掲載日 | 2022.12.10
更新日 | 2024.07.24

グルテンフリーとは?効果や取り入れ方から注意点まで

掲載日 | 2022.12.10
更新日 | 2024.07.24

更新情報

・2024/07/24
「ゆるグルテンフリーでも意味はある?」の情報を追加しました。

ゆるグルテンフリーについて見る

「グルテンフリー」。耳にしたことはあるけれど、どんな効果があるのか、何にいいのかわからない。

何に気をつけながらどんなものを食べたら良いのか分からない。大好きな麺類やパン、スイーツは諦めないといけないの?

そんなふうに思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、グルテンフリーの効果、実践方法、食べていいお菓子など、注意点も併せてご紹介しています。

グルテンフリーとは「グルテン」を避ける食事法

グルテンフリーとは「グルテン」を避ける食事法

スーパーなどでも「グルテンフリーコーナー」が常設されているところがあったりと、身近になってきたグルテンフリー。

「グルテンフリー」とは、グルテンを含む小麦を使用しないことを指します。

もともとは「セリアック病」や「小麦アレルギー」などの疾患が原因で小麦を摂ることができない人たちのために発案された食事法でした。

それが現在では、そのような疾患がなくても、小麦を摂るとなんとなく体調が優れないといった自覚がある人や健康意識の高いアスリートや海外セレブによって、グルテンフリーは広まっていったのです。

そもそもグルテンって何?

そもそもグルテンって何?

「グルテン」とは、小麦に含まれるタンパク質の一つです。

小麦粉に水を加えて捏ねると、弾力が出る「グリアジン」と粘着力が強い「グルテニン」が結びつき、弾力と粘着力を併せ持った「グルテン」が作られます。

パンや麺類などのもっちりとした食感を生み出している、美味しさの元であるグルテン。しかし、このグルテンを摂取することで、個人差はありますが様々な身体の不調を招く原因になり得ることが論文などで示唆され始めているのです。

腸壁が傷つくことも?グルテンが身体に与える影響

腸壁が傷つくことも?グルテンが身体に与える影響

「リーキーガット症候群」という言葉を聞いたことはありますか?

腸壁が本来持つバリア機能が低下し、腸内の有害物質や細菌などが血液中に漏れ出す現象です。これによって、慢性的な炎症やアレルギー反応などが引き起こされると考えられています。このような不調は肌荒れなど見える部分にも影響する可能性があるのです。

リーキーガットの原因は様々ですが、グルテンを消化する際にも腸壁の上皮細胞にダメージが加わり、リーキーガットにつながるのではと考えらえています。

もちろんグルテンを摂取した人が全員必ずそうなるというわけではなく、体質や個人差はあります。しかし、不調が気になっている方は、グルテンの摂取と自身の体調について意識してみてもよいでしょう。

リーキーガットについて詳しくはこちら▼

グルテンフリーに期待できるメリット

グルテンフリーに期待できるメリット

小麦を使用しないグルテンフリー生活にシフトすることで、どんな効果・メリットが期待できるのでしょうか。

ダイエットの味方

ダイエットの味方

小麦を含むパスタや甘いもの、ファーストフードなど一般的に高カロリー食品や加工食品を避けたグルテンフリー生活を送ることは、ヘルシーな食生活に繋がりやすいと言えます。

これはパンやパスタが比較的「高GI」で血糖値の乱効果を招きやすかったり、カロリーや糖質も高いことが影響しています。代わりに玄米やオートミールのような、低GIで栄養価の高い主食を取り入れるとよいでしょう。

グルテンフリーだから必ずしも直接ダイエットになるというわけではありませんが、健康的な食生活を送ることでのダイエット効果は期待できるのではないでしょうか。

腸活とダイエットの関係についてはこちら▼

美容へのメリットも

美容へのメリットも

腸壁を傷つける「リーキーガット症候群」にグルテンが関係することもあるとお伝えしましたが、リーキーガット症候群は毒素が体内に漏れることなどから肌荒れにも影響があると考えられています。

