菌活とは?腸活との違い、効果的なやり方まで詳しく解説
今回は菌活と腸活の違いや、効果的な取り入れ方までご紹介します。
菌活と腸活の違い
菌活と腸活がなんとなく近い意味合いということは分かっても、詳細な違いを説明できる方は少ないのでは。そもそもこれらに違いはあるのでしょうか?
ここでは菌活と腸活の違いを詳しく考えてみましょう。
菌活とは全身の菌をケアすること
「菌活」には色々な定義があり、実際その考え方に明確なルールがあるわけではありません。
我々KINS LABOの考えでは全身の菌をケアすることです。KINS LABOでは「菌ケア」とも呼んでいます。
私たち人間の体には、皮膚や消化器官などに常在菌と呼ばれる菌がいます。
それらの菌はそれぞれの場所にバランスをとりながら存在しており、私たちの健康や美容に関係しているのです。その常在菌の状態を良好に保つためにケアを行うことを、菌活と考えています。
腸活とは腸内細菌のバランスを整えること
KINS LABOでは腸活は菌活(菌ケア)の一部で、菌活の中でも特に腸にフォーカスしたものと考えています。健康的な食事・睡眠・運動などを通して腸内環境を正常に保つことを腸活と言います。
具体的には、発酵食品から善玉菌を取り入れることなどがあります。
一般的に「菌活」は「食事から良い菌を取り入れること」と定義されたりもするので、大まかには「菌活」と「腸活」はほぼ同義として考えてもよいでしょう。
この記事では菌活=主に腸活と同義として、腸内環境を意識した菌活についてお話します。
腸内細菌にはたくさんの種類がある
腸内では様々な腸内細菌による腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)が形成されており、これは「腸内フローラ」とも呼ばれています。
その腸内細菌は大きく善玉菌、日和見菌、悪玉菌の3種類に分けられます。(※1)
この腸内細菌のバランスを良くしていくことが、腸内環境を整え、広義の「菌活」・狭義の「腸活」につながるのです。
日和見菌は腸内で優勢な菌と同じような働きをする特徴を持つ菌で、腸内細菌で最も数が多いとされています。
良好な腸内環境は善玉菌が多く優勢であることが理想。
しかし悪玉菌がゼロになることが良いとは言い切れず、多様な菌がバランスをとって存在していることが重要です。
身近な善玉菌の種類とその効果
善玉菌とは、ヒトの体に有用な働きをする常在菌の総称です。ここでは、我々がよく耳にする身近な善玉菌の一部を詳しくご紹介します。
ビフィズス菌
乳酸菌の一種で善玉菌の代表格。
ヨーグルトやキムチなどの発酵食品に多く含まれています。
ビフィズス菌は腸内で有害な菌の繁殖を抑え、腸の働きを良くする効果があると考えられています。(※2)
乳酸菌
ヨーグルトやチーズ、乳酸菌飲料などの発酵食品製造にも使われる菌。
乳酸菌は発酵によって糖類から乳酸を作り出す性質を持ちます。
腸内では悪玉菌の繁殖を抑え、腸内菌のバランスをとる働きをします。
その効果は様々で、便通の改善やコレステロールの低下、免疫機能の向上など多くのメリットがあると考えられているのです。(※3)
酪酸菌
酪酸菌は腸に届いた食物繊維を分解することで、短鎖脂肪酸の一種である酪酸を産生する細菌。
産生された短鎖脂肪酸は悪玉菌の増殖を抑え、腸内環境を整える働きがあると考えられています。(※4)
菌活で期待できる効果3つ
ここからは菌活(腸活)を行うことで期待できる効果を詳しくご紹介します。
1.ダイエットへの効果
菌活(腸活)で腸内環境や生活習慣が改善されていくことで、ダイエットをサポートする効果も期待できます。
その理由の一つが「短鎖脂肪酸」の存在。
短鎖脂肪酸はビフィズス菌などの善玉菌が、腸内で食物繊維などをエサとして分解することで産生されます。
短鎖脂肪酸の働きは脂肪蓄積の抑制やエネルギー消費量の増加などさまざま。ダイエットにとって嬉しい効果が期待できると言えるでしょう。(※5)
