掲載日 | 2024.06.13
更新日 | 2024.06.24

閉経前の生理が重い…量が増えて長引くのはどうして?
楽しく過ごす方法は?

掲載日 | 2024.06.13
更新日 | 2024.06.24
閉経前の生理は、女性の身体にさまざまな変化をもたらします。

この時期、ホルモンバランスの乱れによって生理の周期や量が不規則になり、従来とは異なる症状が現れることがよくあります。
生理が重たく感じたり、出血量が増えることも少なくありません。

また、生理痛が強くなることも多く、日常生活に支障をきたすことも。

この記事では、閉経前に見られる生理の変化やその原因、そして生理痛を和らげるための具体的な方法について詳しく解説します。

更年期とは

更年期とは

更年期とは、女性の生殖機能が徐々に低下し、最終的に閉経を迎えるまでの期間を指します。
一般的に40代後半から50代にかけて始まり、閉経前後の数年間を含みます。

この時期、女性の体内ではエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの分泌が減少し、ホルモンバランスが大きく変化します。

ホルモンバランスの変化により、身体にはさまざまな影響が現れます。
代表的な症状としては、月経不順、ホットフラッシュ(顔や体が急に熱くなる現象)、寝汗、不眠、疲労感、イライラや抑うつなどの精神的な不調があります。

また、骨密度の低下や皮膚の乾燥、代謝の変化による体重増加なども見られます。

これらの症状は個人差が大きく、すべての女性が同じように経験するわけではありません。しかし、更年期を迎えるにあたって身体と心の変化を理解し、適切な対策を講じることは、健康で快適な生活を送るために非常に重要です。

更年期に見られる生理の変化

更年期に見られる生理の変化

更年期は女性の身体に多くの変化をもたらす時期であり、その中でも生理に関する変化は特に顕著です。
ホルモンバランスが乱れることで、生理周期や出血量、さらには生理痛の程度が変わることがあります。

これらの変化は個人差が大きく、突然の変化に戸惑うことも少なくありません。以下では、更年期に見られる具体的な生理の変化について詳しく説明していきます。

生理不順になりやすい

更年期に入ると、エストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの分泌が不安定になり、その結果、生理不順が起こりやすくなります。

通常、月経周期は28日から35日程度の範囲で規則的に繰り返されますが、更年期になるとこの周期が乱れ、月経が来る間隔が短くなったり、逆に長くなったりすることがあります。

ホルモンバランスの変化により、卵巣の機能が低下し、排卵が不規則になるため、月経周期も安定しなくなります。
また、出血量が変動し、少量の出血が続く場合や、逆に大量の出血が見られることもあります。こうした変化は、女性にとって大きなストレスとなることが多いです。

生理痛が軽くor重くなる

生理痛が軽くor重くなる

更年期において、生理痛の強さも変化することがあります。ホルモンバランスの変化により、月経痛が軽くなる場合もあれば、逆に重くなる場合もあります。
この違いは個人差が大きく、同じ人でも月ごとに生理痛の強さが異なることがあります。

ホルモンバランスが乱れると、プロスタグランジンという物質の分泌が変動します。プロスタグランジンは子宮の収縮を促す役割を果たし、月経時の痛みの原因となることがあります。
更年期に入ると、このプロスタグランジンの分泌が不規則になるため、生理痛が軽減することもあれば、逆に増強することもあります。

また、エストロゲンの低下により、子宮内膜の厚さや血流が変化し、これが生理痛の強さに影響を与えることもあります。子宮内膜が薄くなることで生理痛が軽くなる場合もありますが、血流が悪くなることで痛みが強く感じられることもあります。

生理痛が重くなった場合、日常生活に支障をきたすことが多いため、痛みを軽減する方法を見つけることが重要です。
温かい湯たんぽやホットパックを使用して腹部を温めたり、適度な運動を行うことで血流を改善することが効果的です。

出血量が減るor増える

出血量が減るor増える

更年期に近づくと、月経時の出血量が変動しやすくなります。ホルモンバランスの乱れによって、出血量が減少する場合もあれば、逆に増加することもあります。
この変化も個人差が大きく、その時々によって異なることがあります。

出血量が減る主な原因は、エストロゲンの減少に伴う子宮内膜の薄化です。
エストロゲンは子宮内膜の成長を促すホルモンであり、その分泌量が減少すると、内膜が薄くなり、結果として出血量が減少することがあります。この現象は閉経に向かう自然な過程の一部です。

