腸内洗浄は腸活にいい?身体への影響やデメリットもご紹介
この記事では、腸内洗浄の概要から具体的な効果、一般的な下剤との違い、さらには腸活における腸内洗浄の役割について詳しく解説していきます。
腸内洗浄とは
腸内洗浄は、大腸内の老廃物や毒素を取り除くために行われる施術のことです。特定の液体や水を直腸から注入し、大腸を洗浄することにより、腸内環境を改善し、消化機能を促進させることを目的としています。定期的な腸内洗浄は便秘の解消、肌質の改善、エネルギーレベルの向上に役立つとされています。
やり方としては、専門の機器を使用して、温かい水または特定の洗浄液を、直腸から大腸にゆっくりと注入します。この液体は腸壁に付着した老廃物や残便を柔らかくし、取り除くのを助けます。
しばらくすると、洗浄液と共に老廃物が体外に排出されます。このプロセスを数回繰り返すことで、腸内が十分に洗浄することができます。
腸内洗浄と下剤の違い
腸内洗浄と下剤はどちらも便秘の解消に使用されることが多いですが、その作用機序には大きな違いがあります。
下剤は、主に腸の動きを刺激するか、便を柔らかくして排出を促す化学物質を含んでいます。これにはいくつかの種類があり、刺激性下剤、浸透圧性下剤、膨張性下剤などが一般的です。一方、腸内洗浄は、温水やハーブなどの液体を用いて大腸を洗浄し、物理的に老廃物を除去します。この方法は腸の蠕動運動を自然に促し、腸内フローラのバランスを整える効果も期待できます。
対して腸内洗浄は通常、専門の施設で行われ、適切な頻度であれば腸の健康をサポートする一方で、下剤の常用はいくつかのリスクを伴います。特に、刺激性下剤の長期使用は、腸の自然な機能を低下させ、依存症や腸の損傷を引き起こす可能性があります。さらに、いくつかの研究では、過度の下剤使用が大腸がんのリスクを高めることが示唆されています。これは、腸の粘膜への長期的な刺激や損傷が原因であると考えられています。
腸内洗浄は痛い?
腸内洗浄を受ける際に痛みを感じるかどうかは、施術の方法、使用する液体の種類や温度、そして個人の体調や体質によって大きく異なります。多くの場合、腸内洗浄は痛みを伴うものではありませんが、特定の条件下では異なる感覚が生じることがあります。
切れ痔がある場合の痛み
切れ痔などの直腸周辺の疾患がある場合、腸内洗浄中に痛みを感じることがあります。この痛みは、洗浄液が傷口に触れることにより引き起こされるため、痔がある場合は医師と相談の上、腸内洗浄を行うか慎重に決定する必要があります。
下痢時の痛みに似た感覚
腸内洗浄中には、下痢をするときと似たような腹痛や排便の衝動を感じることがあります。これは、大量の液体が腸内に入ることで腸が活発に動き、時には痙攣を伴うことが原因です。この痛みは一般的には一時的であり、洗浄が完了すれば自然と落ち着きます。
腸内洗浄を行う際には、これらの点を考慮し、経験豊富なプロフェッショナルの指導のもと、適切な準備とアフターケアを行うことが大切です。
腸内洗浄の効果
腸内洗浄は多くの健康効果が期待される治療法であり、適切に行うことで体の内側から健康を促進することができます。以下、腸内洗浄がもたらす主な効果について詳しく説明します。
乱れた腸内環境がリセットされる
現代人の食生活やストレスが多い生活は、腸内環境を乱す大きな原因となっています。腸内洗浄を行うことで、腸内の悪玉菌が優勢になるのを防ぎ、善玉菌のバランスを整えることが可能です。
洗浄によって不要な老廃物や有害物質が除去されることで、腸内環境がリセットされ、免疫機能の向上や全体的な健康状態の改善が期待できます。これにより、腸の健康だけでなく、皮膚の状態が良くなるなどの体全体に良い影響を与えることがあります。
宿便が剥がれ落ちる
腸内洗浄は、長年蓄積された宿便を剥がし取る効果があります。宿便とは、腸壁にこびりついた古い便のことで、消化不良や便秘の原因となることがあります。
洗浄によってこれらの宿便が剥がれ落ちることで、腸が本来の機能を回復し、栄養の吸収が効率よく行われるようになります。これは、体調が良くなるだけでなく、エネルギーレベルの向上にも寄与します。
お通じがつきやすい
腸内洗浄を行うことで、腸の蠕動運動が活性化され、便秘が解消されます。特に、定期的に腸内洗浄を行うことで、腸の動きが正常化し、自然なお通じがつきやすくなると報告されています。
これは、腸の健康を維持する上で非常に重要であり、便秘による腹痛や膨満感からの解放だけでなく、将来的な大腸がんなどのリスク減少にも繋がると考えられています。
腸内洗浄は身体に悪い?
