つらい生理痛や吐き気、カンジダ菌を抑えてラクにする方法
生理痛に加えて吐き気も加わると、ただでさえ辛い生理期間中がもっと辛くなってしまいますよね。
そんな生理中に起きる吐き気は、何が原因なのでしょうか。
吐き気が起きる原因や、吐き気を抑える方法などをご紹介していきます。
生理中に吐き気が起きる原因
生理中に起きる吐き気の原因には、いくつかの要因が考えられます。
プロスタグランジンの影響
プロスタグランジンは、子宮内膜が剥がれ落ちる際に分泌される化学物質で、子宮の収縮を促進します。この収縮が強くなると、生理痛だけでなく、消化器系にも影響を及ぼし、吐き気を引き起こすことがあります。
特に、プロスタグランジンの分泌量が多いと、胃腸の平滑筋が刺激され、吐き気や嘔吐の原因となることがあります。
ホルモンバランスの変化
生理周期に伴うホルモンバランスの変化も、吐き気を引き起こす一因です。
エストロゲンやプロゲステロンの急激な変動は、自律神経に影響を与え、消化器系の働きを乱すことがあります。
このため、生理中に胃腸の調子が悪くなり、吐き気を感じることがあるのです。
カンジダ菌の増殖
腸内のカンジダ菌の過剰増殖も、吐き気の原因となることがあります。カンジダ菌は通常、腸内の善玉菌とバランスを保っていますが、ストレスや食生活の乱れ、抗生物質の使用などで増殖しやすくなります。
カンジダ菌が増えると、腸内環境が悪化し、プロスタグランジンの分泌を促進することがあります。これが結果的に、吐き気を引き起こす原因となるのです。
精神的ストレス
生理中は、身体的な不快感だけでなく、精神的なストレスも増加しがちです。ストレスは自律神経を乱し、消化器系に影響を与えるため、吐き気を引き起こすことがあります。
また、生理痛自体がストレスとなり、それがさらに吐き気を悪化させる悪循環に陥ることもあります。
吐き気はいつまで続く?
吐き気の期間は個人差がありますが、通常は生理が始まる数日前から生理の最初の数日間にかけて強く感じられることが多いです。
この期間を過ぎると、ホルモンバランスが徐々に安定し、吐き気も軽減されることが一般的です。
しかし、一部の女性は生理が終わるまで吐き気が続くこともあります。
また、生理中だけでなく、生理の始まる前、いわゆるPMS(Premenstrual Syndrome)期間には、ホルモンバランスが大きく変動します。
特に、プロゲステロンとエストロゲンのバランスが崩れることで、自律神経系が影響を受け、この時期も吐き気を感じることが多くなります。
PMS期間の吐き気は、生理が始まる1週間前から数日前にかけて現れることが一般的です。
吐き気が出やすいのはプロスタグランジンが多い
生理中に感じる吐き気の一因として、プロスタグランジンという物質の存在があります。プロスタグランジンは生理痛の原因となるだけでなく、吐き気をも引き起こしてしまいます。
ここでは、プロスタグランジンがどのようにして吐き気を誘発するのかを詳しく説明します。
プロスタグランジンとは?
