掲載日 | 2024.04.16
更新日 | 2024.04.16

赤ちゃんにも腸活は大切!ママと一緒に腸活を取り入れよう

掲載日 | 2024.04.16
更新日 | 2024.04.16
「腸活」というと、大人が行うもののイメージがありますが、実は赤ちゃんの健康と発育にとっても重要です。特に、赤ちゃんは身体が未発達で、腸の環境を整えて、免疫力をアップすることも大切になります。

しかし、赤ちゃん特有のデリケートな腸に対して、どのように腸活をするのがいいのか、少し心配になりますよね。
この記事では、赤ちゃんの腸活について、どのように行っていくのがいいか、ご紹介しています。

赤ちゃんは便秘になりやすい

赤ちゃんは便秘になりやすい

赤ちゃんの便秘は、意外とよく起こる問題で、その主な理由は筋力の未発達と消化器官の成熟度にあります。
赤ちゃんの筋肉、特に腹部の筋肉はまだ弱く、効果的に食物を押し出す力が足りないことが多いのです。さらに、腸自体もまだ完全には成熟しておらず、消化と排泄のプロセスが大人に比べて効率的ではありません。

このような生理的な特徴に加えて、離乳食が始まった赤ちゃんに関しては、赤ちゃん自身がなかなか固形物の食事に慣れず、便秘を引き起こす原因になります。

赤ちゃんの月齢別、便秘の原因

赤ちゃんの月齢別、便秘の原因

赤ちゃんの便秘は月齢によってその原因が異なってきます。

生後1ヶ月の便秘の原因(新生児期)

生後1ヶ月の赤ちゃんは、主に母乳やミルクのみで栄養を得ています。この時期の便秘は、主に消化吸収の機能が未発達であるために起こります。
また、一般的に母乳よりミルクを飲んでいる赤ちゃんのほうが便秘になりやすいと言われています。それは、母乳に含まれる乳糖が、腸内のビフィズス菌のエサになるため、母乳だと便秘になりにくいからです。

さらに、この時期の赤ちゃんは睡眠の時間が長く、運動不足になりやすいので、腸への刺激が少なく、それが便秘の原因になることがあります。

生後2~4ヶ月の便秘の原因

生後2ヶ月から4ヶ月にかけては、赤ちゃんの身体が少しずつ成長し、消化器系も発達してきます。少しずつ腸内に便を溜められるようになってきますが、それが原因で便秘を引き起こすことがあります。
また、この時期から徐々に睡眠のパターンが変化するため、それが消化活動に影響を与えることもあります。

生後5~6ヶ月の便秘の原因(離乳食開始)

生後5ヶ月から6ヶ月の赤ちゃんは、離乳食が始まることが多いこの時期、食事の内容が大きく変わります。新しい食材の導入によって消化不良を起こしやすく、それが便秘の一因となることがあります。

また、母乳を飲む量が減ることで、水分不足になり、便秘を引き起こすこともあります。

赤ちゃんによっては、便が硬くなることで切れ痔になることがあり、排便の時の痛みを恐れてしまい、便秘になることもあります。

赤ちゃんの便秘、どうやって判断する?

赤ちゃんの便秘、どうやって判断する?

赤ちゃんが便秘かどうかを判断するのは難しいですよね。赤ちゃんによって便の回数は違うので、一概に1日に〇回、というような目安で便秘かどうかを判断はできません。
赤ちゃんが便秘かどうかは、下記のような項目を目安にしてみましょう。

ウンチの回数が減った

赤ちゃんによって、1日に何回もウンチをする子と、2~3日に1回の子もいます。ただ、もともとのペースよりも回数が減った時は、便秘の兆候と捉えるべきです。特に母乳のみで育てている場合、ウンチの頻度が減ることは便秘の一般的なサインです。
逆に、生後3~4ヶ月経ち、便をお腹に溜めておけるようになると、少しずつ便の頻度は下がっていきます。それ以外で便の回数が減った時は、便秘のサインかもしれません。

ウンチの量が減った

ウンチの回数だけでなく、排便時に出るウンチの量が明らかに少ない場合も便秘のサインの可能性があります。通常よりも少ない量が何日か続く場合は、赤ちゃんの消化器系に何らかの問題がある可能性があります。

機嫌が悪い

便秘の赤ちゃんは不快感から機嫌が悪くなることがあります。普段と異なり、すぐに泣き出す、長時間泣き止まない、などの症状が見られた場合、腹部に不快感を感じている可能性が考えられます。

