ストレスと肌荒れの悪循環を断つ!肌荒れを予防する方法
ストレスは、自律神経やホルモンバランスの乱れを引き起こし、その結果、肌荒れやニキビ、乾燥などの肌トラブルへと直結します。
この記事では、ストレスが肌荒れを引き起こすメカニズム、ストレスが肌に与える影響、そしてそれらの対処法について、日常生活で実践できるアドバイスをご紹介しています。
ストレスと肌荒れは悪循環に陥りやすい
ストレスによって肌荒れが起きると、肌荒れ自体が今度はストレスとなってしまい、また肌荒れを招く、という悪循環になりやすいです。
ストレスを発散しないと肌荒れが解消されない、リラックスしないといけない、という気持ちがさらにプレッシャーになり、ストレスとなってしまいます。
ストレスが溜まっている時というのは、なかなか自分の時間を設けてゆっくりしたり、楽しい時間を過ごしてストレス発散するのが難しい時もありますよね。ちょっとしたストレスであれば解消しやすいですが、悩みが深くなるほど、簡単には解決できないうえ、ストレス解消自体も難しくなっていきます。
そこに肌荒れというトラブルが加わるとさらに精神的にはストレスになりますし、早くなんとかしないと、と思うほど、どんどんしんどくなってしまいます。
また、ストレスが溜まっている時というのは、暴飲暴食など、食生活も乱れやすくなり、それが肌荒れを招くこともあります。しかし、ストレスが大きいほど、簡単には暴飲暴食も止められません。
リラックスしないと、暴飲暴食をやめないと、と思えば思うほど辛くなってしまい、悪循環が起きてしまいます。
ストレスで肌荒れが起きるメカニズム
では、ストレスがかかると、どうして肌荒れが起きてしまうのでしょうか。
ターンオーバーが乱れる
ストレスがかかると、肌のターンオーバーが乱れ、肌荒れが起きやすくなります。ターンオーバーとは、肌の細胞が生まれ変わるサイクルのことを指し、通常は約28日周期で新しい肌細胞が生まれ、古い細胞が剥がれ落ちるプロセスです。
ストレスが原因でターンオーバーが乱れると、肌細胞の生まれ変わりがスムーズに行われなくなります。
ストレス状態にあると、身体はコルチゾールというホルモンを過剰に分泌します。このコルチゾールの増加が、肌細胞の再生プロセスに悪影響を与え、肌の再生速度が遅くなります。また、肌の表層に古い細胞が残りやすくなり、肌荒れの原因となることがあります。
ターンオーバーの乱れによる影響は多岐にわたります。例えば、古い角質が肌に残りやすくなると、毛穴の詰まりや肌のくすみ、さらにはニキビなどの肌トラブルを引き起こす可能性があります。また、肌の保湿機能が低下すると、乾燥や敏感肌の原因にもなり得ます。
ホルモンバランスが崩れる
長期的なストレスにさらされると、ホルモンバランスの乱れにつながります。ホルモンバランスの乱れは、特に女性の場合、男性ホルモンのアンドロゲンの分泌を増やすことがあります。アンドロゲンは皮脂の分泌を促進し、その結果、毛穴が詰まりやすくなり、ニキビや肌荒れの原因になることがあります。また、ストレスによる自律神経の乱れもホルモンバランスに影響を及ぼし、肌のターンオーバーが乱れることもあります。
さらに、コルチゾールは肌の保湿成分であるセラミドの分解を促し、それが肌の乾燥やバリア機能の低下につながることがあります。このような肌の乾燥は、肌荒れや敏感肌の原因となり、肌の炎症や赤みなどの問題を引き起こす可能性があります。
美肌菌の減少
ストレスがかかると、私たちの肌に住む常在菌のバランスが崩れ、美肌菌が減少し、肌荒れが起きやすくなります。私たちの肌には、健康を維持するための良い菌(美肌菌)と、炎症や肌トラブルの原因となる悪い菌が共存しています。これらのバランスが重要で、通常、健康な肌環境では良い菌が優位に保たれています。
しかし、ストレスがかかると、この微妙なバランスが乱れます。ストレスは肌の免疫機能に影響を与え、良い菌の活動を抑制し、悪い菌が増えやすい環境を作り出すことがあります。
美肌菌が減少すると、肌の保湿機能やバリア機能が低下し、乾燥や敏感肌の原因になるだけでなく、ニキビや赤みなどの炎症を引き起こしやすくなります。さらに、肌の常在菌のバランスが乱れることで、肌のターンオーバーも影響を受け、古い角質が溜まりやすくなり、さらなる肌荒れを引き起こす可能性があります