プロスタグランジンは、体内で自然に生成される脂肪酸の一種で、子宮の収縮を促進し、生理中の経血排出を助ける役割を担っています。
しかし、その分泌量が多すぎると、子宮の収縮が強くなりすぎ、生理痛がひどくなることがあります。
さらに、消化器系の平滑筋にも影響を及ぼし、胃腸の働きを乱すため、吐き気や嘔吐を引き起こすことがあるのです。
カンジダ菌が多いとプロスタグランジンが多くなる
腸内には、さまざまな細菌が共存していますが、カンジダ菌はその一つです。
カンジダ菌はカビの一種ですが、もともと体内に存在し、普段は特に悪さをすることはありません。
しかし、カンジダ菌はプロスタグランジンを産生する働きがあることが分かっています。つまり、カンジダ菌が増殖すると、必要以上にプロスタグランジンが分泌され、結果として生理痛や生理中の吐き気を催してしまうのです。
カンジダ菌が増える理由
腸内のカンジダ菌が増えると、プロスタグランジンの分泌が促進され、生理痛や吐き気が悪化することがあります。
ここでは、特にカンジダ菌が増える理由について詳しく説明します。
白砂糖の摂りすぎ
精製された白砂糖やぶどう糖果糖液糖の摂取は、カンジダ菌の増殖を助長します。カンジダ菌は糖分をエネルギー源として利用し、増殖するため、砂糖の過剰摂取はカンジダ菌の繁殖を招く結果となります。
白砂糖は、食事に含まれる天然の糖とは異なり、精製されているため、体内で急速に吸収され、血糖値を急上昇させます。これにより、血糖値の急激な変動が腸内環境を悪化させ、カンジダ菌の増殖を助けることになります。
特に、ぶどう糖果糖液糖は、加工食品や飲料に多く含まれており、知らず知らずのうちに大量に摂取してしまうことが多いです。
ジュースやお菓子、アイスクリームなどをよく口にする方は少し注意が必要です。
精製された穀物の摂りすぎ
小麦粉などの精製された穀物を摂りすぎることも、カンジダ菌の増殖を助長する要因となります。
精製穀物は、加工の過程で食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素が取り除かれており、消化が早く、体内で糖に変わりやすい特性を持っています。
これにより、白砂糖と同様に血糖値の急激な変動を引き起こし、腸内環境を悪化させる原因となります。この結果、カンジダ菌が増殖しやすくなり、プロスタグランジンの分泌を促進してしまいます。
カンジダ菌を抑える方法
腸内のカンジダ菌の増殖を抑えることで、プロスタグランジンの分泌をコントロールし、生理痛や吐き気を軽減することができます。
ここでは、カンジダ菌を抑える具体的な方法を紹介します。
糖質の摂りすぎを防ぐ
カンジダ菌は糖分をエネルギー源として利用するため、糖質の過剰摂取はカンジダ菌の増殖を助長します。
特に、精製された白砂糖やぶどう糖果糖液糖などは、カンジダ菌が最も好む糖質です。これらの糖質を多く摂取することで、腸内環境が悪化し、カンジダ菌の増殖が促進されます。
食事やおやつを選ぶときは、できるだけ食物繊維やたんぱく質の多いものを選び、糖質の摂りすぎを防ぎましょう。
ファストフードや加工食品も、ビタミンやミネラルが少なく、糖質が多くなっているため注意が必要です。
糖質を選ぶ際は、低GI(グリセミック指数)食品を選ぶのがおすすめです。低GIの食品を選ぶことで、血糖値の急激な上昇を防ぎ、カンジダ菌のエネルギー源となる糖分の供給を抑えることができます。
玄米などの全粒穀物、蕎麦、豆類、イモ類などは低GI食品の代表です。
食物繊維をしっかり摂る
食物繊維は、腸内環境を整えるために非常に重要な栄養素です。
食物繊維は腸内で発酵し、短鎖脂肪酸を生成します。短鎖脂肪酸は腸内のpHバランスを整え、善玉菌の成長を促進し、カンジダ菌の増殖を抑える働きがあります。
食物繊維は野菜、果物、全粒穀物、豆類、キノコ類などに多く含まれています。
一番手軽に食物繊維を摂るなら、いつもの白米を玄米や雑穀米に変えたり、全粒パン、全粒パスタなどを使用することです。新しく何かを取り入れるというよりは、いつもの食事を少し変更するだけなので、あまり手間がかかりません。
また、果物は果糖が多いため適度にし、野菜やキノコ類などを多く取り入れることで、バランスよく食物繊維を摂ることができます。
乳酸菌やビフィズス菌を摂る
乳酸菌やビフィズス菌は、腸内環境を整える善玉菌の一種です。これらの菌は、腸内で発酵を促進し、腸内の有害菌やカンジダ菌の増殖を抑える効果があります。