食欲がない、母乳やミルクを吐き戻す

便秘が原因でお腹が張っていると、赤ちゃんは食欲不振に陥りやすく、食事量が減少します。また、お腹が不快な状態が続くと、飲んだ母乳やミルクを吐き戻すことがよくあります。これらの症状が見られる場合は、便秘の可能性があります。

大人だけじゃない!赤ちゃんも腸活が大切

大人だけじゃない!赤ちゃんも腸活が大切

赤ちゃんの健康を支えるためには、腸内環境の整備が非常に重要です。腸は人間の免疫機能の約70%を担っており、特に赤ちゃんの場合、健康的な腸内フローラが免疫力を高める上で欠かせない役割を果たします。

赤ちゃんの腸内環境は、生後すぐに形成され始めます。母乳や初めての固形食が腸内フローラに多大な影響を与え、その質が将来の健康に長期的な影響を及ぼすことが知られています。適切な腸活を行うことで、赤ちゃんの腸内環境はより健全な状態を保つことができ、これが免疫力の向上に直結します。

また、腸内環境が乱れると、小児アレルギーの発症リスクが高まることが近年の研究で明らかになっています(※1)。腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れると、アレルゲンに対する過敏反応が引き起こされやすくなります。このため、赤ちゃんにおいても、腸活を通じて腸内環境を整えることが、アレルギー予防に繋がると考えられています。

腸活は生まれる前からスタートしている

腸活は生まれる前からスタートしている

赤ちゃんの腸活は、実は生まれる前から始まっています。赤ちゃんはお母さんのお腹の中で無菌状態にありますが、出生時に産道を通過することで、お母さんから初めての微生物を受け取るのです。このため、お母さんの腸内環境が健康であることが、赤ちゃんにとって非常に重要です。

お母さんが妊娠中に腸活を行い、良好な腸内フローラを維持している場合、赤ちゃんは産道を通る際に有益な菌を受け取ることができます。これが赤ちゃんの免疫系の発達に役立ち、赤ちゃんのその後の健康を大きく左右すると考えられています。特に、乳酸菌やビフィズス菌など、良い影響を与える菌を母体が多く持っていることが望ましいです。

産道を通じて得られる微生物は、赤ちゃんの腸内フローラの基盤を形成し、アレルギーや自己免疫疾患のリスクを低減するのに寄与します。これは自然分娩において特に重要であり、帝王切開で生まれた赤ちゃんには、この自然なプロセスが欠けるため、異なる手法で腸内フローラのサポートを考える必要があります。

ビフィズス菌は赤ちゃんのお腹に欠かせない

ビフィズス菌は赤ちゃんのお腹に欠かせない

赤ちゃんの腸内フローラは、生後初めての数週間で形成され、この時期に腸内を占める主な菌はビフィズス菌です。ビフィズス菌は赤ちゃんの消化を助け、有害な細菌の増殖を抑制し、免疫システムを強化する重要な役割を果たします。このため、赤ちゃんの健康維持にはビフィズス菌が非常に重要であり、そのバランスを保つことが欠かせません。

ビフィズス菌を増やすためには、妊娠中の母親が発酵食品やプロバイオティクスを含むサプリメントを取り入れることが効果的です。また、食物繊維が豊富な食品を摂取することも、腸内のビフィズス菌を増やし、活性化するのに役立ちます。これらの食品は腸内環境を整えるだけでなく、消化を助け、便秘を予防する効果も期待できます。

また、赤ちゃんが母乳を飲む場合、母乳中のオリゴ糖はビフィズス菌の栄養源となり、腸内でのビフィズス菌の増加を促します。そのため、母乳育児は赤ちゃんの腸内環境にとって非常に有利です。
しかし、どのような育児方法を選んでも、赤ちゃんの腸内フローラの健康を支えるためにビフィズス菌を増やす取り組みが大切になってきます。

赤ちゃんの腸活、何をしたらいい?

赤ちゃんの腸活、何をしたらいい?

では、赤ちゃんの腸活をする場合、どのような方法があるのでしょうか。まずは、母乳をあげている場合と、ミルクを上げている場合の、それぞれの腸活方法をご紹介します。

母乳をあげている場合

母乳は赤ちゃんの腸活に最適な食事とされています。母乳に含まれるオリゴ糖は、ビフィズス菌の栄養源となり、赤ちゃんの腸内フローラの発育を促進します。さらに、母乳には免疫を支える抗体やその他の保護成分も豊富に含まれているため、赤ちゃんの健康維持に役立ちます。

母乳をあげているなら、お母さん自身の腸活も重要です。バランスの取れた食事に加え、プロバイオティクスやプレバイオティクスを含む食品を意識的に摂取することが推奨されます。これにより、母乳を通じて赤ちゃんに良い影響を与えることができます。