そのためグルテンを避けることで、腸内環境の乱れによる肌荒れを抑えることに繋がる可能性があります。

特に小麦を摂るたびに吹き出物や肌の炎症に悩まされる方は、グルテンフリーを試して違いを見てみてもいいでしょう

美肌のための食習慣について詳しくはこちら▼


パンや麺類、スイーツは?グルテンフリーの取り入れ方

パンや麺類、スイーツは?グルテンフリーの取り入れ方

ピザやパスタ、パンケーキ…美味しいものには小麦が含まれていることが多いもの。でも、ご安心ください。小麦を摂らないグルテンフリー生活でも、こうした美味しいものを諦める必要はありません。

グルテンフリー食品を選ベば、パンも麺類も楽しめる

グルテンフリー食品を選ベば、パンも麺類も楽しめる

小麦粉の代わりに米粉や大豆粉、片栗粉などを使用した美味しいグルテンフリーの麺類やパンは、ネットやお店で購入することができます。

また、パンケーキやお好み焼き、ピザは米粉などを使用して家庭で簡単に作ることもでき、ヘルシーで美味しい出来立てを食べることができるのも嬉しいですね。

最近ではグルテンフリーのカフェも増え、外食の選択肢が広がったことで更にストレスなくグルテンフリー生活を送れるようになりました。

おすすめグルテンフリーカフェについての記事はこちら▼

グルテンフリースイーツでケーキやお菓子も我慢しない

グルテンフリースイーツでケーキやお菓子も我慢しない

グルテンフリーだからといって、スイーツを全て我慢する必要もありません。

ケーキやお菓子だって、小麦粉不使用のグルテンフリー対応のものを選べば楽しむことができます

グルテンフリースイーツは、グルテンを含む小麦粉の代わりに米粉や玄米、豆腐などを使用して作られたものです。

アレルギーがある人も、ダイエット中の人も、心置きなくみんなで食べられるケーキやスイーツは格別ですね。


また、ギフトにもグルテンフリー商品を選ぶことで、大切な相手を気遣うヘルシーで安心なスイーツを贈ることができますよ。

和食もグルテンフリーを実践しやすい

和食もグルテンフリーを実践しやすい

私たち日本人に馴染みのある和食は、米が主食なのでグルテンフリーを実践しやすい理想的な食事です。

納豆や漬物など、腸内環境を整える効果のある発酵食品も手軽に加えることができるのも嬉しいですね。

ただし、和食であれば全ていいというわけではありません。天ぷらやうどんなど、なかには小麦を使用するものもあるため、小麦不使用の和食を選ぶ必要があります。

腸内環境を整えるためのキホンの食べ方はこちら▼


グルテンフリーの注意点

グルテンフリーの注意点

健康にも美容にも効果が期待されるグルテンフリーですが、気をつけたい点も。

せっかくグルテンフリー生活にしたのに、体調が悪くなったなんてことにならないよう、意識したいことをご紹介します。

「食物繊維」不足に注意

「食物繊維」不足に注意

小麦粉には、不溶性の食物繊維が豊富に含まれています

その小麦粉を避けたグルテンフリー生活をすることで、不溶性の食物繊維不足に陥るケースも

不溶性食物繊維は便のかさを増やすなどの働きがあるため、不足すると、便秘など不調の原因になりかねません。不足しがちな不溶性食物繊維を、小麦粉以外の食品で摂ると良いでしょう。

玄米やオートミール、きのこ、ごぼうなどを意識して食べるようにすると、不溶性食物繊維を補うことができますよ。

食物繊維豊富な腸活レシピ集はこちら▼

アレルギーがある人は「特定原材料」の確認を

アレルギーがある人は「特定原材料」の確認を

グルテンフリーは、小麦粉を使用していないことを指すものであり、全てのアレルギー成分が不使用という意味ではありません。小麦を使用していなくても、小麦以外の「特定原材料」が使用されているものもあるため、注意が必要です。

特定原材料とは、「えび、かに、小麦、そば、卵、落花生、牛乳」の7品目のことです。これらのアレルギーを持っている方は、成分表で特定原材料不使用と記載されていることも確認すると良いでしょう。

また、これ以外のアレルギー成分については現時点で表示が義務化されていないため、直接お店に問い合わせるとより安心ですね。

グルテンフリーと表示されていたらその商品は安心?