ストレスが原因で起きる肌荒れの種類
ストレスがかかると、具体的にお肌にどのような症状としてあらわれるのでしょうか。
毛穴トラブル、ニキビ
ストレスが原因でアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンの分泌が促進されると、皮脂の過剰分泌が起こります。この過剰な皮脂が毛穴に詰まることで、ニキビや毛穴のトラブルが引き起こされやすくなります。
さらに、ストレスによる皮脂の過剰分泌は、皮脂と角質が混じり合って毛穴を塞ぐプラグを形成し、これが炎症を引き起こし、ニキビが発生する一因となります。また、ストレスが引き起こす自律神経の乱れは、肌の免疫力の低下や、肌のバリア機能の弱体化にもつながり、結果的に肌荒れやニキビを悪化させることがあります。
赤み、痒み
ストレスが長期間にわたって続くと、体内で炎症を引き起こす物質が過剰に分泌されることがあり、これが肌の赤みや痒みを引き起こす原因となります。
自律神経の乱れもまた、肌に赤みや痒みを引き起こす大きな要因です。ストレスを感じると、交感神経が活発になり、血管が収縮します。これによって血行が悪くなり、肌の細胞が十分な酸素や栄養を受け取ることができなくなります。その結果、肌の炎症が引き起こされ、赤みや痒みが生じることがあります。
また、ストレスが原因で肌のバリア機能が低下すると、肌は外部からの刺激に対して非常に敏感になります。日常生活でのちょっとした刺激が、通常よりも強い赤みや痒みとして現れることがあります。特に敏感肌の方は、ストレスによる肌の反応が顕著に現れやすいとされています。
乾燥、皮むけ
ストレスが原因でホルモンバランスが乱れたり、自律神経のバランスが崩れたりすると、肌の保湿機能が低下し、乾燥肌の原因となります。特に、ストレスホルモンであるコルチゾールの過剰分泌は、肌の天然保湿因子の減少や、肌のバリア機能の弱体化につながり、これが乾燥や皮むけの原因になります。
肌の乾燥は、肌表面の水分が不足することで起こります。これにより、肌は柔軟性を失い、外部からの刺激に対する抵抗力も弱まります。また、肌の表面が乾燥することで、細かいひび割れが生じやすくなり、さらに皮むけや赤み、痒みなどの肌トラブルを引き起こしやすくなります。
ストレスによる肌荒れを予防する方法
それでは、ストレスによって引き起こされる肌荒れを予防するにはどうしたらよいのでしょうか。
ストレスを発散する、ストレスを溜めない、と口で言うのは簡単ですが、実際には難しいですよね。
そこで、ストレスを発散する以外の方法で、肌荒れを予防する方法をご紹介します。
お肌を丈夫にする
ストレスによる肌荒れを予防するためには、ストレスに負けない丈夫なお肌を作ることが大切です。
ストレスがかかると、ニキビや乾燥など、色々な肌トラブルが起きやすくなりますが、ニキビケアや保湿、などそれぞれに対処したスキンケアだけでは、根本的には解決できず、繰り返してしまったり、他の症状が出た時に困ってしまいますよね。
お肌を丈夫にしておけば、ストレスだけでなく、様々な要因で肌荒れが起きることを予防できるため、おすすめです。
では実際にお肌を丈夫にするにはどうしたらいいのでしょうか。
美肌菌を育ててバリア機能を強化
美肌菌(表皮ブドウ球菌)は、私たちの肌に自然に存在し、健康な肌環境を維持するために不可欠な役割を果たしています。美肌菌は、肌の表面で汗や皮脂を栄養源とし、これらを分解することでグリセリンや脂肪酸などの保湿成分を生成します。生成されたこれらの保湿成分は、肌の保護膜を形成し、外部からの刺激や乾燥から肌を守ります。
さらに、美肌菌は肌のpHバランスを整える重要な役割も担っています。健康な肌はわずかに酸性であり、この酸性度は悪玉菌の増殖を抑制し、良い菌のバランスを保つことに寄与します。美肌菌が生成する脂肪酸は、この酸性環境を維持し、肌のバリア機能を強化することで、外部刺激に対する抵抗力を高めます。
美肌菌の育成とバランスの維持は、肌を丈夫にし、健康的な状態を維持する上で非常に重要です。そのため、美肌菌を減らさない、美肌菌を育てて元気にすることが、ストレスに負けないお肌作りの土台となります。
合成界面活性剤を避ける
