【カカオの腸活効果】ローチョコレートのヒミツと簡単レシピ
実は腸内細菌の研究で、チョコレートの原料で有名な”カカオ豆は腸に良い作用がある”ことがわかっています。
しかし、カカオが使われていればどんなチョコレートでも良いというわけではなく、そこには意外なトリックが。
この記事ではカカオと腸の密接な関係について解説することに加え、さらにご自分で腸にハッピーなチョコを作れるレシピもご紹介します。
カカオがもたらす腸活効果
チョコレートの原料としておなじみの「カカオ」ですが、カカオポリフェノールなど栄養が豊富なだけではなく、「腸活」にも良いということがわかってきています。
カカオ豆と腸内細菌の関係はお墨付き
腸内細菌と聞いて、多くの方が思い出すのはヨーグルトなどでおなじみの「ビフィズス菌」かと思います。
そのビフィズス菌属を筆頭にいわゆる善玉菌と呼ばれるチームと、その環境によって悪玉にも善玉にもなりえる日和見菌。そして増えると悪さをする悪玉菌。大きくこの3種類で腸内細菌叢(腸内フローラ)はできています。
一般的に言う「腸活」では、悪玉菌の活動が過剰にならないよう、善玉菌と日和見菌のグループが優勢なバランスでいられるように整えることが大切です。
そして、そんな善玉菌をカカオ豆が応援するという研究結果があるのです。(※1)
「カカオ豆の外皮のエキス(粉末)」を健康な男女7名に朝昼晩の3回、2週間摂取してもらった。
また、「カカオ豆の外皮のファイバー(粉末)」を健康な女性7名に朝昼晩3回、2週間摂取してもらった。
結果はどちらにおいても、一部を除いたビフィズス菌属の8株(以下ビフィズス菌)とカゼイ菌のいわゆる善玉菌が増加。ファイバーにおいては便通の改善も報告された。
一方で、日和見菌やいわゆる悪玉菌(大腸菌など)には全く増加が見られなかった。Tatsuya KAMIWAKI*, Daigo SUGITA*, Masanori ITO*, SUSUMU SHIMURA* and Takeo MIZUTANI** Effects of Extract and Fiber Derived from Cacao Bean’s Husk on Human Intestinal Microflora
つまりカカオ豆でビフィズス菌を増やすことができるということですね。
しかも悪玉菌には見向きもせず善玉菌だけ増やすというカカオの一途さ。
これはただならぬ関係です。この関係を活かさない手はない。ですが、日常でカカオ豆の外皮エキスを抽出するのは難しいので、ここでやはりカカオ豆の加工品を上手に取り入れよう、という話になります。
チョコレートならなんでもOKではない
やはりカカオ豆の加工品といえばチョコレート。
しかし一口にチョコレートと言っても、いろんな種類や製法があります。もちろん各製品の栄養価や体、そして菌に与える影響もさまざまです。
市販のチョコレートの多くがカカオ豆をローストして香りや味を出します。この加熱によって一部の物質は増加しますが、多くの栄養素や酵素は熱に耐えきれず失われてしまいます。
そして白砂糖、油脂、乳化剤、保存料、添加物などを駆使して見た目や口溶けのいい、賞味期限の長いチョコレートが生産されます。
選ばずにチョコレートを口にすると、多くの場合で白砂糖や脂肪分など、腸内環境に負担になるものもたくさん摂取してしまうことに…。そこでカカオ豆の栄養素を腸内に負担をかけず得るために、大切なポイントがあります。
それが、「カカオがロー(raw=非加熱)であること。」
加えてできることなら使用されている原料に添加物がなく、腸にも優しい甘味料を採用していることです。
“ローチョコレート”が腸には嬉しい
前述の「非加熱のカカオ」によって作られるのが、「ローチョコレート」と呼ばれる、つまりは生カカオのチョコレート。
これは一般的なお菓子屋さんで「生チョコ」と呼ばれているものとは実は違うので、注意が必要です。
「生チョコ」は成分的には普通のチョコレートで加熱もされていますが、生クリームやリキュールで柔らかい質感を作り出したもの。対して「ローチョコレート」はカカオ自体が非加熱で生のままなのが特長です。
ローチョコレートは何が違うのか?
