掲載日 | 2024.06.04
更新日 | 2024.06.04

生理じゃないのに子宮が痛い!考えられる原因と対処法

掲載日 | 2024.06.04
更新日 | 2024.06.04
日常生活の中で、「生理じゃないのに子宮が痛い」と感じることはありませんか?
多くの女性が経験するこの症状には、さまざまな原因が考えられます。

子宮の痛みは必ずしも病気によるものではなく、排卵痛やホルモン剤の副作用として起こることもあります。
しかし、卵巣嚢腫や子宮内膜症、骨盤内炎症性疾患などの病気が隠れている可能性も否定できません。

また、子宮ではなく、腸や膀胱の異常が痛みの原因となることもあります。このような場合、痛みの性質や発生頻度、他の症状と併せて注意深く観察することが重要です。

早期発見・早期治療が健康を守る鍵となりますので、気になる症状が続く場合は専門医の診察を受けることをおすすめします。

病気じゃないけど子宮が痛む原因

病気じゃないけど子宮が痛む原因

子宮の痛みを感じると、多くの人はすぐに病気を疑います。しかし、病気ではない原因で子宮のあたりが痛むことも少なくありません。

ここでは、病気に関係なく子宮の痛みを引き起こす可能性がある原因をいくつかご紹介します。

排卵痛で子宮が痛い

排卵は、女性の体が妊娠の準備をするための自然なプロセスですが、この時に痛みを感じることがあります。

排卵痛は、通常月経周期の中間に起こり、片側の下腹部に痛みを感じることが多いです。
この痛みは、卵巣から卵子が放出される際に引き起こされるもので、数分から数時間、場合によっては数日間続くこともあります。

排卵痛は一般的であり、特に心配する必要はありませんが、痛みが激しい場合は医師に相談することをお勧めします。

ピルの服用で子宮が痛い

避妊薬として広く使用されているピルも、子宮の痛みを引き起こすことがあります。
ピルはホルモンバランスに影響を与え、これが痛みの原因となることがあります。

特にピルを飲み始めたばかりの時期や、ピルの種類を変えた場合に痛みを感じることが多いです。
この痛みは一時的なもので、身体がホルモンの変化に慣れるとともに収まることが一般的です。

しかし、痛みが続く場合や他の副作用がある場合は、医師と相談して適切な対応を取ることが重要です。

病気が潜んでいる場合の子宮が痛む原因

病気が潜んでいる場合の子宮が痛む原因

子宮の痛みは、日常生活でよく見られる症状ですが、その背後に病気が潜んでいる可能性もあります。

痛みが頻繁に起こる、または強い痛みが続く場合は、専門医の診察を受けることが重要です。

ここでは、病気が潜んでいる可能性がある場合の子宮が痛む原因をいくつか紹介します。

月経困難症

月経困難症とは、生理痛が非常に強く、日常生活に支障をきたすほどの痛みを伴う状態を指します。

通常、生理の間に痛みが最も強くなりますが、場合によっては生理のタイミング以外でも子宮の痛みを感じることがあります。

月経困難症の痛みは、子宮が強く収縮することによって引き起こされ、プロスタグランジンという物質が関与しています。この物質が多く分泌されることで、子宮の収縮が強まり、痛みが増すのです。

月経困難症の原因としては、以下のようなものが考えられます。

卵管嚢腫

卵巣嚢腫は、卵巣に液体や半固体の内容物が溜まる嚢胞のことを指します。

卵巣嚢腫は女性のライフサイクルの中で比較的一般的に見られるものであり、多くの場合、無症状で自然に消失することもあります。
しかし、嚢腫が大きくなると、周囲の臓器を圧迫し、痛みや不快感を引き起こすことがあります。

症状と診断

卵巣嚢腫の症状には、下腹部の膨満感、腰痛、性交時の痛み、月経の不規則性、頻尿などがあります。特に、嚢腫が破裂したりねじれたりした場合には、激しい急性の痛みを伴い、緊急の医療処置が必要となります。