腸内洗浄が健康促進のために行われる一方で、間違った方法で行うと健康に悪影響を与える可能性もあります。ここでは腸内洗浄の潜在的なリスクや注意すべき点について詳しく解説します。
脱水症状
腸内洗浄中に大量の水分を腸に注入することは、体内の水分バランスを崩す原因となります。これにより脱水症状が引き起こされることがあり、重度の場合はめまいや低血圧、意識障害を引き起こすこともあります。腸内洗浄を行う際は、適切な水分補給とともに、プロフェッショナルの指導のもとで行うことが重要です。
電解質バランスの乱れ
腸内洗浄は、腸内の有益な細菌だけでなく、必要な電解質も洗い流してしまう可能性があります。ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの電解質が不足すると、筋肉のけいれんや心臓の不整脈といった健康問題を引き起こすことがあります。そのため、腸内洗浄は慎重に行い、適切な栄養補給とバランスの取れた食事が必要です。
腸内環境を乱す
腸内洗浄が腸内の悪玉菌を取り除く効果がある一方で、善玉菌や必要な微生物も洗い流してしまうリスクがあります。これにより、腸の健康を支える微生物叢(マイクロバイオーム)が破壊され、消化不良や免疫力の低下、感染症のリスクが高まることが懸念されます。
感染症のリスク
不適切に管理された機器や不衛生な条件下で腸内洗浄を行うと、感染症を引き起こす危険があります。使用する機器が適切に滅菌されていなかったり、施術のプロトコルが守られていない場合、細菌やウイルスの感染が起こる可能性があります。
腸内洗浄より腸活がおすすめな理由
腸内洗浄が一時的に腸内環境を改善する方法として用いられることがありますが、そのリスクと一時性を考慮すると、日常的な腸活の方がより持続的かつ安全に腸の健康を支える手段として推奨されます。ここでは、腸活が腸内洗浄よりも推奨される理由を詳しく説明します。
腸内洗浄は根本的な解決にならない
腸内洗浄は腸内の不要な老廃物や有害物質を除去することで、短期的には腸をクリアにできますが、これは根本的な解決策とは言えません。腸内洗浄は腸の一時的な状態を改善するに過ぎず、日常生活の食習慣やストレス管理が改善されなければ、腸の問題は再発します。また、腸内洗浄が腸の自然な機能や微生物叢を破壊することで、長期的な健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。
腸活とは、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な水分摂取、ストレスの管理を通じて、腸の健康を維持するライフスタイルの総称です。これにより、腸内環境は自然に改善され、善玉菌の増加を促し、悪玉菌の減少を図ることができます。腸活を行うことで、腸の自然な機能が強化され、便通が改善されると共に、免疫力の向上や全体的な健康が促進されます。
便秘や下痢が解消される
腸活を積極的に行うことで、便秘や下痢といった一般的な腸の問題が解消される効果が期待されます。腸活は腸内環境を整えることを目的とし、腸の健康を維持することに直接的に貢献します。
便秘は不足した食物繊維の摂取、水分摂取の不足、または運動不足によって引き起こされることが多いです。腸活においては、食物繊維豊富な食事を心がけ、十分な水を日常的に摂取することが推奨されます。これにより、便の量と質が改善され、腸内での滞在時間が適切になり、自然と便秘が解消されます。
また、下痢はしばしば消化されない食べ物、感染、ストレス、または過敏性腸症候群(IBS)などが原因で起こります。腸活による食生活の見直しは、過剰な脂肪や刺激物の摂取を減らすことで下痢を引き起こす要因を減らします。プロバイオティクスや発酵食品の積極的な摂取は、腸内の善玉菌を増やし、腸内フローラを改善することで、下痢を緩和します。