最近コンビニでもよく見かけるようになった「ハイカカオのチョコレート」でも、脂質が控えめになりやすく、食物繊維が豊富という点では良質と言えます。
ただもう一つ思い出していただきたいのが、白砂糖は悪玉菌のエサになりやすいということ。
ローチョコレートは制作の全ての過程で非加熱であることにこだわります。なので採用される甘味料もアガベシロップ、ココナツシュガー、甜菜糖など腸内細菌に優しいものであることがほとんど。そして動物由来の乳製品を使用しないことも大きな特長と言えます。
そして何より大切なカカオが非加熱であることがいちばんのポイントです。
非加熱のまま取り入れることで、カカオの持つ栄養素をしっかり取り込むことができます。カカオはポリフェノールのほか、カルシウム、亜鉛、鉄などミネラルも豊富なのです。
【レシピ】デーツローチョコとローマンディアン
あまり耳馴染みのないローチョコレート、実は材料さえ手に入れば誰でも作れる菌ケアに嬉しいスイーツです。
実際にローチョコレートを作る際のレシピと工程をご紹介しましょう。
材料は全て通販で。こだわらない限り、基本的にAmazonでも全て揃います。
今回はローカカオバターとローカカオパウダーを使って、簡単に可愛く作れるローチョコレートのレシピをご紹介。
ローカカオパウダー、ローカカオパウダーは通販で注文。合わせる甘味料はアガベシロップやオリゴ糖などシロップ状のものが口溶けがよく、混ぜやすいのでおすすめです。
材料
- ローカカオバター(約50g)
- ローカカオパウダー(約45g)
- オリゴ糖シロップ(約15g)
- デーツ(お好きなだけ・今回は種ぬきのもの7個)
- トレイルミックス(アーモンド・ピスタチオ・カシューナッツ・ドライクランベリー)
- (もしくはお好みのナッツやドライフルーツ)
用意するもの
- ・陶器かガラス製の小鉢
- ・ひとまわり大きい器(丼など・湯煎用)
- ・泡立て器(なければフォークでもOK)
- ・金属製のスプーン(テンパリングのチェック用)
- ・クッキングペーパー(アルミホイルでもOK)
- ・タオルかキッチンペーパー(水分を拭う用)
POINT
全ての工程で材料およびチョコレート生地が48度より高温にならないこと。
金属製、プラスチック製のボウルは急激に熱が伝わりやすく温度管理が困難なため、少し厚みのあるガラス製のものや陶器を使うこと。
【作り方】
湯煎の準備
大きめの器に沸かしたお湯を入れておきます。(あとで湯煎にかける小鉢の高さ半分くらいまで浸かる量)
※熱湯のまま使用すると高温になりすぎるので、必ず器に触れても耐えられる程度の温度に感じるまで待つ。
その間に小鉢にローカカオバター(塊である場合は刻む)を入れる。
チョコレート生地を作る
湯煎などで水滴が生地に入るとチョコレートが分離してしまいます。
その都度、タオルやクッキングペーパーで水分をよく拭き取りながら作業しましょう。
まず熱湯を冷ましたお湯で湯煎してカカオバターを溶かし切ります。(お湯が冷めてしまった場合は、また適温のお湯に差し替えて湯煎を続けます。)
そして、オリゴ糖シロップを加えていきその都度よく混ぜましょう。味見をしながら甘さはお好みで。
そこへローカカオパウダーを数回に分けて加えていきます。(パウダーの量の目安は溶かす前のバターと同じくらいのカサ。)
大体混ざってきたところで、また湯煎用のお湯を準備。
しっかり混ぜきったら、湯煎しながら生地全体に艶が出るまでよく見ながら混ぜます。(テンパリング)
テンパリングができているかの確認は、金属製のスプーンの裏に少しつけてみた様子でチェック。生地がスーッと垂れてこず、とどまって輪郭がハッキリ、質感がぽってりしていたらオッケーの合図です!
湯煎用のお湯などはここで一度片付けるか、離れたところに移動させます。生地が入っている小鉢もしっかり水分をぬぐっておきましょう。
デーツをローチョコにくぐらせる
デーツをローチョコ生地にくぐらせたら、クッキングペーパーの上に並べてチョコが固まるのを待ちます。(室温が高い場合などは冷蔵庫へ。)
残りのローチョコ生地は、クッキングペーパーの上にスプーンで丸く落とします。(お好きな大きさ、数で!)
そして上にナッツやドライフルーツをちりばめ、こちらも冷まして固まったら完成です!
【おまけレシピ】ローチョコレート生地が余ったら
生地が余った時はスプーンにのせて取っておき、お気に入りの蜂蜜を溶かしたホットミルクで溶かしながら食べるのもおすすめです!(写真はオーツミルクを使用しています)
今回は美容効果も期待できる栄養満点なドライフルーツとして、デーツを使用しました。
デーツには食物繊維とマグネシウムが豊富に含まれます。(※2)
善玉菌のエサになることや、便の水分量を調整する作用で便通改善にも効果が期待でき、さらにドライフルーツの中でも特に豊富なカリウムで、むくみ解消にもひと役買ってくれます。
もちろん、お好みのドライフルーツでつくるのもおすすめです。選ぶ際は無添加であるか、白砂糖が使われていないかなど成分をチェックしてみましょう。
ローチョコレートでカカオの効果を100%味わって
ローカカオは腸内環境に嬉しい作用があります。
ご褒美スイーツや、ほっと一息のお供に選ぶチョコレートも、せっかくなら菌ケアに良いものを選びたいところ。ご自身で作るもよし、腸にもハッピーなチョコレートで楽しく菌ケアしてくださいね。
参考文献:
※1 Tatsuya KAMIWAKI*, Daigo SUGITA*, Masanori ITO*, SUSUMU SHIMURA* and Takeo MIZUTANI** Effects of Extract and Fiber Derived from Cacao Bean’s Husk on Human Intestinal Microflora
※2 文部科学省日本食品標準成分表
記事の監修
岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。
INSTAGRAM : @yutaka411985 , @yourkins_official
X : @yutaka_shimo