滋賀の古民家ローチョコレート工房で見つけた・心に嬉しいカカオの秘密
チョコレートを食べて至福を感じたことがある方なら、そう感じたことがあるかもしれません。
それはあながち気のせいではなく、例えばカカオには善玉菌を増やし腸活に良い効果もある、ということもわかってきています。さらに心のハッピーに通ずる、脳内伝達物質の分泌を促す作用も。
そんなカカオの良いところを生のまま、しっかりいただけるのが「ローチョコレート」。
今回はローチョコレートって何?というところから実際に作られている方の想いまで、京都でロースイーツショップ『ハレトケト』を営まれている吉田理恵さんにお話を伺いました。
カラフルでキャッチー!なのにナチュラルな驚きの世界観
ハレトケトの公式サイトを見てまず目に飛び込んでくるのは、とにかくカラフルで可愛いデザインのスイーツたち。
ピンクにブルーにイエローに…と鮮やかな色のケーキやチョコレートが眩しいですが、一般的には「着色されたお菓子って体に悪そう」というイメージがあるのも確かです。
編集部:ハレトケトさんのスイーツは、とにかく見た目がカラフルでキャッチー!というのも魅力ですよね。でも一体何でこの色をつけられているのでしょう…?
吉田さん(以下敬称略):着色に使うものは、
- ビーツ(赤紫色の野菜)
- ラズベリー(濃いピンク~紫の実)
- クロレラ(緑の単細胞緑藻)
- スピルリナ(青緑の藻草類)
など… そうは見えないかもしれませんが、全て天然の植物由来の色素なんです。
編集部:それは驚きですね!
吉田:人工的な着色料の場合、「カラフル=体に悪い!」というイメージがありますよね。
でも野菜やフルーツでもそうなように、植物たちは「カラフルである=栄養も豊富」なんです。その色を作っているのは色々な栄養素だからですね。
ロースイーツは動物性食品を使わないので、全て植物由来の原料のみ使用しています。
豊富な栄養を生のままで・メンタルも満たしてくれるロースイーツ
編集部:ロースイーツは全ての素材が生ということですが、そのメリットはあるのでしょうか?
吉田:48度前後で植物の持つ酵素が壊れてしまうため、加熱しないことでその酵素や、熱に弱いビタミン・ミネラルもしっかり取り入れられます。傾向としてロースイーツは、一般的に市販されているスイーツよりオーガニックの素材など体に優しいものが多いということもありますね。
ローチョコレートに関しては、気持ちの充足感を与えてくれる…という面もあります。
編集部:ローカカオが体に良いというのは当メディアでも取り上げていますが、多幸感をもたらすという「アナンダミド」などでしょうか?
吉田:そうですね。ローカカオには、アナンダミド以外にも同様にメンタルの安定に関連する物質が多いんです。
例えば「PEA(フェニチルアミン)」は「恋愛ホルモン」と呼ばれていて、恋愛のウキウキ感を感じている時に分泌されている物質だったりします。こういったものの中には熱に弱いものもあるので、やはり加熱しないローチョコレートは栄養を逃さず取れて優秀だと考えています。
気持ちが満たされて「適量」がわかるように?
編集部:「恋愛ホルモン」が含まれているというサプリ、私も飲んだことがあります!(笑)
やはりロースイーツ生活を続けていると、気持ちが安定したような感覚がありますか?
吉田:そうでしたか!
私自身は実は、この仕事を続けていてほとんど私生活ではお菓子を食べなくなりました。ロースイーツも含めてです。
試食が多いからかなあ?とも思ったのですが、以前に比べるとメンタル面が充実していて、常にほんのりハッピーというか。(笑)
それもあって、「疲れたから甘いもの食べたい!」みたいな感覚がなくなった気がします。
教室の生徒さんも同様、一定期間通っていると「あまり甘いものを欲さなくなりました」と仰ることがありますね。「もう必要ないので…」と卒業されていく方もいます。(笑)
編集部:その充足感にはロースイーツの栄養が関与しているのでしょうか?
吉田:栄養不足だと、余計にジャンクなものが食べたくなるということもあると思います。
ロースイーツは植物のビタミンやミネラルも豊富に摂れます。加えてローカカオのようにPEA、アナンダミドといったメンタルに良い物質を含むものもあるので、食べ続けていることで気持ちに必要な栄養素も足りていくのかなという気はしています。
ナチュラル、でも味の均一性は大事にしたい
編集部:吉田さんは製品に使う素材への、こだわりはありますか?