一方で、出血量が増加する原因としては、ホルモンの不規則な分泌が挙げられます。
エストロゲンとプロゲステロンのバランスが崩れることで、子宮内膜が異常に厚くなることがあり、これが原因で月経時の出血量が増えることがあります。
また、不規則な排卵や無排卵周期が続くと、子宮内膜が長期間蓄積され、大量の出血を伴うこともあります。

出血量の変動が大きい場合や、極端な出血が続く場合は、他の健康問題が原因である可能性も考えられるため、医師の診察を受けることが重要です。

閉経する

閉経する

更年期の最終段階として、女性は閉経を迎えます。
閉経とは、12か月連続で月経が来ない状態を指し、これをもって生殖機能が完全に停止したことを意味します。

平均的には50歳前後で起こりますが、個人差があり40代後半から50代半ばまでの範囲で見られます。

閉経に至る過程では、ホルモンバランスの変化が一層顕著になります。エストロゲンとプロゲステロンの分泌が極端に減少し、これに伴い卵巣の機能も低下します。
この結果、排卵が完全に停止し、月経も終わりを迎えます。

閉経は女性の体にさまざまな影響を及ぼします。月経がなくなることで、月経に伴う不快な症状(生理痛、出血など)は解消されますが、一方でホルモンの急激な減少により、更年期障害と呼ばれる症状が現れることがあります。
これには、ホットフラッシュ、寝汗、不眠、感情の不安定さ、骨密度の低下、皮膚の乾燥などが含まれます。

これらの症状に対しては、ホルモン補充療法(HRT)やライフスタイルの見直し、バランスの取れた食事や適度な運動が効果的です。
特にカルシウムやビタミンDを豊富に摂取することで、骨の健康を保つことが重要です。また、心理的なサポートやカウンセリングも、更年期のストレスを軽減するために役立ちます。

閉経は女性の人生における一つの重要な節目であり、この時期を前向きに捉え、適切なケアを行うことで、健康で充実した日々を送ることができます。

更年期に生理不順になる理由

更年期に生理不順になる理由

更年期に入ると、多くの女性が生理不順を経験します。この時期に生理が不規則になる理由は、体内のホルモンバランスが大きく変化するためです。
更年期におけるホルモンの変動は、月経周期や経血量、さらには生理痛にも影響を及ぼします。

女性ホルモンが減少する

更年期には、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌が徐々に減少します。

エストロゲンは子宮内膜を厚くし、排卵を促す重要な役割を担っています。プロゲステロンは排卵後の子宮内膜を安定させる働きをします。
この二つのホルモンがバランス良く分泌されることで、規則的な月経周期が維持されます。

しかし、更年期に入るとエストロゲンとプロゲステロンの分泌が不安定になり、その結果として月経周期が乱れます。

具体的には、月経の間隔が短くなったり、逆に長くなったりすることがあります。
また、ホルモンの減少によって経血量も変動しやすく、少量の出血が続く場合や、突然大量の出血が見られることもあります。

ホルモンバランスの変化は、月経痛にも影響を与えます。
エストロゲンが減少すると、子宮内膜の厚さが変わり、これにより生理痛が軽くなることもあれば、逆に重くなることもあります。

また、ホルモンの不安定な分泌がプロスタグランジンの生成に影響を与え、これが子宮の収縮を強め、生理痛を引き起こす原因となることもあります。

生理&生理痛は軽くなるとは限らない

生理&生理痛は軽くなるとは限らない

更年期に近づくと、女性ホルモンの減少に伴い、経血量が減り、生理痛が軽くなることが一般的です。
しかし、すべての女性が同じように経験するわけではなく、場合によっては生理痛が重くなることもあります。

個人差が大きく、様々な要因が影響を与えるため、一概に軽くなるとは限らないのです。

ストレスが原因で重くなりやすい

更年期の時期は、生活の中で多くのストレスを抱えやすい時期でもあります。
このストレスが生理痛を重くする一因となることがあります。

ストレスはホルモンバランスに影響を与え、プロスタグランジンの生成を促進することで、子宮の収縮を強め、生理痛を悪化させることがあります。

仕事の責任感

更年期の頃は、多くの女性が仕事において責任のある立場を任されることが増える時期でもあります。

管理職に昇進したり、プロジェクトリーダーを任されたりすることで、仕事に対する責任感が増し、それがストレスの原因となることがあります。
このような職場でのプレッシャーや長時間労働は、精神的な負担を大きくし、結果として生理痛が重くなることがあります。