菌活とダイエットの関係 詳しい記事はこちら▼
2.免疫力を支える効果
”腸は最大の免疫器官”と呼ばれているのをご存知でしょうか。
免疫の働きを担う細胞やウイルスと戦う抗体などの約70%は、腸内に存在していると考えられています。
そして腸に備わる免疫機能のことを「腸管免疫」と呼びます。
いくつかの研究の結果、腸管免疫の発達や働きを維持するために、腸内細菌が重要な役割を果しているということが明らかになっています(※6)
腸内環境を整えることは、我々の健康に大きな影響を与えていると言えそうです。 実は、菌活や腸活によってメンタル面への良い影響も。 ”幸せホルモン”とも呼ばれるセロトニンはその90%が腸内で作られています。 そのため、菌活や腸活は心のバランスを左右するセロトニン分泌を安定させることが期待できるなど、精神面への影響も研究によりわかってきています。(※7) 菌活・腸活のメンタルへの影響 詳しい記事はこちら▼
菌活の効果が出るまでの期間はどのくらい?
菌活の効果を感じるまでの期間は、元々の腸の状況や生活環境の違いによって大きく異なります。
さらに取り入れた善玉菌は腸内に少し留まった後、多くが排出されてしまうため継続して摂取することが大切。
日常的に菌活を意識した生活を続けていくことが、効果を実感することに繋がりそうです。
菌活におすすめの食材一覧
菌活で最初の1歩として簡単に取り入れることができるのが食事です。
善玉菌を含む食材を摂取して、菌を体内に取り入れることはもちろん大切。
しかし取り入れた菌を腸内で増やす意識を持つことも菌活の重要な考え方です。
そこで覚えておきたいのが「プロバイオティクス 」と「プレバイオティクス 」の考え方。
- ・プロバイオティクス =菌を取り入れる
- ・プレバイオティクス =菌を育てる
この2つの働きを持つ食材を同時に取り入れることで、それぞれの機能がより効果的に我々の健康に作用すると考えられています。
どちらかだけではなく、両方をバランスよく摂取するのがおすすめです。
菌を取り入れるための発酵食品
善玉菌を取り入れる(=プロバイオティクス )のために、日頃から発酵食品を取るように心掛けましょう。
しかし菌は熱に弱いものが多く加熱により死滅してしまうこともあるため、できるだけ非加熱で食べられるものがおすすめです。
- ・納豆
- ・ぬか漬け
- ・野沢菜漬け
- ・べったら漬け
- ・キムチ
- ・甘酒
- ・ヨーグルト
とはいえ、加熱して死滅してしまった菌も、腸内で善玉菌のエサになるため決して無駄にはなりません。
まずは発酵食品を食事に取り入れることを習慣化していくといいでしょう。
発酵食品一覧、発酵食品の選び方についてはこちら▼
菌のエサになる野菜や海藻
菌のエサとなる(=プレバイオティクス )栄養素の代表格が「水溶性食物繊維」「オリゴ糖」「レジスタントスターチ」です。
水溶性食物繊維はきのこや海藻類、オリゴ糖は玉ねぎやバナナ、レジスタントスターチはさつまいもや大豆など、どれも身近な食材に含まれています。
- ・玉ねぎ
- ・キャベツ
- ・とうもろこし
- ・バナナ
- ・りんご
- ・はちみつ
- ・ヨーグルト
- ・キノコ類
- ・オクラ
- ・アボガド
- ・わかめ
- ・昆布
- ・カボチャ
- ・インゲン
- ・小豆
- ・さつまいも
- ・じゃがいも
レジスタントスターチは冷やすと増えるという性質があるため、サラダなどにして食べるとより効率的です。
腸活におすすめの食材一覧はこちら▼
菌活におすすめのレシピ
プロバイオティクス とプレバイオティクス の食材をバランスよく取るために、メインや副菜、スープなど食事全体を見て使用する材料を決めていくのがおすすめです。
例えば、メインにプレバイオティクスのきのこ類が入っていたら、副菜には乳酸菌を含むヨーグルトを使用したサラダやザワークラウトなどを持ってくるなど。