美肌菌を元気に保ち、健康な肌環境を維持するためには、合成界面活性剤を使った洗浄力の強いクレンジングを避けることが大切です。合成界面活性剤は、肌から汚れを効果的に取り除く能力がありますが、その強力な洗浄作用によって、肌に必要な天然の油分や美肌菌も洗い流してしまうリスクがあります。
肌の表面には、肌の健康を守るために重要な役割を果たす美肌菌が生息しています。強い洗浄力を持つクレンジング剤を使用すると、これらの有益な菌のバランスが崩れ、肌のバリア機能が低下することがあります。バリア機能が低下すると、肌は乾燥や外部からの刺激に対して脆弱になり、肌荒れや敏感肌の原因となる可能性が高まります。
美肌菌のバランスを保ち、肌を健康に保つためには、優しい成分のクレンジング剤を選ぶことが重要です。天然成分や肌に優しい界面活性剤を含むクレンジング製品を選び、肌を擦りすぎないように優しく洗うことが重要です。
具体的にどんな界面活性剤を選んだらいいかはこちらで詳しくご紹介しています。
豆乳発酵成分を取り入れる
美肌菌を元気に保ち、育てるためには、肌の健康に良い成分を取り入れることもおすすめです。その中でも、豆乳発酵成分は美肌に寄与する成分として注目されています。豆乳発酵成分には、肌に有益な菌の活動をサポートし、肌の環境を整える効果が期待されています。
豆乳発酵成分が美肌菌に良い影響を及ぼす一つの理由は、その保湿効果にあります。発酵過程で生じる成分が肌に潤いを提供し、乾燥から守ります。肌が適切に保湿されることで、美肌菌が生息しやすい環境が保たれ、肌のバリア機能が強化されます。
さらに、豆乳発酵成分には肌のpHバランスを整える効果も期待されています。肌の健康的なpHバランスを保つことで、悪玉菌の過剰な増殖を防ぎ、美肌菌のバランスを保つことができます。これにより、肌は外部からの刺激に対して抵抗力を持ち、肌荒れが起きにくい状態を維持することができます。
ストレスによる暴飲暴食を予防する
ストレスが溜まっていると、ついつい暴飲暴食をしてしまいがちですが、食べるものによっては肌荒れを加速させてしまいます。
ただ、食べたくなるものによっては、もしかしたら身体が不足した栄養素を補おうとしている可能性もあります。
甘いものがやめられない時は
甘いものがやめられない場合、以下の栄養素が不足している可能性があります。
クロム
クロムは血糖値の調節に関わる栄養素で、不足すると糖分への渇望が増すことがあります。クロムはインスリンの効果を助け、血糖値の安定に寄与するため、クロムが不足すると、体がエネルギーを得るために甘いものを欲するようになる可能性があります。
マグネシウム
マグネシウムもまた、甘いものへの渇望と関連している栄養素です。マグネシウムは神経系の健康や筋肉の機能に重要であり、特に女性ではPMS(月経前症候群)時に甘いものを欲しがることがあるが、これはマグネシウム不足が一因とされています。
亜鉛
亜鉛は味覚を正常に保つために必要なミネラルであり、亜鉛が不足すると味覚が鈍くなり、甘いものや強い味の食べ物を求めやすくなることがあります。亜鉛は免疫機能のサポートや傷の治癒にも関わっています。
ビタミンB群
特にビタミンB6やビタミンB12などのB群ビタミンは、エネルギー代謝や神経機能の維持に重要です。これらが不足すると、疲労やストレスが増し、エネルギーブーストとして甘いものを求めることがあります。
油っこいものがやめられない時は
油っこいものを過剰に欲する場合、以下の栄養素が不足している可能性が考えられます。
オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は、抗炎症作用があり、心血管系の健康をサポートする重要な脂肪酸です。不足していると、体が他の脂肪源を求め、油っこい食べ物への渇望につながることがあります。オメガ3は、魚油や亜麻仁油、チアシードなどに豊富に含まれています。
健康的な脂肪
健康的な脂肪とは、一価不飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸のことを指し、オリーブオイルやアボカド、ナッツ類に含まれています。これらの健康的な脂肪が不足すると、体が脂肪を求めて油っこい食べ物に手を出しやすくなります。
冷たいものがやめられない時は