仕事以外にも家庭内での役割や社会的な責任が増えることが、更年期の女性にとって大きなストレス源となり得ます。

子育ての悩み

更年期の時期は、子供が思春期に差し掛かることが多く、親としての役割も一層複雑になります。

思春期の子供は情緒が不安定であり、学校や友人関係での問題が増えることもあります。
これにより、親としてのストレスが増し、それが生理痛の悪化に繋がることがあります。

また、子供が成人して家を出るタイミングも重なり、将来についての心配や不安が生じることもあります。

親の老化による悩み

更年期の時期は、自分自身の健康問題だけでなく、親の老化や健康問題についても悩みが増える時期です。

親が病気になったり、介護が必要になったりすることは、大きなストレスの原因となります。

また、将来的な介護の問題や経済的な負担についても心配が増えることがあります。

このようなストレスは、ホルモンバランスに影響を与え、生理痛を重くする要因となることがあります。

閉経前の生理痛を和らげる方法

閉経前の生理痛を和らげる方法

閉経前の生理痛は、多くの女性にとって大きな悩みの一つです。
ホルモンバランスの変化によって痛みが強くなることもあり、日常生活に支障をきたすこともあります。

そんな時期を少しでも快適に過ごすために、生理痛を和らげる方法をいくつかご紹介します。

身体を冷やさない

生理痛を和らげるためには、身体を冷やさないことが重要です。
冷えは血流を悪化させ、子宮の収縮を強めることがあり、それが生理痛を悪化させる原因となります。身体を温めることで血流を促進し、痛みを軽減することができます。

まず、寒い季節や冷えやすい環境では、しっかりと防寒対策を行いましょう。温かい衣類を着用し、特に腹部や足元を温めることが大切です。
また、暖かい飲み物を摂取することで体の内部からも温めることができます。生姜入りの紅茶やハーブティーなどは、体を温める効果があり、おすすめです。

お風呂にゆっくりと浸かることも効果的です。38度から40度くらいのぬるめのお湯に、20分ほど浸かることで体が芯から温まり、血行が良くなります。
入浴後は、すぐに体を拭いて温かい部屋で過ごすようにしましょう。

ホットパックや湯たんぽを利用して、腹部や腰を直接温めるのも有効です。これにより、局所的に血流が改善され、痛みが緩和されることが期待できます。
ホットパックは、レンジで簡単に温められるタイプや、使い捨てのものなど、便利なアイテムが多く販売されています。

日常生活においても、冷たい飲み物や食べ物を控えることが推奨されます。冷たいものは内臓を冷やし、全身の血流を悪化させる原因となります。
温かい食事や飲み物を選び、内臓を冷やさないように心がけましょう。

適度に身体を動かす

適度に身体を動かす

適度な運動は、生理痛を和らげるために非常に効果的です。
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を行うことで、血流が良くなり、筋肉がほぐれるため、痛みが緩和されやすくなります。特にウォーキングは、手軽に始められるうえ、全身の血行を促進し、リラックス効果も得られるためおすすめです。

日常的に30分程度のウォーキングを取り入れることで、体調の改善が期待できます。
歩くことで体全体の筋肉が動き、血流が良くなることで、子宮周辺の筋肉も柔らかくなり、生理痛が軽減されることがあります。

ストレッチも同様に効果的です。特に腰や下腹部の筋肉をほぐすストレッチを行うことで、血流が良くなり、痛みが和らぎます。
ヨガやピラティスなども、生理痛の緩和に効果的な運動として知られています。
これらの運動は、深い呼吸と合わせて行うことで、リラックス効果が高まり、ストレスの軽減にもつながります。

運動をする際には、無理をせず、自分の体調に合わせて行うことが大切です。過度な運動は逆効果になることもあるため、適度な範囲で続けることを心がけましょう。

カフェインやアルコールを控える

カフェインやアルコールを控える

生理痛を和らげるためには、カフェインやアルコールの摂取を控えることも重要です。

カフェインは、コーヒーや紅茶、チョコレートなどに含まれており、自律神経を刺激してホルモンバランスを崩す原因となることがあります。
これにより、子宮の収縮が強まり、生理痛が悪化することがあります。また、カフェインは身体を冷やす作用もあり、冷えによる生理痛の悪化を引き起こす可能性があります。

アルコールも同様に、ホルモンバランスを乱しやすい飲み物です。飲酒によって一時的にリラックスすることができますが、その後に自律神経が乱れやすくなり、ホルモンの分泌に影響を与えることがあります。
また、アルコールは血管を拡張させ、血流の一時的な増加を引き起こしますが、これがかえって生理痛を悪化させることがあります。