乳酸菌やビフィズス菌と摂るためには、ヨーグルトやキムチ、納豆、味噌、漬物などの発酵食品がおすすめです。
ヨーグルトは手軽に取り入れやすいですが、日本人は乳製品が身体に合わない体質の人も多いので、豆乳のヨーグルトやアーモンドミルクのヨーグルトなど、植物性ミルクのヨーグルトもおすすめです。
また、なかなか食事を変えるのが難しい方は、乳酸菌飲料やサプリメントもおすすめです。特に、サプリメントは効率的に多くの生きた乳酸菌を摂れるので、忙しい方にもぴったりです。
カンジダ菌の抑制効果のある食べ物を取り入れる
カンジダ菌の増殖を抑えるためには、特定の食品を積極的に摂取することが効果的です。以下の食べ物は、カンジダ菌の抑制効果があるとされています。
ココナッツオイル
ココナッツオイルに含まれるラウリン酸とカプリル酸には、抗菌作用があり、カンジダ菌の増殖を抑える効果があります。日常の料理にココナッツオイルを使ったり、スムージーに加えたりすることで、手軽に摂取できます。
にんにく
にんにくにはアリシンという強力な抗菌成分が含まれており、カンジダ菌を含む多くの有害菌を抑制する効果があります。にんにくを生で食べるか、料理に取り入れることで、抗菌作用を最大限に活用できます。
生姜
生姜にはジンゲロールやショウガオールといった成分が含まれており、抗菌作用や抗炎症作用があります。生姜をお茶に入れたり、料理に使ったりすることで、カンジダ菌の抑制に役立ちます。
オレガノオイル
オレガノオイルにはカルバクロールという強力な抗菌成分が含まれており、カンジダ菌の増殖を抑える効果があります。オレガノオイルをサプリメントとして摂取するか、料理に少量加えることで効果を得ることができます。
クルクミン(ターメリック)
ターメリックに含まれるクルクミンは、抗菌作用や抗炎症作用があり、カンジダ菌の増殖を抑える効果があります。ターメリックをカレーやスープに加えることで、手軽に摂取できます。
もちろんどれも摂りすぎには注意が必要ですが、適量を摂ることでカンジダ菌の抑制に役立ちます。
ストレスを発散する
ストレスは体内のホルモンバランスや免疫機能に大きな影響を与えます。
ストレスが溜まると、体内のコルチゾールレベルが上昇し、免疫力が低下します。この結果、腸内環境が悪化し、カンジダ菌の増殖が促進されることがあります。
さらに、ストレスは消化機能にも影響を与え、腸内の善玉菌の数を減少させる原因となります。
適度な運動はストレスホルモンであるコルチゾールを減少させ、エンドルフィンという快感ホルモンを増加させます。ウォーキング、ジョギング、ヨガ、ダンスなど、自分に合った運動を取り入れることで、ストレスを効果的に発散できます。
また、瞑想、深呼吸、マインドフルネス、ストレッチなどのリラクゼーション法を取り入れることで、心身の緊張を解きほぐし、リラックスすることができます。毎日数分間のリラクゼーションタイムを持つことが効果的です。
自分に合ったストレス発散方法を見つけることが、カンジダ菌の抑制につながります。
ダイオフ(ヘルクスハイマー反応)とは
カンジダ菌を抑制する取り組みを始めると、一時的に体調が悪化することがあります。この現象は「ダイオフ」または「ヘルクスハイマー反応」と呼ばれます。
カンジダ菌が死滅すると、その残骸が毒素となり、身体がそれを排出しようとするため、一時的に体調が悪くなることがあるのです。
ダイオフ(ヘルクスハイマー反応)のメカニズム
カンジダ菌の抑制に成功すると、菌が大量に死滅し、その結果として体内に毒素が放出されます。これらの毒素が体内で急速に増えることで、以下のような症状が現れることがあります。
これらの症状は一時的なものであり、体が毒素を排出する過程で自然と収まることが多いです。しかし、ダイオフ反応を乗り越えるためには、いくつかの対策が必要です。
水分や休息をしっかりとろう
毒素を早く体外に排出するためには、水分をしっかりと摂取することが非常に重要です。水分は、体内の毒素を腎臓や肝臓を通して排出するのに役立ちます。
毎日少なくとも1.5〜2リットルの水を摂取することを目指しましょう。
ハーブティーや野菜スープなど、体に優しい飲み物もおすすめです。これらは水分補給と同時に、体を温め、リラックス効果も期待できます。
また、ダイオフ反応を乗り越えるためには、体を十分に休めることも重要です。規則正しい睡眠習慣を心がけ、少なくとも7〜8時間の睡眠を確保しましょう。
生理中の吐き気を和らげるセルフケア