実は、母乳にもビフィズス菌が含まれています。母乳に含まれるビフィズス菌がどこから運ばれてきているかはまだ分かっていませんが、動物実験においては、母体の腸から白血球を通して、乳腺に運ばれる可能性があることが分かっています。(※2)
そのため、お母さん自身が腸活を行い、腸内のビフィズス菌を増やすことで、母乳に含まれるビフィズス菌も増やすことができ、結果として赤ちゃんの腸活に繋がる、という可能性が今も研究されています。

ミルクをあげている場合

ミルクをあげている場合

ミルクを使用する場合、赤ちゃんの腸活には少し異なるアプローチが必要です。市販のベビーミルクは赤ちゃんの成長に必要な栄養を含んでいますが、母乳と同様の腸内フローラの促進効果を持つものではありません。そのため、ミルクにプロバイオティクスを添加する製品を選ぶか、医師の指導のもとで適切なプロバイオティクスのサプリメントを赤ちゃんに与えることが考えられます。

また、ミルクを使う場合は、赤ちゃんの水分摂取にも注意が必要です。適切な水分摂取は消化を助け、便秘の予防につながります。赤ちゃんの様子を見ながら、必要に応じて水分を補給し、定期的な健康診断を受けることが重要です。

離乳食をあげている場合

離乳食が始まると、赤ちゃんの腸活にも新たなステージが訪れます。この時期は、赤ちゃんの消化器系が固形食に適応する過渡期であり、腸内環境を整えるために適切な食材の選択が重要です。乳酸菌やオリゴ糖が豊富な食材を離乳食に取り入れることは、赤ちゃんの腸内フローラの健康を支えるための効果的なアプローチです。

乳酸菌を含む食材

ヨーグルトは乳酸菌が豊富で、赤ちゃんの腸内環境を整えるのに適した食品です。ただし、赤ちゃんにヨーグルトを導入する際は、無糖でプレーンなものを選び、初めは少量から始めて赤ちゃんの反応を見ることが重要です。ヨーグルトの乳酸菌は消化を助け、良好な腸内環境を促進します。

オリゴ糖を含む食材

オリゴ糖は、腸内の善玉菌のエサになり、腸内環境を整えます。
バナナはオリゴ糖が豊富で、消化が良く、離乳食に適しています。バナナの自然な甘みと栄養価の高さは、赤ちゃんにとっても魅力的で、便秘予防にも効果的です。また、バナナは熟しているほど消化しやすくなるため、適切な熟度のバナナを選ぶことが大切です。

水分補給もしっかり

赤ちゃんの腸活において水分補給は非常に重要です。適切な水分摂取は、消化を助け、便秘を防ぐために必要不可欠です。特に固形食を摂り始めた赤ちゃんにとって、十分な水分は食物の消化を促進し、腸内をスムーズに動かす助けとなります。

母乳やミルクだけでなく、離乳食が始まってからは、適宜水や白湯を少量ずつ与えることが推奨されます。初めはスプーンで少しずつ与え、赤ちゃんが飲むのに慣れてきたらカップを使用すると良いでしょう。ただし、水分の与えすぎが腸内の栄養素の希釈を招かないように注意が必要です。

お腹のマッサージや運動もおすすめ

お腹のマッサージは、赤ちゃんの腸活においても効果的です。軽くお腹を「の」の字になでることで、腸の動きを刺激し、便秘の解消に役立ちます。マッサージは、赤ちゃんがリラックスしているときに行うのが最適で、お風呂上がりなどが良いタイミングです。

また、適度な運動も赤ちゃんの腸活には有効です。赤ちゃんの場合、運動と言っても、手足を動かしたり、うつ伏せの時間を増やしたりすることが含まれます。これらの活動は腸の動きを促進し、全体的な健康維持にも寄与します。

赤ちゃんとママ、一緒に腸活を取り入れよう

赤ちゃんとママ、一緒に腸活を取り入れよう

赤ちゃんの腸活は、生まれる前から始まり、成長のステージ異なるごとに異なるアプローチが必要です。健康的な腸内環境は、赤ちゃんの免疫力を強化したり、、そして病気の予防につながります。

十分な水分補給や、お腹のマッサージ、適度な運動を通じて、赤ちゃんの腸内環境を整えることが大切です。これらのケアは赤ちゃんの快適な消化活動を支え、健康な成長を促進します。

赤ちゃんの腸内環境を整えるための取り組みは、一見小さな努力かもしれませんが、その子の一生の健康に大きな影響を与えるため、愛情を持って行うことが重要です。

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
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