グルテンフリーと表示されていたらその商品は安心?

日本では、これまで商品表示に明確な決まりが定められていなかったため、それぞれの企業がグルテンの含有量にかかわらず自由に「グルテンフリー」と表示することができていました

小麦を含む複数の製品を扱う工場では、米粉の加工過程で意図せず小麦の成分が混ざってしまうことがあり(コンタミという現象)、重篤な小麦アレルギーを持つ人はパッケージを信頼しきれず不安な日々を過ごしていたことでしょう。

ノングルテン認証マークとは

米粉と米粉製品に関して平成29年3月に農林水産省から明確なガイドラインが出され、第三者認証制度によってグルテン含有量が1ppm未満であれば「ノングルテン」と正式表示できるとされました。(※1)

この「ノングルテン」認証マークのついた日本の商品は、欧米の「グルテンフリー」がグルテン含有量20ppm未満であることと比べても、コンタミの心配が極めて少ない非常に厳しい基準をクリアしたものであることがわかります。

現時点では米粉と米粉製品のみの対象ですが、今後より幅広い製品にこの「ノングルテン」認証が定められることが望まれています。

ただし、「ノングルテン認証」はアレルギーが起こらないことを保証するものではないので、深刻な症状のある方は医師と相談しながら判断することが大切です。

参考サイト:ノングルテンJAS認証とは_日本米粉協会

グルテンフリーは日本人には効果がないって本当?

グルテンフリーは日本人には効果がないって本当?

もともとグルテンフリーは、パンなどの小麦製品を主食とする欧米でセリアック病という遺伝的な小麦製品不耐症が流行したことから広まりました。こうしたことからも、お米を主食とする日本人は小麦の摂取量が欧米よりも少ないためセリアック病になる率も低く、日本人にグルテンフリーは効果がない、意味がないと言われることもありました。

しかし、セリアック病ではなくても小麦製品を食べることで不調を感じる人は日本人でも多数いることや、そうした人がグルテンフリーによって体調を改善できたというケースが多く報告されていることからも、グルテンフリーは日本人に効果がないとは一概に言えないのです。

さらに、これまで小麦製品を食べたことによって不調を感じたという実感がなかった人でも、グルテンフリーを試してみたら以前よりも肌の調子が良くなったり疲れにくくなったりと、体調だけでなくメンタル面で嬉しいメリットを感じる人も。

日本人には効果がない、意味がないと決めつけてしまう前に、試してみる価値は大いにあるでしょう。

グルテンはどれくらいで身体から抜ける?

グルテンはどれくらいで身体から抜ける?

一般的にグルテンを摂取し、体内からグルテンが完全に抜けるまでに3ヶ月ほどかかるとされています。
グルテンが身体から抜けるのに意外と長い時間がかかることに驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、分解されたグルテンの一部(ペプチド)はアミノ酸配列がモルヒネという依存性の高い麻薬に似ていることで中毒性となり、小麦製品に依存した食生活になりやすくなることも報告されています。

小腹が空いたり口さみしい時に無性に小麦製品が食べたくなり、グルテンが体内から排出しきれないうちに再び中毒状態に陥る、という小麦断ちできないスパイラルに陥っている人も少なくはないと言います。

こうしたことから、まずは1ヶ月間グルテンフリーを試してみると、グルテンが身体から抜けた状態を体感することができるでしょう。

グルテンフリーの好転反応はある?

グルテンはどれくらいで身体から抜ける?