卵巣嚢腫にはいくつかの種類があります。
機能性嚢腫は、通常、卵巣の正常な機能に関連して形成され、無害で自然に消失することが多いです。
一方、病理性嚢腫は、嚢腫自体が腫瘍性のものであり、良性から悪性の可能性があります。

嚢腫の診断は、通常、超音波検査やMRIなどの画像診断によって行われます。

治療

治療方法は、嚢腫の大きさや症状、患者の年齢、嚢腫の種類によって異なります。無症状で小さい嚢腫は経過観察で済むことが多いですが、大きな嚢腫や症状がある場合は、ホルモン療法や手術による摘出が必要になることがあります。
手術は腹腔鏡手術や開腹手術が一般的ですが、最近ではより低侵襲の方法が選ばれることが多くなっています。卵巣嚢腫の早期発見と適切な管理が、重篤な合併症を防ぐために重要です。

子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮外の場所に異常に増殖する病気です。
これらの異所性内膜組織は、卵巣、卵管、腹膜、腸、膀胱など、さまざまな部位に発生することがあります。

症状と診断

子宮内膜症は、月経時に内膜組織が剥がれ落ちて出血する際、異所性組織も同様に反応し、痛みや炎症を引き起こします。この病気は月経困難症、不妊症、慢性的な骨盤痛などの原因となります。

子宮内膜症の症状は、月経痛、性交痛、排便痛、排尿痛、月経過多、不妊症などがあり、特に月経の前後や排卵時に痛みが強くなることが多いです。子宮内膜症の診断は、症状や身体検査、超音波検査、MRI、場合によっては腹腔鏡検査などを通じて行われます。

治療

治療方法には、薬物療法と手術療法があります。
薬物療法では、痛みの緩和と内膜組織の成長を抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、ホルモン療法(経口避妊薬、黄体ホルモン、GnRHアゴニストなど)が使用されます。
手術療法は、腹腔鏡手術や開腹手術によって異所性内膜組織を除去する方法です。

手術後も再発のリスクがあるため、継続的な管理が必要です。

骨盤内炎症性疾患

骨盤内炎症性疾患(PID)は、主に性行為によって伝染する細菌感染が原因で、女性の生殖器官に炎症を引き起こす病気です。

PIDは、子宮、卵巣、卵管などの上部生殖器官に広がることがあり、放置すると不妊症や慢性的な骨盤痛、異所性妊娠などの深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
PIDの原因となる細菌には、クラミジアや淋菌が一般的ですが、その他の細菌も原因となることがあります。

症状と診断

PIDの症状には、下腹部痛、異常な膣分泌物、性交時の痛み、発熱、頻尿、月経不順などがあります。症状が軽度の場合、自覚症状がほとんどないこともありますが、感染が進行すると激しい痛みや高熱を伴うことがあります。

PIDの診断は、症状の評価、身体検査、骨盤検査、膣分泌物の培養検査、超音波検査などを通じて行われます。

治療

治療は、主に抗生物質による感染の除去を目的とします。治療が遅れると、卵管の損傷や不妊のリスクが高まるため、早期の診断と治療が重要です。
重症の場合や抗生物質が効果を示さない場合には、手術による治療が必要になることもあります。

PIDの予防には、安全な性行為の実践や定期的な婦人科検診が効果的です。また、性感染症の早期発見と治療もPIDの予防に重要な役割を果たします。

PIDは適切な治療と予防措置を講じることで、重篤な合併症を避けることができます。

子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん

子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん

子宮や卵巣に発生するがんも、生理のタイミング以外で子宮のあたりが痛む原因となることがあります。
ここでは、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんについて説明し、それぞれの特徴と痛みの原因について解説します。

子宮頸がん

子宮頸がんは、子宮の入口部分である子宮頸部に発生するがんです。
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が主な原因とされており、性交渉を通じて広がります。

