掲載日 | 2024.04.25
更新日 | 2024.04.25

乳酸菌は腸活にどう効く?ビフィズス菌との違いやおすすめの摂り方

掲載日 | 2024.04.25
更新日 | 2024.04.25
健康と美容に敏感な方々の間で注目を集める「腸活」。その中心的存在として知られる乳酸菌は、私たちの健康を支える微生物の一つです。

しかし、乳酸菌と聞いても、その具体的な役割や種類、ビフィズス菌との違いまで詳しく知る機会は意外と少ないもの。

この記事では、乳酸菌がなぜ腸活に欠かせないのか、その科学的な背景と共に、乳酸菌とビフィズス菌の違い、そして日常生活で乳酸菌を効果的に取り入れる方法について詳しく解説します。

腸内の善玉菌、悪玉菌の違い

腸内の善玉菌、悪玉菌の違い

私たちの腸内には数百種類もの微生物が存在し、これらは大きく「善玉菌」と「悪玉菌」、「日和見菌」という3つのカテゴリーに分けられます。

善玉菌は腸内環境を健康に保つために役立ち、悪玉菌は過剰に増えると腸内環境を悪化させることがあります。日和見菌は腸内環境に応じて善玉菌と悪玉菌のどちらかの役割を果たします。

この微妙なバランスが私たちの健康に大きく影響を与えるため、善玉菌を積極的に増やし、悪玉菌の増加を抑えることが重要です。

主な善玉菌と悪玉菌

善玉菌の代表としては以下のような菌があります。

ビフィズス菌: 腸内での酸性環境を作り出し、悪玉菌の増殖を抑えます。
乳酸菌: 乳酸を生成し、腸内環境を酸性に保つことで、悪玉菌の活動を抑制します。

悪玉菌の例としては、以下のような菌が知られています。

大腸菌: 一部の種類は有害物質を生成し、下痢や食中毒の原因となることがあります。
クロストリジウム: 無酸素状態で生育し、トキシンを産生することで健康を害することがあります。

腸内のバランスを適切に保つことで、これらの悪玉菌による悪影響を最小限に抑え、健康的な生活を送ることができます。

腸内の善玉菌「ビフィズス菌」と「乳酸菌」の違い

腸内の善玉菌「ビフィズス菌」と「乳酸菌」の違い

健康的な腸内環境のキープレイヤーである善玉菌には、ビフィズス菌と乳酸菌が含まれます。これらはいずれも腸の健康を支える重要な役割を担っていますが、それぞれの特徴や働きには大きな違いがあります。

ここでは、ビフィズス菌と乳酸菌の違いを3つの点から詳しく見ていきます。

大腸内に多いのはビフィズス菌

ビフィズス菌は主に大腸に生息しており、腸内フローラの中でも比較的大きな割合を占める善玉菌です。ビフィズス菌は、腸内環境を酸性に保つことで有害な菌の増殖を抑制し、腸内環境の健康を維持する効果があります。また、ビフィズス菌は腸壁に付着しやすい性質を持ち、免疫機能の調整や栄養素の吸収を助ける役割も果たしています。

ビフィズス菌は、特に大腸でその数が顕著で、成人の腸内フローラの主要な構成要素の一つです。腸内全体の約25%をビフィズス菌が占めており、その数は数十億から数千億個と推定されています。これに対し、乳酸菌は腸全体に分布しているものの、ビフィズス菌に比べるとその数は少なめです。
ビフィズス菌は腸壁に付着しやすい性質があり、腸内環境の酸性度を高めることで有害な細菌の増殖を阻止し、健康な腸内環境を維持するのに寄与します。

乳酸菌のほうが住む場所が多い

乳酸菌のほうが住む場所が多い

乳酸菌はビフィズス菌とは異なり、酸素の有無に左右されずに生活することが可能です。これは乳酸菌が好気性(酸素を必要とする)および嫌気性(酸素を必要としない)の環境の両方で生存できるため、消化管全体に広がることができるという特性によります。

そのため、小腸を含む消化管の多くの部分に存在し、食品を通じて摂取されることが一般的です。ビフィズス菌は主に嫌気性であり、酸素のある環境下では生存が困難です。このため、乳酸菌は大腸だけでなく小腸にも分布していて、ビフィズス菌は大腸のみに生息しています。また、酸素に強い乳酸菌は、食品からの補給がしやすいという利点があります。

作り出す物質の違い

ビフィズス菌と乳酸菌は、それぞれ異なる種類の代謝物を生産します。ビフィズス菌は酢酸を主に生成し、これが腸内のpHを下げることに寄与します。

一方で乳酸菌は名前の通り乳酸を多く産生し、これによって同様に腸内環境を酸性に保つ効果があります。また、乳酸菌は他の有益な化合物も生成するため、それぞれの菌には異なる健康効果が期待できます。

乳酸菌が便秘を解消するメカニズム

乳酸菌が便秘を解消するメカニズム

便秘は多くの人が経験する不快な症状であり、その解消には乳酸菌が効果的であることが知られています。では、乳酸菌はどのようにして便秘を解消するのでしょうか?