日常的に小麦製品を摂取している人が小麦を断つグルテンフリーを取り入れると、個人差はありますが体の中の毒素が排出されている過程で一時的に体調が悪くなることがあります。
この反応を“好転反応”と言います。

体内からグルテンが完全に抜けるまでに3ヶ月ほどかかることはお話ししましたが、小麦断ちをしてから1週間ほどでこの好転反応が起こることがあります。
具体的な症状としては、頭痛や眠気、だるさ、便秘、肌荒れ、倦怠感などがあります。
せっかくグルテンフリー生活を始めたのにこのような症状が出てしまうと、逆に自分にはグルテンフリーが合わないのではないかと思って断念してしまう人もいます。しかし、この好転反応の期間を過ぎると身体が小麦を欲することもなくなり、徐々にグルテンフリーのメリットを感じられるようになるのです。

途中でちょっとでも食べたら台無しになる?

途中でちょっとでも食べたら台無しになる?

グルテンが完全に体から排出されるまでに時間がかかるというのは、腸内の修復や免疫力の回復を含むプロセスを考慮した場合です。セリアック病や非セリアック・グルテン感受性の人々にとっては、グルテンが完全に抜ける前に少量でもグルテンを摂ってしまうと、この回復のプロセスが遅れることがあります。

しかし、健康のためにグルテンフリーを実施したい、という方であれば、たまにのグルテンや少量のグルテンであれば、特に問題はありません
日本ではまだグルテンフリーのお店は少ないので、外食をする際や友人と食事をする際など、なかなかグルテンフリーを実施するのが難しい場面もあります。

そんな時は、ストレスを感じず、食事を楽しむほうがおすすめです。

グルテンを含む食品を完全に避けるのではなく、日常的にはグルテンフリーを心がけ、特別な場面では適度にグルテンを摂取するなど、自分に合った方法を見つけることで、長くグルテンフリーを続けることができます。
たまたま続けてグルテンを摂ってしまったら、しばらく抜いてみるなど、自分の体調を見ながら実施してみましょう。

ゆるグルテンフリーでも意味はある?

途中でちょっとでも食べたら台無しになる?

日常的に完全なグルテンフリーを実施するのは難しい、というケースもあります。学校で給食を食べなければならない、お付き合いで食事に行くことが多い、など、完全なグルテンフリーを実施するほうがかえって負担が大きくなることもありますよね。
そんな時は、まずは『ゆるグルテンフリー』から実施してみるのもおすすめです。

グルテンは、摂るor摂らない、の基準だけでなく、日常的にどれくらいの量のグルテンを摂っているかで、身体への影響が変わってきます。
毎食グルテンを摂るのと、週に数回グルテンを摂るのでは、腸への負担はかなり変わるのは当然ですよね。

そのため、完全なグルテンフリーが難しいからといって、諦める必要はありません。ちょっとずつお米を主食にする頻度を増やしたり、おやつにはクッキーや菓子パンではなく和菓子などにする頻度を増やしていくだけでも、効果があります。
まずはストレスにならない範囲で、ゆるグルテンフリーを試してみてはいかがでしょうか。

グルテンフリーで美と健康のサポートを

グルテンフリーで美と健康のサポートを

グルテンフリーについての基本的な内容と取り入れ方、注意点などについてお伝えしました。小麦アレルギーがある方も、ない方も取り入れられるグルテンフリー。

相性やメリットは個人差がありますが、試してみる価値はあるでしょう。

もちろん今日食べたものがただちに劇的な身体の変化をもたらしてくれるものではありません。しかし「今日食べたものが10年後の自分を作る」という言葉があるように、将来的な影響を考えながら意識して健康的な食生活を送っていくことは、とても大切です。

毎日の食生活を意識して、しなやかさに満たされた心身へ。

この記事が、皆様の美と健康にお役立ていただけることを願っています。

参考文献:
(※1)農林水産省「ノングルテン米粉について

記事の監修

株式会社KINS代表、菌ケア専門家
下川 穣

岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導などを行う。
医療法人時代の日本最先端の研究者チームとのマイクロバイオーム研究や、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌による根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。2023年8月にシンガポールにて尋常性ざ瘡(ニキビ)に特化したクリニックを開院。

INSTAGRAM : @yutaka411985 ,  @yourkins_official
X : @yutaka_shimo

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