免疫力がアップする
腸活を行うことで、免疫力の向上が期待されます。人間の免疫系の約70%は腸に関連しているとされ、腸内環境が免疫機能に大きく影響を与えています。
腸内には多数の免疫細胞が存在し、腸の健康状態が直接免疫応答に影響を及ぼします。腸活を通じて腸内環境が改善されると、腸の免疫細胞が適切に機能し、体外からの侵入者に対する迅速な対応が可能になります。さらに、腸から分泌される抗体の量が増加し、全身の免疫力が自然と強化されるのです。
また、腸内環境の悪化は体内の炎症を引き起こすことがあります。腸活による食生活の改善は、炎症を促進する食品の摂取を減らし、抗炎症作用を持つ食品を増やすことができます。この結果、腸内の炎症が軽減され、免疫系の過剰反応を防ぎながら、全体の免疫バランスが改善されます。
肌荒れが改善される
腸活を行うことで、肌の健康にも良い影響が及び、肌荒れの改善が期待されます。腸と肌は密接な関係があり、「腸内環境が肌に反映される」とも言われています。
腸活による腸内環境の改善は、体内の毒素や不要な物質の排出を促進します。腸の健康が損なわれると、体内の老廃物が適切に排出されず、その結果として皮膚を通じて毒素が排出されることがあります。これが肌荒れやニキビの原因となることがあります。腸活を通じて腸の健康を保つことで、このような肌への負担を減らし、クリアな肌を維持することが可能になります。
また、善玉菌はビタミンB群の合成を助けることも知られており、これが健康な肌の維持に寄与します。
メンタルが安定する
腸活がメンタルヘルスにも良い影響を与えることは、近年の研究で明らかになっています。腸と脳は「腸脳軸」と呼ばれる密接な関係にあり、腸の健康が直接的に心の健康に影響を及ぼすことがわかっています。
腸内のバクテリアは、ストレスホルモンのレベルや、気分を調整する神経伝達物質のバランスに影響を与えることが研究で示されています。特に、腸内バクテリアはセロトニンやドーパミンといった神経伝達物質の大部分を生産しており、これらの物質は「幸せホルモン」とも呼ばれ、私たちの気分や感情に大きく影響します。腸活を通じて腸内環境を整えることで、これらのホルモンのバランスが適切に保たれ、結果としてメンタルが安定するとされています。
また、腸活によって腸内環境が改善されると、体内の慢性的な炎症も低減します。慢性的な炎症はうつ病や不安障害といった心理的な問題と関連があることが知られており、炎症の低減はこれらの症状の緩和に寄与すると考えられています。健康な腸は、全身の炎症を抑え、メンタルの安定を支える基盤となります。
日頃から腸のケアをしよう
腸活は、日常生活における食習慣の見直しや適切な生活習慣の取り入れによって、腸内環境を整えることを目的としています。腸活を通じて得られる健康効果は多岐にわたり、便秘や下痢の解消、免疫力の向上、肌荒れの改善、そしてメンタルの安定に至るまで、私たちの体と心にポジティブな変化をもたらします。
腸内洗浄が一時的な解決策に過ぎないのに対し、腸活による生活習慣の改善は長期的な健康の基盤を築きます。もちろん、腸内洗浄にもたくさんいい効果があるので、お腹が詰まっている時やすぐに解決したい時はとても効果的です。
ただ、長い目で見ると日頃から腸のケアをしていくほうが、身体全身へいい効果をもたらします。
KINS LABOでは腸活の方法やおすすめのレシピなどをご紹介しているので、他の記事もぜひ参考にしてみてください。
記事の監修
岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。
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