腸内環境の改善

乳酸菌は、腸内で乳酸や酢酸などの有機酸を産生します。これらの有機酸が腸内環境を酸性に傾け、有害な細菌の活動を抑えることで、腸内フローラのバランスを改善します。

腸内フローラが健康な状態に保たれることで、腸の動きが活発になり、便の通過がスムーズになります。

腸の運動を促進

乳酸菌は腸の運動を促す作用があります。これは、乳酸菌が生成する代謝物が腸の神経細胞に作用し、蠕動運動を促進するためです。

蠕動運動は腸の壁がリズミカルに収縮し、内容物を押し進める運動であり、この運動が活発になることで便秘が解消されることがあります。

便の水分バランスの調整

乳酸菌は腸内での水分の吸収と分泌のバランスを調整し、便の質を改善します。適切な水分量を保持した便は柔らかくなり、排便が容易になります。

また、乳酸菌は食物繊維の分解を助けることもあり、食物繊維が水分を保持しやすくなることで、便の量と質が向上し、便秘解消に寄与します。

乳酸菌にも種類がる?ヒト由来と植物由来、動物由来

乳酸菌にも種類がる?ヒト由来と植物由来、動物由来

乳酸菌と一口に言っても、その種類は多岐にわたります。乳酸菌は主にその由来によって大きく分けられることがあり、それぞれヒト由来、植物由来、動物由来の乳酸菌があります。これらの違いを理解することで、自分に最適な乳酸菌を選ぶ助けになります。

ヒト由来の乳酸菌

ヒト由来の乳酸菌は、人の腸内フローラから分離された菌種です。これらは人の体内で自然に生息しているため、ヒトの体にとって非常に相性が良いとされています。

ヒト由来の乳酸菌は、腸内環境を改善しやすく、特に腸内フローラのバランスを整えるのに効果的です。代表的なヒト由来乳酸菌にはビフィズス菌やラクトバチルス・ガセリがあります。

植物由来の乳酸菌

植物由来の乳酸菌は、野菜や果物などの植物から得られる乳酸菌です。これらは発酵過程で活躍し、自然環境においても生存能力が高い特性を持っています。

植物由来の乳酸菌は、耐酸性や耐塩性が高く、生きたまま消化管を通過しやすいという利点があります。キムチやサワークラウトなどの発酵食品に豊富に含まれています。

動物由来の乳酸菌

動物由来の乳酸菌は、乳製品を通じて得られることが一般的です。これらの菌は乳糖を分解して乳酸を生成するため、ヨーグルトやチーズなどの乳製品の発酵に不可欠です。

動物由来の乳酸菌は、乳酸の生成により乳製品特有の味やテクスチャーを生み出す役割も担っています。また、これらの乳酸菌は乳糖不耐症の症状緩和に役立つことも報告されています。

自分の身体に合う乳酸菌を摂ることが大切

自分の身体に合う乳酸菌を摂ることが大切

乳酸菌は健康維持に欠かせない役割を果たしますが、その効果は摂取する乳酸菌の種類によって異なります。さらに、人それぞれで体内の腸内フローラが異なるため、自分に最適な乳酸菌も異なるのです。自分の体質や健康状態に合った乳酸菌を見つけて摂取することが、腸内環境の改善や全体的な健康向上につながります。

腸内フローラは、その人の食生活、生活環境、遺伝的要素によって形成されます。したがって、一人一人の腸内環境は独自であり、それに最適な乳酸菌の種類も異なります。例えば、ある人にとってはビフィズス菌が効果的であるかもしれませんが、別の人にはラクトバチルス菌の方が良い結果をもたらす場合があります。

自分に合う乳酸菌の見つけ方

自分に合う乳酸菌を見つけるためには、まず現在の腸内環境を知ることが重要です。腸内フローラの分析サービスを利用することで、どの種類の菌が優勢か、どの栄養素が不足しているかを把握することができます。この情報を基に、不足している乳酸菌を補う形で選択することが効果的です。

また、異なる種類の乳酸菌を含む食品やサプリメントを試し、自分の体調の変化を観察することも一つの方法です。例えば、特定の乳酸菌を摂取した後に消化が良くなる、便秘が解消されるなどの変化が見られれば、その乳酸菌が自分に合っている可能性が高いです。

乳酸菌はどんなものに含まれる?