初期の段階では自覚症状がほとんどありませんが、進行すると異常出血や性交時の痛み、骨盤痛などが現れることがあります。

子宮頸がんの痛みは、がん細胞が周囲の組織に浸潤し、神経を圧迫することによって引き起こされることがあります。

子宮体がん

子宮体がんは、子宮の内部にある子宮内膜から発生するがんです。子宮内膜がんとも呼ばれ、閉経後の女性に多く見られます。

主な症状は異常出血ですが、進行すると下腹部や骨盤に痛みを感じることがあります。

痛みは、がん細胞が子宮の壁を越えて広がり、周囲の組織や臓器を圧迫することによって生じます。
また、月経のタイミング以外でも痛みが続くことがあり、早期発見が重要です。

卵巣がん

卵巣がんは、卵巣に発生するがんであり、初期症状が非常に分かりにくいことから「沈黙の病」とも呼ばれます。
進行するまで症状が現れないことが多く、発見された時には既に進行していることが少なくありません。

卵巣がんの症状には、下腹部の膨満感、食欲不振、体重減少、骨盤痛などがあります。

痛みは、がん細胞が卵巣を覆う膜や周囲の臓器に浸潤することで生じることが多いです。

子宮筋腫

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の筋肉層に発生する良性の腫瘍であり、多くの女性が経験する一般的な病状です。

子宮筋腫は通常は無症状であることが多いですが、腫瘍の大きさや位置によってはさまざまな症状を引き起こすことがあります。その一つが、生理のタイミング以外での子宮の痛みです。

症状と診断

子宮筋腫の症状としては、月経過多、月経困難症、不正出血、頻尿、便秘、腰痛などが挙げられます。特に、筋腫が大きくなると周囲の臓器を圧迫し、痛みや不快感を引き起こすことがあります。
例えば、膀胱が圧迫されることで頻尿や尿意切迫感が生じ、直腸が圧迫されると便秘や排便時の痛みが生じることがあります。

子宮筋腫による痛みは、筋腫が急速に成長する時や、筋腫が壊死を起こす時に特に強く感じられることがあります。
壊死は、筋腫への血流が遮断されることで起こり、急激な激しい痛みを伴います。このような場合、痛みは突然発生し、長時間続くことがあります。

子宮筋腫の診断は、通常、超音波検査やMRIなどの画像診断を通じて行われます。

治療

治療は、症状の重さや筋腫の大きさ、患者の年齢や妊娠の希望によって異なります。
治療方法には、経過観察、薬物療法(ホルモン療法や鎮痛薬)、外科手術(筋腫摘出術や子宮全摘出術)などがあります。近年では、低侵襲の治療法として、超音波を利用した焦点的超音波療法(HIFU)や、子宮動脈塞栓術(UAE)も行われています。

子宮筋腫は良性の腫瘍であるため、命に関わることは少ないですが、生活の質を大きく左右する可能性があります。特に、痛みや不快感が日常生活に支障をきたす場合は、適切な治療を受けることが重要です。

子宮頸菅炎

子宮頸菅炎

子宮頸菅炎は、子宮頸部の管(頸菅)に炎症が起こる病気であり、女性の生殖器官に影響を与える一般的な疾患の一つです。
この炎症は、細菌やウイルスの感染によって引き起こされることが多く、特に性行為を通じて感染が広がることがよくあります。

クラミジアや淋菌が主な原因菌ですが、その他の細菌やウイルスも子宮頸菅炎を引き起こすことがあります。

症状と診断

子宮頸菅炎の主な症状には、異常な膣分泌物、性交時の痛み、不正出血、尿意切迫感、頻尿などがあります。しかし、症状が軽度の場合、自覚症状がほとんどないこともあります。
炎症が進行すると、子宮のあたりに痛みを感じることがあり、この痛みは生理のタイミング以外でも発生することがあります。

子宮頸菅炎による痛みは、感染が広がることによって骨盤内の他の臓器に影響を与えることが原因です。炎症が持続すると、慢性的な骨盤痛を引き起こすことがあり、これが日常生活に支障をきたすことがあります。
特に、排尿時や性交時に痛みを感じる場合は、早期に医師の診察を受けることが重要です。

治療

子宮頸菅炎の診断は、婦人科検診を通じて行われます。
医師は、症状や身体検査、膣分泌物の培養検査、子宮頸部の視覚検査(コルポスコピー)などを通じて炎症の有無を確認します。治療は、主に抗生物質による感染の除去を目的とし、原因菌に応じた適切な薬剤が処方されます。

