や年齢によっても様々で、さほど気にならないという人もいれば症状が重くて立っているのも辛く、仕事や家事に支障が出て病院を受診する人もいるなど個人差があります。
具体的には気分の落ち込みや不安感、イライラなどの精神的不調と、頭痛、腹痛、腰痛やめまいなどの身体的不調があります。
中にはこうした症状がPMSによるものと気づかず、苦しんでいる人も多いことでしょう。
アロマでPMS緩和にアプローチ
PMSの症状に対しては病院でも治療を行なっており、低用量ピルや漢方薬を処方してもらうことができます。
しかし、ピルによる副作用や漢方薬の苦みがネックとなって、断念してしまったりすることも多いと言います。
副作用などの心配が少ないアロマでPMS対策にアプローチできれば、香りを楽しみながら手軽に続けられそうですね。
(※アロマの使用は専門医での治療とは異なるため、重い症状が続く方は自己診断せず病院でも相談をしましょう)
なぜPMS緩和にアロマがいいの?
PMS症状の緩和に期待が寄せられているアロマですが、なぜアロマがPMS緩和に良いと言われているのでしょうか?
アロマとは?
アロマとは、「アロマセラピー(Aromaherapy)」のことを言います。「アロマセラピー」は、植物から抽出した香りの成分であるエッセンシャルオイル(精油)を使って心と身体のリラックスやリフレッシュを促し、美と健康に役立てる自然療法とされています。
「アロマセラピー」はAromaherapyの英語読みを日本語表記にしたもので、「アロマテラピー」はフランス語読みを日本語表記にしたものです。
香りのメカニズム
香りは、私たちの鼻の奥にある粘膜(嗅上皮)に溶け込み、嗅細胞の嗅毛にキャッチされて電気信号に変換されます。電気信号に変換され、大脳辺縁系に伝達されて初めて「香り」として認識されます。
この電気信号は、身体の生理機能をコントロールする視床下部に届き、自律神経やホルモンなどにまで影響を及ぼすと言われています。
つまり、緩和したい症状に効果が期待される香りを選んで嗅ぐことで、乱れた心と身体の安定スイッチを押すことに繋がるというのがアロマの魅力と言えるでしょう。
アロマとPMSに関する研究
とある研究でPMS症状のある女性17人をランダムに2つのグループに分け、一つのグループではラベンダーのエッセンシャルオイルを使用して芳香浴をし、もう一つのグループでは香りのない水のみを使用して芳香浴をする実験を行いました。
芳香浴自体は10分間と短い時間ではあったものの、ラベンダーのエッセンシャルオイルを使用した方のグループは気分の落ち込みや錯乱などのPMS症状に改善が見られ、心拍数が減少してリラックス状態になったことがわかっています。
これにより、アロマのPMS症状に対する緩和効果が期待できるとされています。(※1)
(※アロマの使用は専門医での治療とは異なるため、重い症状が続く方は自己診断せず病院でも相談をしましょう)
PMS対策で選びたいアロマ
PMS症状の緩和が期待されるアロマですが、せっかく使うなら自分の症状やライフスタイルに合った香りと使い方を選びたいですね。
アロマといっても、香りや使い方もさまざまです。バラエティーショップやネットショップでも手軽に購入できるアロマですが、PMS対策として、より効果が期待できて安心なものはどのように選べばよいのでしょうか。
エッセンシャルオイル(精油)と、そうでないものに気をつけたい
アロマとして売られている商品の中には、エッセンシャルオイル(精油)と、そうでないものがあります。
エッセンシャルオイル(精油)は、天然の花、草、木などの植物から抽出された100%天然成分のオイルのことを指します。そうでないものとしてはフレグランスオイルなどがあり、フレグランスオイルは芳香を楽しむことを目的に化学薬品などを調合して作られた合成成分の芳香剤です。
アロマをより効果的に取り入れたい時は、エッセンシャルオイル(精油)を選ぶと良いでしょう。
PMS対策に選びたいアロマのおすすめ
PMS緩和のためにアロマを選びたいけれど種類が豊富でどれを選べば良いかわからないという方に、おすすめのアロマの香りと取り入れ方をご紹介します。
(※アロマの使用は専門医での治療とは異なるため、重い症状が続く方は自己診断せず病院でも相談をしましょう)
ラベンダー
フローラル調の香りでリラックス効果が高く、香り成分「酢酸リナリル」が自律神経と心を安定させるとされています。