カフェインやアルコールの摂取を控えることで、ホルモンバランスを安定させ、冷えを防ぎ、生理痛を軽減することができます。
代わりに、カフェインレスのハーブティーや温かいノンカフェイン飲料を選ぶと良いでしょう。特にカモミールティーやジンジャーティーはリラックス効果が高く、体を温める作用もあるためおすすめです。

友人とおしゃべりしてストレス発散

友人とおしゃべりしてストレス発散

ストレスは生理痛を悪化させる大きな要因の一つです。そのため、ストレスを上手に発散することが生理痛の軽減につながります。

特に女性にとって、おしゃべりは非常に効果的なストレス発散方法です。友人と集まって話をすることで、日常の悩みやストレスを共有し、心の負担を軽くすることができます。

子育ての悩みや親の介護、仕事のストレスなど、さまざまな問題を一人で抱え込むのは大変です。
友人とのおしゃべりタイムを定期的に設けることで、自分の気持ちを整理し、共感やアドバイスを受けることができます。

また、笑いやポジティブなエネルギーを共有することで、リラックス効果も得られます。

ストレスを発散するためには、無理に大勢の人と会う必要はありません。親しい友人と1対1で話をするだけでも十分効果があります。オンラインでのビデオ通話やメッセージのやり取りも、現代の忙しい生活において便利な方法です。

腸内環境を整える

腸内環境を整える

腸内環境を整えることも、生理痛を和らげるための重要な方法の一つです。腸内環境が良好であれば、エクオール生産菌という特定の菌が働きやすくなります。

エクオールは、大豆に含まれるイソフラボンが腸内細菌によって変換されることで生成される物質で、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをします。

腸内でエクオールが生成されると、ホルモンバランスを整える効果が期待でき、生理痛の緩和に繋がることがあります。

腸内環境を良好に保つためには、食物繊維を豊富に含む野菜や果物、発酵食品(ヨーグルト、味噌、納豆など)を積極的に摂取することが大切です。これらの食品は、腸内の善玉菌を増やし、腸内フローラを整える働きがあります。

また、プレバイオティクス(食物繊維)とプロバイオティクス(善玉菌)をバランスよく摂取することで、腸内環境をさらに改善することができます。
例えば、オートミールや全粒穀物、アスパラガス、バナナなどの食物繊維を多く含む食品と、発酵食品を組み合わせて食べると良いでしょう。

食生活の意識が難しい方は、乳酸菌やビフィズス菌などのサプリメントも手軽でおすすめです。
腸内環境を整えることは、生理痛以外にもお通じをよくしたり、健康や美容にもとてもいいので、一度腸内環境を整えることに目を向けてみることで、自分の身体と向き合ういいきっかけにもなります。

エクオール産生菌を持っていない方はプレエクオールを

エクオールを生成するためには、腸内にエクオール産生菌を持っていることが必要です。もしあなたがエクオール産生菌を持っていない場合、どれだけ大豆製品を摂取してもエクオールは生成されません。

そのため、生理痛の軽減を目指すならば、プレエクオールをサプリメントなどで補うことをおすすめします。

プレエクオールは、体内でエクオールのように働く成分です。
これを摂取することで、ホルモンバランスを整え、生理痛の症状を軽減する効果が期待できます。プレエクオールサプリは、大豆由来のものが多く、エクオール産生菌を持たない方にとって非常に有効です。

閉経前を楽しく過ごそう

閉経前を楽しく過ごそう

閉経前はホルモンバランスの変化により、体にさまざまな影響が現れる時期です。
しかし、この時期をネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに過ごす工夫をしましょう。

上手にストレスを発散し、自分の身体と向き合う良いタイミングと捉えることで、閉経前の生活を楽しく充実させることができます。

友人とのおしゃべりや適度な運動、バランスの取れた食事など、日常生活に取り入れやすい方法を活用し、心身の健康を保ちましょう。
また、身体を冷やさないようにすることや、腸内環境を整えることも、生理痛を軽減し、快適な日々を過ごすために重要です。

閉経前は、新しいライフステージへの準備期間でもあります。自分自身を大切にし、前向きな気持ちで過ごすことで、この時期を有意義なものにしましょう。
自分に合った方法でリフレッシュし、心と体のバランスを整えながら、充実した毎日を送りましょう。

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
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