出血性黄体嚢胞

出血性黄体嚢胞

出血性黄体嚢胞は、卵巣にできる機能性嚢胞の一つで、通常は排卵後に形成される黄体が出血を伴って膨張したものです。
黄体は、排卵後に卵胞が変化して形成される構造であり、通常は妊娠の準備のためにプロゲステロンというホルモンを分泌します。しかし、黄体が出血することによって嚢胞が形成され、これが痛みや不快感を引き起こすことがあります。

症状と診断

出血性黄体嚢胞の症状には、下腹部の片側に感じる鋭い痛みや鈍い痛み、腹部膨満感、腰痛などがあります。

痛みは突然発生することが多く、生理のタイミング以外でも感じることがあります。
この痛みは、嚢胞が破裂したり、出血が続いたりすることによって引き起こされることが一般的です。

出血性黄体嚢胞は多くの場合、自然に解消されることが多いですが、痛みが強い場合や長期間続く場合は医師の診察が必要です。

診断は、超音波検査によって行われます。超音波検査では、卵巣内の嚢胞の存在とその大きさ、出血の有無を確認することができます。
また、場合によってはMRI検査が行われることもあります。出血性黄体嚢胞は、他の卵巣腫瘍や卵巣嚢腫と区別するためにも、正確な診断が重要です。

治療

治療は、症状の程度や嚢胞の大きさによって異なります。軽度の場合は経過観察が行われ、痛みを和らげるために鎮痛薬が処方されることがあります。
嚢胞が大きい場合や症状が重い場合、または嚢胞が破裂した場合には、手術による嚢胞の摘出が必要になることがあります。手術は、通常、腹腔鏡手術が行われ、低侵襲であるため回復も早いです。

卵巣茎捻転

卵巣茎捻転

卵巣茎捻転(卵巣捻転)は、卵巣がその付属器(卵巣茎)とともにねじれることによって血流が遮断され、急性の強い痛みを引き起こす緊急の状態です。

症状と診断

卵巣茎捻転の主な症状は、突然の激しい下腹部痛であり、痛みは片側に集中することが多いです。この痛みは生理のタイミングとは関係なく、突然発生することが特徴です。
その他の症状としては、吐き気、嘔吐、発熱、下腹部の腫れや圧痛などがあります。痛みが断続的に現れることもありますが、通常は激しい痛みが続くことが多いです。

卵巣茎捻転の診断は、主に超音波検査やCTスキャンを用いて行われます。画像診断により、卵巣の位置異常や血流の遮断を確認することができます。血液検査も行われ、白血球数の増加や炎症反応の有無を確認します。

治療

卵巣茎捻転の治療は、基本的に手術による卵巣の復位(元の位置に戻すこと)を行います。手術は腹腔鏡手術が一般的であり、低侵襲で回復が早いです。
手術では、卵巣をねじれから解放し、血流を回復させます。卵巣の状態が良好であれば、そのまま保存されますが、卵巣が壊死している場合は、摘出されることもあります。

卵管炎

卵管炎

卵管炎は、卵管に炎症が起こる疾患で、主に細菌感染によって引き起こされます。この炎症は、卵管だけでなく、子宮や卵巣、骨盤内の他の組織にも広がることがあります。

卵管炎の主な原因は、性行為を通じて感染するクラミジアや淋菌などの性感染症ですが、他の細菌が原因となることもあります。

症状と診断

卵管炎の主な症状には、下腹部の痛み、発熱、異常な膣分泌物、性交時の痛み、頻尿などがあります。
痛みは生理のタイミングに関係なく、持続的に感じることが多く、特に急性の場合には激しい痛みを伴うことがあります。また、膿のような異常な分泌物や、性行為後の出血などが見られることもあります。

診断は、症状の評価と身体検査、超音波検査、膣分泌物の培養検査などを通じて行われます。特に、膣分泌物の検査では、感染を引き起こしている細菌の特定が行われます。
必要に応じて、血液検査や子宮内膜の生検も実施されることがあります。