吉田:原料はなるべくオーガニックで、農家さんなど生産者の顔がわかるようなものを選ぶようにしています。
ローチョコレートで使っているカカオは「カミーノベルデ農園」というエクアドルの農園のものです。オーガニック認証(JAS・USDA)取得済みで、農園とのダイレクトトレードで日本に仕入れられています。
カミーノベルデ農園は自然な栽培方法だけでなく、個々の味が安定する製法に定評があるんです。オーガニックな野菜ってものによっては、味にばらつきがあると思います。
こちらでは他農園に製法の提供などをしているくらい、ナチュラルかつ均一な味のカカオが多いことが特長です。
私自身も、ナチュラルであること、見た目が美しいことはもちろんですが、味がきちんと均一で美味しい、ということも大切にしたいと思っています。
アレルギーもちのお子さまもパッと笑顔に
編集部:ロースイーツは「小麦フリー」「乳製品フリー」など「○○フリー」なものとしてのイメージも強いですよね?
吉田:確かにお客様には、アレルギーもちの方もよくいらっしゃいます。
アレルギーもちのお子さまは、普段食べられるお菓子も制限されていて、お菓子が食べられないのが当たり前なんですよね。そんなお子さまが、うちのお店のスイーツを見て「これ全部食べていいの?!」と喜んでいたり。
まだロースイーツ自体そこまでメジャーではないので、お母さまも「こんなものがあるとは…」と驚かれたりします。
編集部:作り手としては嬉しい瞬間ですね。ご自身でも「○○フリー」やヴィーガンに強いこだわりがあったりされますか?
吉田:白砂糖などは良くない面が多いと思いますが、「砂糖は全てダメ!」というほど極端でなくていいかなと思っています。
ココナッツシュガーや黒糖などは、熱い地域の方によく使われているだけあってミネラルなどが豊富です。
そういった良い面は取り入れつつ、素材選びをしていけばいいかなと思います。
100%にこだわらず自分に合ったバランスを大切に
扱っている製品はヴィーガン、グルテンフリー、白砂糖フリーですが、個人的には完全ヴィーガンというわけではなくて。
適度に動物性のものや加熱したものも食べています。自分の体にはそれが合っているようなので。
ローフードの元になっているナチュラルハイジーンの考えでは100%ではなく、6割ー8割くらいの継続しやすい割合でもよいとされています。生の植物からは摂取や吸収しづらい栄養素も適度に取り入れられるからですね。
個人的には、全てを変えなくても必要な時にローフードを取り入れるのがよいのでは、と考えています。
旬を意識した、その土地に合った食べ方を
編集部:ローフードは「体が冷える」とされたりもしますが、合っている気候などはあるのでしょうか?
吉田:やはり南国はフルーツなども多く摂れますし、合っていると思います。生の果物などは陰性で、多少体を冷やしやすいのは事実です。多く取り入れるなら暑い土地のほうが合っていそう。
あと日本の場合は冬は根菜など、加熱調理に向いている食材のほうが旬だったりしますからね。全て生で、となると日本の場合、季節によっては遠くからフルーツなどを取り寄せる必要があります。
自分も土壌の一部である、自然の一部であると考えたとき、土地のものではないものを多く取り入れるのは、ちょっと違うかなとも思うんです。
土地のものを食べない生活に偏ってしまうと、自然との歯車があわない感じで。それもあって、100%ローフードにこだわる必要はないと思います。もちろん自身の体や環境に合っているならいいのですが!
無理して続ける、頑張らないと続かない…というほど、極端にする必要はないかな、という考えです。
脳腸相関にもいいかも…?菌ケアにもロースイーツをおすすめ
編集部:ロースイーツは栄養の観点から、メンタルにもいい…。そしてグルテンフリーや白砂糖フリーでお腹にも優しいというのは、腸活の観点からも興味深いです。
吉田:菌ケアのお話で、「脳腸相関」ってありますよね。
脳のストレスと腸の状態が、相互に関係しているっていう。
編集部:そうですね、ストレスが多いと腸内環境のバランスも乱れ、それによってメンタルも不安定になりやすく…という悪循環が起こるとされています。
吉田:その点に関しても、ロースイーツは良いのかなと思うことがあります。
見た目も華やかで楽しみがあるので、前述のお子さまのようにハッピーになりますよね。アレルギーもちの方などは、それだけで日常的なストレスが多いと思います。
栄養面でポイントが高いことはもちろんなのですが、見た目からも食の楽しみも感じられるのでは?と思っています。
そのような楽しみが日常に増えることが、巡り巡って脳腸相関的にもいいのでは、と感じますね。
▼「脳腸相関」について詳しくはこちら
腸内環境にもハートにも優しいロースイーツを作ろう
今回は滋賀県でロースイーツショップ「ハレトケト」を営む吉田理恵さんにお話を伺いました。
ロースイーツは植物のもつ酵素や栄養素を活かして摂ることができ、ローカカオにいたってはメンタル面にも良さそうな要素がたっぷり。
そんな吉田さんは、普段以下のようなロースイーツ講座も開かれています。
そこで次回は、吉田さんに教わる簡単ローチョコレート&カカオティーのレシピをご紹介します!
菌ケアにも良いロースイーツ、ぜひ簡単な作り方を覚えて日常に取り入れていきましょうね。
記事の監修
岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。
INSTAGRAM : @yutaka411985 , @yourkins_official
X : @yutaka_shimo