普段からカンジダ菌を抑制する対策をしていても、吐き気が起きてしまうことがあります。そんな時のために、セルフケア方法をいくつか紹介します。
下腹部まわりを温める
下腹部を温めることで、血行が良くなり、筋肉の緊張がほぐれます。これにより、子宮の収縮が緩和され、生理痛や吐き気の軽減に役立ちます。
また、温かさがリラックス効果をもたらし、全身の緊張を和らげることができます。
下腹部を温める方法としておすすめなのが、ホットパックや湯たんぽを下腹部に当てて温める方法です。これにより、体の芯から温まり、痛みや吐き気が和らぎます。使い捨てのカイロも便利です。
他には、温かいお風呂に浸かるのもおすすめです。お風呂に浸かることで、全身をリラックスさせ、血行を促進します。お風呂に入る時間がない場合は、シャワーで下腹部を重点的に温めるのも効果的です。
空腹を避ける
空腹時に胃酸が過剰に分泌されることで、胃が刺激され、吐き気を感じやすくなります。
生理中は特に体が敏感になっているため、空腹を避けることが重要です。
1日に3回の大きな食事ではなく、5~6回の小分けにした食事を摂るようにしましょう。これにより、血糖値の安定と胃の負担軽減に繋がります。
ナッツ、フルーツ、ヨーグルトなどの健康的なスナックを手元に置いておくと、空腹を感じた時にすぐに食べられます。これにより、血糖値の急な変動を防ぎ、吐き気を予防できます。
また、温かいお茶やスープなどを摂ることで、胃を温め、空腹感を和らげることができます。特に生姜茶やハーブティーは、消化を助ける効果も期待できます。
リラックスできる時間を作る
ストレスや緊張は、消化器系に影響を与え、吐き気を引き起こすことがあります。
生理中はホルモンバランスの変化により、心身がストレスを感じやすい状態にあります。リラックスできる時間を作ることで、ストレスを軽減し、吐き気を和らげることができます。
リラックスする時間を設けることは、カンジダ菌の抑制にもつながります。
趣味の時間や軽い運動などを取り入れたり、アロマや温かいハーブティーもおすすめです。
普段から血流をよくしておく
血流が悪いと、体全体に十分な酸素や栄養が行き渡らず、冷えや疲労、吐き気などの症状を引き起こすことがあります。特に生理中は、ホルモンバランスの変化により血流が滞りやすくなるため、普段から血流を良くしておくことが重要です。
軽い運動や入浴、マッサージなどもおすすめですし、ビタミンE(ナッツ、アボカド、オリーブオイル)、オメガ3脂肪酸(魚、亜麻仁油、チアシード)、鉄分(ほうれん草、赤身の肉、レンズ豆)を多く含む食事は、血行促進に役立つので、普段の食生活に取り入れるのもおすすめです。
生理が来ない時は妊娠の可能性も
生理が予定日を過ぎても来ない場合、妊娠の可能性が考えられます。
胸の張りや痛み、疲労感、頻尿などは妊娠の初期症状としてよく見られる症状です。これらの症状がある場合は、妊娠の可能性も考えておきましょう。
市販の妊娠検査薬を使用することで、簡単に妊娠の可能性を確認できます。生理予定日から1週間後に使用するのが最も正確です。検査薬はドラッグストアや薬局で購入でき、自宅で簡単に使用できます。
妊娠検査薬で陽性反応が出た場合や、不安がある場合は、産婦人科を受診しましょう。医師による検査で確実に妊娠を確認することができます。
つらい生理中の吐き気を和らげよう
生理中に吐き気が起きる原因の一つは、プロスタグランジンの過剰分泌です。このプロスタグランジンの分泌を抑えるためには、腸内のカンジダ菌の増殖を防ぐことが重要です。カンジダ菌を抑制するためには、糖質の摂りすぎを避け、食物繊維や乳酸菌、ビフィズス菌をしっかり摂ることが効果的です。また、カンジダ菌の抑制効果がある食べ物を取り入れ、日常的にストレスを発散することも大切です。
それでも吐き気が起きてしまった場合は、下腹部を温めたり、リラックスできる時間を作ることが有効です。ホットパックや温かい飲み物を利用して体を温め、リラックスすることで吐き気が和らぎます。また、普段から血流を良くするために、定期的な運動やマッサージ、バランスの良い食事を心がけましょう。
これらの方法を実践することで、生理中の吐き気を効果的に和らげ、快適な日常生活を送ることができます。カンジダ菌の抑制と適切なセルフケアを組み合わせて、体調を整えましょう。
記事の監修
岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。
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