治療

卵管炎の治療は、主に抗生物質による感染の除去を目的とします。処方される抗生物質は、感染を引き起こしている細菌の種類によって異なります。治療を早期に開始することで、炎症の進行を防ぎ、合併症のリスクを減少させることができます。

重症の場合や治療に反応しない場合は、入院しての治療が必要になることもあります。また、膿瘍が形成されている場合や、他の骨盤内臓器に炎症が広がっている場合は、外科的な処置が必要になることもあります。

クラミジア感染症

クラミジア感染症

クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマティスという細菌によって引き起こされる性感染症の一つであり、特に若年層の女性に多く見られます。

この感染症は、無症状であることが多いため、気づかないうちに感染が広がることが少なくありません。
しかし、感染が進行すると、生理のタイミング以外でも子宮のあたりに痛みを感じることがあります。

症状と診断

クラミジア感染症の主な症状には、下腹部の痛み、異常な膣分泌物、性交時の痛み、不正出血、排尿時の痛みなどがあります。
これらの症状は、感染が子宮頸部から卵管や子宮内膜、骨盤内の他の臓器に広がることによって引き起こされます。特に下腹部の痛みは、生理のタイミングとは関係なく持続することが多く、感染が重篤な場合には強い痛みを伴うことがあります。

診断は、膣分泌物や尿の検査を通じて行われます。クラミジア感染症を特定するためには、PCR検査が一般的に使用されます。また、症状の評価と身体検査も重要です。

治療

クラミジア感染症の治療は、抗生物質の服用によって行われます。一般的に使用される抗生物質には、アジスロマイシンやドキシサイクリンがあります。

治療は比較的簡単で効果的ですが、感染の再発を防ぐためにはパートナーも同時に治療を受けることが重要です。また、治療中および治療後の一定期間は、性行為を避けることが推奨されます。

子宮外妊娠

子宮外妊娠

子宮外妊娠(異所性妊娠)は、受精卵が子宮内膜以外の場所に着床することで発生する異常な妊娠です。

最も一般的な場所は卵管ですが、卵巣や腹腔、子宮頸部などに着床することもあります。
子宮外妊娠は正常な妊娠の進行ができないため、早期に診断して適切な処置を行うことが重要です。この状態は、放置すると命に関わる重篤な合併症を引き起こす可能性があります。

症状と診断

子宮外妊娠の初期症状は、正常な妊娠の症状と似ているため、気付きにくいことがあります。しかし、時間が経つにつれて以下のような症状が現れることがあります。

  • ・下腹部の片側に鋭い痛み
  • ・不正出血
  • ・肩の痛み(腹腔内の出血が原因)
  • ・眩暈や意識喪失(出血性ショックの兆候)

痛みは生理のタイミングとは無関係に発生し、特に卵管が破裂した場合には突然の激しい痛みを伴います。診断は、血液検査によるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の測定と、超音波検査を組み合わせて行われます。異常なhCG値と超音波検査で子宮内に胎嚢が確認できない場合、子宮外妊娠が疑われます。