菌を取り入れ、育てることを意識したメニュー作りを心がけるといいでしょう。
きのこのみぞれ煮
- ・椎茸
- 2枚
- ・舞茸
- 1パック
- ・しめじ
- 1パック
- ・水
- 100cc
- ・ポン酢
- 大さじ4
- ・大根おろし
- 1カップ程
〈作り方〉
- 1.舞茸を食べやすい大きさに手で割き、しめじは石づきを取ってほぐす。
- 2.椎茸を薄切りにする。
- 3.鍋に水、ポン酢、きのこを入れ、火が通るまで煮る。
- 4.大根おろしを入れ、ひと煮立ちしたら出来上がり。
さつまいもとクリームチーズのサラダ
- ・さつまいも
- ・クリームチーズ
- ・豆乳マヨネーズ
- ・黒胡麻
- ・塩
〈作り方〉
- 1.さつまいもを1㎝程度のさいの目切りにし、蒸す。
※蒸し器がない場合は茹でてOK。 - 2.水気をとり、適当な大きさのさいの目切りにしたクリームチーズ、豆乳マヨネーズと混ぜる。
- 3.最後に塩で味を整える。
菌活・腸活におすすめのレシピまとめはこちら▼
菌活・腸活におすすめの簡単スープレシピはこちら▼
菌活でより効果を出すためにできること
菌活をより効果的にするためには、先に紹介した腸活を意識することが大切です。
腸活では腸内環境の改善のために、食事などの他睡眠や適度な運動、マッサージなどの生活習慣を取り入れることも重要と考えられています。
ある研究では運動が腸内環境の改善に関係するという結果も。(※8)
また睡眠の質が腸内細菌のバランスを左右するとも考えられています。(※9)
より良い腸内環境を作り出すために、食事以外の部分でも意識を変えてみるといいかもしれません。
菌活のために心掛けたい生活習慣についてはこちら▼
菌活を取り入れて心も体も健康に
今回は、
・菌活と腸活の違い
・菌活によるメリット
・菌活におすすめの食材
・菌活によいレシピ
・菌活をより効果的にするための方法
について、腸内環境へのアプローチをメインとした菌活についてお伝えしました。
菌活は継続してこそ効果を感じられるもの。
習慣化を目指して、手軽なものから取り入れていけるといいですね。
参考文献
※1 食物繊維 | キーワード | e-ヘルスネット(厚生労働省)
※2 ビフィズス菌 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
※3 乳酸菌 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
※4 河野浩史, 藤井秀樹,浅川まさみ,山本 雅之,松田正典, 真木あきら,松本吉郎,エンドトキシンを投与されたラットの肝臓と腸に対する中鎖トリグリセリドの保護効果,2003/2
※5 腸内細菌と肥満、どんな関係? どう制御? カギ握る「短鎖脂肪酸」
※6 腸管免疫(gut immunity)|用語集|腸内細菌学会
※7 藤田紘一郎,こころとからだの免疫学ー腸内細菌の働きを中心にー,2012
※8 ヴィンチェンツォ・モンダ,イネス・ビジャノ,アントニエッタ・メッシーナ,アンナ・ヴァレンツァーノ,テレサ・エスポジト,フィオレンツォ・モスカテリ,アンドレア・ヴィッジャーノ,ジュゼッペ・チベリ,セルジオ・チーフフィ,マルチェリーノ・モンダ,ジョバンニ・メッシーナ,運動は腸内細菌叢を変化させ、健康に良い影響を与える,2017
※9 入江 潤一郎, 伊藤 裕,睡眠と腸内細菌叢,2017
記事の監修
岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。
INSTAGRAM : @yutaka411985 , @yourkins_official
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