乳酸菌はどんなものに含まれる?

乳酸菌は私たちの腸内環境に良い影響を与える重要な微生物ですが、この貴重な菌はどのような食品から摂取できるのでしょうか?ヨーグルトが有名ですが、実は乳酸菌は多くの伝統的な和食にも含まれています
これらの食品を日常的に取り入れることで、手軽に乳酸菌を摂取することが可能です。

ヨーグルト

ヨーグルトは乳酸菌の代表的な摂取源であり、多くの種類の乳酸菌が含まれています。毎日の朝食にヨーグルトを加えるだけで、良質な乳酸菌を効果的に摂ることができます。さらに、無糖タイプを選べば砂糖の摂取を抑えつつ健康管理も行えます。

ヨーグルトは植物性がおすすめ

乳製品が体質に合わない方や乳糖不耐症の方にとって、通常のヨーグルトは消化が難しい場合があります。しかし、乳酸菌を摂取する健康効果を得るためにヨーグルトを完全に避ける必要はありません。近年では、植物性ミルクを使用したヨーグルトが多く市場に登場しており、これが素晴らしい代替品となっています。

植物性ミルクは大豆、アーモンド、ココナッツ、オーツ麦などから作られます。これらのミルクは乳製品を含まないため、乳糖不耐症の方やヴィーガンの方にも適しています。さらに、これらのミルクは低カロリーでコレステロールフリーの選択肢も多く、健康意識の高い方にも人気です。

漬物

日本の食文化に欠かせない漬物も、優れた乳酸菌源です。特に自然発酵による伝統的な漬物は、乳酸菌が豊富に含まれています。キムチ、塩漬けの野菜、たくあんなどは、日々の食卓で楽しめる乳酸菌の供給源として理想的です。

味噌

味噌は大豆を主原料とし、麹菌、乳酸菌、酵母などの微生物が作用して発酵された食品です。これらの菌の活動によって生成される乳酸菌は、腸内環境を整える助けになります。味噌汁を毎日の食事に取り入れることで、簡単に乳酸菌を摂取することができます。

麹(こうじ)

麹は米や大豆に麹菌を繁殖させて作られる日本の伝統的な発酵食品です。麹から作られる甘酒や味噌なども乳酸菌を含んでおり、消化を助けるほか、体内の免疫力向上にも寄与します。

乳酸菌は腸内に留まれない?毎日摂ることが大切

乳酸菌は腸内に留まれない?毎日摂ることが大切

乳酸菌は、一時的に腸内でその数を増やし、健康に有益な変化を促します。これには腸内環境の改善、有害な細菌の増加の抑制、免疫機能の支援などが含まれます。しかし、これらの乳酸菌は腸内で恒久的に生息するわけではありません。そのため、その効果を持続させるには、定期的に新たな乳酸菌を摂取する必要があります

日々摂取することで、乳酸菌の一時的な利益が蓄積し、腸内環境の継続的な改善が期待できます。また、乳酸菌はストレスや不規則な食生活、抗生物質の使用などによって損なわれることがある腸内環境を整えるのに役立ちます。

食生活で摂りきれない時はサプリがおすすめ

乳酸菌はヨーグルトや発酵乳、漬物、味噌、サプリメントなど、様々な形で摂取することが可能です。それぞれのライフスタイルや食習慣に合わせて、最適な摂取方法を選ぶことが重要です。

また、食品から摂取することが難しい場合は、サプリメントを活用するのがおすすめです。
サプリメントの種類によっては、様々な乳酸菌が入ったものや、生きて腸まで届くタイプのもの、乳酸菌のエサになるものも一緒に入っているタイプなど、色々あります。
なかなか食生活を毎日意識するのが難しい場合は、サプリメントも活用していきましょう。