治療

子宮外妊娠の治療は、受精卵を取り除き、患者の健康を守ることが目的です。治療方法は、妊娠の進行状況や症状の重さによって異なります。以下の方法が一般的です。

薬物療法
メトトレキサートという薬剤を用いて、妊娠組織の成長を抑制し、自然に吸収されるようにします。これは、早期の子宮外妊娠に対して有効です。

外科的治療
腹腔鏡手術や開腹手術によって、異所性妊娠の組織を取り除きます。卵管が破裂している場合や、緊急を要する場合には手術が選択されます。

子宮以外の下腹部痛が起きる原因

子宮以外の下腹部痛が起きる原因

下腹部の痛みは、子宮の問題だけが原因とは限りません。実際、さまざまな内臓や器官がこの領域に位置しており、それぞれが痛みを引き起こす可能性があります。

ここでは、子宮以外の下腹部痛の主な原因について詳しく紹介します。

尿路疾患

尿路疾患は、膀胱、尿管、尿道、腎臓などの尿路系に関連する問題で、下腹部の痛みを引き起こすことがあります。

以下は、尿路疾患に関連する下腹部痛の主な原因です。

膀胱炎

膀胱の炎症であり、細菌感染が一般的な原因です。

膀胱炎は頻尿、排尿時の痛みや灼熱感、下腹部の鈍痛などの症状を引き起こします。女性に多く見られ、治療には抗生物質が用いられます。

尿道炎

尿道の炎症で、主に細菌や性感染症が原因です。

排尿時の痛みや膿性の分泌物、下腹部の不快感が主な症状です。早期に治療することで、症状の悪化を防ぐことができます。

尿路結石

腎臓や尿管に結石が形成され、これが移動することで激しい痛みを引き起こします。
痛みは波状的で、腰や下腹部に放散することが特徴です。結石の大きさや位置によって、自然に排出されることもあれば、手術が必要になることもあります。

腎盂腎炎

腎臓の感染症で、膀胱炎が進行することで発生することがあります。高熱、側腹部の痛み、排尿時の不快感などが主な症状です。

抗生物質による治療が必要で、放置すると腎機能に影響を及ぼす可能性があります。

腸疾患

腸疾患もまた、子宮とは無関係に下腹部の痛みを引き起こす一般的な原因の一つです。

腸は消化と吸収の重要な役割を果たす臓器であり、その機能に異常が生じると下腹部の痛みや不快感が現れることがあります。

以下に、腸疾患に関連する下腹部痛の主な原因を紹介します。

過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群は、腸の機能的な障害であり、特にストレスや食事の影響を受けやすいです。

症状には腹痛、腹部膨満感、便秘や下痢の交代などがあり、下腹部の痛みもよく見られます。

IBSの治療には、食事療法、ストレス管理、薬物療法が用いられます。

大腸炎

大腸の炎症であり、感染性、潰瘍性大腸炎、クローン病などが含まれます。

症状には下腹部の痛み、血便、下痢、発熱などがあります。特に潰瘍性大腸炎やクローン病は慢性の疾患であり、定期的な治療と管理が必要です。

便秘

便秘は、多くの人が経験する一般的な消化器の問題であり、硬くなった便が腸内に滞留することで腹部の痛みや不快感を引き起こします。

下腹部の鈍痛や圧迫感が特徴であり、食物繊維の摂取、水分補給、適度な運動が効果的な対策です。

虫垂炎

盲腸に位置する虫垂の炎症であり、初期にはへそ周りの痛みとして始まり、その後右下腹部に移動するのが典型的な症状です。
痛みは鋭く、発熱や吐き気を伴うことがあります。

虫垂炎は緊急手術が必要となることが多く、早期の診断と治療が重要です。

大腸がん

大腸がんは、初期には無症状であることが多いですが、進行すると下腹部の痛み、便通の変化、血便、体重減少などの症状が現れます。

大腸がんの早期発見と治療が重要であり、定期的な検診が推奨されます。

【痛む箇所別】下腹部が痛い時に考えられる原因

【痛む箇所別】下腹部が痛い時に考えられる原因

下腹部の痛みは、多くの人が経験する一般的な症状ですが、痛む箇所によって考えられる原因が異なります。
痛みの場所を特定することで、原因をより正確に把握し、適切な対応を取ることができます。

ここでは、下腹部全体、右側、左側の痛みに分けて、それぞれ考えられる原因を紹介します。

下腹部全体が痛い

下腹部全体が痛む場合、以下のような原因が考えられます。

腸疾患

  • ・過敏性腸症候群(IBS)
  • ・大腸炎(感染性、潰瘍性大腸炎、クローン病)
  • ・便秘
  • ・腸閉塞

尿路疾患

  • ・膀胱炎
  • ・尿道炎
  • ・尿路結石
  • ・腎盂腎炎

婦人科疾患

  • ・月経困難症
  • ・子宮内膜症
  • ・卵巣嚢腫
  • ・骨盤内炎症性疾患(PID)