気分のイライラを鎮め、快眠や頭痛解消の効果も期待できます。デフューザーやアロマライトに垂らしたり、お風呂の湯船に垂らして芳香浴にも。ティッシュに数滴垂らして枕元に置いて眠る方法は、火を使わないので安心です。
イランイラン
オリエンタル調の甘く華やかな香りが特徴のイランイランは、気持ちをほぐし、鎮痛作用や抗うつ作用があるとされています。
ロールオンタイプを選べば、フレグランス感覚で香りを楽しむこともできます。
首筋やこめかみ、手首などにくるくる塗るだけの手軽さも嬉しいですね。塗りながら程よく圧をかけることができるので、マッサージ効果も期待できます。滞ったリンパを流すイメージでコロコロすると、気持ちがいいですよ。
ゼラニウム
ゼラニウムは、華やかなローズ調とハーブのようなグリーン調を合わせ持つ香りが特徴です。
ホルモン分泌や自律神経を整える作用を持ち、生理不順・PMS・更年期症状など女性特有の悩みに効果が期待できるとされています。
また、抗炎症効果が期待されるため肌荒れ対策としても選ばれることの多いアロマです。
ローズマリー
若葉を思わせるフレッシュなグリーン調の香りが特徴のローズマリー。
お肉料理で臭み消しや香り付けとして使われることが多いので知名度の高い植物でもありますね。
アロマとしては、落ち込みがちな時に気分を高揚させ、集中力や記憶力アップの効果が期待されています。
妊娠中・授乳中のママはアロマを使用しても大丈夫?ペットがいる場合は?
妊婦さんや動物のいる家庭では、アロマを使用してはいけないという話も聞くことがあります。実際はどうなのでしょうか?
妊娠中・授乳中はアロマを使用しても大丈夫?
妊婦さんへの精油の影響は諸説あり、万人に当てはまる明確な答えはまだ出ていないと考えられます。
皮膚からダイレクトにアロマの成分が取り込まれるアロママッサージ(トリートメント)は、妊娠中・授乳中は念のため控えた方が良いでしょう。
一般的に、好きな香りを浴槽に数滴垂らす芳香浴やお部屋のアロマライトで香りを楽しむ程度の少量であれば、心配する必要はないとされています。
ただし、体調の変化が多い妊娠中は、香りに対しても敏感になりがちです。妊娠前には好きだった香りを突然受け付けなくなったり不快に感じたりすることもあるため、気分が悪くなったら直ちに中止するなど、自分の体調を優先しながら楽しんでみてくださいね。
ペットがいる場合のアロマの注意点
私たち人間がいい香りだと思っているものでも、嗅覚が人間よりも優れている動物にとっては香りが強すぎたり快適でない場合もあります。
特に猫やフェレットは、祖先が肉食動物であったことから植物の成分を十分に代謝する機能が備わっていないと考えられています。猫やフェレットを飼育している部屋でのアロマ使用は避けた方が良いでしょう。
飼育していない部屋や浴室で芳香浴をする程度であれば、影響はあまりないと思われます。
ただ個体差もあるので万一様子がいつもと違うような場合は避け、心配な場合は使用前に獣医師さんに相談をしましょう。
一般的に犬の場合は猫やフェレットほどアロマについて気にすることはないとされていますが、強い香りは不快になることがあるので注意してあげると良いでしょう。
アロマを取り入れてつらいPMSと上手に付き合う
PMS症状を和らげるために選びたいアロマの種類と取り入れ方についてご紹介しました。
つらい症状を緩和するために薬を飲むとなると、飲み忘れてしまったり面倒に感じてしまうこともありがち。でもアロマなら身も心もリラックスできて至福のひとときとなるでしょう。
症状やライフスタイルに合った取り入れ方で無理なく楽しめると良いですね。「自分を甘やかす時間」を作るためにもアロマを手に取り、ゆったりとお過ごしください。
【参考文献】
(※1)Tamaki Matsumoto,“Does lavender aromatherapy alleviate premenstrual emotional symptoms?: a randomized crossover trial”
2013 May 31,PMID:23724853
記事の監修
岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。
INSTAGRAM : @yutaka411985 , @yourkins_official
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