乳酸菌だけでなくビフィズス菌を増やすことも重要

乳酸菌だけでなくビフィズス菌を増やすことも重要

腸内環境を改善する際には、乳酸菌の摂取がしばしば強調されますが、実はビフィズス菌の役割も非常に重要です。特に大腸においては、ビフィズス菌が乳酸菌よりも多く存在しており、腸内フローラのバランスを整える上で中心的な役割を果たしています

また、乳酸菌とビフィズス菌は互いに補完し合う関係にあります。乳酸菌が腸内環境を酸性に保ち、有害な細菌の増殖を防ぐ一方で、ビフィズス菌は腸の健康を直接サポートします。

したがって、どちらの菌もバランス良く摂取することが、腸内環境を最適に保つ鍵となります。

食物繊維で乳酸菌とビフィズス菌を増やす

食物繊維は消化されにくいため、大腸に到達すると、そこでビフィズス菌の栄養源として機能します。ビフィズス菌は食物繊維を発酵させることで、短鎖脂肪酸を産生します。これらの酸は腸の健康を支えるだけでなく、腸内環境を改善し、他の有害な細菌の増殖を抑制する効果があります。

食物繊維を多く含む食品には、全粒穀物、豆類、野菜、果物、ナッツがあります。これらの食品を日常的に摂取することで、ビフィズス菌の数を自然に増やし、腸内フローラの健康をサポートすることができます。

オリゴ糖で乳酸菌とビフィズス菌を増やす

オリゴ糖は小腸で消化吸収されずに大腸に到達し、そこでビフィズス菌によって発酵されます。この発酵過程でビフィズス菌は増殖し、腸内環境を改善するさまざまな有益な代謝物質を生産します。

オリゴ糖は自然に多くの食品に含まれており、特に玉ねぎ、バナナ、にんにく、アスパラガス、大豆などが豊富です。また、市販されているオリゴ糖サプリメントや加工食品もあり、これらを使用することで手軽にオリゴ糖を摂取することができます。

乳酸菌は「生きたまま」じゃないと意味がない?

乳酸菌は「生きたまま」じゃないと意味がない?

乳酸菌が健康に与える利益には多くの注目が集まっていますが、しばしば議論の対象となるのが「生きたままの乳酸菌が腸に到達することの重要性」です。確かに、生きた乳酸菌が腸に到達すれば、その健康効果は最大限に発揮される可能性がありますが、乳酸菌が死んでしまった場合でも、依然として有益な効果があることが研究によって示されています

生きた乳酸菌は腸内で活発に活動し、腸内環境を改善することができます。これらは腸内フローラのバランスを整え、有害な細菌の増殖を抑える作用があります。また、免疫システムの調整や、消化機能のサポートなど、直接的に腸の健康を促進する多くのメリットがあります。

一方で、乳酸菌が死んだ状態(死菌)であっても、その細胞壁の成分や代謝産物が腸内で有益な影響を与えることがわかっています。死菌やその代謝産物は、腸の免疫細胞に作用して免疫応答を調整したり、炎症を抑える効果があることが研究で示されています。さらに、死んだ乳酸菌は腸内で有害物質を吸着し排除する助けをすることもあり、腸内クレンジングの役割を果たします。

積極的に乳酸菌を摂ることが重要

このように、乳酸菌が生きているか死んでいるかにかかわらず、腸内環境を整えるためにはいい効果があります。

乳酸菌は熱や酸に弱いため、調理などの過程で死んでしまうこともありますが、あまり気にしすぎず、積極的に乳酸菌を摂っていくことが重要です。

乳酸菌を摂って腸活をしよう

乳酸菌を摂って腸活をしよう

乳酸菌をたくさんとることは、腸内環境の改善にとってとても重要であるため、日常的に乳酸菌を摂ることがおすすめです。

乳酸菌は腸内フローラのバランスを整え、有害な細菌の増殖を防ぎます。また、腸の免疫機能を強化し、消化吸収を助けることによって、私たちの体全体の健康をサポートします。生きた乳酸菌が腸に到達することで最大限の効果が期待できますが、死菌であっても腸内環境に有益な影響を与えることが可能です。

また、腸活を効果的に行うためには、乳酸菌だけでなくビフィズス菌もバランス良く摂取することが重要です。食物繊維やオリゴ糖を含む食品を摂ることで、これらの善玉菌の成長をさらに促すことができます。

総じて、乳酸菌を含む健康的な食品を日常的に摂取することは、腸内環境を改善し、長期的な健康を支えるために不可欠です。バランスの取れた食事と共に、乳酸菌を積極的に取り入れることで、より健康的な毎日を送ることが期待できます。

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
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