感染症

  • ・腸チフス
  • ・食中毒

下腹部の右側が痛い

右側の下腹部が痛む場合、以下のような原因が考えられます。

虫垂炎
典型的な症状は、へそ周りの痛みから始まり、右下腹部に移動する鋭い痛み。

卵巣嚢腫
右側の卵巣に発生する嚢腫が痛みを引き起こすことがあります。

卵管炎
右側の卵管に炎症が生じた場合、痛みが右側に集中します。

尿路結石
右側の尿管に結石がある場合、右下腹部に激しい痛みを引き起こします。

腸閉塞
右側の腸管が閉塞することで痛みが現れることがあります。

下腹部の左側が痛い

左側の下腹部が痛む場合、以下のような原因が考えられます。

大腸炎
特に潰瘍性大腸炎やクローン病は左側に痛みを感じることがあります。

憩室炎
大腸の壁にできた憩室が炎症を起こすと、左下腹部に強い痛みを引き起こします。

卵巣嚢腫
左側の卵巣に発生する嚢腫が痛みを引き起こすことがあります。

卵管炎
左側の卵管に炎症が生じた場合、痛みが左側に集中します。

尿路結石
左側の尿管に結石がある場合、左下腹部に激しい痛みを引き起こします。

痛みが強い時は病院を受診しよう

下腹部の痛みは日常的に経験することがありますが、痛みが強く、長期間続く場合や他の異常な症状を伴う場合は、専門医の診察を受けることが重要です。

痛みの原因はさまざまであり、適切な診断と治療を受けることで、早期に問題を解決することができます。

ここでは、強い痛みを感じた場合に受診すべき医療機関について説明します。

婦人科

婦人科では、女性特有の疾患や症状について専門的な診察と治療を受けることができます。
以下のような症状がある場合は、婦人科を受診しましょう。

  • ・強い月経痛や不正出血がある
  • ・生理のタイミング以外で下腹部に激しい痛みがある
  • ・膣分泌物の異常(色やにおいの変化、量の増加)がある
  • ・性交時に痛みを感じる
  • ・排卵痛が激しい

婦人科では、超音波検査や血液検査を用いて、子宮や卵巣の状態を詳しく調べることができます。
早期の診断と治療によって、症状の改善や再発防止を図ることができます。

内科・消化器科

内科や消化器科では、消化器系の疾患や症状について専門的な診察と治療を受けることができます。
以下のような症状がある場合は、内科・消化器科を受診しましょう。

  • ・下腹部全体に痛みがある
  • ・腹痛とともに下痢や便秘が続く
  • ・便に血が混じる
  • ・食後に腹部の不快感や痛みがある
  • ・急性の腹痛や嘔吐を伴う

内科や消化器科では、胃腸の状態を確認するための検査(内視鏡検査やCTスキャンなど)を行い、適切な治療法を提供します。
早期の診断と治療によって、症状の悪化を防ぐことができます。

泌尿器科

泌尿器科では、尿路や腎臓に関連する疾患や症状について専門的な診察と治療を受けることができます。
以下のような症状がある場合は、泌尿器科を受診しましょう。

  • ・排尿時に痛みや灼熱感がある
  • ・頻尿や尿意切迫感がある
  • ・尿に血が混じる
  • ・下腹部や腰に鋭い痛みがある
  • ・発熱とともに尿路の痛みがある

泌尿器科では、尿検査や超音波検査、CTスキャンなどを用いて、尿路や腎臓の状態を詳しく調べることができます。
適切な治療を受けることで、感染症の予防や症状の改善が期待できます。

病気じゃない時は身体を温めて休息を

病気じゃない時は身体を温めて休息を

下腹部の痛みが病気によるものでない場合、身体を温めて休息を取ることが効果的です。温かい飲み物を摂取したり、温かいお風呂に入ったりすることで、血行が良くなり痛みが和らぎます。

また、リラックスすることでストレスも軽減され、痛みの緩和に繋がります。
十分な睡眠を取り、適度な運動を行うことも、痛みの予防と改善に役立ちます。

自分の体調に合わせた適切なケアを心がけ、痛みが続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
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