アイスクリームや氷など冷たいものを頻繁に欲する行動は、「パジェット氏症」としても知られており、これは鉄分が不足している場合に見られることがあります。鉄分不足は、身体が必要とする鉄の量が不足している状態を指し、鉄欠乏性貧血の一因となることがあります。鉄は、体内で赤血球の主成分であるヘモグロビンの生成に不可欠なミネラルです。ヘモグロビンは酸素の運搬を助けるため、鉄が不足すると身体の各部に十分な酸素が行き渡らなくなり、疲労感、集中力の低下、呼吸困難などの症状を引き起こす可能性があります。
鉄分不足による特異的な渇望現象として、非栄養物質を食べたくなる「異食症」という症状があり、氷を噛む行動もその一例です。氷を噛むことで一時的に集中力が高まったり、口の中の感覚が変化したりすることが、何らかの形で身体からの鉄分不足のサインとして現れている可能性があります。
腸内環境を整えることで暴飲暴食を抑制
腸内環境を整えることが暴飲暴食を抑制する効果につながる理由は、腸内フローラと食欲コントロールの間にある密接な関連性に起因します。腸内フローラは、腸内に存在する無数の微生物群のことで、これらの微生物は私たちの消化、免疫機能、さらには心理状態にまで影響を及ぼします。
腸内の健康的な微生物は、食欲をコントロールする重要なホルモンの産生に関与しています。例えば、レプチン(満腹感を感じさせるホルモン)やグレリン(空腹感を感じさせるホルモン)のバランスを整えることが挙げられます。腸内環境が健康であればあるほど、これらのホルモンが適切に機能し、無駄な食欲が抑制されます。
また、健康な腸内フローラは、食後の血糖値の急激な上昇と下降を防ぎ、より安定した血糖レベルを維持するのに役立ちます。血糖値が急激に下がると、身体はエネルギー不足を感じて、甘いものや高カロリーの食べ物を欲するようになります。したがって、腸内環境を整えることは血糖値の安定にも寄与し、結果的に暴飲暴食を防ぐことにつながります。
男性ホルモンの働きを抑える
ストレスが原因で男性ホルモン、特にアンドロゲン(テストステロンなど)の分泌が促進されると、肌荒れやニキビの原因になることがあります。
アンドロゲンの分泌が増えると、肌の皮脂分泌が活発になり、特にTゾーン(おでこ、鼻、あご)において皮脂が過剰になることが一般的です。この過剰な皮脂は毛穴を詰まらせることでニキビの原因となり、また、肌のバリア機能を低下させることもあります。
このような状況を改善するためには、男性ホルモンの分泌を抑えるアプローチが効果的です。
オメガ3脂肪酸がおすすめ
ストレスが体に与える影響の一つに、炎症反応の増加があります。この炎症は、体がストレスに対抗しようとする過程で生じるもので、慢性的な炎症はホルモンの分泌に影響を及ぼし、男性ホルモンの過剰分泌を引き起こす可能性があります。男性ホルモンが過剰になると、皮脂の過剰分泌や肌荒れ、ニキビなどの皮膚トラブルを引き起こすことがあります。
オメガ3脂肪酸には、EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)の2つの重要な形態があり、これらは炎症を抑制する効果があります。オメガ3脂肪酸が炎症反応を抑えることで、ストレスによる炎症の影響を減らし、結果的に男性ホルモンのバランスを安定させることができるのです。
オメガ3脂肪酸を豊富に含む食品には、脂肪魚(サーモン、マグロ、サバなど)、亜麻仁油、チアシード、くるみなどがあります。これらの食品をバランス良く食事に取り入れることで、ストレスによる男性ホルモンの過剰分泌を抑制し、肌荒れのリスクを減らすことが期待できます。
ストレスと上手に付き合って肌荒れを改善しよう
ストレスは避けられない現代生活の一部ですが、その影響を上手に管理し、肌荒れを改善するための対策を講じることが可能です。
ストレスを減らそう、なんとかしよう、と思うとプレッシャーになったり負担になる可能性があるので、それ以外のところでお肌へのアプローチをすることで、上手に肌荒れを改善していきましょう。
記事の監修
岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。
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